異常とは何か。
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記事 | 評価 |
---|---|
SCP-2049-JP | 58 (+67/-9) |
SCP-2688-JP | 116 (+132/-16) |
URA-2722 | 72 (+97/-25) |
SCP-2520-JP | 106 (+169/-63) |
SCP-2980-JP | 42 (+75/-33) |
SCP-6173 | 70 (+90/-20) |
SCP-2299-JP | 228 (+249/-21) |
SCP-2150-JP | 75 (+86/-11) |
記事のコンセプトや、書きたい事、書くべき部分を書くところです。いわゆる自著語りです。ネタバレ注意。
「インタビューの無い記事を書きたい」と思って書いたのがこの作品です。
書こうとした経緯としては、SCP-2050-JP - 誰とSCP-5140 - エベレストを読んで思いつきました。両方とも最後の文章で読者を強く惹きつけるタイプの強い魅力があり、好きな形式の記事です。そこで思い浮かんだのがこの記事でした。この記事の異常性は「太陽が人間の体で構成されている」というものですが、私は伝承系SCPが好きですから、この異常性と人体自然発火現象との関連性を持たせることにしました。
また、この記事は単に「太陽光が人間の発光で出来ている」事は示唆していますが、それによる影響については書いていません。1日6000人もの人が知らぬ間に太陽になっていく漠然とした恐怖に、ぜひ想像を膨らませてください。
アイテム番号のSCP-2150-JPは、2050-JPをモチーフにしているために数字を近付けました。
タイトル『メルティング・ホワイト』の元ネタは、東方projectより霊烏路 空れいうじ うつほのスペルカード、"熔解「メルティングホワイト」"です。ちなみに空の能力は太陽に関連します。
実話SCPです。これは私の実体験をもとに書いています。が、私と母との確執は別に深くはなく、むしろ良好な関係を築けているといってもいいでしょう。ですがともかく、「見られる」事に対する恐怖というのは、抗い難いものがあります。そしてそれと同様に、「見る」事に対する背徳感というのもまた、抗い難いものがあります。
テーマは、「正常とは何か?」です。正常と異常を定義するものは何なのか、どこまでが正常でどこからが異常なのか、そういうものを題材としています。だからこの記事において、誰が正常だったのか、誰が異常だったのか、本当に異常だったのは何だったのか、そういった点は曖昧にしています。恐らく、読者によってどこまでが「正常」だと判断するのかは違うでしょう。自分の中で回答はありますが、それを明示する気はありません。
本来私はこの経験をSCPにするつもりはありませんでした。ですが、近年インターネットの普及によって私と似たような状況になっている人が少なくないという事を知り、これを書こうと思いました。一般的に、インターネットの普及で人と人との距離はかなり近くなったとよく言われますが、それは見知らぬ人同士の距離だけでなく、親子の距離さえも近付けたと思います。
親子とはいえ、互いに犯すべきでないプライバシーな領域はあります。個人的な外出時の行動や、自室での行動などといったものです。これは基本的に侵すべきではない、というのは一般的だと思います。ですがインターネットの登場により、その領域にいとも簡単にアクセスできるようになりました。2299-JPに示されるのはその一例です。
私は、こういった事例はこれからどんどん増えていくと思っていますし、何より家族の過干渉というのはどこの家庭も抱える、ごく当たり前の問題だと思います。特にインターネットが有用なものになっていくうちに、それに応じて何かしらが静かにおかしくなっていくでしょう。現実世界とネット世界は同様の社会がありますが、現実に比べ様々な点が異なり、何より法や規則が整備されていません。こういった点も合わさり、親の子に対する精神的な圧迫は多様化を生むと思われます。
