気が
狂う
体験
アンブローズ・ウィーンのレビュー。
文責: エデン・ブマロ
17分で読了可。
⭐⭐★★★
Info
翻訳責任者: eggplantisnasu
翻訳年: 2025
著作権者: Croquembouche
原題: Ambrose Vienna: An-Out-of-Mind Experience
作成年: 2020
初訳時参照リビジョン: rev.32
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/ambrose-vienna
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お断り: このレビューの一部は、私にはどれだけ実際に起こったことと一致しているのかわからない。しかし、これは私の体験をそのまま文字にしたものであり、事実に完全に忠実ではないのかもしれないが、私が体験した真実である。そしてアンブローズ・ウィーンへの最後の星は、これを反映して付けた。
レストラン評論業界では、めったに — しかし聞いたことがないわけではないが — レストラン側が直接的にはっきりとレビューを求めてくることはない。実際良くないやり方だとされている。典型的なレビューを請う道のりというのは、じっくりことこと進むものである。レストランは、満足して肯定的なレビューをオンラインに残していく客との関係性を構築することで、自然とその評判を作り上げるべきだ。レストランは客にレビューを求めるべきではないし、プロのレビューを請うことなど好ましいものではない。レビューまでの道のりのゴールは、影響力のあるプロの注目を自らの魅力によって集めることであり、呼んだから来たというのは違う。これは駆け引きなのだ。公的ではあるが暗黙のルールを守り、そして品格のある勝ち方はゆっくりと進められる。
しかし聞いたことがないのは、アンブローズ・レストランがレビューを求めてきたということだ。アンブローズは正式には小規模の国際チェーンだが、実際には一つの名前を共有する関係のないレストランの集まりであり、非常に堅実なビジネスプロフィールを持つ。彼らは目立たない位置に居座っている。アンブローズ・レストランは特別な顧客にサービスを提供する — ニッチな客、素性がしれない客、一度の食事のためにどこからともなく出てきて、そして元居た場所に戻って二度と目にすることも耳にすることもないおかしな客。いつでもそこには策略がある。
主流なメディアの注目をアンブローズ・レストランは望んでいないのだ。
なので、ウォルドン・スタジオがアンブローズ・ウィーンから連絡を受けたときは驚いた。そしてそれより驚いたのは、この私、エデン・ブマロのレビューを特別に求めてきたときである。ウォルドン・スタジオは未知なるものの目利きに他ならず、評論業界の暗黙のルールを守ることもない — 私は喜んで引き受けた。
私は何に足を踏み入れるのか、全くわかっていなかった。

第一印象
アンブローズ・ウィーンは市庁舎を囲む環状道路であるリング通りの外、西側から10分歩いたところにある。私は運よく途中で市電に乗ることができた。昨夜ホテルに向かう際には乗れなかったのだが、まあ歴史を感じさせるもののそれ以外には特筆すべきことのない体験であった。市電の駅からレストランまでの道のりは楽しめたが、朝の礼拝をしている教会は見つけられなかった。朝日が差すオーストリアは抜群に美しく、すがすがしい冬の寒さは目が覚めるほどだったが、どこか暖かいところに入りたいという気は全く起こらなかった(ただ昨夜はそうなってしまったとは恥ずかしくて言えない)。
アンブローズ・ウィーンの入口ドアについて特に珍しいところはない。黒い木製の縁取りがされた2枚の小窓と、ドアの上には金色のアンブローズチェーンのロゴが飾られている。二つの大きくて細長い取っ手は光沢のある銀色の金属製で、大きな弧を描き、ガラスの向こうに隠れたすぐそこにある闇を引き立たせている。ドアを開けるとき手袋を着けていて良かったと思う。金属の取っ手の完璧な仕上がりを汚したくなかったからだ。
中に入ると思わず身震いした。広間は暗く、冬の日差しから目が慣れるのに時間がかかった。右側にはコート掛けがあり、ドアを通ってきた光に照らされている。私は時間をかけてコートとスカーフと手袋を脱いだ。私の服が真鍮の柱を飾るまで、コート掛けははっきり見えた。
前には小さな机があり、レストランに入ってきた客を出迎える給仕係がいるところなのだろうが、今のところ誰もいない(おかげでアンブローズ・ウィーンを一人で少し探索することができた)。驚いたことに右側には壁があり、私が入ってきたドアは建物の中央にあるのだが — 私は客席があると思っていた。一方で左側にはガラス張りの壁があり、向こう側には客席らしきものがあるが、それぞれの椅子にはテーブルがない。正直、待合室を想起させる。給仕係の机の後ろには、ガラスの壁を回り込んで椅子に続く通路が続いている。
その"待合室"に入ってみた。そこの温度はなぜだかとても心地よく — まるでそこに空気が全く存在していないかのようだった。右手の方、窓の反対側にはバーカウンターがあって、その後ろには十分な量の酒瓶が並んでいる。椅子は全部で5脚あり、部屋の中に等間隔に置かれている。合皮で作られているようで、ひび割れや傷はない。まだ一度も使われていないのだろう。座ってみたところかなり座り心地は良い。数分のうちに、私はこの椅子が長い待ち時間を一瞬にするために設計されているのだという確信を強めたが、これは矛盾を生んでいる。過度な待ち時間を黙認しているレストランはきっと良いレストランではない……しかしあからさまに認めているレストランならどうだろう?
