Ambrose Shigastan
シガスタン共和国は複層国家であり、3つの都市国家("朝"・"昼"・"夜")の領土が空間的に重複しています。当店にお越しの際は、"昼"の層へご入国ください。各層への入国方法は、シガスタン統一政府が発行している「シガスタン観光ガイド: 超常コミュニティ向け」にてご覧いただけます。
"昼"は世界有数の錬金術国家です。当店ではその技術の粋を結集させた料理をご用意しております。
免責事項
お支払い方法は、概念通貨のみとさせていただきます。
保安上の懸念から、"夜"出身の方の入店はご遠慮いただいております。
Physical Cuisine
ゴールド・グリル
超常コミュニティで急速に注目を集めている"金属食"の先駆けとなった当店の看板メニューです。専属の錬金術師によって錬成された食用金は、存在性を固定されているため、如何なる温度下でも一定の軟度を保ちます。組成の微調整により重金属中毒の恐れもなく、その刺激的な苦みに魅了される方が後を絶ちません。お好みに応じて材質と調理法の変更が可能ですので、スタッフまで気軽にお申し付けください。
ホムンクルス・ステーキ
"昼"固有の鉱石・ミスリルは、その錬成変換効率の高さから古来よりホムンクルスの素材に使用されており、人間に限りなく近い肉体の錬成を実現しました。その一方で、確固たるアイデンティティを保持した魂の錬成には未だ成功しておらず、これは「暗黒期」と呼称される技術発展の停滞に伴う一時的な文明衰退の要因となりました。当店ではそれを逆手に取り、ホムンクルスに敢えて疑似魂を実装しないことで、人肉食の倫理的な問題を解消しました。味付けには、石榴倶楽部様によって供給ルートが確立されているクコを使用しているため、人肉本来の旨みが最大限に引き出されています。合法的な禁忌の味を是非ご賞味ください。
ピュア・サラダ
各種パラテクノロジーとの合流により急速に発展した錬金術は、ついに最終目標である賢者の石の錬成に成功しました。しかし、それによって可能となったのは物質組成の自由な改変"だけ"であり、先進的な超常社会の価値観においては"完全"とは到底言い難いものでした。そのため錬金術師たちは、自身の最終目標を再設定する必要に迫られたのです。ともあれ賢者の石は取り扱いに熟練が必要なものの、各業界で適切に活用されており、料理もその例外ではありません。当店では野菜に使用することで、味と栄養価を生物学的に不可能なレベルまで向上させました。もはやドレッシングという異物は必要ありません。これは貴方の人生の中で最も本質的なサラダです。
Metaphysical Cuisine
概念的ゴールド・グリル
賢者の石により物質の制御が可能になると、錬金術師たちの関心は自然と形而上へと向けられました。特に物質の概念化は、近年盛んに研究されている分野の一つです。本メニューはその技術を使用し、当店一番人気のゴールド・グリルを概念化したものであり、肉体を保有していない方にもお召し上がりいただけます。脳内へのテイクアウトにより、自身の夢界環境でオネイロイのご友人とシェアすることも可能です。お陰様で本メニューは、オネイロイ・グルメガイド様の「既にキてるメニュー大賞 2020」において、栄えある第2位を受賞いたしました。日頃のご愛顧に感謝し、夢界からご注文いただいた方限定で、アンブローズ夢幻茶屋でご利用いただけるクーポンを進呈いたします。
食物性第一質料
第一質料プリマ・マテリアの実在性の証明は、超常錬金術パラルケミーのターニングポイントとなりました。当店は、四大元素に変成していない第一質料を料理としてご提供する唯一のレストランです。第一質料は如何なるミームも内包していないために五感での知覚が不可能ですが、当店のシェフが付与した食物性質により、概念的摂食試行によって満腹中枢のみを刺激することが可能となっています。ダイエット中の方や、形而下的な食事に飽きた方にオススメです。
ホット・エモーション
弟の食料品様との共同開発によって完成した本メニューの材料は、貴方自身の感情です。特殊な手法で抽出した感情を概念的に加熱することで、それが内包している本来の風味を"解凍"できるのです。加工後に口内へご返却するという食事プロセス自体は瞬間的に完了しますが、風味の体感時間はその感情を抱いていた期間に比例します。なお、風味については感情の性質に大きく左右されますが、"ウェイター"様曰く「強い不快感にほど美味が宿っている」とのことです。悲しい時、辛い時、苦しい時──いつでも当店へお越しください。その感情が喜びへと変わることをお約束いたします。
Dessert
サイガ・チーズケーキ
大いなる業アルス・マグナの第一段階・黒化ニグレドに対する研究は、副次的に発酵技術の発展を促進しました。中でも、本来ならば長い年月の掛かる発酵期間をほんの一瞬に短縮させる"因果圧縮式発酵法"の発明は、"昼"を「発酵食品のメッカ」と呼ばれるまでに躍進させました。チーズの材料には、"朝"のある団体様が独自に飼育しているサイガのミルクを使用しています。本メニューを召し上がった方は、口内に訪れる未知の感覚に驚かれることでしょう。それもそのはず、"ロク味み"という名称で知られるその風味はこの次元に存在しないものであり、母体のサイガが異次元に起源を持つことに由来しています。また、"ロク味"は召し上がった方の出身次元に応じて、風味を僅かに変化させるという特性があります。