もっと先の未来、20年30年後に、こういった事例が増え、問題として提起されるようなことがあったのなら。そういう時に、このSCP-2299-JPを見返してほしいと思っています。そう思ってこれを作りました。これが実話であることはさして重要ではありませんが、信憑性の観点からも良い効果だったと思います。そしてだからこそ、この話が評価されて本当に嬉しく思います。話題性の獲得のためにも、CSSを使ったのも上手く働いたのかもしれません。
狂気的な展開、不自然な会話、演技的な行動、異常な実験記録。これらを加味して、実際あまり評価を獲得できないだろうなと予想していました。ですが結果的にテレキル越えの作品となり、良い方向性で話題を獲得できたのは本当にありがたいです。改めて、この作品に関わってくださった皆様に感謝申し上げます。
アイテム番号のSCP-2299-JPは、何かいい感じにXX99があいてたのと、2299が打ちやすいのでここに登録しました。
タイトルである『正常恐怖症』の意味は、読者にお任せします。作品を読む前後で意味合いが変わるでしょうし、どんな感想を抱くかでも捉え方は人それぞれでしょう。
Karathh氏との共著作品になります。
経緯としては、ENで6000コンテストが開催されるという情報がTwitterを飛び交い、感嘆していたら、先述のカラスウタ氏から共著の提案をされたため、困惑しながら引き受けました。私が共著なんて本当に出来るのか?と思いながら、TwitterのDMでアイデアの出し合い等を行いました。私的な評価にはなりますが、カラスウタ氏は熱意があると思いました。そもそもアイデア考案のうち90%はカラスさんですし、原案も70%くらいはカラスさんが書いたものです。
その勢いで原案を批評に出したところ、幾つかの方法論的問題が指摘されたため、改稿の必要性が出てきました。そこで私は、カラスさんに頼りっぱなしじゃまずいと思い、改稿をどうにかこうにかして1人でやり切りました。結果として締め切り4日前くらいに改稿版が完成したのは、英訳して頂くカラスさんに申し訳なかった事を今でも思い出します。
結果的に、投稿された作品は最終日時点で+28で、70位(70/90)でした。キリがいいですね。この波乱のコンテストが終わった感想としては…ともかく達成感が凄かったです。ほとんどカラスさんの尽力によるものが大きいのではあるのですが。
記事のコンセプトについて。6173のナンバーが示す通り、彫刻 ― そしてそれを包括する芸術の原点Originです。古来より、人間と芸術の関連性は深く人類史に根強く残っていると思います。また、芸術というものは、あらゆる生物の中で人間だけが有する固有の概念であるとも思います。
人間という存在が、芸術と共に歩んできて、そしてこれからも歩み続ける。時には芸術と支えあい、芸術に絆され、そういうものを通じながら未来永劫朽ちる事無く歩み続けるというのがテーマです。芸術は未来永劫、普遍的な存在であり続けると思います。その在り方は常に変容し続けるでしょうが、芸術はヒトが滅ぶまで終わる事なく続いていくでしょう。
また、記事に使用した画像はトリックスター、日本の彫刻家である浅野 暢晴氏のものです。浅野氏の作成したトリックスターを収めた画像はSCP-1084-JP「傷に寄り添う」、SCP-1730-JP「このへんないきものは、」、SCP-1731-JP「空っぽの粘土像」、SCP-2173-JP「芽生え」に使用されており、今回はそれにSCP-6173「芸術 - 原点」が追加される形ですね。この場を借りて、改めまして画像を使用させていただき誠にありがとうございました。
アイテム番号であるSCP-6173は、当然SCP-173「彫刻 - オリジナル」からです。
タイトルである「芸術 - 原点」は、そのまんまの意味もそうですが、173がオリジナルOriginalである事から、それをモチーフとして原点Originとしました。
正常性が崩壊する記事です。
作成した経緯は、まぁなんというか、漠然と、1度くらいは世界滅ぼしときたいな…と思って書きました。なので、作中で徹底的に全生命および宇宙全体を滅ぼしてます。文字通りの正常崩壊です。
コンセプトとしては、「正常であるという事の恐ろしさ」です。財団世界には異常が溢れており、職員はそれをよく知っています。ですから、異常というのは半ば当たり前のものになっているという事です。そしてそれを加味した上で「現実除外」という、ありとあらゆる異常を受け付けなくなる「超正常」の空間に居たとしたら、彼らは異常に恐怖する事をやめてしまうでしょうか?