アンブローズ・レストランにはいつでも策略がある。そして今のところ、私はまだそれを目にしていない。
フライトが遅れたため、昨夜も今朝も礼拝に参加することができていない。これを読んでいるあなたは、教会を見つけるのは簡単だし、今はどこの礼拝所でもお祈りはできるとお思いだろう。しかし椅子の座り心地が良くて理想的な場所なので、待っている間に手早くお祈りをしておくことにした。
簡単な審査
バーカウンターの後ろのドアが開いた。孤独な時間が終わり、私の祈りは答えが得られずじまいだった。
新顔は若く — 二十代後半だろうか — 髪は剃り落としているが髭は豊かだ。ぴっちりしたボタンの深紅のコックコートを着て、お辞儀とともにカウンターから出てくると、黒のズボンと磨かれた黒い靴が露わになる。微笑みつつ少しためらいながら私もお辞儀を返した。
彼は片手で金属のキャニスターを持ち、もう片方の手は広げて私に差し出してくる。私はその手を取って握手し、彼の目を長いこと見つめて色を覚えてしまった。深い茶色だ。名札には「ヤコブ・スヴォボドニー」とある。この人がメールをやり取りしていた人なのだが、顔を見るのは初めてだった。
「君がヤコブだね」と話しかける。「良い笑顔だ。ついに会えてうれしいよ」
「こちらこそお会いできてうれしいです」と彼が返す。しかし「えっと……」と言葉に詰まる。
「エデンだ」彼が苗字か名前かで迷うのはわかっている。「エデン・ブマロ」
「どうも、エデン。良い笑顔ですね。アンブローズ・ウィーンへようこそ」
私は頷いた。ここが何なのかはすでに知っている。何か他のことを知りたい — 例えば彼の手にある金属のキャニスターの中身とか。私はそれを指さした。
「それはプレゼントかい?」
彼はまるでそれが何か忘れていたかのように下を見た。
「あぁ、そうです」彼は続ける「ここで何をするのか、どのくらいご存知ですか?」
私はお手上げ状態だった。「まったく何も知らないよ。君が私をここに連れてきたんだろう?」
彼は微笑んだ。「そうですか。では、この缶には気体状の幻覚剤が入っています」
彼は言葉を切って私の反応を見る。私は何とか自分を抑えて平静を装った。
「今からこれをあなたに投与します。もちろん、あなたの合意の上です。効果が出るまで30分ほどかかりますので、その間にオーダーを済ませていただき、あとはお話でもして、効果が出始めたら食事を召し上がっていただきます。いかかでしょう?」
彼の言ったことを理解するのに少し時間がかかった。
「薬は普段どのように作用するんだ?すべての客にこの薬を?」部屋を見渡した。「5人全員に?」
「すべてのお客様にです。そのため非常に少ない人数しか一度に入店できないのです」
「合法なのか?」
「もちろんです。合意の上なら。オーストリアの規定はあなたのとこのよりかなり緩いと思いますよ」
その通りだ。いかなる薬物の所持も犯罪になる英国から来た私にとって、終身刑に至るキャニスターがほんの1メートル先にあるのを見るのはいささかカルチャーショックであった。空港に着いた後に通り過ぎたファストフードチェーン店ですら私には異様なものに感じられたのだ。ヤコブが前もってこのことを明かさなかったのは、私がそのような環境で育ち、禁じられた体験をしたがらないことを恐れてのことだろう。しかし今私はここにいるので、プロとして引き返したくても引き返せない。そして二人ともそれをわかっている。
「わかった」と彼に伝える。「合意するよ」
彼はゴム製のフェイスマスクをバーカウンターの下から取り出し、ガスはきつくないと言って金属のキャニスターに取り付ける。私にしっかりと顔につけて持たせて、3回深く息を吸い込むよう言った — それ以上多くも少なくもない。ガスの味は酸っぱかった。肺をガスでいっぱいにしてすぐにガスを放出する音がしなくなったことから、キャニスターには正確に計量された分量が入っているのだろう。ヤコブはキャニスターとマスクを取ってカウンターの上に置いた。それをちゃんと片付ける場所がないのは奇妙に思える。
少なくとも、ここの策略が何かは知ることができた。
ミツバチたち
ヤコブの最初の仕事は私のオーダーを取ることだ。バーカウンターの下から、たぶんもっとたくさんある中の一つを取り出して私に手渡す。これ以上の説明は必要ない — この過程はよく知っている。
メニューはバラエティーに富んでおり様々な食事があったが、特に目を引くものが一つあった。
