██.██.████より、機動部隊██-█はモスクワで慈善団体の開催した寄付金を集めるための晩餐会の間に起こった、説明不可能な一連の物品消失事件の調査を行いました。警察官の立場にあるエージェントを利用して、未知の可能性に関する情報の広範な収集および分析が行われました。収集されたデータに基づき、事件の間に存在した人物(サポートや技術スタッフを含む)のリストが作成されました。全ての容疑者は、 時計の監視、盗聴、電子通信へのアクセスについて重点的に調査されました。
捜査活動の結果、窃盗の疑いで██名の人物が逮捕されました。押収した██個の物品のうち、█個だけが実際に紛失した物品に対応していました。
目撃者は、SCPオブジェクトへの暴露の潜在的証拠を特定するために再度尋問されました。
補遺1186-1/a:
日付: ██.██.████
インタビュアー: エージェントL、機動部隊██-█所属
対象者: V██████ █.█、女性、74歳、元女優、博愛主義者
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L.: もう少し詳しく教えていただけますか。あなたはその晩、何か変わったことに気がつきましたか?
V.: はい、それは…えー…終わりに近づいたときだと思います。私はちょうど女性用の部屋に向かっていました。シンクの端にバッグを置き、イヤリングを外しました。知っての通りイヤリングは常に耳をひっぱるし、重いです。イヤリングを取り外してバッグに入れ、水で顔をすすぎ、そして…それはなくなりました。私はホールを出て、Borusuik(注:ボディーガード V█████ █.█.)と一緒にバッグを見ました。その夜は神経質になっていました…家に帰って、テーブルの上でバッグの中の物を全て取り出しました。それらはどこにもありませんでした。
L.: それらをシンクに落としたことはないと確信していますか?
V.: 何ですって。私は聞いたのです…それらは私の曾祖母の代からのものでした。神が彼女の魂を休ませますように。価格については、私は黙っていおきます…あなたはそれを見つけられるのですか?
日付: ██.██.████
インタビュアー: エージェントL、機動部隊██-█所属
対象: N████████ █.█、女性、23歳、モデル
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N.: タバコを吸っても?
L.: おそれながら、控えていただけると助かります。
さて、 ██.██.████の事件について教えてください。特にあなたの注意を引いたものはありましたか?
N.: Marinaと一緒に私はバルコニーにタバコを吸いに行ったの…
L.: 少々お待ちを…(ボイスレコーダーに向かって)証人はB██████ М.█、誕生日[データ削除済み](紙をめくる) 番号は47。続けてください…
N.: 私たちはタバコを吸おうとしてた。Marinaがライターを貸してくれというから(注:1939年製の特徴的な軽量Zippo、推定値段:$6000)、使って返してもらった物をバッグに戻したの。彼女は咳をしてタバコを落としたわ。そして私はバッグから新しいのを取り出して、ライターを探したの。バッグの中身を全て探して、窓の下にウェイターに探しにも行かせたわ。どこにもなかった!
ここじゃタバコ吸っちゃダメなの?
被害者は全て女性であり、ほとんどの物品は女性のハンドバックの中から消え去っていて、多くの場合証人の目の前で消失しました。場合によっては、被害者は物品を奪うことが不可能な個室にいました。消失したもののほとんどが宝石であり、金品はそれほど盗まれませんでした。
スリと仮定しての捜査中、盗品を売ることが可能だった質屋や闇市場などが調査されました。3ヶ月間それらの場所を流通する物品を監視した結果、紛失品リストからさらに█点の物品が発見されました。
補遺1186-1/b:
容疑者3: А███████ █.█.、女性、サンクトペテルブルク出身、19██年生まれ。
容疑者4: Т█████ █.█.、女性、ボロネジ地方オストロゴジスク出身、19██年生まれ。
彼女らは血縁関係にあり、姉妹です。
母親: [データ削除済]
Aの生物学上の父: [データ削除済]
Tの生物学上の父: [データ削除済]
傍受されたAおよびTの間の携帯電話での会話記録は、彼女らがこの事件の主要容疑者である事を特定するための根拠として役立ちました。
補遺1186-1/c:
日付: ██.██.████
時間: 18:46
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А.: 元気?