そうはならないと思います。だからこそ、「異常によって世界が終わった」時、その絶望は計り知れないものとなるでしょう。絶対に安全であるからこそ、絶対に正常であるからこそ、強大な異常が空間の外を嬲っていく無力感や罪悪感を、より長く味わなければならないのです。
オブジェクトそのものの解釈は読者に任せます。「オブジェクトは単なる正確な正誤判定機であり、職員は絶望の面持ちで、死を待ちながらそれに縋っている」と解釈するも良し、「オブジェクトが実は過去改変を引き起こすオブジェクトであり、職員の不用意な行動で世界が滅んでしまった」と解釈するも良し。
ただどちらにせよ、サイト-VOX、現実除外サイトという正常空間に収容された人物の誰もが、避けられない死に怯えながら2980-JPを使用していたのは変わりないのでしょう。
アイテム番号であるSCP-2980-JPは、見やすいであろう位置だなと思ってここにしました。あと打ちやすい。
タイトルの『正常崩壊』は文字通り、世界から正常性が崩壊するという意味です。
これは物語ではありません。
これは怪異ではありません。
これはホラーではありません。
これは民俗学ではありません。
ここに貴方の求めるものはありません。
ただこの作品は、最初で最後の、私が奉げる呪いです。
さて、呪いとはなんでしょう?呪いの定義は人によって様々だと思います。「悪意」が含まれるかとか、悪影響を及ぼすか否かとか、色々な判断材料があるでしょう。私にとって呪いというのは、"知る"事です。知ろうとすること、近付こうとすることは、何だって呪いになりうるものです。
もともと考察させる事を目的としているので多くは話せませんが、玖虞攣という文字は造語で、呪いのトリガーです。それが、見やすい位置に置いてあるんですね。最初から言及されています。そして、いくつかのミスリードもあります。というより、ほとんどミスリードを意図していると言っても過言ではありません。記事内で使用されている音声・文字・記事・画像・映像は全て自作です。音声には2つの足音があります。隠し文字は、パートごとの枠は重要だったりしますが、最後の祝詞は言うほど重要ではありません。最後は何も記録がありませんが、これは記録が無いのではなく、これ以上必要無いからです。
これは先述した通り、物語ではありません。情報が錯綜しているのも、一見してよくわからないのも、話に結びつきが無いように見えるのも意図的なものです。評価は分かれるでしょうが、当然の事です。これがもし大多数から絶賛されようものなら、私は怖くて泣きます。
もしこの作品を読んで本当に体調が悪くなったり、数週間から数か月にわたって不合理な現象が続いた場合、ちゃんとお祓いに行って下さいね。流石に毒気が抜けてると信じたいですが、この作品はちゃんと人を呪う事を意図して書いて投稿しましたし、実際投稿して1ヶ月は不合理な現象が私の近くで起きまくってました(幻覚ではない)。コワイ。
文字はもう解読されたので、文字の訳文をここに置いておきます。
玖虞攣に近づくな
玖虞攣は貴方に死ねと言っている
此の先に進むな
如何か此の先に進んでくれ 死ね
玖虞攣 玖虞攣 呪り有り
あがらて見ゆれば
厭魅晴るる夜なく 詛ひ失せども
玖虞攣られ
アイテム番号であるSCP-2520-JPについては、当然ですが9が関係しています。
タイトルである「くぐつれ」は、玖虞攣くぐつれの事です。
初の未解明異常(URA)ファイル記事です。元々は普通にSCP報告書記事だったのですが、複数人からURAの方が良いとの指摘を受け、URA報告書として大幅に改訂しました。
ところで、URAと言うと昨今はウマ娘のURAファイナルズしか思い浮かばず、困ったものです。私の推しはセイウンスカイです。いいですよね、ウンス。毎朝髪を梳かしたいですし、膝に乗っかってもらって一緒にお笑い番組でも見てみたいなと思わせる魅力があります。
話を戻しますが、この記事のコンセプトは『限界集落 × 近未来』です。限界集落だからこそ広げられるお話ってないかな、と思っていたら、最近縁あって「限界集落の問題を解決するために最新技術を持ち込んだ支援を行う」という話を聞いたため、「これだ!」と思いました。限界集落特有の風習や習わし、儀式や生贄文化などは正直私では表現出来ないほどやり尽くされたものだと思っていますし、新しい領域に踏み込もうとしたのです。