ペンネ・アラビアータ。Penne all’arrabbiata唐辛子の辛味を指して、イタリア語で「怒れるパスタ」を意味する。作るのは簡単な料理であるが、全く違う作り方をされているのを何度も見てきた。大体の場合、多くのレストランは辛味のないトマトソースの同義語として、スペル間違いの方である「アラビアータarrabiata」という名前を使っている。もしレストランがこれを提供しているなら、私は注文するだろう。そして私のレビューをよく読んでいる方にはおわかりだろうが — アンブローズ・ウィーンもそうだと思うが — これはレストランを試す最良の方法だと考えている。見事な料理で私を驚かすのは簡単だ。しかし基本的な料理では私はそうそう驚くことはない。もしレストランがこの課題を達成することができたなら、そこは真に素晴らしいレストランだといえるだろう。
ヤコブは私からメニューを受け取り、注文を伝えにキッチンに向かった。そして待合室の椅子に私を座らせる。私は先ほど座った椅子を選んで腰掛けた。彼は私の前にしゃがみ込む。
だいたい30分ぐらい待ち時間があって、ヤコブは熱を出しておかしくなったキツツキのように話し出した。彼には話したいこと、共有したいエピソードがあるようだが、思うに、一連の仕事には台本があるようだ。彼の一家はツィスライタニエン出身だそうだ。戦争とその後の宗教統一から、彼の祖父はウィーンに移り住むことを許可され、ヤコブの祖母と一緒になることができた。それ以降ずっとここに住み続けているという。彼の母親は彼がとても小さいころに亡くなり、深く悲しんだ彼の父親はヤコブを無神論者 — あまり聞いたことのない言葉だ — に育てようとした。しかし結局はお互いに真理を知り、今は健全な関係であると断言した。ヤコブはリュートが弾けて、イニシアチブというバンド名の楽団の一員であり、普段は中世の音楽を演奏していると知った。その楽団は地元の教会で演奏する機会を得るために競い合っているのだが、うまくいっていないそうだ。ヤコブはそのことには落ち込んでいなさそうだが、他に話せるような趣味もなさそうだ。私はいつも「1人1趣味」的な言い回しにはうんざりしていたのだが、ヤコブはそのステレオタイプにぴったり当てはまるみたいだ。
私は彼になぜアンブローズで働くことにしたのか尋ねてみた。彼が言うにはここは家族経営なのだそうだが、奇妙なことに彼は自身に関係のある人で、他に誰がここで働いているのかよく知らないという。なので彼の言う家族は彼の音楽仲間のような他の家族を意味しているのだと私は思った。
彼は私になぜウォルドン・スタジオで働くことにしたのか尋ねてきた。私は真実を教えた。私には文才と良い料理を正しく評価できる舌があるからだ。私たちは笑いあった。
私たちはだいたい20分くらいちょっとした会話をして過ごした。彼はドイツ語の慣用句と、おすすめのよく昼食をとるソーセージの屋台を教えてくれた。機会があれば寄ってみようと思ってメモしておいた。
会話は陽気であったが、平凡さは長くは続かない。会話の雰囲気はすぐに変わった。
蒔かれる種
「幻覚剤が効き始めてきたら」ヤコブが説明する。「あなたの頭の中で花開くようにある考えを植え付けます。それらはまったく意味のないもののように思えるでしょう。ですが私の不信への判決は先延ばしにしてほしいのです。お願いできますか?」
「どういう意味だね?」
「もし私が明らかに真実でないこと、または意味のわからないことを言ったとしても、それを信じていただきたい。心を開き、その情報を頭の中に入れてほしいのです。それも体験の一部です — 薬物はそれを可能にしやすくしますが、薬物だけでは旅は始まりません。お願いできますか?」
「それは……それは安全なのか?薬物を長期使用すると厄介な副作用が出ることはよく耳にするだろう。その薬物が、あー、明らかにまったくもって安全だとしてもだ — ちょっと慎重になっているだけだよ、わかるだろう?」
「安全です」彼は断言した。「薬物を使ったとしても。お客様が体験を後悔したと仰られたことは一度もありません」
少しの時間考える。不安なのは認めるが、断言されると信じてしまう。ヤコブには何かある — 彼は非常に信用に値する顔をしている。「わかった。できると思う。今はよく理解できないが、やってみよう」
「ありがとうございます」
彼が再び話し出すまで長いためがあった。
「この部屋には3人の人物がいますよ、エデン。感じますか?」
私は考えた。「もちろん — 私、君、そして神だ」
ヤコブは首を横に振った。「いいえ、違います。私、あなた、そしてレストランです。レストランはあなたや私と同じような人間です。私たちと同じように思考力や感情、そして欲求を持っています。私たちと同じなのです。理解できますか?」
「神はいないのか?」
「神は今は見ていません」
「これが私に信じてほしいといったことの一つか?」
「そうです。私の言うとおりにしてください。あなたには心から信じていただきたいのです」
「わかった。神は別のことに気が散っていて、そしてこのレストランは……生きている人間?それとも人間のように考えるのか?」
