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神父様、こんな時間に告解を聞いていただいて、ありがとうございます。
──いえ、ここでの生活にも慣れました。
こんな私にも、みんな優しくしてくれます。
でも、最近、変な夢を見るんです。
夢の私は、昔の里親の元にいます。
──いえ、いいえ、違います。
私は決して、あの日を悪夢に見て、苦しんではいません。
確かに、あの強盗事件で里親は亡くなり、私も刺されて怪我を負いました。
でも、傷はもう痛みませんし、私を虐める里親もいなくなりました。
──ごめんなさい、そんなこと言うべきではありませんでした。
話を続けます。
夢の私は昔と同じように、里親から虐められています。
でも、夢では妹がいて、姉である私を里親から庇ってくれます。
もちろん、私に妹はいません。
だけど、夢の私は妹と話をしたり、遊ぶのが大好きでした。
でも、里親の虐めは日に日に激しくなっていきます。
そのせいで私も妹も疲れ果て、そしてある決心をします。
──いえ、いいえ、神父様。私は大丈夫です。
どうか、最後まで話をさせてください。
夢の中、私は現実で事件が起きた日付を迎えます。
その日、私と妹は眠る里親に復讐を行い、それは不思議なほど簡単に終わります。
だけど、里親を殺したと知れれば、私たちに未来はありません。
私たちは引き離され、更に酷い場所へ送られるはずです。
でも、決心した時点で、最初から未来なんてどうでも良かった。
そんな時、私と妹は古ぼけた鋏を見つけます。
そして、どこかで聞いた、まじないを思い出します。
「鋏の2枚の刃、それぞれで互いに刺し合えば、来世でも一緒になれる」
どうしてそれを信じたのか、夢ですし、理由も分かりません。
でも、私と妹は迷わず、鋏の刃先を互いのお腹に向けます。
妹は私へと微笑み、私も微笑み返します。
それを合図に、私たちは互いに鋏を突き立てました。
鈍い痛みに続き、私のお腹から血が流れます。
でも、妹は私と様子が違いました。
なぜか、妹の身体に鋏は刺さっておらず、妹はそのことに驚いているようでした。
そして、妹の姿は消えて行くんです。まるで幽霊か何かのように。
わけも分からず、私は妹に叫びます。
だけど、妹はただ「ごめんなさい」と泣くように呟いて消えるんです。
残された私は傷が浅かったのか。死ぬことなく、暫くして意識を失います。
夢は、そこで終わります。
──ごめんなさい。なぜ泣いているのか、分かりません。だって、単なる夢なのに。
私は、妹が自分を殺してくれず、一緒の世界に連れて行ってくれなかったことを恨んでいるの?
それとも、互いに想い合っていたならば、両方の鋏が消えるはずだったと信じていたの?
違う、そうじゃない。私は、私は全て妹のために、あちら側からいなくなることを選んだの。
それじゃあ、この私はどこにいるのですか?
──私は、何を?
ごめんなさい。何も分からないんです。
ああ、神父様。どうして、夢なんかに、こんなにも心が痛むのですか。
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──ミス。話してくれて、ありがとう。
貴方はもう、何も気にしなくて良いんです。
全てはただの夢。貴方を責める者も、非難する者も、等しくこちら側には存在しません。
そう、きっと、今は疲れているだけ。いずれ心を苛む夢も見なくなるでしょう。
さて、もう時間も遅い。シスター・ミリアムに部屋へと送らせましょう。
それと寝る前にはお祈りと、お薬を忘れないように。
──ふふ、我慢して飲まなくてはダメですよ。
さあ、お休みなさい、良い夢を。
C:¥miryam.psyをスキャン中……更なる異常なオネイロイ型幽体は検出されませんでした。スリープモードに移行します。