Amamiel=Sanksの提言
言葉に誘われ、ただ静かに歩みを進める。
見下した水面には波ひとつ無く、
表情が見えない自らの影像を映している。
透き通った温かな水が身体を撫でる。
目を逸らした現実への募る情動や感傷も、
ただ水の中に溶けて流されてゆく。
浮かぶ泡沫、揺れる水面。
気付けば既に水の下。
けれども悲哀や呵責はここに在らず、
懐かしい夢見の心地よさが自らの内を満たしてゆく。
ふと見上げれば、いつかの水面は遥か遠く。
それは、もはや戻れぬ現との境界線。
光景も意識も徐々に薄らいでゆく。
さあ、目蓋を閉じて夢の水底へ。
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