彼は頷いた。「良いですよ!わかってきましたね。料理が来たら、レストランがあなたのためにそれを作ったのだと理解していただきたいのです。とても大事なことです — あなたのための料理。誰かのためのパスタではありません。あなたの目の前にやってくるために生まれたパスタなのです。あなたのために考え出され、あなたのために作られ、あなたのために調理され、あなたのために提供されるパスタなのです。パスタという料理のアイデアが生まれたのは大昔のイタリアのさらに前です。なぜならこの宇宙が、まさにこの場所、この瞬間にあなたにパスタを提供するための方法が必要だったからです。理解できたことを言ってください」
直接的な彼の要求が私に投げかけられた。「このパスタは……私に運命づけられた。すべてのパスタは私に運命づけられた?」
彼は微笑む。「そうです。完璧です。しかしその逆もまた真です。言ってください」
「その逆?つまり……私はこのパスタに運命づけられている?」
「その通り!」彼は喜びの声で叫び、冗談っぽく私の膝をはたいた。「あなたはこのパスタに運命づけられています。あなたの生のただ一つの意味、あなたが創造された神聖な目的、それはこのパスタを食すことです。理解できましたか?」
「ああ」
「あなたは信じますか?」
「いいや」
「大丈夫です。まだ少し時間はあります。レストランはこの会話を促進することを望んでいます。レストランの運命はあなたの運命。すべてあなたを中心に回っているのですよ、エデン。レストランがパスタを作り、レストランがあなたにパスタを提供する。私はただの使者です — あなたをレストランに連れてくるのが私の仕事です。しかし、それは私にとってどうでもよいことです。レストランこそが宇宙であり、あなたがこのパスタを食すのを見ること以上のものは望んでいません。何よりも、あなたはそれを望まなければなりません」
私は目を閉じた。彼が信じろと言っているのだが — 信じてほしい、やってはいるんだ — 彼の声と顔に気が散ってしまう。薬物によって妙な気分にはなっているが、何かを感じ取れるだろうという予感以上のものでないのだ。頭の中に入ってくるすべてのことを考えすぎてしまう。もし幻覚剤を吸い込むようしか言われなかったとしても、同じような感覚に陥るだろうと思う。一つだけ確かなことは、まだ何も幻覚を見ていないということだ。
私の気を逸らそうとしてそこに屈んでいる彼の姿を見なければ、彼の言ったことに集中しやすくなる。ありがたいことに、ヤコブは話すのをやめている。彼の言っていることは全く意味が分からないが、できるだけそのことについては考えないようにする。私は純粋に信じようとした — そしてどれだけ彼の言ったことを疑おうとも、彼は純粋にそのことを信じているのだろうという事実はすべてを容易くした。同じように考えるよう自分自身を説得する必要があっただけだ。
私はパスタを食べなければならないという理由のもと、宇宙は一直線上に並べられているのだ。(だがしかし、パスタであるという事実はおそらく関係ないのだろう。パスタは消費行動の表象なのだ。)世界の成り立ちというのは、神がそのように創ったからではなく、単純に私がここにいるためにそうならなければいけなかったからなのである。間があって、私は感じた — 感じるのだ!宇宙が私の周りを取り囲み、森羅万象がすべてを押しのけてるのを感じる。未知の欲求の広がり、そしてレストランが私とそれを避雷針のように繋げているのを感じる。だが目を開けるにつれ、その瞬間は浜から遠ざかる波のように徐々に消えていき、建物は単なるレストランに戻った。しかし打ち寄せては引いていく波のように、私の胸にはその瞬間はすぐに戻ってくるという希望が満ちている。薬物は効いた。旅が始まった。
屠られる子羊
かすかにアラーム音が聞こえる。ヤコブが薬物の効いてくる丁度良い時間にタイマーをセットしていたに違いない。彼の正確さには感銘を受けた。彼は携帯を取り出してタイマーを切り、そして音は止まった。ほんの数秒前まで時間そのものや宇宙の流れを支配していたものが、たかが一人の人間の気まぐれに屈服するのを見るのは恐ろしい。ほとんど侮辱である。
「感じる」と私は言った。
「あなたは信じますか?」
彼は私が何を体験したのかわかっているようだ。なら私が詳しく説明する必要はない。ただはいかいいえで答えるだけでいい。
「信じる」
彼は立ち上がるように言い、私は言われた通りにした。道をふさぐテーブルがない席に座っていてよかった。足がおぼつかないので、ヤコブが腕を取って立つのを手伝ってくれた。彼は、さっきは気が付かなかった部屋の後ろにあるドアに向かうよう言った。彼は私の歩く後ろをついてくる。レストランを歩いている私の頭の中でも、波打ち際に向かって歩いている自分がいた。ドアにたどり着いたすぐ後に海にもたどり着いた。歩いた感覚は足に残っており、それが確かに起こった証拠であるが、その事実は私の頭から滑り落ちる。ヤコブの顔が私に近づく。
