追試
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ケータイのアラームの音で目が覚めた。
眠気をどうにか振り払って、洗面所へ赴く。
せっかくの夏休みだっていうのに、今日も追試だ。
キャンパスに近い場所に部屋を取ったのはいいが、帰宅してもずっと校舎が見えているというのは案外憂鬱なものだった。
俺はリュックを背負い、重たい脚を引きずりながら大学へ向かう。追試に至らせた過去の自分が恨めしい。
テストが始まる一週間前は、何をしていただろう。友人と、テストそっちのけでハイキングにでも執心していたような気がするが、なんだかハッキリしない。
ぼんやりした記憶への問い掛けを繰り返しながら、俺は大学の門をくぐる。

追試が終わった。
ほとんど一夜漬けだったが、どうにかなったように思う。多分単位は取れただろう。
一息ついて教室の外に出ると、照りつける日差しと肺に雪崩れ込む湿気に思わず顔をしかめた。暑いったらない。
俺は急いで自室に戻ろうと足を早める。道中コンビニにも寄ろうか。

妙にゆっくりと閉まる自宅の戸を閉め、クーラーを付けて、やっと人心地つく。
コンビニで買った冷やし中華の包装を開けながらテレビの電源を入れると、昼間からUMA特集なんてものをやっていた。
「衝撃の事実!鳥人間は実在した?!」
そんな見出しが躍る下で、薄暗がりの中、人間程の大きさの何かが蠢いている。
俺は麺をすすった。
それは悲鳴のような声を上げ、ばさりという音と共に羽のようなものを広げる。
飛ぼうとしているのか、それをばたつかせながら跳ねては落ちる。
画面の全てが、薄暗くてよく見えない。
思わず鼻で笑い、呟く。
「馬鹿馬鹿し。」
俺はチャンネルを変えた。

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