名前: 烏丸 虎(カラスマル トラ)
通称: 教授、喋りたがり、屁理屈の達人、李徴子
セキュリティクリアランスレベル: 3
職員クラス: C
職務: 財団倫理委員会所属 技術影響考査(TA)担当官
専門: 電気電子工学、情報工学
所在: あちこち、主にサイト-8181のどこか
人物: 烏丸教授は1███/02/██青森県むつ市生まれ、身長148cm、体重39kgの、日本人女性です。教授は可能であるならば常に帽子を目深に被り、マスクをしています。他者の目を見ずに下向きに喋る癖がありますが、非常に良く通る声であるため聞き取れないということはありません。喋り方は硬く重く、"講義"形式での事象解説を好みます。言動は中性的で、その為性別錯誤からくるトラブルが時折生じますが、本人は全く気にしていないようです。名前を"鳥丸(トリマル)"と読み間違えると非常に機嫌を悪くします。
烏丸教授の主な職務は、報告書の要求と利用可能な技術要求を基に、財団が利用する技術の副次的影響を総合的・包括的に分析し、必要であれば収容スペシャリストと協議、倫理委員会へ報告することです。業務の多くは報告書の精査、利用機器と財団由来の技術が環境及び人員に与えている影響を、様々な観点で調査することに費やされています。その他の業務として、収容技術・機器の更新、作業マニュアル作成、エージェントや研究員を対象とした専門分野に限らない講演会を行っています。教授が研究室や収容房を訪れる際は新たな収容プロトコルや機器導入の説明である為、数時間単位で時間を拘束されることに留意してください。
尚、常識的な事柄に対して無知であることと、帰来の偏頭痛、カフェイン摂取量によって注意力に多大な落差が生じることにより、教授は如何なるアノーマリーとの直接的接触も禁止されています。また他職員に対して不適切な態度を取る、恫喝を行うなどして相手の反応を観察しようする傾向がありますが、これは単に興味本位で行っている事が分かっている為、真面目に返答せず誤魔化すことが推奨されています。
経歴: 烏丸教授は、19██年まで████大学にて幾つかの科目にて教鞭を取っていましたが、戸籍と経歴の不一致、度重なる服装指導の無視、銃刀法違反、不適切な生徒指導などにより自主退職を迫られていました。教授は再就職先として財団のフロント企業(プリチャード学院大学)の雇用面接に参加しましたが、その面接にてSCP-███-JPについての知識を仄めかした為、拘束されました。拘束後のインタビュー、以前収容前のSCP-███-JP、SCP-███-JPと遭遇していたが、運よくオブジェクトの影響を免れていたことが判明しました。記憶処理の後、的確な指導能力と冷徹さを買われ、教授は財団に雇用されました。
雇用当初は収容スペシャリストとして勤務していましたが、幅広い分野への知識と新たな技術への柔軟性、議論に対する考え方と話術が、テクノロジーアセスメント担当者として適合しているとして、現在の職務へ2012/██/██付けで異動になりました。
烏丸教授は、自身の正体は白虎である、と主張しています。この言動は妄想性障害に依るものではないかと疑われていますが、これまで財団が行った幾多の精神鑑定では精神的な疾患は見受けられず、また教授自身には如何なる異常性も確認されないことから、主張は単なる狂言であると判断されています。本人の中では、自身が何の異常性も持っていない通常の人間であることと、自身が虎であることは確固たる理屈の上に成り立っていると見られ、その理由を質問することは数時間にも及ぶ教授の"講義"の受講に直結するため避けるべきです。
精神科医の資格を持つ医師が、烏丸教授の定期的なカウンセリングを行っています。現在のカウンセリング担当員は白月研究助手です。白月研究助手は烏丸教授と可能な限り行動を共にし、教授の精神状態を把握しておくことが推奨されています。また、同じセクター内で職務を遂行しているセキュリティクリアランス3以上の人員は、教授の言動に気を配り、通常と違う行動を取っている場合には担当員に報告することが推奨されています。頻繁にカフェテリア等で誰にでもなく大声で話していることがありますが、これは特筆すべき行動ではありません。
担当員、及び同セクター内のセキュリティクリアランス3以上の人員は、烏丸教授の精神状態が悪化ないし不適切な行動を取っていると判断される場合に、即座に教授の権限を剥奪し保護観察処分にする権利を認められています。この間教授は、一時的にクリアランスレベル0の職員と同等に扱われます。この処分は担当員によるカウンセリングが終了するまで解除されません。
倫理委員会は、烏丸教授の精神状態への疑いは職務に影響を与えることは無いと判断しています。烏丸教授は月に一度、倫理委員会による監査を受ける事を義務付けられています。当監査により、財団の職務を遂行する上で不適格であると判断されれば、烏丸教授の[削除済]が実行されます。
