ARBH-クラス “昆虫地獄” シナリオ
喫緊性: 低 | 中断性: 高
職員向けデブリーフファイル | これ以上の編集を禁ずる
始めに
「世界が昆虫地獄になっちまうって? 俺たちにはそういう時用のとっておきの駆虫剤があるのさ」 - ジェームズ・ペタン研究員
ハロー、これを読んでいる新たなレベル3財団職員の皆さん。あなたがたがこれを読んでいる理由は、サイト長に読むように言われたか、ARBH-クラスイベントが実際どんなものか興味が湧いたからのいずれかでしょう。まあ、これで正解ですよ。これはデブリーフィング・トレーニング用のファイルです。あなたの抱く疑問への答えはまずここで見つかるでしょうし、この終末イベントにどう対応し、どう防ぐべきかの基本が載っています。
ARBH-クラスイベントとは何か?
「俺は蜘蛛が嫌いだ。特にでかくて、毛が生えてて、異常で、世界を終わらせるようなやつはな」 - ニコラス・クロウフォード研究員
虫は、地球上の動物の大部分を占めています。人間1人につき、約2億匹の虫がいる計算です。こうして沢山の多様な虫が存在していれば、やがて異常なものが現れるのも必然ということです。しかし、これらの異常な虫は地球に破滅的影響を与えかねないので、財団はそういった問題に対応するべくARBH-クラスイベントシナリオを策定しました。
ARBH-クラスイベントシナリオ、通称“昆虫地獄”では、異常なかたちで、何らかの虫やその種族が人類種ならびにその環境に対する直接的な脅威となります。また、この虫は世界規模で大きな影響を齎し得るものである必要があります。なお、このイベントシナリオにおける“虫”は、節足動物門の種であると定義されます。
ARBHとあなた (1): どのように防げばいいか
喫緊性: 低
ARBH-クラスイベントシナリオは、喫緊性指標で低にランク付けされています。これはつまり、イベントが起こる可能性は低いということです。財団はすべての異常な虫を把握しているわけではありませんが、新たな事例が発生することがあれば、我々は容易に収容および/または民間への誤情報活動を行うことができます。異常な虫の集合が相手となっても、特殊な殺虫剤で個体数を減らし、問題なく収容が行えるようにしてしまえばいいのです。異常な虫の種の完全な根絶については、ARBH-クラスイベントが進行中である際を除いて保留されます。ARBH-クラスイベントを開始し得る特筆すべきSCPとしては、次のものがあります。
現在、財団はこれらのSCPに対して適当な収容・記録を行っていますし、収容違反が起きた場合に備えて緊急プロトコルが用意されています。
ARBHとあなた (2): どのように止めればいいか
中断性: 高
ARBH-クラスイベントシナリオは、中断性指標で高にランク付けされています。これはつまり、ARBH-クラスイベントの原因となっている大量の異常個体を削減/根絶するためには、非常に大きな──それこそ財団だけでなく、世界規模での──取組が必要であることを意味します。財団は高確率で、ARBH-クラスイベントで生じた物理的/環境的な損害によって足掻きがとれなくなるでしょう。そのようなイベントを終わらせる手法として最もあり得そうなのは、殺虫剤の大量使用です。他の手法はイベントの重篤度を下げるには不十分であると予測されます。最後の手段は既存のSCPを利用してイベントに応戦することでしょうが、O5評議会の承認が必要となるでしょう。つまり、終末に対抗する戦闘チームが作られる可能性はほぼゼロと言えます。
よくある質問!
Q: 何故ARBH-クラスイベントと言うのか?
A: 聖書の第八の災い、すなわち蝗の災いにちなんで名付けられました。ARBHはヘブライ語で蝗類 (locust) を意味する"אַרְבֶּה"の音訳です。
Q: "ARBH-Class Event"はどう発音するのか?
A: "ahr-BEH klas əˈvent"。"Class Event"の発音はもう知っていたとは思いますけどね。
Q: XK-クラスとARBH-クラスのイベントは何が違うのか?
A: XK-クラスイベントが、SCPが直接収容を破り、自力で世界を滅ぼすタイプであるのならば、ARBH-クラスイベントは、収容違反した個体が増殖し、その環境的・物理的な損害によって社会や人類種を滅ぼすタイプです。
1匹の異常な虫が世界を滅ぼすのであれば、それはまず間違いなくXK-クラスイベントでしょう。もしその虫全体がそうならば、それはまず間違いなくARBH-クラスイベントでしょう。
Q: <ここに任意のSCP>がARBH-クラスイベントを引き起こすことはあり得ますか?
A: そのSCPが虫の種に属する異常な個体であり、大規模に増殖し得るのであれば、人類種を滅ぼすに十分な損害を齎します。それなら、ほぼ間違いなくイエスです。そのSCPはARBH-クラスイベントを引き起こし得ます。
Q: <ここに任意の種>はARBH-クラスイベントに含まれますか?
A: 確固たる答えはありませんが、財団がその種の異常な個体を収容していて、その種が節足動物門に近いならば、おそらくそうです。サイト管理官はどの集団・種がARBH-クラスイベントに分類されるかをしっかり把握しています。
Q: 財団はどのタイミングでARBH-クラスイベントが起きていると判断しますか?
A: 財団はO5評議会指令の下で公的にARBH-クラスイベントシナリオが起きていると判断します。この指令は、異常な虫が齎す損害の大きさに応じて提言されます。
終わりに
「異常なテントウムシがARBH-クラスイベントを起こしたら困っちまうな。そんなの可愛すぎるだろ」 - フィル・シッパード研究員
これで、ARBH-クラスイベントシナリオのトレーニング/デブリーフ用ファイルは終了です。まだ何か質問があれば、身近なサイト管理官か、財団WebNETの'pcs.noitadnuof|jnhatep#pcs.noitadnuof|jnhatep'でジェームズ・ペタン研究員が答えます。それでは読んでくれてありがとう、君たちの財団生活がまた少し実りあるものになることを祈っていますよ!
著者: ジョー・フィネガン研究員