氏名: 泥云 暁(doroun akira) もしくは“弾除け”
セキュリティレベル: 2
職務: 敵対勢力からのオブジェクト奪還 敵対勢力からの財団施設の防衛 人員が不足している起動部隊の補助 オブジェクトの初期収容
所在: サイト-81██ 戦術対策チーム 月国先輩に呼び出される場所 布団 連絡は月国隊員にお願いします
人物: 長野県松本市出身、19██年2月8日生まれ。好物は肉、しるこサンド、イナゴの甘露煮です。泥云隊員は、プライベートでは感情的で熱くなりやすい性格ですが、任務中は比較的冷静に行動します。仲間想いで人望が厚いですが、チームメイトに悪戯をされる事も多々あります。
泥云隊員は業務に対する意欲が非常に薄く、月国隊員以外の職員が彼にやる気を出させるのは困難です。そのため彼に職務を依頼する場合は月国隊員を通す事が推奨されます。彼は、常に不機嫌な表情をしており、話しかけると睨みつけたり暴言を発したりしてきますが、それが彼の平常の反応です。月国隊員に報告する事によって、しばらくは彼の言葉遣いが穏やかになります。その際、彼の体に傷が増える場合がありますが、問題はありません。
戦闘中、彼は敵を惹きつける性質があります。これは人間のみではなく、動物やオブジェクトに対しても同じです。そのため、敵対組織からのオブジェクト奪還任務において有効な囮になります。しかし、その性質によって必ず負傷し、任務終了時に意識を失って帰還する場合が多々あります。生死の境を彷徨う事も珍しくなく、目を覚まさなかった最長の期間は14ヶ月です。全身に手術痕があるものの四肢は現在も無事に残っています。
『泥云の事なら俺に聞け!』月国先輩へのインタビュー
・頻繁に[罵声]と発する事について
月国隊員: あぁ、よく言うなあいつ。別にあいつは帰国子女でもなけりゃあ、英語が堪能なわけでもねえよ。この前もメールで[罵声]の「u」を「a」にスペルミスしてたからな。「dragon」を「doragon」って書いてた時もあったな。って、そんな話はどうでもいいか。[罵声]ってよくほざいてんのは完全にあいつの趣味の音楽や映画の影響だな。任務中もちょくちょく呟いてるよ。俺たちはそれほど気にしていないが、耳障りなようだったら1発ぐらい背中を撃ってくれて構わないぞ。2発目からは俺が撃つ。
・頻繁に[編集済み]サインをする事について
月国隊員: あぁ、あれもよくやってたなあいつ。流石にあれは俺も目障りだったからな、前に「安易にこんな事しちゃいけないぞ」って言って中指をたたんであげたよ、手の甲の方へな。そしたらすっかりやらなくなったな。え?俺がいないとこでまだやってんのかあいつ?ったく…教えてくれてありがとな(指の関節を鳴らす)。
・「弾除け」と呼ばれてる事について
月国隊員: あれは流石にいかがなもんかな。どうせなら「悪運の強い野郎だ」って言ってやれ。僅かにだが、気持ち悪く笑って喜ぶぞ。申し訳ないが、あいつを「弾除け」と呼んでいいのは俺だけだ。
・最後に一言
月国隊員: 泥云隊員!君は非常に死にやすい性質を持っている。その性質によって君が参加する任務の成功率は非常に高い。だが、だからと言って君の命を安く見ているわけでは断じてない!身を削り任務に挑む君に私は敬意を払う!もし命を落とすような事があっても我々は君の栄光を決して忘れはしない!泥云隊員!我々のために安心して死んでくれ!