関連業務:
- SCP-581-JP (Rate: 76, Discussion: 2)
- SCP-675-JP (Rate: 53, Discussion: 7)
- SCP-782-JP (Rate: 30, Discussion: 1)
- SCP-840-JP (Rate: 92, Discussion: 3)
- SCP-933-JP (Rate: 68, Discussion: 2)
作成書類:
- Of Multiverses and (Rate: 78, Discussion: 1)
- UTE-7560-Velveteen回収記録の写し (Rate: 34, Discussion: 1)
- 想定問題 (Rate: 60, Discussion: 1)
- 烏丸教授の特別講義: 情報災害とミーム異常 ~認識を正常に保つ方法~ (Rate: 92, Discussion: 0)
資料(翻訳関係):
その他の功績:
職員教育用動画の作成(外部リンク)
資料用画像の作成(外部リンク)
その他物品の作成1(財団・GoIグッズ:外部リンク)
その他物品の作成2(財団・GoIグッズ:外部リンク)
2024/01/22 CCL BY-SA対応の為該当リンクは削除されました。
アクセス:
-> トランジスタのラジオ回路
名前: 白月 結弦(シラツキ ユヅル)
セキュリティクリアランスレベル: 2
職員クラス: C
職務: カウンセリング 及び 研究補助 その他雑用
人物: 白月研究助手は、19██生まれ、身長169cm、体重5█kgの日本人女性です。性格は温厚で、非常に落ち着いた話し方をします。他者の意見を否定しないという、精神鑑定に於いて最も重要で基礎的な態度を保持していますが、自身の意見を主張しないという訳ではありません。基本的に頼まれた事柄を文句も言わずに行う為、知人からは"お人好し"、"世話好き"と形容されています。白月研究助手は、元の職務の為、白衣を好んで着ています。また、赤いバンダナを、何らかの形で身に着けていることが多いです。以前SCP-███-JPの収容違反事案に巻き込まれた際に左脚部を欠損しており、義肢を着用しています。
経歴: ████大学を通常通り卒業後、精神科医として勤務していた白月研究助手を、財団が雇用しました。雇用当初から現在に至るまで、主な職務は職員等へのカウンセリングですが、2012/██/██に烏丸教授のカウンセリング担当員に任命されて以降、その他の細かい業務も請け負っています。
白月研究助手の業務実態は、烏丸教授のカウンセリングではなく、監視にあります。これは烏丸教授に対して、妄想性障害と離人症性障害を患っている精神病質者である疑いがかけられており、その為財団の職員として不適当であるとする意見が多く存在するためです。倫理委員会では、教授の精神状態に関しては不問とし、職務を忠実に遂行することを要請している為、烏丸教授の対外的扱いと、教授自身の精神安定を図る目的で、カウンセリング担当員が割り当てられています。前任までのカウンセラーは、烏丸教授の精神病を治療するという目的での勤務でしたが、現在は目的が完全に異なることに注意してください。烏丸教授が現在までに"使い潰した"カウンセラーは█名にも上る為、白月研究助手自身もカウンセリングを受けることが推奨されています。
烏丸教授の精神状態が悪化ないしは、不適切な行動を取っていると判断される場合には、一時的拘束と速やかな沈静化が求められています。白月研究助手はトランキライザー、および睡眠薬を、教授に対して使用するという目的でのみ携行を許可されています。拘束事案が発生した場合には、教授に対するカウンセリングを行い、報告書を提出することが義務付けられています。カウンセリングは全て記録され、データベースに保存されます。
そういえば、腕の包帯についての報告がまだですが? - ██上級研究員
野良猫に手を出したら、引っ掛かれたんです。大した怪我じゃないですよ。 - 白月研究助手
患者に感情移入しすぎるなって言ってたのは、あんたじゃないか。あんなのと一緒にいたら気が変になるぞ。 - ██カウンセラー
ご忠告感謝します。私は大丈夫です。 - 白月研究助手
……きっと後悔するぞ。 - ██カウンセラー
珈琲無くなってたから補充しておいてくれ。 - 烏丸教授
気付いたんなら自分でやってくださいよ……。あと今月の珈琲消費量、既に先月の倍くらいなので、次の補充は来月です。 - 白月研究助手
む。 - 烏丸教授
ここには、現在までに烏丸教授が行った講義、及びカウンセリングの音声ログが保存されています。ファイルにアクセスする際には、セキュリティクリアランス3以上の職員の許可を取り、必要でないファイルにはアクセスしないで下さい。
<記録開始>
諸君、終焉とは一体何か、答えられるかね?
