執行博士の被疑者ノート
評価: +7+x

名前: 執行 明しぎょう あきら

職務: 主に歴史的オブジェクトの研究。オブジェクト及びanomalousアイテムの背景調査。カバーストーリーの立案。財団内の研修感想文の代筆アルバイト。

所在: サイト-81██、頻繁にSCP-███-JP内、フロント企業█████社

人物: 執行博士は19██年に兵庫県で出生した日本人男性です。財団雇用前は民間の大学で助教授をしていました。専門は犯罪心理学でしたが、他に広範な博物学の知識を有しています。「37564」という数列を着衣や小物にあしらうのを好み、自身がデザインした37564Tシャツを49枚所持しています。また、しばしば財団内ではメール等に、署名代わりに37564と記載しています。
研究者としての執行博士の特徴は、よくいえばミーム汚染や精神汚染の認定に対する慎重な態度です。ありていにいえば、執行博士は人間の本性に悪を見出すのが大好きです。オブジェクトに曝露した一般人による凶行を、他の研究者が汚染効果と認定しようとする時、博士は大抵「待て。本来の性質が状況のせいで表面に現れただけかもしれない」と主張します。そしてその通りだった場合には、博士は非常に満足気にうなずき、数週間はそれでニヤニヤと思い出し笑いを繰り返します。

経歴:執行博士は自身の自宅及び勤務する大学が所在する██市内で発生した複数回の猟奇殺人について、容疑者として逮捕されました。無罪を主張していましたが裁判で死刑判決を受け、その後D-37564として財団に雇用されました。
D-37564はDクラスであるにもかかわらず、強い好奇心をもって実験に臨んだことが当時の研究職員に証言されています。彼はしばしば自身が被験者となっている実験について、有用な先行実験や比較実験がなされていない、あるいはDクラスの浪費を避ける手段が尽くされていないと意見を述べ、実験手順の修正を求めることがありました。一部職員は反抗的として彼の終了を要請しましたが、日本出身で彼レベルの学識を持つDクラス職員は希少であったため、Dクラスの多様性保持の観点から終了を見送られました。
Dクラスとしての彼が特異な能力を発揮したのは、異世界ポータル型オブジェクトの探索任務においてです。D-37564は異世界を構成する地質や生物相等様々な観点から、我々の世界との極めて比較上有用な観察を行い、逐一報告して生還したことが何度もあり、当初高い評価を得ました。しかし実際にはD-37564の目的は、極めて狭い範囲についての報告を詳細にすることで時間稼ぎを行い、危険度の高い遠方に踏み込むのを避けることでした。その結果として詳細な報告と生還功績を実現していたことが、昇任後の本人の自慢話によって判明しています。ある異世界では、D-37564は19時間の探査を尽くして膨大な量の報告を行いましたが、ポータルから離れた距離は最大8mでした。この結果は彼の功績の平均値に近いものです。

あるときD-37564は、曝露した文書内容の真偽によって反応を変化させるSCP-███-JPの被験者となった際、本来使用するはずであった文書の代わりに、「D-37564は[自身が訴追された猟奇殺人の記述]の真犯人である」旨の記述をしたメモを曝露させ、その反応をもって自己の無実を証明しました(事件記録文書SCP-███-JP-20██/██/██参照)。財団は彼には記憶処理と、十分な社会的ステータスの伴った偽造経歴、刑事補償法に則った額の補償金を提供された上で解放するとの提案をしましたが、D-37564は「面白いから」研究者として財団に留まりたいと述べ、現在の地位を得ました。
執行博士が犯人とされていた事件は、そうでないなら超常的事象を抜きにした説明が不可能であるため、現在財団による再調査が進められています。

補遺1:事件記録文書SCP-███-JP-20██/██/██による執行博士無罪説には、現在複数の職員から疑義が出ています。執行博士がSCP-███-JPに曝露させた文書は、博士とその事件を知っている人間が読めば一見、有罪説の様に錯覚しますが、実際には博士の行動を過剰に限定的に記述していました。つまり、執行博士の実際の行動は、曝露文書と極めて些細な点で違っていただけで、猟奇殺人そのものは実行していた可能性が指摘されたのです。執行博士が意図的にこのようなレトリックを使用したかどうかは不明であり、本人は笑って否認しています。

補遺2:補遺1について確認するため、殺人経験の有無によって反応を変える特異性を持つSCP-████-JPの被験者に執行博士が選出されました。結果、SCP-████-JPは執行博士が「殺人経験有り」とする反応を示し、博士は拘束されました。しかし博士は、自身が実験の40分前に、別のSCPオブジェクトについてDクラス職員を用いた人体実験を行い「殺し」ていたと申立て、その事実が確かめられました。同実験は認可されていたものでした。この実験によって執行博士は、過去の猟奇殺人とは無関係に「殺人経験」を得たことになり、SCP-████-JPによる博士の有罪認定は無効とされました。執行博士が意図的にDクラスを死亡させたかどうかは不明であり、本人は笑って否認しています。
 
 
 
 
 

 

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