結果としては、URA指定するまでは+40前後だったのですが、URA指定にして情報を過不足なくしたら+60まであがりました。嬉しいですね。私はいつも+50越えを目標としているのですが、今回も越える事が出来て嬉しく思います。ちなみこの作品は、久しぶりに私が何か精神を不安定にさせずに書けた作品です。2150-JP、6173、2980-JPの時は締切に追われてましたし、2520-JPの時は完全に鬱でしたが、URA-2722においては思いついて、2時間でパッと書いて、勢いで投稿しました。楽しかったです。
集落の維持のために近未来的な物事に支配されてしまう。粟之村の人は物質的には生きているのですが、彼らは果たして真に生きていると言えるのでしょうか。粟之村の人達は自分に起きている異常に気付いていません。それどころか、維持をしている自動システムも悪ではありません。ここには明確な敵はおらず、ただ中立的・機械的な「維持」という概念に支配された空間があるのみです。
最近、現実では脳に刺激を与えて鬱症状を軽減させる実験が行われるようになりましたね。これが実用段階になり、誰もがこれに傾倒するようになったら、それは果たして「維持」に支配されていないと言えるのでしょうか。案外、現実においても「維持」というのは重要なファクターとなりつつあるのかもしれません。
「小さな異常を調査するために村に行ったら生命どころか存在自体を抹消される夢咲ちゃん可哀想すぎない?」という感想がありましたが、全くもってその通りです。可哀想はカワイイと言いますからね。
アイテム番号であるURA-2722は、出来る限り人から覚えやすい数字を選びました(2772でも良かったかもしれない)。
タイトルである「停命」は、文字通り「命が停止する」という意味です。「終わる」でもなく、「息を引き取る」でもなく、ただただ「命」という維持機構が機械的に停止してしまう、という事です。
新作、『捌縁(ヤツエン)』です。
"くぐつれ"や"正常恐怖症"と同じく、『見る』という事象がテーマになっています。詳しく述べると、くぐつれは『"見る"という無意識』、正常恐怖症は『"見る"という正気』でした。そして今作である捌縁においては、『"見る"という無責任』がテーマです。
人間の五感を考えた時、言い換えると(味覚は無理矢理ですが)『見る』『聞く』『触る』『嗅ぐ』『味わう』と動詞形に出来ます。この中で『味わう』『嗅ぐ』『触る』の3つは、無意識にも出来ますが、ある程度そこに意識を向ける必要があります。味わうには口に物を入れる必要がありますし、嗅ぐにはその媒体に鼻を近付ける必要があり、そして触るには物に手を近付ける必要があります。
では、『聞く』と『見る』の2つはどうでしょう?前者3つと比べると、日常生活で無意識に使用するのが大部分であり、意識的にそれをする事の方が少ないかもしれません。ならばどちらがより無意識か、と言われると、それは『見る』事だと思います。
『見る』というのは、最も安易な行動です。そして安易な行動の割に、『聞く』事と比べて脳に大きな負担がかかります。これは視界が多彩な色と立体で構成されているためであり、聞く事よりも無意識であるのに多大な栄養を消費するのです。
そして見るという行為に意識を向けるのは、難しい事です。常に視野に意識を向けるというのは、さながら水中でギャンブルをしているようなものであり、そのような視野への意識集中をする時は、まさに極限状態にあると言えるでしょう。そして無意識であるという事、意識を向けにくいという事は、危機に対して脆弱になりやすいという事を示唆します。
近くで爆発が起こった時の事を考えてみましょう。その事象は、『視覚』以外の感覚である聴覚や触覚で感じる事で初めて『危機にある』という事を認識します。
では、熱中症で横断歩道に人が倒れているのを見た時は?その事象は、聴覚や触覚では感じられず、『視覚』でしかそれを感じる事が出来ません。つまり、気付くのに大幅に時間が遅れる事となります。ちなみにこれは実体験で、横断歩道で人が倒れてるのを見て体感10秒後に初めて『この人は危機にあるんだな』と気付きました。要するに、視覚情報だけでは自分が命を狙われていても反応が遅れたり、もしくは気付かない事さえあり得るのです。
自著に戻ります。貴方は最初の警告文を読みましたか?これがこの作品の狙いであり、読み飛ばす人も数多くいたと思います。あるいは、文章の真意を読み取れぬまま閲覧を開始した人も。もし警告文にアニメーションが付けられていたりしたならばそこに注意を向ける事もあったかもしれません。ですが、警告文フォーマットがクリシェ化した現在のSCPでは、このような長い警告文にさほど意識を向けない人が多いと思います。