終わりとは何か、という考察は非常に重要だ。何故なら、それは非常に忘れられがちな事柄だからだ。
勿論、諸君は財団職員である以上、こう答えねばならない。"それは人類が、今まで通りの日常を過ごせなくなることです"、とね。だがその言葉自体に大した意味はない。と言うよりは、多少具体性に欠ける。"日常"とは常に変化し、適応していくものであるし、人類が自身の力で作り上げた画期的で革命的な技術ですら社会に変革を齎す。"今まで通りの日常"は、流動的に定義されるのだ。
であるならば、我々が守っている人類社会というのは何を示しているのか、曖昧にしておいた方が都合が良い。が、曖昧にし過ぎても良いことは無い。科学者は文明テロリストではないし、"新たな技術"ですら、人類の技術として我々が今まで考え、信じてきた自然の法則から乖離しない。してはならない。健全で正常な人類文明の中の、自然な文明の発達を我々は見逃していかなければならない。
どういうことか? そう、我々はあまりにも異常に慣れ親しみ過ぎた。何が異常であるか、何がそうでないのか、我々は見極める必要がある。その上で、財団は本当に守るべきものを取捨選択していかねばならない。だと言うのに諸君、我々はあまりにも、異常と付き合うことに慣れ親しんできた。異常であることに、慣れ親しみ過ぎた。
さぁここで問題が生じる。我々の"正常"性を、誰が担保してくれるのか。
財団が守るのは、健全に正常に発展していく人類文明だ。だがその為に異常を封じ込め続けた財団の在り方は、最早一種の異常に他ならない。異常な団体が、異常な物品を閉じ込める、いやはや愉快な話だ。賭けても良いがね、一般の人から見た我々は、それはもう異質で異様で異常なものだろうよ。
私が言いたいのは、"諸君は自身を正常であると担保できるのか?"という話だ。勿論、それが不可能な事は私が良く分かっている。我々は自身の正常性を主張できない。例え、大して問題にならない異常性であると上層部に判断され、雇用されていようとも、だ。私ですら、ここ財団に於いては自身を正常だと主張することは難しい。
では我々自身が異常であるならば、異常な我々が正常だと判断する社会は、本当に正常なのだろうか。異常な人間から見た"正常"は、異常ではないのだろうか。この質問自体に意味は無いことには留意してくれ、正常性が主観では担保出来ないという事を述べたばかりだ。
だが自身を正常だと主張出来ない者の視界に何の正しさが在る? 我々の周りは異常で溢れている。最早日常の内の半分、いやそれ以上が、異常を相手取る仕事だ。中には今まで"普通の生活"を送ってきた時間より、財団での生活が長い者もいるだろう。
我々の感覚は既に侵され、捻じ曲げられ、屈折している。
我々の視点では最早、正常な世界を正常に認識することは困難だ。
さて、もう一度訊こう諸君。終焉とは何か、答えられるかね?