泥云隊員は、昔は仲間想いの誠実な職員でしたが、敵対組織が所持するSCP-████の回収任務で、彼はSCP-████の確保に成功しました。しかし帰還する際に敵対組織の増援が到着し、泥云隊員以外の隊員は泥云隊員を庇い全滅しました。泥云職員はチームメイトが自分を庇って亡くなった事によるストレスにより精神を病んでしまい、その数週間後に解離性同一性障害を発症し、月国 龍斗という人格が生まれました。泥云隊員に対して「あなたは二重人格者であり、月国隊員はあなたのもう1人の人格です」という事を説明しても安易に信じませんが、証拠映像等を見せる事によって納得させる事ができます。しかし、最短5分で自身が二重人格者であるという事を忘失してしまいます。彼は月国隊員の人格の時の記憶を全て共有する事はできませんが、記憶が改変される事があり、月国隊員の人格で他の職員と会話した際に、彼は「自分も同席していた」とする事で、辻褄を合わせて記憶を共有する事があります。
氏名: 月国 龍斗(tsukiguni ryuto)
セキュリティレベル: 2
職務: 敵対勢力からのオブジェクト奪還 敵対勢力からの財団施設の防衛 人員が不足している起動部隊の補助 オブジェクトの初期収容 泥云隊員の激励
所在: サイト-81██ 戦術対策チーム 戦場
人物: 月国隊員は泥云隊員のもう1つの人格です。彼は自身が泥云隊員のもう1人の人格である事を自覚しており、「泥云隊員の先輩」という設定で活動します。泥云隊員の人格で活動している際も、彼は感覚や記憶を共有する事ができます。彼は常に胸を張った姿勢をしており、泥云隊員での状態より筋肉量が増加しています。彼曰く、「あいつは姿勢が悪いからな、人間というのは姿勢だけででかく見えるもんだ」等と証言していますが、姿勢のみでは説明できない程の筋肉の膨張が確認されています。人格の切り替えは彼の意思で行われおり、基本的には泥云隊員の人格で生活します。また携帯電話で泥云隊員が彼と通話をしている様子が確認されていますが、電話は通話状態にはなっていませんでした。
彼は、泥云隊員と比べて身体能力が高く、判断力も優れています。しかし彼の人格の時には、泥云隊員の敵を惹きつける性質は失われるため、任務の成功率では泥云隊員より劣っています。泥云隊員に対して暴力的という設定を持っていますが、肉体が1つのため彼が泥云隊員に暴力を振るう様子は確認されていません。しかし、定期的に泥云隊員の肉体に痣などの怪我が増えており、泥云隊員が「月国先輩に殴られた」と証言する事から自傷癖があると思われます。
『後で月国先輩にチクんないでよ?』泥云隊員へのインタビュー
・頻繁にメロイック・サインをする事について
泥云隊員: なんで俺に聞くのかな。あれは月国先輩の好きなミュージシャンの影響なんじゃねぇのかな。写真を撮られる時は決まってやってるよ。あ、そうそう!俺もふざけて真似したんだよこの前!そしたらいきなり親指をへし折ってきて「親指は立てないんだぞ」とか言ってきやがったの!先に口で言えってんだよファッ……くそったれ。っていうか、俺以外の奴も俺と同じように親指立ててた時は普通に口だけで指摘して指折らなかったからな!なんで俺だけ親指折られなきゃなんねぇんだよ![罵声]!
・最後に一言
泥云隊員: あれ、短くない?ま、まぁ。俺が何か間違いを犯しても口で注意してくれればわかるし、暴力も程々にしてほしいって所かな。手が先に出るから脳筋とか呼ばれるんだよ。まぁ具体的に言ってんのは俺だけどさ。
・月国隊員は「脳筋」と呼ばれてる事に最近気づいたらしいですよ
泥云隊員: [罵声]!!!!!!!!
・月国隊員のメモ
俺の人格はあいつが仲間を失った後にできたわけだが、俺の記憶はあいつがまともだった時からある。あいつは弱い奴だからな、戦闘に対する恐怖感は仲間によって支えられていた所があったんだろう。だから、仲間を失った時にへこたれちまった。未熟なもんだ。でも弱いくせに正義感があったのか「今度は自分が仲間を守る」って想いから、敵を惹きつける性質ができちまった。そして「自分は戦い続けなければならない」って思ったのか俺という人格ができちまった。だから俺はあいつを甘やかさない、なんせ俺はあいつだし、俺はその為に生まれてきたんだと思っている。ただ、あいつもちょっとずつ強くなってきてると思うからな、いずれは俺も消える事になるだろう。俺は消える事は怖くない。むしろ、それであいつが強くなったって事になるなら嬉しいくらいだ。あいつ、泥云 暁は弱虫だ。盾として仲間を守ろうとしている。いずれ、盾ではなく矛として仲間を守れるようになる事を俺は祈っている
どういったコンセプトとかで作ったのかというのの説明。
どちらかというと見なくていいやつ。
・ SCP-JP
SCP-059-JP - 頭が高い小人 Euclid
・ 本家シリーズIにいそうなの作りたいなぁ…っていう動機と、大人達が幼女に対してひざまずいてる映像から浮かんで作りました。