それが、読者に2688-JPの犠牲になるリスクを負わせるのです。端折りますが、これらを総合した台詞が最後にある『見るという行為は、最も無責任な行為なんですよ』です。見るという行為は無意識であり、そこに『先に進んではいけない』事を示唆するものがあっても、それが目に入らない可能性があります。そして気付かぬうち進んでいくと、いつしか抜け出す事の出来ない災禍の中心に辿り着いてしまう事になります。本文ではそれを最後に『"見る"というのは他の行動より遥かに安易で、そこに何かを感じ取る事は難しい。つまりそこに何かしらの怪異を明確に認識出来る、感じ取れるのであれば、既に手遅れである可能性が高いのです』として示唆しています。
でも私は、こんな事書いといてあれですが、見る事が最も無責任な行為だとは思いません。真に無責任な行為とは、『話す』事だと思います。今度機会があれば、それをテーマに何か書くかもしれません。
見るという行為をなぜ『無責任』と形容したのかについては読者に任せますが(いっつも読者に任せている気もしますが)、私自身は『見る』という行為の"浅さ"に焦点を当てています。見るという行為は安易ですが、みな視覚表現に優れたイラストや、より安易に理解できる情報にばかり傾倒しがちで、真実を見ようとはしません。どこの誰とも知れぬ個人ブロガーによって恣意的にまとめられた情報ばかり見て、訳の分からぬ論文など見向きもしない。不確実な事実から目を背け、確実な虚偽に目を向ける。
そして、それを好き勝手に人に話す。"見る"、"話す"という行為は、何の実績もない人にとって責任の必要ない行為なのです。仮に発言のせいで責められようと、失う地位が無いのですから。もちろん自分の実績の重さを感じていない人が無責任に強い発言を行うのも散見されますが(昔の私もそうでした)、後先考えずに自分の意見ばかり言う人は後先考えずに沢山の事象を見るでしょうし、見た事実についてそれを深く考える事もしないでしょう。インターネットなどでも、捏造ギリギリの見出しでアクセス数を稼ごうとし、そこだけを見た人が強い意見を外部へと言いふらす光景が毎日のように見られます。本当に、ただ『見る"だけ"』は、話す事と同じくらい無責任極まりない行為なのだと思います。
アイテム番号であるSCP-2688-JPは、"捌"が8の大字である事から、下2ケタが8、上2ケタの2と6は足すと8、そして2688それ自体が割り切れる数字であり、あと覚えやすそうな数字ですのでこれにしました。
タイトルである「捌縁」は、本文中に書かれている通り、手を以て縁を引き裂く事の意です。
この作品は、物語の否定です。
物語性、意味性、劇的性、必然性、そして合理性の肯定的否定です。
私達は意味の奴隷です。何か物事をするにも『それをする意味はあるんですか』と問われ、その問いに答えるのに難儀します。SCPで例えると、『それをSCPでする意味ってある?』とか、実生活で例えると、『その研究をする意味ってある?』とか、不特定多数から行動の意味性を問われる人生です。あるいは、自分の内面が『生きてる意味ってある?』と問う事もあるでしょう。
ではなぜ、私達はその問いに対して答えようとすると言い淀んでしまうのでしょうか?その理由の1つとして、『意味がないから』が挙げられるでしょう。私達は何かをする時、その意味を重要視するでしょうか?そんな事しませんし、そんな事してたら疲弊します。そしてもう1つの理由に、『納得のいく理由が思いつかないから』というものがあります。例えば『それSCPでやる必要性ある?』と問われたとして、正直に『やりたいからやった』『特に理由はない』と答えたとして、相手は納得するでしょうか?絶対しません。結局のところ、『意味』を問う人間は、意味を求めているのではなく、崇高性のある答えや自分が納得いく答えを真に求めています。
何と無意味な事でしょうか。私達はこのような事を問われると、存在しない意味や理由を考えようと苦しみますが、相手は大抵の場合何も考えてないでしょう。答えられない事は強い不安を生み、相手を増長させ、結果的に"相手>自分"の関係性が生まれてしまいます。さて、本当に『意味』は価値あるものなのでしょうか。
私達は、『意味』という概念と合理性を同一として見るか、同一に近付く概念として解釈しようとします。特に物語においてはそうで、AがBをする意味は合理的でなければないし、合理的ではない行動、許容できないほど逸脱した不合理は『リアリティがない』と揶揄されます。Aが変な行動をしたとして、その理由に『精神病だった』とか読者が納得いく理由を挿入しなければなりません。不合理な行動は非現実的なもので、合理的な行動こそが現実的と暗に言われている気さえします。