<記録終了>
<前略、以下抜粋>
GoIは、彼らは阿呆の集団ではない。この事実を諸君は良く覚えておくべきだ。
無論、実際に彼らと交戦するか、会話したことがある者には分かるだろうが、要注意団体とはすなわち、我々の虚像だ。我々が財団を実像だと、つまり"我々には大義が在り通すべき理がある"と我々が信ずる限りは、我々は財団であり、一定の理屈を持つ。而して、彼らGoIには、彼らにも大義が在り通さねばならぬ理があるが、それは我々の預かり知れぬことであり、重要ではない。
彼らの理論は独特だ。例えばGOCという場所では、アノーマリーを排除、即ち破壊することが、彼らの基本理念である。何故そうなったのか、という疑問が有るだろう。
想像する事は可能だ。恐らく彼らは、オブジェクトが本当に無害な物なのか、それともそう装っているだけなのか、区別が付かないことを苦にしたのだ。だからこそ、世界全体に情報の網を伸ばし、制御できるというお墨付きがある異常は一つの技術として召し上げている。GOCとは、単に破壊しか頭に無い連中なのでは無く、それに裏切られ続けた結果、破壊以外の選択肢を残せなかった連中なのだ。
例えば、よく"考え無し"と言われるマナによる慈善財団だが、彼らが本当に能無しならば、今の今まで財団が彼らの行動を予期出来ていない事が問題にならないと可笑しい。
慈善財団は基本的には寄付、つまり企業や裕福な個人からの支援を受けていると考えられているが、実際に公にその資金提供が行われる為、財団が彼らの活動を邪魔することは出来ない。また彼らの理念は、異常な物を使用してでも、例えそれがどんなデメリットを孕むとしても、危機に瀕する者を救うということだ。ある意味では彼らの博愛精神は尊ぶべきものだろう。勿論、ここ財団に彼らを手放しで褒めるような輩はいないと私は思うが、彼らのその信念だけは評価しても良い。まぁ、活動の結果は無残なものだがね。
よく考えてみよう。我々は果たして、他の団体の中で唯一の正義足りえるのだろうか?
幸運にも我々には力がある。長年の、本当に長い時間を掛けての活動の成果として、我々は広い情報網と、多くの職員、そして援助と資金を獲得した。それは非常に幸運な事であり、我々が今ここで働けていることもまた、現実的確率論として驚くべき事であった。創設者のみならず、大勢の協力と尽力があった事は明白だ。帰結として、我々には力がある。
しかしこれら事実は、我々が本来的に唯一正しいという事の証左にはなり得ない。財団は常に疑い続けている。諸君もそれに倣うべきだろう。
本当に、財団は世界の為に働けているのか。
本当に、財団は、他のGoIと区別されるべき、大きな団体に成れているのか。
本当に、我々の仕事は、誰かを救えているのか。
諸君は今までに疑問に思うことがあっただろう。これからもあるだろう。我々の仕事は世界への影響力が大きい割には、その結果を観測することが難しい。どれ程諸君らが尽力しようとも、それが真実、結果を残せる事柄なのかどうか、諸君が知ることは殆ど無い。
私は諸君の疑問に答えることは出来ない。私は諸君の虚像の一つであり、あくまでも通さねばならぬ理は諸君自身で確定すべきだ。
だが、その手助けは出来るだろう。諸君が財団を実像だと信じる限り、世界は正常で在り続けられる。
GoIは例えるならば狂人だ。我々の信じる世界の正常性から外れ、自身の信ずる物を信じている。
狂人には狂人の理論がある。狂人と会話するには、狂人の理論に則って話さねばならない。
則ってはならない。狂人の理論を理解し、彼らと会話しようと試みることは、諸君の正常性の崩壊を招く。
正常性が崩壊すれば、諸君は財団を正常だと認知できなくなる。我々は、諸君を処分しなければならなくなる。
否、脅してるんだよ。理解し給え、狂人の理論に乗るな、自身の存在位置を確かめろ。彼らは非常に狡猾で、下手をすると財団よりも現実を良く理解している。
彼らも同じことを、我々に対して思っている。そう、狂人だとね。それも非常に力の強い、凶暴な狂人だ。
もう一度言う、GoIは阿呆の集団ではない。
<抜粋ここまで、後略>
<以下抜粋>
やぁ、諸君。
技術者の倫理、ないしは技術倫理という言葉を、聞いたことはあるかね?