「大丈夫ですか?」と彼は聞いてきた。
「ああ。大丈夫だ」
彼はドアを押し開け、長く暗い廊下をあらわにした。彼の右手は赤熱して、私を前に導くように私の首の後ろに優しく置かれた。そして彼の左手は氷のように冷たく、私の左ひじを包み込んだ。私は暗闇に踏み出すと、光がひとつひとつ左、右と常に視界の外側で明滅して、私の目が左右に揺れ動く。廊下は奥に行くにつれて徐々に反時計回りにねじれているようで、私は自分が左に逸れていっていることに、ヤコブが私をしっかりと掴んでもともと歩いていた真ん中にコースを戻させる前に気付いた。
私はある時点から、私が体験していると思っていることは、実際に起きていることではなさそうだと実は気付いていた。私は本当にまだ待合室の椅子に座っていると思っていた。波が私の足に打ち寄せ、だが海水は暖かく、砂は柔らかい。気持ちがいい。
私たちは廊下の端にたどり着き、おそらく直径10メートルほどの広い円形の部屋に入った。壁はマットグレーの金属で、見える限り高くまで伸びていて、まるで金属の輪が何層にも積み重なっているようだ。床は金網で、鉄の支柱が同じくらい深く下に伸びて、深淵から支えている。目に見える光源はないが、部屋は明るく照らされている。部屋の中央、この巨大なチューブの真ん中には、1つのテーブルと椅子がある。ナイフとフォーク、そしてナプキンがすでに用意されていた。
「だから列には椅子が5脚しかないのか。一度に入れるのは客1人だけ」
合っているか確かめようとヤコブを見た。彼は頷いて微笑んだ。まるで正しく犬の排せつ物を見つけた小さい子の親のようだった。
彼は私を部屋の中央に案内し、椅子を引いた。私の頭はさまよっている。何かすべきこと、何か起こすべき行動があるのはわかる。しかしどちらも不可知で隠されている。その概念がどうしても理解できない。私が触れたり決められたりするものではない。
「お座りください」
座った。
私をここに連れてきた廊下から別の人物が現れた。同じように真紅と黒に身を包んでいる。その人が誰なのか知ろうと顔を見たが、しかしその顔には見てわかる特徴がなかった。その一瞬で私はヤコブが私に言ったことは全て噓だったのだと理解した。彼は私が思っていたような人物ではない。彼は単なるレストランの顔に過ぎない。私とそれの媒介物。そして私が知った彼についてのすべての事実は、私を安心させるために作り上げられたものだったのだ — しかし、その一瞬の考えは現れてすぐに弱まって消えた。波が戻ってきて砂を隠す。水位は今や膝まであり、そして座っているのに、私は深みに向かって歩き続けている。その人は皿に乗った料理を運んでいて、それを私の前に置いた。ペンネ・アラビアータだ。
「ありがとう」私はその人に言った。「写真を撮っても?」
その人は頷いた。巣の中のミツバチだ。

私の携帯の画面が曲がっていてわかりづらい。カメラの操作はよくわかっているはずが異質に感じられ、認識できるが理解はできない奇妙な形が画面に映る。1枚だけ写真を撮った — 記事に使えるといいが。(今見返すと、うん、大丈夫だ。)
その人は去った。私はまだ最初の場所にいるのかわからない。あれは意識と感情がある本物の人間ではない。それが確信していることだ。それはパズルのピース、宇宙が書いたメッセージ。レストランの一部。
水位は尻まで上がり、動きづらくなってきた。歩みは自然と重たくなっていく。
ヤコブが私に言ったことはすべて間違いだ。レストランは私に消費など望んでいない — 彼はただの代弁者、操り人形なのだ。ヤコブはマリオネットで、彼がレストランと呼んでいる木の棒から糸が垂れ下がっている。そしてそれにも糸が付いていて、どこかから吊り下げられている。そしてそれを握っているのは広大な空虚だ。
心臓が凍り付く。息が止まる。その空虚を — 私は見た。私はそれが何なのか正確に理解しているし、私はそれを深く知っている。私は父がそれの存在を認めたときから毎日それに祈ったし、そして私が知っている全員もそうした。冷たい、冷たい恐怖が私の心の奥底に居座っている。私たちは話し、何か月も何年も続く会話を、かろうじて理解できる象徴と偶然の中で交わした。ヤコブとレストランは同一視できないし、レストランもそれとは同一視できない。すべてのことがそれに対しては無意味になっていく。私が知ったその真実でさえもだ。しかしまだ、未だに、私はそれを見ていない。もしそれを見たなら、それも私を見るだろう。それは私を知っている。
ヤコブはそれの存在を知っているのか?もしそうなら、なぜ彼は私に教えなかった?なぜ嘘をついた?
