氏名: 甘梨あまなし 和明かずあき (Amanashi Kazuaki)
セキュリティレベル: 2
役職: 撮影技師
職務: オブジェクト撮影、収容/実験施設における撮影/録画/監視環境の監督 記念撮影 カメラ係
所在: サイト-81IS所属(長期出張により不在であることが多い)
来歴: 公立███高校卒業後、フリーカメラマンとして活動を開始。20██/██/██、財団との接触。██県██村で現象調査中だった職員との接触後に逃走を図り、██/██に身柄を確保。このとき所持していたカメラより、怪異の原因であったオブジェクト(現SCP-████-JP)の活性化状態の画像が確認される。PoIとして長期間拘束されるが、画像解析によりSCP-████-JPの収容・研究が簡便化されたため、功績を認めた財団に補填人員としてスカウトを受ける。適性検査の結果、財団外部での勤務を含む撮影技師として雇用。20██/██/██、セキュリティレベル2に昇格。
人物: 19██/██/██生(現在██歳)。身長168cm、体重60kgの日本人男性です。サングラスとツバ付き帽子を着用し、施設側から許可されたデジタル一眼レフカメラを首からかけて携えた姿が知られています。最も確認されている機器のひとつにOLYMPUS E-410が挙げられます。
総評として、特殊な享楽主義者です。自身に快楽を与える事象を好むというよりは、自身に困難を与える事象を極端に嫌う傾向にあり、思考することすら拒みます。一方で「苦痛を上回る愉楽がある」と判断した場合、積極的に困難な事象に挑むようです。愉楽/苦痛の基準は氏の趣向に基づき、この基準の食い違いで他者を困惑させることがしばしば確認されています。職務においては給与の他、「一般人であれば秘匿されてしまう超常現象に立ち会える感動」に価値を与え、総合的に「自身に愉楽を与える事象」と捉えています。そのため、現状この性格は問題視されていません。
長時間観測などの任務経験から、簡易にカロリー摂取ができる食品を好みます。飴類(棒付きを好む)、ソフトキャンディ、ガム、チョコレートなどを常備している可能性が高いため、食品管理制限のある施設職員は来訪時に警戒してください。なお、食事に時間を必要することを「苦痛」と捉え、食事を菓子類で乗り切ろうとする期間が定期的に発生します。美食をちらつかせることでこれは解消可能です。
風景/動物写真の撮影が趣味であり、自身のオフィスにて展示を行っています。美術研究を専門とする職員の一部からは酷評を受けることもありますが、サイト内の彩りとして職員からは好評であり、サイト-81IS第1休憩室へ展示を拡大する方針をサイト管理者と協議中です。
お気楽というか軽いというか、いい加減な人物ですね。いつか破滅すると思います。
- エージェント・梅田
氏は以前の定期検診において、幻覚症状を報告しました。具体的には「物体が存在していないと考えられる空間に意識を向けたとき、線のような外観をした未知のオブジェクトが佇んでいる」という内容でした。依然として氏が形容したオブジェクトは発見されていないため、現在は何らかの特異性ではなく単なる幻覚と診断しています。しかし、精神不安などの症状は氏に見られず、幻覚の原因は掴めていません。
報告以後、氏は室内であるにも関わらずサングラスとツバ付き帽子を着用し、視界を狭小化させているのが確認されています。また、飴の常食化を始めた時期や自身のオフィスの壁を写真で覆い始めた時期もこれに重なっており、過剰に空白を嫌悪しているように見えます。「苦痛を嫌う性格」との関連性を考慮した上で、観察を続行します。
氏名: 梅田うめだ 綾あや (Umeda Aya)
セキュリティレベル: 1
役職: 渉外部門フィールドエージェント
職務: 現地での情報集約、カバーストーリー流布時の現場指揮 雑務係
所在: 現在はサイト-81IS(頻繁にサイト転勤を繰り返すため、所用時はサイト-8181から直接連絡を)