次元旅行者同士で本メニューをご注文いただければ、お話に花が咲くこと間違いなしです。ただし、国民の皆様は異次元のシガスタンの在り方に興味津々なため、いつの間にか話し相手が増えている可能性にご留意くださいませ。
ノアザミ・ゼリー
建国の母・サラ・I・ガルブレイス女史の命日である6月9日限定メニューです。女史の功績とシガスタンの歴史に敬意を表し、本メニューは無償でご提供しております。シガスタンのシンボル・ノアザミの花弁を賢者の石でゲル状に変成させ、奇跡論的な手法で成形することで、口当たりの良いゼリーに仕立てました。不純物を一切含まないため、女史の愛したありのままのノアザミを体感していただけます。自然保護の観点から少量のみのご提供となりますが、皆様の敬愛の念を深める一助となれば幸いです。
Wine
アラガッダ・ワイン
次元位相の近似性から、"昼"にはアラガッダへと繋がるポータルがいくつも存在しています。これらは特定の物質のみが通過可能という特殊なものであり、"No.5"と指定されているポータルからは赤ワインが恒常的に流入しています。このワインはアラガッダという都市そのものから滲み出しているため、極めて高純度であり、あらゆる生物に対して有害です。かつては周囲一帯が危険区画として隔離されていましたが、錬金術の叡智の結晶・エリクサーを加えることで毒素の中和に成功しました。当店のオーナーがこれを発見した功績を認められ、"No.5"の管理は統一政府から当店へ正式に委任されています。その形容し難い独特な風味と、金属の苦みが織り成す絶妙なハーモニーは、文字通りの意味でこの世ならざる体験へと貴方を誘います。
Ambrose Forum
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★★★★★
"朝"に個人的な用事があったので、そのついでに立ち寄りました。どの料理も驚異と興奮に満ち溢れていますが、一番のお気に入りはやはりゴールド・グリルです。私には金属を食べる習慣がなかったので、最初こそ抵抗がありましたが、今では目に映る金属すべてが美味しそうに見えて仕方ありません。まさにセンス・オブ・ワンダー! これだから宇宙巡りはやめられませんね!
次は仲間たちと一緒にチーズケーキを食べに行く予定です。素敵な時間をありがとうございました。
★★★★★
いつも新鮮な人肉を供給してくださりありがとうございます。ソレには人生という熟成期間が存在しないため、ザクロの定義からは外れていますが、"本物"が手に入るまでの代替品として愛食しております。賢者の石を用いた処置のおかげで品質が劣化することもなく、他のメンバーからの評判も上々です。
皆様はポリシーからザクロを召し上がらないとお聞きしています。食事会にご招待できないことは残念ですが、これからも良きビジネスパートナーとして取引を続けていただければ幸いです。
★★★☆☆
楽しく食事していたのですが、突然どこからか現れた錬金術師の集団に取り囲まれ、エメラルド製の板に何か書くよう迫られました。厨房から様子を窺っていたスタッフの方が助けてくれるのかと思いきや、台車でエメラルドの塊を運んできた時はさすがに言葉を失いました。
サイン自体は一向に構わないのですが、食事中となると些か迷惑です。料理にもあまり集中できず、いつもの3倍しか食べられませんでした。
~ Hermes
★★★★☆
料理は勿論だが、ココはその経営方針にも好感が持てる。地元の失業者を雇ったり、アナートの展覧会に協賛したりと、「地域密着型」という理念にウソはないようだ。
ただ国母の命日だけとはいえ、"夜"の連中の入店を許すのはどうかと思う。いくら償ったところで、奴らの罪が消えることはないのだから。
~ Hohen
★★☆☆☆
アラガッダを観光中にパレードへと巻き込まれた私は、目を覚ますとこのシガスタンという異郷の地に漂着していました。故郷に帰る方法も分からず、途方に暮れていた私を助けてくださったのが、他でもない此処のオーナー様です。あの時食べさせていただいた賄いラーメンの味は、今でも鮮明に覚えています。この次元に慣れることができたのも彼のおかげであり、感謝を忘れた日はありません。
それはそうと、概念的ゴールド・グリルにはもっとスパイスを効かせた方が良いと思います。
~ ☒��☒�
★☆☆☆☆
統計だけ見ればシガスタンはまだまだ寿司途上国だが、ブレーダーの原石とは往々にしてそういう場所に眠っている。"昼"代表ブレーダーが昨年の世界選手権で使用した"メタル寿司"は、成績こそ振るわなかったものの、有機物と無機物の融合という奇抜なアイディアには目を見張るものがあった。
若い芽は摘まなければならない。手始めに地元で人気というこの店の門を叩いたが、反社会的勢力と見做されて入店を拒否されてしまった。相手の寿司も見ずに追い出すなど言語両断。寿司社会の規律を否定する悪徳店は直ちに営業を停止せよ。