では、リアルに目を向けましょう。リアルの私達は、そんなにも合理的な存在でしょうか?間違いのない行動をして、不合理を排除して、"リアリティのあるリアル"を送ってますか?そんなわけ無いでしょう。最近の政治情勢1つ例に挙げても『リアリティがない』行動が散見されてるでしょうし、私達自身に目を向けても、とても合理的な考えや行動をしているとは言えないでしょう。
つまり、意味や合理性というのは、よくテーマに挙げられたり思考や行動の大部分を占めているにも拘らず、その価値には疑問視すべき点が数多くあるのではないか、という事です。意味や合理性は、予想以上に意味と合理性に欠けているのです。
ではこの話が自著とどう関わっていくのか、という話ですが、SCP-2049-JPはモンスターです。時々起き上がり、無差別に人を殺すモンスターでしかありません。ですが2049-JPはジェルヴェーズ一族という血族によって目撃され、封じこめられてきました。その過程で言い伝えが生じた つまり、単なるモンスターでしかなかった存在に、物語が付与されたという事になります。
物語が付与されたという事は、2049-JPの行動に意味が付与されたという事も意味します。私達は超自然的存在・超意味的存在を『神』や『悪魔』と呼び、寓話にしたりする事で理解可能な範疇から逸脱した事物を理解可能なものへと落とし込んできました。とりわけ『意味が分からないもの』は不安や恐怖を煽るため、例えば火山の噴火を『神の怒り』と理由付け・紐づけする事で意味ある行為へと昇華してきました。
2049-JPもその一例です。仮に2049-JPがジェルヴェーズ一族と関わってこず、初めて遭遇したのが財団であったならば、2049-JPは単なるモンスター以上の意味を持たなかったでしょう。ですがそうはなりませんでした。そしてメロディ氏は2049-JPを『彼』と呼ぶ事で死への恐怖を取り除こうとし、彼と呼べるように言い伝えと空想で物語性を付与しました。
言い伝えは真実と虚構の両方を含むでしょう。神や悪魔が近しい昔の時代では特に顕著で、言い伝えには恐らくジェルヴェーズの血を半ば神格化するような考えも含まれていたはずです。しかしながらメロディ氏は血族の特別性を否定し、言い伝えを直接伝えるのではなく、自分の立場から分析してジル博士に言い伝えを語っています。
先程言い伝えが真実と虚構の両方を含むと言いました。その例は複雑ですが、真実の中に虚構が含まれたり、真実を虚構によって大きく改変させたりするなどが挙げられます。虚構とは真実に物語性を付与するものであり、物語性が付与されたという事はその物語を付与した人物の目論見が含まれる、つまり恣意的なものが含まれるという事でもあります。伊勢物語や今昔物語集など、妖怪やオニが出てくる作品には宗教への勧誘を意図したり、当時の天皇やその側近の力を誇示する意図を持っていたのがその例でしょう。
昔から、王朝が滅んだ原因は傾国の美女だったとか、卜占で凶兆と出た號を周囲の反対を押し切って自国に付けた事で最終的に国が滅んだとか、人々はある物事の終焉や始原にストーリーや意味・合理性がある事が好まれてきました。そのストーリーは『歴史』と呼ばれ、滅亡という壮大な事象に壮大な原因をつけ、後々天下を取る国の興りに壮大なバックストーリーをつけ、人々はそれに触れて『この人は名君だった』『この人はクズだった』などと結論付けます。
ですが実際には、滅んだ原因は政治的不和だったかもしれませんし、特別な意味もなく自然瓦解したのかもしれませんし、真実は誰にも分かりません。しかしながら人々は事象に対して壮大さという『価値』を求め、それらの価値を生むような意味性を求めます。『考察』なんかも、その一例と言えるでしょう。実際には特別な意味のない場面に『実はこういう関係性や対比があったんじゃないか?』というのを見出すのは、まさに『意味性の付与』なのかもしれません。
では自著に戻りましょう。作中でも示された通り、言い伝えは不合理な部分が多いものでした。不合理な部分が多いという事は事実には近しいかもしれずとも物語としては不十分であるという事であり、説得力を持たせるにはここから合理的になるように意味やバックストーリーを付与しなければなりません。ですがメロディ氏は不合理な部分に物語を付与して合理的にするのではなく、不合理は不合理だと割り切り、私達は合理的な生き物ではない、必ずしもすべての物事に意味がある訳では無いというスタンスを取る事で不合理を押し通しています。つまり、意味や合理性という概念から脱却したという事を意味します。