来歴: ██大学入学時点でオブジェクト、GoI、その他異常存在との関与は確認されていない。20██/██/██、財団と接触。██県███市内で発生したインシデントに友人と巻き込まれ、グループ内で唯一生存した。収容手順により記憶処理が行われる予定だったが、状況報告の緻密性やインシデント時の判断能力の秀逸さを理由にスカウトを受ける。オブジェクトに対する察知能力は劣るものの、弁論術(正確には弁論時の態度)や精神力に秀でていたため、渉外部門フィールドエージェントとして雇用。大学卒業後、カバーストーリーとしてフロント企業[[編集済]]に就職している。
人物: ████/██/██生(現在29歳)。身長1██cm、体重██kgの日本人女性です。勤務時には黒のビジネススーツで統一していますが、スーツが適さない状況でもフォーマルな衣服を多用しています。
氏は誰に対しても冷淡な対応を取ることで知られています。他の職員には業務的な応対で接し、自身から親交を深める様子を見せません。しかしユーモアが欠落しているわけではないようで、執拗なジョークには口調を変えないまま暴言めいたジョークで返します。一連の行動は「個人に対する興味関心の欠落」から来ているようですが、「人間が特定状況下でどのような行動を起こすか」という所謂社会科学的な観点で他者への興味関心があると語っています。
このような人格は職務に影響を及ぼしています。オブジェクトに関与した人物に対し、「オブジェクトに関与して行動を起こした理由とその経緯」を探求することに関心を抱いています。このとき氏の聞き手としての能力(話を発展させる、質問に緩急をつけ対象に焦燥感を覚えさせるなど)が発揮され、多くの人物が有益な情報を暴露します。雇用以降から複数の言語能力を習得したため、現在は国外インシデントのインタビューにも起用されます。
一方で、オブジェクトの回収任務に起用される事例は他のエージェントに比べて少数です。これまでの任務には氏の親家に発生したAO-B███回収など、低脅威オブジェクトの回収のみが挙げられます。
なお、AO-B███への面会は管理サイトの許可がある場合を除いて禁止されています。AO-B███が以前氏の飼い猫であったことは留意しておくべき事項です。
氷みたいなヤツですよ。いや、塩かな? ま、考えが読めないモノみたいなヤツです。
- カメラマン・甘梨
夏鳥思想連盟
番号: GoI-1958
概要: 夏鳥思想連盟(ナツドリシソウレンメイ)は、国際的な活動展開が確認されている市民コミュニティです。「夏鳥思想」とは主に懐古主義と同義の社会思想を指し、一部派閥は旧時代の制度及び文化へと回帰することによる社会清浄化を目指す思想、と主張しています。しかし、実態としては個人の記憶に基づいた時代への偏重と執着が見られ、活動も個人の旧時代回帰を目的としたものに偏っています。
「夏鳥思想」はミーム性や情報災害性を有しませんが、共感性の高さにより人々へと伝播します。思想の特徴として、逃避行動としての過去賛美が肯定されています。このため、「夏鳥思想」への没入は次第に手段を選ばない過去回帰へ移行し、結果として超常を含む様々な手段を用いた懐古主義及び過去回帰が目的化する傾向にあります。
夏鳥思想連盟という核組織が構成されているにも関わらず、構成員の多くは分立して行動します。これはそれぞれで信奉する過去の時代・状況・対象化するモノが異なるためです。これにより構成員の仲間意識は薄く、単純な異常に対する連絡網程度として互いを認識していると考えられます。一方で、大規模な活動に際しては各地から集合し、人海戦術により事案を発生させる場合があります。
かねてより財団は同団体の類似組織の中心構成員を捕縛、団体を解散させた経緯が何度か存在します。依然として規模を回復させるのは、「夏鳥思想」の普遍性にあると推測されます。懐古主義は社会に属する誰しもが抱くものであり、それが存在する限り「夏鳥思想」は再起する特性を持ちます。人員は社会に広く潜伏していると考えられ、時代の経過によって影響下に置かれるだろう人々は増加します。起源は明治初期にあると見られ、維新以前への回帰と西洋社会思想の合流により誕生したと見られています。