この部屋、この円形の金属の部屋の中央とは、レストランの腹の中であり、台風の目なのだ。台風、つまり残りの宇宙は私の周りで回っていて、そこらじゅうで混沌が回転している。釣り合いを取っているのはここ。私だ。
私は理解している — もちろん私はそれを理解している。私が唯一のそれとは分けられたものだ。それは私の知っているすべてのものを象徴するひとつの統合された存在だ。私の人生におけるすべての人々、母、父、友人たち、私の教会の人々、微笑みあった他人たち、仲良くなった人々、彼らはすべてひとつなのだ。
それは私以外のすべて。私はそれが何なのか理解する前に自分が何なのかを理解した。
私の前にあるパスタ。パスタもそれの一部。実際、パスタは最も重要な構成物だ。他のすべてのもの、たとえば私というミツバチを中央に誘引するための花の花弁などは単に存在しているだけだ。私が最終的にここにいるのは、そのような運命だからなのだ。
水位は肩まで上がってきた。
もちろん。ヤコブが知っていようといまいと関係ない。彼もそれの一部だ。彼が知っていようといまいと — そのような区別がもはや妥当であろうとなかろうと — 彼は秘密を知っているか、それの一部かのどちらかだ。彼の言ったことは真実でも嘘でもない。それは踏み石、私の精神を何が重要なのか理解できる地点に導く橋なのだ。それには目的がある。
宇宙が直接私に命令してくることはない — 遠くに離されすぎだし、抽象的すぎる。私たちはお互いに未知なのだ。それは私にそれの存在をずっと前、ずっとずっと前から伝えようとしていたのだが、私はいつも無視していた。それのメッセージはどこにでもある。すべての教師は私に何を考えるべきかを伝える。すべての広告は私が何を欲すべきかを伝える。すべての不安は私にどう行動すべきかを伝える。すべての鏡は私にどう変わるべきかを伝える。すべての日の出、その真の美しさ、また別の日にも昇るという確実性、単調さへの恐怖、残りの人生で飲まなければいけない薬のように夜と昼がカプセルに包まれること、この世界とそれに属するすべてのものを支えるパラノイア、すべての基盤となる憂鬱。それは私が生きている間とこれまでの何億年間ずっと、それの存在を主張しようとし、私にそれが存在することを証明させようとしている。
そして私はそれを神だと思っていた。
私はなんて馬鹿なんだ。
水位は首まで上がってきた。
今回は、それのメッセージはヤコブの形をもってやってきた。それは最大級に直接的だった。私は偶然にもこのレストランに入ろうと思ったことはない。しかしたぶんそれはそのことを待っていたのだろう。それは触媒のようなものが必要だったのだ。
しかし、ヤコブは今やいなくなった。確かに彼が見えないが、彼は私に料理を持ってきた人なのかもしれない。彼の仕事は私に宇宙を見せること。レストラン。彼の仕事は私にレストランが存在することを証明することで、それを内包するレストランからは完全に切り離されている。レストランは生きていないというのは、彼が断言したとおりだ。それは考え方だ。宇宙につながる扉。扉であり、私はそれに触れたはずだが、通り抜けることは許可されていない。できるかどうかすらわからない。それは厳密には宇宙の欲求への入り口なのだ。
今や私はそれの私自身への欲求を見ることができる。私はもはやそれらを無視しない。今度は、この広大な金属の部屋には私の気を逸らしたり間違って解釈されたりするものは何もなく、その欲求は私の中、私の需要と望みにはっきりと現れている。それは私の根本的な生への切望 — 私の食への渇望。
最後の段階だ。宇宙がここまでの道のりをすべて、私の首の後ろに置かれたヤコブの手のように案内してくれた。私は自分自身で最後の一歩を踏み出さなくてはいけない。
私は水面から口を出すために上に頭を傾け、そして私の料理を見下ろすために下に頭を傾ける。ペンネ・アラビアータ。怒れるパスタ。フォークを取り、その一片に押し付ける。パスタはフォークに刺さり、そして薄い赤色のソースはパスタに付着している。
それを口元まで持ち上げ、そして頭をより高く持ち上げた。パスタを口内に置き、フォークから歯を使って引き抜く。少し塩水が口に流れ込む。パスタは柔らかくも硬くもある。トマトは甘い。バジルは強く香る。タマネギの欠片はパスタに乗っかってきて、ピリッとしていてほろほろだ。
しかし辛くはない。
味が口の中に居座るにつれ、静寂が訪れた。部屋は空虚で寒い。私の頭は空で思考力がない。宇宙は私に何も言わなかった。これを読んでいるあなたと同じことを思ったよ。それだけ?私のことはもういいのか?