ですがメロディ氏は不合理を押し通すだけでなく、不合理を合理性にする=物語性を付与する事に否定と肯定両方の意志を示しています。彼女が2049-JPを"彼"と呼べるようになるまでには言い伝えだけでなく自身の空想に頼る必要があった、つまり2049-JPを理解できるような物語を付与したため、彼女は意味の無い事実に対して"自分が理解するためだけ"に意味を付与する行為を、否定しながらも許容しています。
そして彼女はジル博士に『真実が何かなんて分からない、だから考えるのは自由だ』という考え方(視点)を伝え、その視点で物事を見る事を提案しました。そしてそこから、彼の姿がどのように見えるかという話と、そして彼の弟がどんな姿だっただろうかという話に発展しました。これが『物語性の付与』という行為であり、最終的に『ペスト医師』との繋がりを示唆する事で報告書は終了します。これは要するに、2049-JPにSCP-049 - ペスト医師という存在との関係性が紡がれた、つまり新しい物語がここに発生したという事を意味します。同時に、メロディ氏の考え方というミームがジル博士に継承されたという事をも意味しています。
ですから、極端な話、2049-JPがSCP-049との関係性を持っている必要なんてありません。何ならむしろ異常性だけ見ればSCP-076 - "アベル"の方が関係性がありそうですから、そっちに繋がっても全然おかしくないと思います。最後のセリフにリンクが付けられていないのも、タグにペスト医師タグが付けられていないのも、そういう意味があります。
私達は意味の奴隷です。ありとあらゆる行動に意味や崇高性、合理性、必然性を求められ、意味に絆されます。或いは、意味ありげな文章で作品や人生を彩った気になって、人生を考えてる風を装ってその"風"に酔いしれて、意味を汲み取って欲しいとでも言うかのような臆病で曖昧な文章で深さを演出し、意味という名の言い訳で取り繕って、そのくせ相手には執拗に意味を問うかもしれません。
ですがたまには、"意味の無意味性"という視点を持ち、『このような理解不能な行為を取ったのには崇高な理由があるはずだ』とか『このような劇的な行為を取ったから劇的な終焉になるはずだ』とか、『人間は合理的な生き物であるはずだ』とか、『このような行動にはこのような意味があるはずだ』とか、そういった不合理な思い込みから脱しても良いのではないでしょうか。
アイテム番号である2049-JPは、ペスト医師のアイテムナンバーであるSCP-049にあやかって付けました。
タイトルである「救道者」はwatazakana様が提案してくださったものです。誠にありがとうございました。
ここでは私が特に良いと思ったSCP記事を列挙していきます。普段あまり話題に挙がらないが秘めた面白さがある、そんな記事を紹介します。
SCP-5066は私が最もオススメする記事の1つです。「振り返ったら死ぬ」という単純な異常性でありながら、そこから繰り出されるストーリーは非常に興味深いものであり、何より「振り返ったら何かがいるのを見た」という内容を『乗客』という婉曲的な表現で名辞している点は、とても印象深く感じます。終盤のセリフがとても素敵なSCPです。
SCP-5069ほど、性行為やセクシャルな物事を儀式的に描いた作品はないでしょう。性的なものを描いた作品はほとんどがグロかったり、エグかったり、そしてジョーク的なものが占めますが、これは性的行為を儀式的かつ宗教的なものと捉えており、考察の余地がある不思議なテイストになっています。一見の価値あり。
非常に短い記事です。多くは話せませんが、漠然としたテーマから尖ったオチへと移行するのが印象的です。何より、『猛吹雪の中の足跡』というタイトルは、この記事にしかない独創的で美しいタイトルです。この記事の内容を『猛吹雪の中の足跡』と形容するのは、天才的としか言いようがありません。
時間遡行というテーマで、たなびく希望と絶望を描いた作品です。人間関係や単語の意味性、時間遡行の意味が綿密に絡み合い、中盤からの盛り上がりがとても興奮させてくれます。終盤は、何もかもが終わった後の漠然とした不安や不穏が描かれますが、最後のセリフは一見の価値ありです。この記事は、私の生き方を形作ってくれました。