過去に執着してる人間の共同体。現代に希望を見出せなくなった人々が「夏鳥思想」に陥ることで勢力を増す。過去を回帰することに関してはなりふり構わない奴ら。
「夏鳥思想」の究極地まで行き着いてしまった人間は過去を見ることでしか生きられなくなる。極まり過ぎて次のことを起こすかもしれない。
- タイムトリップ法を開発して勝手に過去に棲む。
- 現代に過去を召喚する術を発見し、世界が破壊される。
- 訳も分からないままに時空を弄る。
弱者。個人単位で行動するがその個人は基本的に一般人とスペックが変わらない。上の危惧も可能性として在り得るだけで、まず起こらない。前提として、「夏鳥思想」に嵌った人間は抜け出さない限り不幸になるものだと思ってください。
能動的。過去を現在に引き摺り出すためにあらゆる手を尽くす。
多い。薄く広く、構成員は世界全域に分布している。取り込む対象は一般層であり、何でもない普通の人々。
想定されるストーリーラインとしては、「挫折からの再起」を書くために使う、というのがまず挙げられる。過去に縋った人間がそれを捨て、前を見てまた歩き出すという構成で活きる。加え、皮肉の籠ったブラックユーモアとして「過去に裏切られる」などのパターンも考えられる。(というか、aisurakutoがやりたいことがそれで、それを円滑にやるために作った団体でもある。)
他に話が考えられるなら別に拘らなくてもいいです。
そのノスタルジーを新しい視点でやるための団体です。これまでの記事ではノスタルジーは「幼少期」や「レトロ」が目立ちます。一方で、自著の夏鳥思想連盟はそれに限りません。構成員はそれぞれが持つ最盛期、黄金時代に向けて回帰を目指しており、敢えて言うならそれは叶いようのない蟻地獄です。対象とするものは玩具などのアイテムに限らず、制度、時世、芸能、失われた建築物などを含みます。夏鳥は主に「時代」を扱うと考えるといいかもしれません。
繁栄期、夏に出生地へ舞い戻る渡り鳥になぞらえて。冬を凌ぎ、夏へ帰ることを彼らは目的としている。
だいたい未定です。中核に何がいるかとか、何も考えてないです。
団体やキャラクター、世界観設定について、これまで登場した記事やメタ視点での設定、できることなんかをつらつらと書いていきます。著者名のないものはaisurakutoによる執筆記事です。
登場記事
楽観的な視点で物事を進める人物ではあるが、何かと振り回されがちな男。後輩に対する面倒見もよく、デリカシーの無視を自覚して首を突っ込むこともある。異常存在に対してはある程度の諦念を持って対峙しており、むしろ異常存在がいる状況を楽しもうとしている。
「理不尽な異常の発生」に向き合い続けたことが原因で精神病を患っている。この病理は対話部門の存在する世界では「クンストカンマー病」と呼ばれ、完全に治療するのは不可能。症状は「空白が存在する空間に恐怖感を覚える」という単純なものだが、視界だけでなく、頭上にある空間や体内の空洞にも意識が向けば恐怖してしまう。サングラス、キャップ、飴などはすべて空白を埋めるためのアイテムである。
かつては「空白」に意味を見出すのが好きだったが、その趣味が災いして先述の精神病に陥った。現在、治療のため「空白」趣味は記憶処理を用いて取り除かれている。他にも治療のために過去の記憶を弄られており、財団所属以前のアイデンティティをほぼ喪失した。「現在の甘梨和明」とは病理への対策が人の形を取ったもので、「本来の甘梨和明」ではない。甘梨自身は無意識ながらも空虚感に包まれており、軽い言動はその空虚さが表に出たもの。少なからず自暴自棄な状態であり、定点観測や波戸崎研究員の人事ファイル「波戸崎研究員の挨拶回り」のように稀に世界の終末を望むような言動を取る。
なお、異常への恐怖が甘梨を形作っているとは、異常がない環境では生きられない(=恐怖による生の実感が完全に消える)のと同義である。もし異常が世界から消滅した場合、甘梨の自我は崩壊する。