そう、諸君が技術者として学習してきた中には、恐らくその科目が存在していた筈だ。幾らかの技術力を持つ我々技術者は、それを学ばねばならないと規定されているからだ。
安心し給え、ここで技術倫理を事細やかに復習するつもりはない。寧ろ、諸君がその技術者としての倫理という物について正しく理解出来ていると前提して話をしたい。何となくでも構わんよ。
諸君はこれまでに、技術者の倫理として、技術者が負うべき責任という話を聞いたことがあると思う。今、私がしたいのは、"果たして、財団の技術者はどこまで咎を負うべきなのか?"という議題だ。
諸君が技術倫理について学んだ時、公害や、ノブレス・オブリージュといった例を出し、解説していた教授方も多くいるだろうが、諸君は、財団に勤める技術者として、どこまで自身の行動に責任を持てるだろう。諸君は一介の技術者として、起こり得る災厄のどこまでに責任を持つべきなのだろう。
財団に於いては、公害の比ではなく恐ろしく痛ましい事故や、取り返しの付かない事柄を引き起こしてしまう。諸君のミス一つで、甚大な被害が出る。その重圧に、諸君は耐えられるだろうか?
結論から言ってしまうと諸君は重圧に耐えねばならないし、責任も負わねばならない。
諸君は収容スペシャリストだ。諸君が失敗するという事は、即ち財団にとって大きな痛手になることは想像に難くなく、諸君は各々の分野について責任を負わねばならない。
しかし。しかしだ。
ここで言っている責任とは、諸君も知っての通り、諸君自身の所作に依る咎の話ではない。当然、技術者が保証できるのは自身の力の及ぶ範囲のみであるし、諸君が極限状態に於いて常に最善の手を打てる等とは我々は思っていない。これも、技術者倫理で学んだ事柄だろう。
また、それが財団、延いては私が述べ続けている主張である。
技術者の倫理として話に挙がっているのは、諸君の心構えの問題が大半だ。説明せよ、技術に責任を持て、上下関係に囚われ成すべきでない事を成すな。何度も聞き飽きた話だ、そうだろう?
倫理などと言う曖昧な言葉を私は好かない。財団が求めているのは倫理などでは無く、確実性だ。
オブジェクトを確実に収容し、決して破られない。例え個人がどんな馬鹿げたミスをしようが、システムと他の人間の目でそれを修正する。技術者が、技術者として働けるよう、環境維持と技術革新に努める。それが財団が、我々が求めている物だ。
いいかい? こう考えよう。財団は、諸君を信用などしていない。信用しているのは、諸君の技術のみだ。そう考えろ。
"技術者の倫理"なんて言葉は忘れてくれて構わない。そんな物は何の役にも立たない。倫理は大事だ。だが財団で、異常な物品ばかり取り扱っているこの財団で、通常の社会で培われた倫理に何の意味がある。財団は、諸君が倫理と言う言葉を頼みに己の正義を振り翳す事など望んでいない。倫理を規定するのは諸君ではない。諸君がしなければならないのは、己の倫理等に判断を任せるのではなく、"今の仕事は本当に必要な物なのか"を考える事だ。必要でない事はしなくて良い。必要な事は、何であれしなければならない。分かるね?
