遠野司書は財団サイト-L7に通う、少し記憶力が良いだけの平凡な司書。退屈な日常に飽き飽きしていたある日、大図書館の奥で名状しがたい禍々しさを放つ一冊の本を手に取った瞬間から遠野司書を取り巻く世界は大きく変貌していく。突如出現した"文字狩り"に襲われ絶体絶命の遠野司書に囁きかけた声の主は、真っ赤なタコのぬいぐるみ。
「僕と契約して魔法少[自粛済]!」
有無を言わせぬ申し出に否応なく肯いたその瞬間、まばゆい光が遠野司書の全身を取り巻いて──着ていた服がやたらフリフリした衣装に置換されて、ついでにどこからかポップなBGMまで流れてきて──やがて光が収まったとき、そこにはボーイソプラノで口上を叫ぶ、紅いドレスの魔法少女が立っていた。
「魔法少女ビブリオット、可憐に読破! 悪と湿気と本のページを開いたまま裏返して机に置く人間は、太陽に代わって虫干しよ!」
いいんじゃないですか? 別に止めませんよ、可愛いタコさんも観られましたし。
— 遠野於菟 (司書、本作ハイパーエクゼキューティブアドバイザー)