前職は芸能やオカルトなどを雑多に取り扱うライター。芸能からオカルトへの移行は宗教関係者を追いかけた一件から。撮影の他、追跡も得意とする。
登場記事
誰に対しても冷徹な対応を取る、いかにも秘密結社らしい性格の女。対峙する財団外部の人物らからは感情の死んだ目をしていると評され、明るい表情を露出させることはない。その割に皮肉などは言う。身体能力は並み、オブジェクトの知識も薄いが「相手を追い詰める」という意思は強く、非戦闘員を相手にした交渉で活躍する。
何の因果か、どの世界にも1人存在する。アヤ・ウメダで示された条件は以下の通り。
現代社会が構築されうる環境では必ず発生し、中世のまま文明が止まった世界、技術の進歩した未来世界でも発生する。
そして梅田に必ず発生するイベントとして、次の2つがある。
- 20歳のときに異常存在による襲撃を受け、「大切な人」を失う。
- 飼われたイエネコは、20代のいずれかのタイミングで必ず異常存在に変貌する。
財団のある世界であれば、「財団への雇用」と「家族の収容」が必ず発生する。「家族の収容」を実行した場合、肉親にもその影響は及び、家族すべてが異常存在と化す。黒の女王たちの会話では「無力な一般人が財団に対抗できるかの実験」とも揶揄されている。事実、財団やヴェールの影響力のリトマス試験紙ではある。この因果を梅田本人は知らない。財団は知っているが敢えて放置しているかもしれない。
因果の発生原因については不明(未定)。「やり直しを望む梅田の意思」によって別世界への転生を、「幸せを妬む梅田の羨望」によって不幸が発生しているとかなんとかかんとかありますが、よく分かりません。
財団に所属する前は「愛嬌ある性格」だったらしい。もしイエネコを収容する必要がない世界ならば、明るい性格の彼女も見られるかもしれない。
一部のTaleでは有村組の追跡調査を担当している様子が描かれる。
この他、先の設定を無視して「冷徹な財団職員」というヴィランとしての活躍も望める。
登場記事
予言妖怪の件と告死妖精のバンシーが結成した漫才コンビ。「くだん」がボケ、「バンシー」がツッコミ。しゃべくり、漫才コントの両方をネタによって使い分ける。結成した1970年代には2人の芸名をそのままコンビ名に入れる方式が多用されていたため、このような直球のコンビ名となっている。また、名前を記憶させるという意図もあるらしい。
未来に起こる凶事を題材に漫才を行う「不謹慎漫才」が持ちネタ。披露した際には未だその事象は発生しておらず、漫才で笑った人間の後味の悪くさせることを目的としている。信仰の弱化により2人は存在の危機に晒されており、記憶されるためにこのような手段を取っている。自身らを娯楽に落とした人間を(少なくとも件は)恨んでおり、予言があっても事態を変えなかったと嘲笑う。
バンシーはアイルランド人を祖先に持つアメリカ人が来日した際に憑いてきた存在である。過去にはキャロル#427: 嘆き屋としてシカゴ・スピリットに利用されていた。憑依していた家系の全滅により東京を彷徨うことになり、件と出会う直前は自我を失っていた。その際も本能から告死を行い、仲間妖怪・伉の消滅を予言している。
件の起源は不明。そもそも件は死亡を繰り返す存在だが、「くだん」は予言や獣変化などは行うものの、今のところその能力を発動した様子がない。件だと思い込んでいる何か、の可能性もある。
2007年、出現時に喧嘩を起こしている。2017年にはくだんが単独で漫談家をしている描写がある。
カノン「1998年」では『ノストラダムス』としてコンビを再結成。賞レースの実績を積み上げ、順調に売れている。くだんはネタの作成に注力するようになり、以前のような人類への憎悪は消えている。バンシーは赤目を気にして眼鏡をかけるようになった。解散前まではくだん中心のコンビだったが、再結成を経てバンシーも前に出るようになり、コンビのバランスは丁度よくなっている。
『ノストラダムス』はバンシーからの提案。「笑われるような予言者を目指そう」という意味が込められている。
