ある研究者の話
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観察。

それが私のするべき事の全てだ。私はただ、観察する。

観察し、記憶し、そして報告を行うのだ。

私は一人ここにいる。一度にゲートを通過するのを許される研究員は一名のみ。時に孤独だが、それだけの価値はあると思う。私が持ち帰れるであろう情報は、長期的に見れば我々に多大なる恩恵をもたらすだろう。そして全てが終われば、文句を言われることも無くなる。私は自分が乗り込まんとするものを知っていた。この場所に送られた時から。何をすべきかを伝えられた時から。それは簡単な事ではなく、長時間に及ぶインタビューなどは実に辛いものだった。だが少なくとも、それは全て大義のためなのだと分かってはいた。

インタビューの過程で得た情報によれば、我々はもしもこういったものの1つが我々の世界に解き放たれたとしても、すぐさま脅威を無力化できるほどに奴らを知っていることを保証できるはずだ。そしてあるいは、一気に全てを一網打尽にする方法を見つける事さえもできるかもしれない。奴らは明らかに巨大な脅威だ。我々の世界にとっても、奴らの世界にとっても。

だが、その時が来るまで私は観察し、学習し、書き留める。と言っても収容エリアには筆記具を持ち込めなかったので、頭の中に入れておかねばならない。

私は毎日、少しずつあの生命体のことを学習する。あらゆるインタビューから。奴らのあらゆる動きから。奴らのボディランゲージはとても表現力に富んでいる。生理学上は異質なものだというのに、奴らはその全てを教えてくれた。

私は、特殊部隊を奴らの世界に送り込み奴らを完全に根絶する、その方法を思いつきさえするかもしれないと思う。

けれど時々恋しくなる。我が家が。我が家族が。ここは気に食わない。

このサイトが。こいつらが。

この財団が。

ただ……

奴らは皆……凄まじく……忌まわしい。

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