そして飲み込んだ。
突然私の下の床が抜けた — さっきまでは砂があり、今や水があるところ。私は海で満たされた底なしの深淵の上にいる。私は転び、深い水の中で唯一できたのは沈むことだった。私の腕は私の横にあったが、今や取り乱して暴れて意味もなく海をかき回している。
塩水が目を刺し、肺が恐怖で満ちる。落ちる前に息を吸うチャンスがなかった。右手で喉を掴み呼吸しようとしたが、口には水が入ってくるだけ。吐き出そうとしたが、肺に突然意識が向き、その痛みに泣いた。私は立ち上がり、椅子を後ろに吹き飛ばすと、椅子は後ろの地面でガタンガタンと音を立てて倒れた。私はテーブルに倒れ込んだ。パスタを気にしていられない。左手を皿の中央につき、皿は割れ、たくさんの鋭く白い三角形が生じ、パスタは手の両側からこぼれ、ソースが私に跳ねた。体は水の中でもがくほどに回る。逆さまだ。暗い奈落が私の上にあるが、深く沈むごとにより明るく光っていき、呼吸が絶望的になるにつれて体は痙攣し、海の底が見えるにつれて水圧は強まり、視界が薄れていく。そして底で私が見たのは —
奈落の底には、何もなかった。何一つない。
あの瞬間は消えた。砂浜も、波も、海もすべて消えた。記憶も、すでに薄れている。
私の腕と服にはトマトソースが付いている。私はおそるおそる首から手を放し、口の中で舌を動かして欠片がないか確認する。何もない。パスタも、喉に詰まるものは何もない。少なからず恥ずかしい思いをした。
流れていく水
私はまず咄嗟に怪我がないか確認した。何が起きたのか完全にはわかっていない。窒息したし、パスタでせき込んだし、そして飲み込んだはずだ。確実に起こった事は、私が部屋中に陶器の破片をまき散らしたことだ。ほとんどの破片は床を覆う金網の隙間から落ちていったようだ — しかし底が見えるし底なしの深淵ではない。だが全面に一枚の鏡がある。上を見ると、天井も同じであった。
私はチューブの中ではなく、ただの円形の部屋の中にいた。それによってなぜ私は部屋が一本のチューブではなく積み重なった輪でできていると思ったのかがわかる — 私は上向きに不明瞭に繰り返される鏡と壁が接する境界を見ていたのだ。最も驚いたのは、私自身とテーブルの鏡像に気が付かなかったことだ。まるで長い眠りから覚めたように感じた。
幸運なことに、怪我をしているようには見えない。血は見つからなかった。おそらくすべて私の中にある。
衝撃が薄れるにつれ、私の注意は身体的な負傷から精神的な方に移った。私は何を体験した?私は正気だと思うし、滞在中も正気だったと思うが、今私は少し混乱しており、確実にアドレナリンが出ている。何回か咳をして肺に水が溜まっていないか確認した。そんなことはなかった。呼吸を整え、心臓の鼓動を正常に戻すために時間を取る。私はただ薬物によって引き起こされたか増幅されたパニック症状に陥っただけだ、すべて大丈夫なのだと自分自身に思い込ませた。
割れた皿に残った料理を食べるつもりはないため、次の仕事の指令は代わりの料理か、最低でも謝罪する機会を探すことだ。しかし、部屋を見回すと、私は一人なのだとわかった。私は、正直言うと、一人で放っておかれていることにぞっとしている。ここに引きずられてきてから、予測できない出来事のために絶え間ない監視の目が置かれると想定していたのだが — そしてもちろん、そのような出来事は起こった!