結成前後で凶事の未来予知能力は失われており、無関係な未来予知のみができるようだ。バンシー曰く「凶事は人間が解決するように世界のルールが変わった」らしい。
登場記事
「ダークカルチャー専門誌」を謳う、胡散臭い雑誌。主にヴェール世界での文化活動全般を追いかけ回し、その片鱗を出版物として販売している。直売以外の書店にはゲリラ的に置いているようで、物好きが偶然買っていくらしい。非超常と超常を接続する役割を後天的に得ている。
その扱う範囲は広い。単なる芸能ゴシップから本格的な芸術評論まで、文化にまつわれば特集が組まれる。それなりに教養はあるようで、それを見せつけるような批評家に似た文章回しで本文は書かれる。
1970年代から編集部は生き残っており、代々人員を引き継ぎながら活動は継続されている。編集部がヴェールにどれだけ浸っているかはその編集者の行動力にかかっている。すべて知った上で活動している者もいれば、すべて裏にトリックがあると考えて行動している者もいる。
発想元は大学生によって発行されていた広範囲網羅文化雑誌『ぴあ』。『美術手帳』やカルト雑誌(『地下演劇』とか「アングラ雑誌」と検索して出てくるやつ)も表紙を作るときの参考にした。文体自体は小難しい雰囲気が出ていれば崩れていてもいいと思います。
表紙の作り方
- 基盤をB5で作成します。
- 表紙にしたい絵や写真を描いたり貼ったりします。
- タイトルロゴを貼ります。クリッピングして使うと文字の内部も装飾できます。
- 調整し、「見出し」「号」「値段」などを入れます。ラスタイズするとフォントを画像データ化でき、文字同士の位置を整えることで不自然な空白を潰せます。
- 古い雰囲気を出すときは灰色をスプレーで全体にかけ、レイヤー設定を弄って「覆い焼き」などにするとシミが出ます。
- 完成です。
ロゴ
カルト雑誌風なら横文字、現代風ならハンコっぽいロゴを使うといいと思います。オリジナルのロゴもお待ちしています。
登場記事
桃色の空に廃墟じみたコンクリート建築が佇む異常空間です。建築は九龍城に似た外観で、来歴不明の人々が居住しています。統治者は存在せず、暴力と「目立った者から狩られていく」という噂が街を支配しています。日本、韓国、中国、台湾を結んでおり、四方向のどれかに移動することでそれぞれの都市に転移できます。日本では横浜市内と接続していますが、他の国についてはどの都市に接続しているのか判明していません。
この領域には「この地は逃亡者のための土地だった」という伝承が残されています。大戦の影響で苦しめられた人々が逃げ込み形成したのが街の原型と言われています。目的なき人々の前に広がったこの土地はそれまでの諸問題から解放してくれる場所であり、まさしく桃源郷のようでした。土地は肥えていて、魚も果実も獲れる。先の住民である老人たちからは学びも得られる。出身国に関係なく手を取り合って生活を続けていたそうです。
しかし、逃亡者の一人が国へと帰り、外部にいた異常な者たちを連れて戻ったことで事態は一変します。異常な者は本来辿り着けないはずの壁を何なく破壊し、街の発展を促しました。重機が、外貨が、人間が街にやって来ました。街は裕福になりましたが、最早誰かが逃げ込むに適した場所ではなくなりました。人々は土地の資源を絞り尽くしていきます。それが何かの怒りに触れたか、それとも源を採り尽くしてしまったのか。次第に街は衰退し、人は散り散りになっていきました。今では桃色の空とコンクリートだけが、土地には残されています。
この土地はどの国にも属していません。資材は存在せず、厄介な物が眠っている可能性も高く、下手に手を出せないため各国が所有を放棄している状態です。そのため法はなく、様々な行為が合法化されています。しかし、目立ち過ぎは死を招きます。奪えるなら強い者から奪う方が、法の加護なきこの街では合理的だからです。また、逃亡者にも未だ恩恵はあるらしく、潜り抜けさえできればパスポートなく海を越えていくことが可能です。
日本国内では起こせない事件やアウトローたちの活躍を書きたいとき、この舞台が役に立つでしょう。