無論、洗脳されろという話題ではない。安心し給え、本講義は諸君を安心させる為のものだ。
これから話すのは、FailsafeとFoolproofの話である。そして、諸君が財団の技術者として何を心得るべきかの話だ。諸君が収容スペシャリストとしての責務を、どう理解出来るかと言う、その話だ。
諸君が安心して、自身の仕事を全う出来るよう、そうなるように努めよう。
<抜粋ここまで、後略>
<記録開始>
やぁ、新入職員の諸君。
私はしがない通りすがりだ、いや立たなくて良い。休み時間だろう? 少し話がしたいだけだ。先輩からの、小煩い忠告だと思ってくれれば良いだけさ。
さて、まだ諸君は知らないだろうが、まぁこれから知ることになることではあるが、財団がどういう場所なのかというのは見失わないようにしたまえ。……いや、諸君はまだ何も分かっちゃあいないよ。何一つ、ね。
諸君は財団に所属する以上、これから数えきれない程の"異常なもの"に出会う。オブジェクトだけではない、小さな村の意味の無さげなルールや、特に神経質な人、様々だ。大した事の無い物もあるが、諸君がこれから立ち向かっていくものは往々にして、諸君の常識を嘲笑い、認識を捻じ曲げ、諸君を恐怖させる。
恐怖について考えたことはあるかい? 恐怖の、その本質だ。
恐怖という感情は既に何年も研究され続けてきたものである。今更語るものでも無いが、その本質とは、己の命が脅かされることへの恐怖だ。長い間我々の先祖が地面を這い、天敵に怯えて来た、その系譜だ。つまり、より本質的な恐怖というのは、より原初の、天敵の存在にクローズアップしているものである。逆にその本質性から離れると、より人間的、文明的な、高次機能を利用するようなものだ。どちらがより怖いのかは、最早その人の感性に依ってしまうが。
我々は生物として複雑化した。ここにきて"何が本当に怖いのか?"という疑問は広範囲化していった。興味深いことに、事前知識を持たない人間はより単純で原初的なものに恐怖を感じるが、慣れてしまった者ほど自身の想像に食い潰されてしまう。これは正しくミームに汚染されている状態が原因だ。全ての恐怖は諸君の頭から生じる。つまり恐怖とは、最終的には諸君の脳にある筈の、恐怖心を呼び起こすものとなる。その場合に至っては、本来的な描写や、現実的な見た目は不要であり、ただただ諸君の思考を吹き飛ばし、行動を阻害する。
諸君が向き合うのはリアリティを持つ恐怖の表現ではない。映画や小説等のような、形と質量を持つ怪獣ではない。そういうものもあるにはあるが、多くはもっと茫漠で、即座に諸君の命を奪うようなものばかりだ。
諸君はそれらを恐怖してはいけない。いや、してはいけないというのは酷だからこう言おう、諸君はそれらを確保・収容する際に恐怖について考えてはいけない。
何故なら、考えることで諸君の行動が鈍るからだ。そして、行動が鈍れば、諸君を待つのは速やかな死か、直ぐ死ねた方が幸せだったと思うような惨劇だ。それは諸君の望む所では無いだろうし、我々の望む所でも無い。諸君には健全に、健康に、仕事を続けて貰う必要がある。
依って、私が諸君に授けられる啓示はこれだけだ。
"恐怖を飼い慣らせ、主従を知らしめろ。すべき事を愚直に為せ"
財団は諸君の面倒を最期まで看るが、諸君が財団に貢献する為には、先ずその恐れを御せ。
如何なる異常も、諸君の恐怖心に匹敵する脅威にはなり得ない。恐怖するな、我々は恐怖しない為に存在している。諸君がオブジェクトを捕まえる時、我々は憶測でしか手段を構築出来ない。動くのは諸君だ。忘れるな、恐れは何に於いても諸君の足枷になる。
では、どうやって恐怖を御すべきかの話だが……
[扉の開く音]
……あれ、……██博士、カフェテリアにいたのでは……。
っと、待ちたまえ、待ってくれ、そのボタン押さないで、セキュリティスタッフ呼ぶのは駄目だ。違うから、これゲリラ演説だから。決して幼気な新人を扇動したりしてる訳じゃないから。例え扇動していたとしても有益だから、ね? 良いだろう? 駄目? 駄目か。
今月はもう二度目なんだ、勘弁してくれよ。今日は未だまとめないといけない書類が二桁……
[呼び出し音]
あぁ、分かった。分かってる、行くってば。全く、この程度なら口頭注意で十分な筈だと思うんだが……[不明瞭な呟き]
<記録終了>
虎が真の意味で人を理解することは無い。その日は来ない。
奴の総ては永遠に只の模倣に過ぎず、己の上を通り過ぎて行くのみである。
無論、あいつはそれを理解している筈なのだ。
しかし何を以って虎が人足らんとするのかの理由を、お前らは理解していない。あいつの努力を無為にする心算か?
その質問に意味はあるのかい? それとも、私が"人の振りをしている"だけの畜生であることを、此処で再度糾弾したいのかい?
