ASP-650-JP
評価: +68+x
blank.png
ASP-650-JP.jpg

財団によって初めて観測された時のASP-650-JP。

アイテム番号: ASP-650-JP

オブジェクトクラス: Euclid

アノマリー保全プロトコル: ASP-650-JPはサイト-81██の対現実改変設備を備えた専用収容室に収容されます。空気中のナノマシンをすべて除去するためのナノフィルターが収容室内の換気扇に三重に設置されています。収容室にアクセスするにはレベル3以上のRUアンドロイド2体の許可が必要です。

ASP-650-JP自体に近づく場合、ヒューム値の固定のためスクラントン現実錨を内蔵した特別強化パッチを装着してください。

説明: ASP-650-JPは観測上普通の人間と同じように会話、動作、意思疎通が可能な成人した日本人男性の姿をした一体の肉体です。過去に行われたASP-650-JPの身体検査では生命反応は検出されませんでした。

ASP-650-JPは通常人間が意識的に行う範囲の動作に加え、脳神経細胞内に流れる電流の生成、心臓の収縮運動、全身の血液の循環運動などの不随意の運動まで含めた、人間がおよそ細胞を用いて行っている全ての運動を、秒間286回の極小範囲の現実改変を同時多発的に行うことで擬似的に模倣しています。さらなる実験により、ASP-650-JPは本来人間の生存に不可欠であるはずの動作の模倣を欠いたとしても、その存在、異常性そのものには特に影響がなく、ASP-650-JPの行う動作は生存に必要不可欠ではなく単なる摸倣に過ぎないことが確かめられています。

この事実から、上記の例で言えばASP-650-JPが投擲した物体は現実改変能力の影響を受け、その位置を秒間286回の現実改変によって消失と生成を繰り返しながら物理的に正当性のある放物線を描いて移動しています。投擲された実体は、一般的なMFUモデルのアンドロイドが同様の動作を行い、投擲物がその動作を停止するまでの間の動きと同様に現実改変の影響によって移動しますが、この際ASP-650-JPが投擲した物体には重力以外のあらゆる物理的な力が働いておらず、全てが現実改変の影響によるものです。

回収: ASP-650-JPはサイト-81██の収容室で大量のナノマシンが消失しているところを発見されました。ASP-650-JP自体はナノマシンに対して何の痛みも感じていないかのように見受けられ、こちらに対し救済を求めてきました。すぐに全ナノマシンは吸引され、ASP-650-JPは現在の専用収容室に移されました。ナノマシンがASP-650-JPを優先的に襲撃したことは特筆に値するものです。

補遺650-JP-1: 現在の収容状態の確認のため、MULB-87690041("キスケ")によるインタビューが実施されました。


補遺650-JP-2: 補遺650-JP-1で行われたインタビューの翌日から、ASP-650-JPが時折頭を壁に打ち付けるような素振りを見せ始めました。現在、その全ての試みはASP-650-JPの現実改変により失敗に終わっていますが、ASP-650-JPの精神状態を鑑み、再度インタビューを実施しました。

このインタビュー後も、ASP-650-JPは壁に頭を打ち付けるような素振りを見せ続けています。保護上の観点及びASP-650-JPの異常性から、これらは何の問題もない行動だと見なされました。

また、このインタビュー後もASP-650-JPの精神安定指数が上昇することはありませんでした。このことから、MUL-Bモデルアンドロイドの人間精神理解上の脆弱性が発見されました。改良アップデートプログラムの構築が現在進行中です。

2056年3月20日追記: MUL-Bモデルアンドロイドの人間精神理解機能向上アップデートプログラムの開発はその開発コストと保護の際のリターンが釣り合わない1という理由により中止されました。今後の再開予定はありません。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。