私は自分に付いたソースを拭き取り、入ってきた廊下へ向かう。覚えているようにねじれてはいないが、長さは同じくらいのようだ。特に何か起こることもなく私は待合室に戻ってきた。ここにも誰もいない。私が座った席 — 私のどこかの一部はまだそこに座っていると思っている — はしわくちゃで中古に見える。他の4つはまだ新品に見える。
私が到着したとき、ヤコブはバーの後ろから出てきたので、次はそこを見てみることにした。通り抜けると、あの幻覚剤が入った金属のキャニスターと、それを投与するために使われるマスクがまだそこにあるのが見えた — 彼は確実に想像上のものではないという証拠を再確認し、それを受け入れるにつれて心配になってきた。この機会にあのガスが何なのか突き止めようとしたが、キャニスターにはラベルがなかった。
バーの後ろのドアを開けると、キッチンがあると予想したのだが、そこにはとても小さな部屋しかなく、倉庫以外の何物でもなかった。小さなカウンターがあり、その上には赤く染められた空のプラスチックの入れ物と、電子レンジがある。さらにその上には棚と、カウンターの下には戸棚があるが、どちらにも何も置かれていなかった。ここには何もない。ヤコブはどこからともなく現れた — 彼の目的が何であれ、彼はそれを達成した。彼にはもう私は必要ないのだ。
私は2つの結論に達した。私への料理はもう無い、そして退店する時間だ。
出入り口に向かう。コート、スカーフ、そして手袋は置いておいたところに正確にあった。こんなにドアの近くにいても外がまだ寒いと感じられるため、それらを身につけた。
店を出てから左に曲がり、入ってきたドアの右にある窓から中を覗いてみた。中は暗く何もはっきりとは見えないが、眉毛の上で手を丸くしてガラスに寄り掛かると、布が被せられたテーブルと椅子が見えた。窓の敷居にはネズミの糞が落ちていた。
私はアンブローズ・ウィーンを空っぽの腹と忙しい頭で後にした。
幸せな昨日
現在はウィーンを訪れてから数か月後だ。思考をかき集め、何が言いたいのか正確に判明させるのにこれだけ長い時間が掛かった。
あの朝の出来事は私の記憶に焼き付いている。私は一つの詳細も、ヤコブが言った一言一言も、何一つ忘れていない。私は、どこまで行っても、私の書いたことは私が体験したことだと確信している — しかしもちろん、上でも述べたように、私が体験したことは実際に起きたことではないかもしれない。

アンブローズ・ウィーンを去った後、より腹を満たせる料理を探して、ヤコブがおすすめしていたソーセージ屋台に向かった。様々な職場の制服を着た地元の常連たちが、こんな寒い冬の朝にさえ並んでいる光景は、この店が信頼に値すると確信するのに十分だった。私は地元民のたしなみだと教わったブラートヴルストを注文した。英国を出発してから食事をとる最初の機会だったが、私の好みの味ではなかったと言わなければならないし、英国の住人にはおすすめできない。しかし、マスタードは甘くて美味であった。
私はずっとウィーンの観光名所であるシュテファン大聖堂を訪れてみたかったので、次はそこに向かってみた。観光だけでなく、お祈りをしていなかったことの償いができると思っていた。大聖堂は市の中央にあるが、楽しんで歩き、私の体験を熟考する時間にした。

大聖堂の中には、統一後のほとんどの礼拝所と同じようにかなり多くの人でひしめいていて、聖体を求める列が長すぎたのと、ドイツ語での儀式がよくわからなかったため、聖火の儀式に参加することにした。しかし、儀式の途中にもかかわらず、私は自分が動きをなぞっているだけだと気が付いた。何も感じなかった。神を感じられなかった。私は席を外し、大聖堂の外の歩道に座った。目を閉じて祈るが、どんなに強く祈っても、何もなかった。ただ空っぽの心だけ。私が考えることができたのは、私自身の死体がどこか忘れられた海に浮かんでいるイメージだった。
ウィーンを発ってからの数か月、英国にある数えきれないほどの礼拝所に行ったが、毎回同じ体験をした。過去に何度も神聖な多幸感を引き出した動きをなぞる。今や何もない。空虚な空への空虚な動き。かつての私と同じようなことを体験している人々を見て、そして彼らの横にいるふりをしなければならない。家族と、宗教の専門家と、セラピストと話した。誰も私のどこがおかしいのか判明できなかった。私は自分の神父に、少なくともこのことは自分自身の安全のために黙っておくよう言われた。オンラインの掲示板に助けを求めることにも心が動いたが、ほとんど言われた通りにしてきた。
アンブローズ・ウィーンで何が起こったにせよ、私は何かを取り上げられた。私の心を晴らせない何かを。私は幻覚剤が実際は何だったのか突き止めようとしたが、英国ではどんな薬物についても知ることはできないため、言うまでもなく幻覚剤の情報は得られなかった。ウィーンに、レストランに戻りヤコブと話して何が起きたのか突き止めようとすることも考えた — しかしもちろん、読者の皆さんもニュースを見ただろうが、私の訪問から1か月も経たずにアンブローズ・ウィーンが焼け落ちたことが後に知れ渡った。(タブロイド紙では放火が原因であるという説が広まっていたが、私がそれに同意かどうかを言うことはできない。)私は体験を比較するために以前訪れた客を見つけようとしたが、レビューも、コメントも、私以外の誰かに料理が提供されたことを指し示すものは何一つ見つからなかった。確かなことが1つだけある。何を失ったにしろ、私は絶対に取り戻せない。
助言を受けたが、私はもう待てない。これが私の真実で隠すつもりはない。私の名前はエデン・ブマロ。私の神は死に、そして神がいなければ、私も死んでいる。








