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ミラノ自身を撮影したモノクローム写真。確保時に現場から回収された。

氏名: ムッシュ・シラノ(Monsieur Cyrano)

所属: サイト-81██ 霊子研究開発部 霊子動態解析班

セキュリティレベル: 3

職員概要
ムッシュ・ミラノは81管区では珍しい、霊子を専門とする量子力学者である。主な業績としては、異なる電荷を帯びた霊子間の相互作用に関する数稿が代表的だが、他にも量子力学の学習書に共同著者として名を連ねている。サイト-81██には解析班の主幹職員として籍を置くが、近年は霊体の関与が疑われるオブジェクトのプロトコル策定にも関わっている。本人はシラノ・ド・ベルジュラック(Cyrano de Bergerac)を名乗り、登録氏名もそれに準ずる。ただし後述の経緯から、専らヴラジヴァストークのシラノと呼称されおり、通称として人事管理部門から複数名義の使用が認可されている。

特筆すべき点として、彼自身もクラスA相当の知性と作用力を有する霊体である事が挙げられる。彼は1989年2月、ロシア極東部のナホトカ港で財団81管区のエージェントによって確保された23体の霊体群の内の1体であった。霊体の隠蔽を意図して愛玩用のナミハリネズミ (Erinaceus europaeus Linnaeus)に長期間憑依させられていた影響からか、全ての霊体が著しい衰弱や知性の凋落を示しており、多くは数ヶ月で霧散した。ムッシュ・ミラノは例外的に知性を回復させた事例であり、知能の改善以後も暫定的にオブジェクトとして収容されていたが、量子力学に深い造詣を示したことで、職員として雇用された。現在まで、適性診断テストの回答に問題はなく離反のリスクは低懸念である。

ムッシュ・シラノの履歴については不明な点が多いが、輸送に用いられていたハリネズミ系統の遺伝子解析から、ゲノム編集の痕跡が発見されている。挿入されている反復配列には旧ソ連の総合研究機関、《プログレス》から流出した異常特性を有する生物と合致する。彼自身は健忘症を患っており、「ヴラジヴァストークから来た」という趣旨の供述を繰り返すのみで、それ以上の情報は得られていない。これらを考慮し、当人は内部保安部門監察課の監査対象に指定されている。

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