ハルコストに、また一つの魂が

暴風は、周囲を確認するために少し止まった。空気は煙と死の臭いがした。彼女の足元には敵のギリシャ人の、誤った神を信じたものたちの死体が転がっていた。軋る歯とぱきりと折れる骨の美しい不協和音が空気を満たすと、彼女の口角は残酷な笑みへと曲がった。鉄の僧侶たちの戦意が折れても、彼女の虐殺は続いた。彼女の捻れた軍勢は勝敗が決してもMekhaneの敗軍を叩き、潰し続け、全くの残虐と支配の真の実演を奏じた。

肉の獣たちは切り刻まれた死体と呻きを上げる生存者を、まだ勝利のみがもたらす邪悪な笑みを浮かべるカルキスト・ハリーナ・イエヴァの前に積み上げた。彼女の目は死んだ戦友の上に横たわる男に向けられた。体に合わない鎧を着て、左腕は腱一本でぶら下がっており、大きな切り傷が左の腿を横断していた。彼の顔は血で固まっており、彼を見下ろすカルキストの立ち姿がようやく見える程であった。彼の精神は痛みで曇り、彼女の鎌の一振りが両足を足首で切断したのをようやく感じる程であった。彼女の祈祷の発声とともに、彼は両脚の皮膚が、血と膿で満たされた膨らむ腫瘍で引き伸ばされるのを感じた。血圧の低下により薄れゆく意識の中で、彼は魔女が彼の精神をまさぐるのを感じた。

カルキスト・ハリーナ・イエヴァのハルコストに、また一つの魂が加わった。


「冗談じゃないぞガニー。今はクソ戦争の真っ只中だ。それであんたは俺に何もかも投げ出して、頭のおかしい奴らのインチキ裁判に行けってのか?」

ガニメデは手を止めてネヴリンを振り返った。「ああそうだ、そう言った。」不死魔賢リッチは返答を待たずに歩き出した。

ネヴリンは信じられない思いで頭を振り、急いで指導役の後を追った。「ああ、ひでえ話だな。俺はあんたらが俺抜きじゃあの女をどうにかできないって言うから来てるんだ。あんたらはあの女がどんなクソをやってきたかわかってる。あんたらが負ければ同じようになる。」若い魔術師はそれを思い浮かべて震えた。「命を取られなくても、足の指を取られるんだぞ、オイ!」

ガニメデはその意見の馬鹿馬鹿しさに笑みが湧き上がるのを押し殺した。彼の恒久的なしかめっ面が極めて僅かに崩れ、すぐにもとに戻った。ブラザー・ネヴリンは"手"を取り巻くやや特異な状況を利用しようとしているようだが、ガニメデも体の一部を切り取られ、狂ったカルキストの脳死の軍隊に取り込まれる差し迫った脅威を軽視しているわけではなかった。もし彼が自分流のやり方を貫いていたのなら、壊れた神の愚かな信者たちは、現れるなり放り出されていただろう。だがその陳情はブマロその人からであり、ガニメデは図書館へのそのような高位の訪問者の怒りを掻き立てたいわけではなかった。彼らが何と相対しているのかを詳しく知った後には、行動しないという選択肢はもはやなかった。

二人は放浪者の図書館の通路を蛇のように抜け、威圧感のある、象牙色のローブを着た薄緑色の肌の僧侶に会いに行った。ネヴリンは小さな咳をして、その男に彼らの訪問を気づかせた。すると彼は振り向き、訪問者に挨拶をした。

「ブラザー・ガニメデ、ブラザー・ネヴリン、どのような用件ですかな?何であろうと、喜んで。」

ネヴリンは答えようと口を開いたが、ガニメデが割り込んだ。「アラバスター、あのいわゆる"ガリポリの槍"について、何かわかったかな?戦いを避けている間に、あの女の軍隊はどんどん増えていくぞ。」

「槍なくして、彼女の忌まわしき肉は我らを覆い尽くすだろう。感謝すべきことに、はるか昔に同胞があの遺物を手に入れていたことが最近判明した。それゆえ、私は聖下にそれを図書館に届けてくださるよう伝えた。それでこの疫病も治められるかもしれぬ。」

「良いな。ついてきてくれ。」不死魔賢は踵を返し、ネヴリンとアラバスターを連れて近くの会議室へと入った。そこでは六名の蛇の手のメンバーがおり、全員、ガニメデが二人を招き入れる間黙っていた。

ネヴリンはテーブルの上座に着き、足をテーブルの上に乗せた。ガニメデの非難の視線を無視しながら。

「じゃあ、あの足フェチをどうやって殺すかについて話そうか。」


マルマラ海の海岸線に、"道"が開いた。そこから二ダースの蛇の手のエージェントと、ブマロの信徒の連合軍が、古代の"手"の魔術師とMekhaneの聖職者に率いられて現れた。静かに、一行は鉄の暴風に向けて出発した。

予想したとおり、捻れた魔女はその忌まわしき軍勢を、出会う全ての命を加えながら村から村へと移動させていた。地平線から太陽が登る頃、蛇と壊れた神の軍隊は血塗られた町へと入った。臓物と血が砂に縞模様をつけ、数時間前に行われた虐殺を物語っていた。膨れた忌まわしい肉と体液の塊たちが、目的なく通りを彷徨い、その女主人をあらゆる方向から守っていた。腐った肉の臭いが激しく空気に満ちていた。