独特な記事です。記事自体が短いためあまり多くは話せませんが、途中の詩や終わり方は、「悪魔」と「娘」への想像を膨らませてくれます。ファンタジックなストーリー。
不気味な記事です。どこかで見たような始まり方から、これがただただ「破壊困難なクモ」ではないという事がインタビューや実験から分かるようになり、最終的にこのオブジェクトの持つ意味が判明します。セリフ回しが不気味さを助長しており、最後のメールで全てがストン、と着地するような面白さがあります。
これも短い記事です。あまり見ないタイプのSCPであり、独特な美しさと読後感があります。現象的な愛を描いた作品。
そ、そうきたか~~~~~!となる記事です。ただでさえセリフ回しが良いほか、オブジェクトの危険度が純粋に高い事がどこか熱狂的な気分になれるSCPです。セリフの対比は、オブジェクトの性格を端的に示しています。
私が一番好きなSCPです。やるせない気分になるSCPであり、鬱になるような展開が連続します。胸糞悪さが無い事が、より記事の独創性に拍車をかけていると思います。誰も悪くない、誰も間違っていない、だが、そこに秘めた破滅に気付いた時には何もかも手遅れになっていて、誰も救われないバッドエンドになっています。間違いなく「面白い」と言える、そんなSCPです。
SCP-5167の続編ですが、5167が短いのですぐ読めると思います。5761は、もはや洋画です。ラストは特に。メチャクチャ熱くなれる良い作品です。
タイトルでだいぶ損している気はしますが、内容は間違いなく一級品の作品です。このような記事は他に類を見ません。ただ単に財団のダークサイドに踏み込んだだけでなく、現実を疑う不可解な展開が連続し、そして所々で示される承認投票が、内容の恐ろしさと救いようのなさを淡々と浮き彫りにしています。
間違いなく、SCPの最高傑作です。カスピアンとプリムローズという2人(体?)の主観から全貌が明らかになっていく独特な世界観の広がりと、壮大さと、笑えるような小ささと、不思議な物語と、そして独特なラストは、どれもこの記事でしか味わえないものです。最後の終わり方は直接的には描かれず、最高の表現で終わりますが、これこそがこの記事の最大の魅力だと思います。一度は見て欲しい。
不思議さと不気味さを両立させたような、まさに『夢』にいるかのようなSCPです。最初から漠然とした壮大さが示され、"結び"で不自然なセリフが挿入され、不完全な現実の中で"生きる"人のさまが描かれます。最後の終わり方は、とても面白い表現です。果たしてどうなったのでしょう。
個人的な思い入れがあるSCPです。記事自体の面白さもさることながら、それをしっかり納得させる理由付けもハッキリしており、独特な退廃の雰囲気を感じ取らせます。個人的には、この元となった旧SCP-5497も読んで欲しいところです。
タイトルはかなり攻めてますが、内容は間違いなくSCP-JPトップレベルです。『読ませる』文章というのは、まさにこういう記事の事を指すのだと思います。1998年というカノンに属していますが、この記事は1998年の事を知らない人でも絶対に楽しめる文章になっています。文章の工夫、細部の工夫、展開の工夫、発想の工夫、どれをとっても最高峰です。白枝三部作というらしく、長距離移動とかの時には2041-JP・2043-JPと併せて一気読みしてみるのも良いのではないでしょうか。
独特な読後感を得られる記事です。異常性が非常に魅力的です。
『自立』や『自由』を描いた作品で、これほど洗練された作品はなかなか無いでしょう。D-346のセリフは、『自分で何かを選択すること』『自分の手で前に進むこと』の葛藤や不安、そして自由への解放という複雑なものを示していると思います。
短く、婉曲的な内容ですが、そこに関わる様々なストーリー性に対する想像を掻き立てられる、非常に良い内容です。実際の内容はご自身で考察してください。
特に言う事はありませんが、純粋に面白い記事です。最後のオチも含めて、理解はできるが大事なところだけが分からない不穏さが見事です。
どうしようもない絶望と陰鬱さを描いた作品として、これほどまでに絶望させる内容は他にないと思います。組織であるがゆえの停滞、2000-JPの『変遷』というテーマでありながら消極的な『停滞』というテーマも盛り込んでおり、見事です。何より、『死』というある種救いのような概念さえも穢されていき、逃げ道がじわじわと無くなっていく様は本当に末恐ろしいものがあります。