SCP-237-JP - 借り名 Euclid
・ 「もし人事ファイルできたらどうしようかな」と妄想したのを、「あ、これSCPオブジェクトでいいじゃん」って思って作りました。
SCP-374-JP - 秘密結社キャッチ&リリース Euclid
・ 肩透かしをさせたいって想いで書きました。当初はこのオチはなかったのですが、下書きフォーラムの皆様のおかげでこのオチに行き着きました。感謝しています。
・ Tale-JP
神宮寺博士(棒読み)
・ ほっこりした神宮寺博士とまーやちゃんのおはなしを書きたいと思ったから書きました。そのまんまですね。
ちいさな魔女の夢
・ 3周年記念イラストコンテストの参加作品です。ネタは以前からあったので、この機会に描いてみました。雰囲気漫画ですね。おじさんと幼女を並べたかっただけだろとか言わないの。その通りだよ。
挨拶回りされた話
・ 隣りのタブの話ですね。波戸崎研究員の人事ファイルの中にあるアンソロジーTale「波戸崎研究員の入団挨拶回り」に泥云隊員と月国隊員を追加させてもらったのですが、せっかく二重人格キャラなので泥云本人の目にはどのような世界が映っていたのか、的な話をこっちの人事に置いとくのも面白いんじゃないかな?ってノリで作りました。軽くオマケも入っています。
携帯電話をロッカールームに忘れた。
忘れた事に気付いたからには取りに戻らないといけないんだろうけど、俺は今トイレで用を足してる最中なのですぐには戻れない。
こうやってすぐに取りに戻れないでいると、このまま忘れた事にして自室に戻ってしまおうか?なんて考えもよぎってしまう。
用を済ませて洗面所の前に立つ。目の前の鏡に黒い半袖シャツと黒い帽子を被った男が映る。
顔にはこの前殴られた痣がまだ少し残っている。
すぐに視線を下げて手を洗う、痣を見て殴られた痛みを思い出した俺は、携帯電話を忘れたふりをする事を諦めてロッカールームに戻る決心をしてトイレから出ていく。
「月国さんですか?」
不吉な名前を呼ばれた。
名前が聞こえた方向へ顔を向けると知らない男が立っていた。
「……」
俺は月国とかいう脳筋糞野郎ではないので、この男は自分には用事がないと判断して俺は男に背を向けて歩き出した。
ロッカールームとは逆方向へ歩いてる気がするがきっと気のせいだろう。別にすぐに部屋に戻って寝たいわけじゃない。
そもそもロッカールームに行く用事なんてなかったのではないだろうか。そうだよ、早く帰って1人になりたい。
「泥云さん?」
俺の名前を呼ばれた。
再び振り返るとさっきと同じ男がまだ立っていた。
そしてその男は俺を泥云で間違いないと確信した顔をした。少し目を合わせ過ぎてしまったようだ。振り返らなければよかった。しんどい事になりそう。
「研究員として新しく財団に入った波戸崎壕と申します。よろしくお願いいたします」
うわぁ、きつい。
男は駆け寄ってきて、頭を深く下げてきた。
しんど過ぎる。めんどくさがってんの伝わってないのか。っていうか、こんな愛想ない奴に普通話しかけるだろうか?
話しかけんなオーラは日常的に出してるつもりだったのに、相変わらずここは空気が読めない奴が多すぎる。
俺が何も反応しないでいるとゆっくりと頭を上げた。
俺は左手を差し出した。
男は俺の様子を伺いながらゆっくりと左手を俺の左手に近づけてきた。
俺はその手を避けて男の肩を突き飛ばし挨拶をしてあげた。
「あ……え?」
男は困惑した顔で目の前に伸びた中指を見つめる。
意味がわかっていないのだろうか、これは相手を侮辱したい時に使うハンドサインだよって教えてあげなければいけないのだろうか。
でも俺は不親切な人間なので、その男を放置してとっとと自室に戻る事にした。
トイレから出てきた脳筋男に気づかずに。
「おい」
誰かが俺の中指を掴んだ。
俺の中指を掴んだ手を目で辿った先には月国先輩が立っていた。
そういえば、さっきトイレに行った時に個室に誰かが居たような気がする。
まさかよりにもよってこの男が入っていたとは。
折られた。
「あぁあああああぁぁぁああああ!!!」
中指を、手の甲へ。
「お前まだこんなガキみてぇな事してんのかよ?いくつだお前?」
糞脳筋糞野郎が痛みでまともに会話ができるわけない俺に話しかけてくる。糞。
「おい?聞いてんのか?シカトこいてんじゃねぇぞこら、殺すぞ?」
そう言いながら俺の胸ぐらを掴んで俺の腹にくそったれな拳をぶち込む。
「うぐぅっ!!」
糞が。
マジにくそったれな状況だ。
それもこれもこいつが俺に話しかけるからだ。
やりすぎです!とかなんとか言ってこの暴力肉達磨を止めるとかしやがれ。
俺はうずくまってた体を少しずつ起こして視線を上げる、脳筋糞暴力糞達磨を睨みつけようと試みたんだ。
しかし、その視線は月国先輩に届く事はなく、拳でさえぎられた。
「がぁっ!」
頬を殴られた。
「その子がお前になんかしたのか?してなかったよなぁ?これからよろしくおねがいしますって挨拶をしただけだろ?