Т.: もうこれ以上は無理よ…
А.: 落ち着いて聞いて!私もこれはあまり好きじゃないけど、何もしないよりはましよ…。もう一回。私たちが幸運だったら、後一回で十分なはずだわ…聞いて。きっとすべてうまくいくわ。
Т.: わたしもう疲れたの…
А.: えぇ、私たちは疲れてるわ。良く相談しましょう…私たちの計画について。明日3時に「私たちの場所」で。しっかりしなさい、泣かないで。私はあなたを信じてるわ。
Т.: わかった、きっと行くわ。でも、これが最後だって約束して…
А.: えぇ、約束するわ…
機動部隊██-█のМ█████████ █.█.司令官は、その場でオブジェクトを特定して収容するため、別のチャリティー晩餐会を開催することを提案しました。これは██.██.████に行われ、[削除済]が会場に持ち込まれました。機動部隊は民間人や地元の警察官の衣装をまとい、晩餐会のサービス・技術スタッフのみならず、ゲストの一部としても参加し、監視が強化されました。内部と外部の両方の調査監視情報は、ワイヤレスの隠しカメラを設置することで提供されました。安全策として、近くの家屋の屋根に4名の狙撃兵が配置されました。
作戦は滞りなく進行しました。容疑者ナンバー4は夕刻ごろトイレで確保され、鎮圧されました。容疑者ナンバー3は、宴会の間に[削除済]付近に駐車していた車で逃走を図りました。車両は2つのタイヤを打ち抜かれることで無力化しました。容疑者は逮捕され、鎮圧されました。被験者、盗品リスト、および車両は、第一回の尋問のため、財団のフロント企業である[削除済]に移送されました。
補遺1186-1/d: 拘留中に押収された注目すべき物品のリスト
- ワイヤレスヘッドセット1つ(Tの所有物)
- ヘロイン1.2g(Aの所有物)
- 皮製の状態のひどい古びたバック1つ(Aの所有物)
補遺1186-1/e:
日付: ██.██.████
インタビュアー: エージェントМ、機動部隊██-█所属
対象: А███████ █.█.
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А.: あなたたち何が目的なの!?私はどこに連れてこられたの?
М.: (ファイルを読み上げる) А███████ █.█.、19██年生まれ。あなたはロシア連邦刑法第158条に違反し、膨大な数の窃盗をした容疑で逮捕されています。
А.: (ひきつった笑い) それで全部?
М.: 違法な薬物の所持、第228条違反も追加だ。まだつづけるか?
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それで質問を繰り返すが、お前は何をした?あんたとあんたの姉妹がペアで悪事を働いてるのは知ってる。やつは「ガイド役」だった。やつは情報を流していた…お前の役割は何だ?
А.: 畜生!盗る役よ!何もわかってないくせに!なにも!
М.: よろしい。連れて行け。 (インカムに向かって) セキュリティ、尋問室にТ█████を護送しろ。
А.: 妹…触らないで!このビッチ!はなせ!
日付: ██.██.████
インタビュアー: エージェントМ、特殊部隊██-█所属
対象: Т█████ █.█.
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М.: こんにちは、いくつか質問したいことがあるのだが、いいかね?
Т.: 私の姉はどうなったの?無事なの?
М.: きみの姉は大丈夫だが、やつは自分が一体どういう立場なのか理解していないようだ。おそらく君はわかっているだろう。嘘をつかず、あまり時間をとらせないでくれたまえ。お互いのためにね。君たちは晩餐会でなにをしていたのかね?
Т.: おぉ、神よ…私は遅かれ早かれこうなるとわかっていました…(判別不能なつぶやき) わかりました…私はあの子のために、裕福な女性を見つけ、彼女はその人たちのバッグの中から物を盗んでいました…
М.: 最後の事件の間の監視カメラの記録からすると、А███████はずっと車の中にいたようだが。やつは何をしていた?
Т.: おぉ、神よ。自分の目で確かめなければきっと信じてもらえないでしょう…。全てがバッグの中に入っているのです…古くて、大きな鉄製のファスナーの付いたバッグに。私の姉は最近あれを持ってきたんです。祖母からもらったものでした…
私は、それがどういう仕組みなのかわかりません…世界の全てのバッグが目に見えないへその緒で結びついているのを想像してください…それを切るのを忘れたのです…(ひきつった笑い)それに手を入れれば…「ディオール」のリップやあるいはマスカラが出てくるのです…私は盗みなんてしたくなかった…最初は楽しかった。私たちはカフェに座って、ラブレターや、コンドームのパックをそこから引き出して遊んだのです。そして████はあるとき金の鎖を手にしました…それはいつから始まったのか…
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私は彼女を止めることができませんでした…すべてがあまりにも簡単に与えられ、姉は理性を失いました…誰もが知らないような薬におぼれました…彼女に全てをやめようと提案し、いい診療所を探しました。お金はもう十分でした。 しかし、 ████はこの全てに「とりこ」になってしまいました…危険な人たちと連絡を取るようになり、借金をしていました。誰かが夜に彼女に電話をし、脅していました。彼女は今回で最後だと約束したのに…
(恐れた顔で) 今後私たちはどうなるのでしょう?
А███████ █.█.の証言により、機動部隊のエージェントは、法執行機関とともに海外の宝石や骨董品を密輸している犯罪グループに行き着きました。押収された貴重品の中で、この事件に関連する物品が██個見つかりました。
拘留されたА███████ █.█.とТ█████ █.█.は、クラスB記憶処理を施されました。裁判所の判決に寄れば、[データ削除済]仮釈放の可能性があります。
バッグは物品証拠番号74/048からSCP-1186に再分類され、検査のためにサイト█研究部門に移送されました。
補遺1186-1/f:
██.██.████に搬送されたА███████ █.█.、19██年生まれは、意識を回復することなく本日19:38に死亡しました。死因は、精神活性物質(おそらくアヘン剤群)の過剰摂取です。
ページリビジョン: 5, 最終更新: 10 Jan 2021 17:24