「気分が悪くなる。」アラバスターは呟いた。彼はサーキックの忌まわしい肉の怪物の話を聞いたことはあったが、自身の目でそれを見ることは、奇怪であり、著しく不快でもあった。その存在そのものが、Mekhaneへの冒涜であった。Mekhaneは栄光そのものであり、この悪疫を塵へと還すことが、その聖なる喜びであろう。彼は仲間を振り返った。その目で怒りが燃えていた。ガニメデは僧侶に黙って頷き、それを受けて僧侶は崩れかけた鞘からガリポリの槍を取り出した。その武器は古代のもので、その年月を感じさせたが、その力は膨大だった。アラバスターは槍を掲げ、彼の壊れた神に静かに祈りを捧げ、最も近いよろめき歩く死体にそれを投げた。

腫瘍と腱に支えられたその獣を、遺物が貫いた。まるで坩堝で加熱されたかのように、その肉が剥がれ落ちた。クリーチャーは惨めな金切り声を挙げながら死に、槍は鉄の僧侶の訓練された手に義務であるかのように戻った。

カルキストはハルコストが攻撃を受けていることに気づき、殆ど本能的に振り向いた。彼女はフードを脱ぎ、片腕を上げ、病める変異の群れを、愚かな攻撃者たちの四肢を引きちぎるために送り出した。すぐに癩病の自動人形たちと、装甲と帷子に身を包み、あらゆる剣、斧、鎚鉾の技を振るうアラバスターの信徒たちがぶつかりあった。

ガニメデは前へ踏み出し、ローブから短剣を取り出した。短剣が彼の掌の肉を切ると、傷口から炎が流れ出した。不死魔賢は魔術の炎を死体の群れに投げつけ、肉の焼ける親しんだ臭いを楽しんだ。もう片腕も同様に呪文と呪術を重ねた魔術を編み、イエヴァのハルコストを攻撃した。ネヴリンは彼の師が呪文を完成させ、争いの中に投げ込み、一対の霊的な剣を編み出すのを見ていた。

イエヴァが彼女の軍勢の後ろにゆっくりと見えてきた。人間に限らない、様々な四肢と胴体と顔が融合した二体のベヒモスに挟まれて。彼女は嗜虐的な歓喜とともに、二つの集団が互いを虐殺するのを見ていた。彼女のハルコストの誰が滅びようとも、もう一つでそれを埋めることができるゆえに。この魔術師と背信者の貧相なショウは崩れ落ち、その時彼女のために行進するのだ。

アラバスターは肉と骨の間を切り進みながら、カルキストを見つけ、神聖な儀式を始めた。彼が槍を空に向かって突き出すと、エネルギーの奔流が槍に波打った。それは異様な真紅に輝き、純粋な魔のエネルギーが僧侶の周りの空気へと放射された。彼は槍を水平にし、イエヴァ本人に向けた。

電撃と炎の激しい輝きとともに、ヒビが槍の柄から先端へと走った。敵意を込めたビームが空へと走り、その一撃の反動が彼の狙いを彼が打とうと意図したカルキストから大きく逸らした。エネルギーの噴火はカルキストに向かったが、その途中で、それは複数の電撃の枝へと分かれ、敵と味方を等しく打った。アラバスターが意図せず引き起こした破滅への警告を発しようとするよりも早く、時の劣化に屈した武器の爆発が彼を包んだ。

ああ、なんと激しく空は燃えるのか。


「畜生、ありえねえ。」ネヴリンは瓦礫から這い出しながら呟いた。

彼らの抵抗を台無しにした鉄の僧侶を見て、彼は嘔吐をこらえた。僧侶は杖にすがって立っており、イエヴァの肉人形よりも遥かに血みどろだった。アラバスターの身体の殆どは蒸発しており、修理できる範囲を遥かに超えて損傷した金属フレームの骨格によってのみ繋ぎ止められていた。顔の激しい損傷によりその金属の頭蓋が顕となっていた。一方で彼の生身の眼球は──あるいはそうであったものは──鉄の残骸から滴り落ちるガラス質の液体の汚物に過ぎなかった。

アラバスターから目を離すと、野盗のような魔術師が生きているものを探して戦場を見回していた。彼が見つけることができたのは、空になった鎧と、地面に焼き付けられた影、かつての友と仲間の残滓だけだった。彼にわかる限り、彼の仲間が戦場にいたことを示すものはほとんどなく、仮にあったとしても、それは破壊されたイエヴァのハルコストと区別がつかなかった。

ネヴリンは彼ら全てを滅ぼした熱情的な愚者にもう一度目をやり、アラバスターが、殆ど無傷で爆発から現れたイエヴァを見つめながらどうにか立ち上がるのを信じられない思いで見た。僧侶は前方へよろめき、装飾された剣を後ろから引き抜いた。カルキストを指し示し、戦いの雄叫びを上げたところで、彼はネヴリンに掴まれた。

「よせ、バカ。このポンコツ、」若き魔術師は飛び出してアラバスターを引きずりながら叫んだ。「ここで死んでもらうわけにはいかねえんだよ。」

イエヴァは追わなかった。代わりに、冷酷な嫌悪と憎しみを込めて二人を見た。

ネヴリンは素早く"道"を開き、アラバスターをそこへ引きずり込んだ。

「ガニメデの御魂箱フィラクテリーがまだ働いているのを期待するしかねえ……」


また再び、暴風は周囲を確認するために止まった。また再び、空気は煙と死の臭いがした。しかし、彼女の足元にあるのは異端者たるメカニトの壊れた体ではなく、彼女のハルコストの焼けた残骸だった。死して捻れて、彼らの骨は通りに散らばり、彼らの灰は塵のように空気に漂っていた。

それはちょっとした結果に過ぎない。

カルキストは、さらなる魂を狩るために出発した。

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