お前の常識どうなってんだよおい?挨拶をしてくれた人間に中指を立てましょうって誰かに教えられたのかよ?ふざけてんじゃねぇぞ」
そう言いながらこの糞糞糞達磨は俺の髪を掴んで強引に立たせる。帽子は殴られた時に飛んでいったようだ。
糞達磨は俺を壁まで引きずるように移動させる。そして。
ゴッ。
「っ!」
脳に衝撃が響く。この脳糞男は俺の頭を思いきり壁にぶつけた。
ゴッ。
ゴッ。
「んぐぅ……」
俺は倒れた。
計3回ぶつけられたが俺はそれを数える余裕はなく、意識を失いかけた。いっそ気絶してしまいたかったが、ぐわんぐわん揺れる脳はかろうじて意識を保っているようだ。ただし世界はぼやけて、音は遠くから聞こえてくる。
そのぼやけた世界で月国先輩がさっき挨拶してきた男と会話をしている様子が見えた。
もうろうとしているので、何を喋ってるのかはわからないが、手振りからして謝罪と挨拶をしている風だった。
月国先輩はこちらを見た。どうやら会話を終わらせたらしい。
近づいてくる。
今度は何をする気だ。
「おら立て」
月国先輩は猫を掴むようにして片手で俺を立たせた。
「今から波戸崎くんに謝れ、そして挨拶をしろ。
次に失礼な態度とったらきんたま潰すぞ」
そう言って俺を、はとナントカって男の前に突き飛ばす。
「握手までしろよ」
背後からそんな言葉も飛んでくる。
俺は顔を上げる、男は困惑した顔をしている。
俺は口を開いた。
「泥云だ」
「え?」
「……泥云だ。さ、さっきはどついてしまって申し訳なか、申し訳ありませんでした。こ、今後ともよろしくお願いします」
後ろから殺伐とした視線を感じながら、俺は言い切った。
そして俺は左手を差し出す。男は恐る恐る俺の手を握り、握手をした。
糞が。
俺はすぐに手を離し、男に背中を向けて歩いた。振り向いた時には既に月国先輩はどっかに行ってしまったようだ。
嵐は過ぎ去った。
しかし本当に月国という男はなんなんだ。
昔はそこまで俺に絡んでこなかったくせに、いつからかずっと俺をイジメてくる。
いつからだ?あぁそうだ思い出した。チームのほとんどが殺された頃からだ。あの時に生き残ったのは俺と月国先輩だけだったが、まさか仲間がいなくなって俺が寂しがってるとでも思ってんのか?
そもそもあのチームの奴らとは当時全然打ち解けてなかったし、どちらかと言えば仲良くやってたのは月国先輩の方だ。
今も昔も1人には慣れてんだよ。あいつらが死んで自分が寂しいからって俺に突っかかってきてんのか?気色悪い。
「fuck」
俺はいまいちどういう意味なのか、わかっていない言葉を吐いた。
まぁ暴言って事ぐらいはわかっている。それぐらいわかってれば充分だろ。
「あー、泥云さんか」
誰かが後ろから声をかけてきた。
振り返ると同じチームで後輩の芳野よしのが居た。
「月国さんお願いできますか?」
……は?お願い?お願いってなんだよ。意味がわからない。
「なんだ?」
うわぁ。
さっきまでいなかった月国先輩が俺の背後からいきなり出てきた。ほんと神出鬼没だなこの人。
ん?でも待てよ。よくよく考えたら一緒に歩いてた気がしないでもないぞ。さっき俺がfuckって言ってたのも小声だったから聞こえてなかったんだろう。なんだ、別におかしい事はないか。
「携帯電話をロッカーに置いたままになってましたよ」
そう言って芳野は月国先輩に携帯電話を渡す。
ん?携帯電話を忘れたのって俺じゃなかったか?そう思って俺はポケットに手を入れたが普通に入っていた。
なんだ、さっき忘れたと思ったのは気のせいだったのか。
「おう、ありがとうな」
月国先輩は携帯電話を受け取り芳野にお礼を言う。
「いえ、それにしてもその痣、またあいつをボコボコにしてたんですか?」
「あいつって誰だよ」
「泥云さんですよ」
「泥云なら、一応まだそこにいるぞ」
「え、そうなんですか?いや、なんだっていいですよ別にそんな事は」
?……俺の話だよな?
