三国技師の人事ファイル
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三国技師が「一番気合を入れて撮った」とする顔写真。彼が所有する中で最上質の衣装に加え、滅多に使用しない付け髭とウィッグを身に着けている。元々はIDカード用に撮影された写真だが「付け髭は常用者のみ可」とする規定に引っ掛かり、受理されなかった。

名前: 三国みくに 軍師つよし

SC/職員クラス: レベル2/Cクラス
所在: サイト-8181、収容保守班オフィス/その他81地域ブロック内の各施設
職位: 収容スペシャリスト、主任技師
職務: 収容の保守作業、収容設計ならびにリスク評価
専門: 安全工学、信頼性工学、電気電子工学、情報工学

人物: 三国技師は主にサイト-8181に勤務する収容エンジニアであり、収容保守班所属の主任技師の一人です。直接的にオブジェクトの研究に携わることはなく、収容の設計、安全性評価、維持、保守作業を担当します。安全工学と電気工学に対する専門知識を有し、その他の工学的知見に対する適応力の高さから、現在の職務に割り当てられました。

 彼は常に古めかしい中国の「軍師」のステロタイプを模した衣装を着用しています。本人に言わせれば服は「鶴氅」、冠は「綸巾」、手に持っているのは「羽扇」とのことで、彼がそれ以外の衣装を身に着けている姿を目撃した職員は現在確認されていません。本来裾の長い服装は厳禁である保守作業においてすら、作業服に着替えることをしません。1大抵はコスプレ衣装と分かるようなナイロン生地のものを着ていますが、日によってはより高級な素材のものを着用しています。特定の「三国志」作品のキャラクターの衣装を模したものも多数所有しています。その一方で髭は剃っており、稀に不精髭が残る程度です。

 服装から推測される通りに、彼は中国の三国時代あるいはそれをテーマにした創作、いわゆる「三国志」についての重度のマニアです。黄巾の乱から晋による呉の平定に至るまでの一般的に「三国志」と見做される時代に関する記録はもちろん、それ以前の古代中国史など周辺知識もある程度有しており、三国時代以前の故事や書物からの引用を好みます。しかしそれらの知識の深さは三国時代との関連性に明確に比例しており、近代史などについてはむしろ無知の部類に入ります。そしてその知識は網羅的ではあるものの体系化が不十分であり、学究的には未熟で専門の研究者とは言えません。

 三国志を題材にした近現代の日本のサブカルチャーの知識も豊富であり、特に横山光輝「三国志」については知名度とネット上での人気からか、故事の引用以上にこれらからのセリフの引用を好みます。こうしたサブカルチャーの台詞からの引用・パロディは、彼が行う「日常会話」のうち█割を占めています。それ以外でも一人称に「某(それがし)」 を使ったり、羽扇で口元を覆ったりと、常に古めかしく大袈裟で芝居がかった物言いと振る舞いを見せます。

 一方で、三国志とは無関係なサブカルチャーには全く興味を示さず、その他彼自身の趣味と興味の範疇に入らない事柄に対しては、あからさまに無関心な態度を示します。三国志と財団での職務以外の話題については、セリフや故事の引用などで無理矢理に自分の領分の話題へと結びつけようとします。そして間もなく、三国志の話題か、あるいは安全工学や収容設計に関する自論を展開し始めます。三国技師が工学上の安全設計に強い関心を持っていることは、誰よりも彼自身にとって最大の幸運であったことでしょう。少なくともこの話題については、多少芝居がかった物言いで自論を語りたがりはするものの、まともに会話が成立します。

 これらの性質から、収容保守班の間では以下のような「三国技師と接する際の鉄則三か条」が策定されました。

1. 仕事とは関係ない話は絶対にふらないこと
2. 話を三国志のことに逸らし始めてもスルーして元の話題に戻すこと
3. それでも止まらない場合、その場にいる全員が一斉に避難すること

語録:
— げぇっ、████!

  • 突然現れたエージェント████に驚いた様子を見せて

— 待て、あわてるな。これは████博士の罠だ。

  • 三国技師の見落としが発覚した時の反応

— だまらっしゃい!!

  • 三国技師の論が正しかったと分かった後、相手の反論を封じるダメ押しの決め台詞

— 温州蜜柑でございます。

  • ミカンの差し入れを持ってきたとき。恐らくこのセリフを言いたいがために、彼の食べ物の差し入れは常にミカンです

 これらの大袈裟な言動に反し、これまで彼はどのような緊急事態においても、平時の態度を崩さないことが確認されています。驚愕するようなセリフはほぼ常に何らかの引用にすぎず、即座に平然と顔を羽扇で覆い落ち着いた様子を見せます。この性質について本人は「軍師たるもの、如何なる戦況においても冷静に努め、己を客観視せねばならぬのです」とだけ答えています。また、かつて彼はこの性格を長所として戦術チームの作戦への協力を希望していましたが、連弩と軽機関銃の戦術的価値の違いを理解していないことを理由として却下されました。

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翻訳したもの

オブジェクトクラス財団とは : 「2014年背景ガイド改訂」で更新した新版を翻訳しました

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