「いつ緊急で出動するかわかんないんですから、ほどほどにして下さいね」
「だから大丈夫だって、手加減してんだからよ」
「ていうかですね」
芳野はため息をする。
「いい加減、泥云さんの体を乗っ取ってくれませんかね。皆も言ってますけど、まじであの人絡みにくいんですけど」
「あぁ、絡みにくいのは申し訳ないと思っている。いつか直してみせるから待っていてくれ」
「いや、そういうのいいっすよ。そもそも、あんた達がそうなる前の泥云さんの性格ってどちらかというと月国さんの性格に近いらしいじゃないですか」
……なんの話をしている?
「……そう言われれば、そうだな。まぁ俺ほど暴力的じゃないけどな」
「だったらもう、ずっとそれで過ごして下さいよ。糞めんどくさいんで」
「お前」
話はよくわからないが、突然月国先輩は芳野を睨んだ。睨まれた芳野は少したじろぐ。
「あんま舐めた事言うなよ?俺が先輩なのは、泥云に対してだけじゃねぇからな?」
「……すいません」
「それに、本当に二重人格とも限らねぇだろ。
全部俺の茶番で、その時の気分で人格が変わるフリをしてるだけだと思ってくれて全然いいんだぞ」
「はい、まぁ実際そう思ってる人も何人かいますしね」
「だろ?じゃあそういうこった。この話はこれで終わりだ俺は自室に戻るぞ。
今の会話全部泥云に聞かれちまって、辻褄合わせようがないから全部忘れさせる感じになっちまうじゃねぇか」
月国先輩は何を言っている?今の2人の会話がまったく理解できなかった。
「いえ本題はここからです。後でミーティングが急遽行われる事になったんで、3時になったら第8会議室に来てください」
「ミーティング?今度は何があった?」
「どうやら先々月から出現したあいつがまた現れるみたいなんです」
「えーと……あいつか!」
「はい、長期戦になると思います。とりあえず今回は、最初は月国さんの状態で戦って劣勢になった頃合を見て泥云さんになってもらう感じになると思うって言ってました」
「いつも通りだな。わかった」
月国先輩はこちらを向いた。
「弾除け。出番だぞ」
俺は目をそらしてため息をした。
「fuck」
氏名: 芳野 筑也(yoshino tsukuya)
セキュリティレベル: 2
職務: 敵対勢力からのオブジェクト奪還 敵対勢力からの財団施設の防衛 人員が不足している起動部隊の補助 オブジェクトの初期収容 弾除けに釣られた間抜けな敵の掃除
所在: サイト-81██ 戦術対策チーム
人物: 長野県諏訪市出身、19██年7月16日生まれ。好きな食べ物は肉、塩料理、蜂の子。嫌いな食べ物は油の多い肉、塩スイーツ、ざざむしです。隠密行動や奇襲を得意としており、火器よりかはナイフの扱いに長けています。ナイフと同等にクロスボウも好んでおり、使用許可が下りた際は多少機嫌が良くなります。芳野隊員は冷静に作戦を遂行する優秀な隊員ですが、少し消極的な思考に陥りやすい傾向にあります。士気の低さが疑われており、希にトレーニングで手を抜いて注意される事があります。また言葉遣いが悪く、度々敬語が崩れる事でも注意されます。
趣味はゲームであり、休暇日はゲームに費やします。そして休暇日の翌日は、非常に高い意欲で職務に取り組みます。休暇日が潰れた場合の彼は、非常にテンションが低くなりますが、職務への影響が出ないように本人は務めており、支障は確認されていません。しかしあまりにも重い空気を醸し出すため、他のチームメイトが彼を励ます光景が確認されています。彼がモフモフした物に目がない事がわかってからは、彼のテンションが低い日にはモフモフした物でチームメイトは彼を癒すようになりました。しかし、モフモフした物が用意できない場合にチームメイトが使用しているギリースーツが使われるようになりましたが、彼がそのギリースーツに執着する事による職務への悪影響が考えられるため、ギリースーツを使った励ましはなるべく控えるべきであるとされています。
モフモフした物は好きっちゃ好きだけど、別にそんな自我を失うほどじゃないすよ。なんすか?モフモフへの執着による職務への悪影響って。あと、ゲームできなかった日の俺ってそんなにテンション低かったんすか?なんかすいません、今後気をつけます。なので、この書類燃やしていいですか? - 芳野隊員