獣は己の所作を恥じず、人は獣の所作を侮蔑する。獣は己の心に忠実だが、人はその心を隠し己が君子であるかのように装う。虚飾と偽証に塗れた己らを少しでも恥じる心在らば、人が最善の生物では無いと理解出来る筈だ。
抑々、何故に獣が人に成りたいと望んでいると思うのか。それは諸君らの限り無い傲慢である。獣は人が最上だとは思っていないのだ。
だが、そう、"烏丸虎"は、そもそも獣ですら無いじゃないか。奴は唯の気の違った人間だった。そして、奴自身もそれを判っていた。
言う迄も無く、虎が真に人であるかどうかは、我々には如何でも良いことだ。
如何ともし難い異常性と付き合うに当たり、我々は個人の異常を個性として認知し過ぎている。一匹の虎を気にかけ続けるほど、我々も暇が無い。
否、"虎"は獣ではない。が、"虎"は虎で在るが故、人でもない。
勿論、虎は虎だろう。仮令知恵ある者として、理知を振り翳して生きようと、"烏丸虎"という存在の本質は変わらない。
つまり、これはそういう話さ。君らも十分に分かっているだろう、財団は私にとっては檻として働いている。それが理解できていて、何故今更議論を重ねるんだい?
他者の血肉を喰らって生きるより道の無い殊類の身には、此処は居心地の良い檻の様に感ぜられるのだろう。他者を貪る血肉は旨いか、虎よ。
異常な物品類に、異常な連中。だがその実、何処までも人間的で、恐怖を糧に明日を生き延びようと無様に足掻いてる様な奴らばかりさ。まぁ私からしたら、檻に入れられたと思ったら、檻の中が獲物だらけだった訳であり、その為ここを出て行く理由なぞ何処にも無い訳なんだが。
その通り、彼らは奴を"優秀な職員"として雇用した。奴もそれに応え、"優秀な職員"で在ろうとしている。それは彼らにとっては好い事かもしれない。奴がそう気を払う限りはだが……
……おっと。君、今の聞いてたのかい?
ふむ、私も少し無用心だったかもしれないね。君、どうか忘れてくれ給えよ。こんな暗い部屋で、独りで何をしているのかと訊くのも駄目だ。
良いかい、君は今何も見ていないし、何も聞いていない。一人の人間が誰も使ってない部屋でちょっと昼寝をしていただけさ。在るのはその事実のみだ。
頼むよ。私が異常でない振りをしていないと、彼らが庇い切れなくなってしまう。愛想を尽かされたら、また仕事が無くなるかも知れないんだ。
あぁ、勿論。君が対価を望むなら支払ってやろう。私にはその用意がある、何時でもね。
何か要求は? 何でも言ってみると良い。
<記録開始>
言いたいことは分かるさ。"お前は狂人なのか"、それが知りたいんだろう。
断っておくがな、私は確かに頭の可笑しい輩だが、自身を全くの正常な人間であると保証出来るのだ。この意味が分かるかね? 私は数多くの財団職員を理由に、自身を正常であると主張する。
何、私は確かに虎だ。その通りだが。いいや、極普通の家庭だったさ、父は内科医だった。
……発言が矛盾していないかだと? 少し考えたら分かることだが、我々は矛盾を許容する能力があるのだから、当然だろう。矛盾を知り、飲み込んでこそ我々は…………がならんでくれ、分かった分かった。
我々の常識では、人に非ざる言動をするものは畜生に変ずる。あぁ、無論この"我々"に君は含まれておらんよ。
人というのは非常に身勝手なもので、まぁ今更述べる迄も無いのだが、自身の行動を省みて正していく事が容易には出来ないようだ。そうして己の言動により己を歪ませていったものは、己の咎により畜生になるのだ。だが全員がなるという訳では無いらしい。でなければ、この世は既に畜生が社会を動かしていることになる。まぁ、ある意味では正しいのかも知れんが。
私は、理解しているのに、していたのに、言動を正すことをしなかった、哀れな人間さ。己を貫くことが自身への誠実だと思い込んでいた。故に虎に成った。
君も十分気を払え。己を省みず憚らず他者を敬さねば、孰れ異類の身に成るぞ。虎に成る訳じゃ無し、ただ言うとも無しに嫌われ、遠巻きにされ、野心も志も燻らせて沈黙している事しか許されんように成る。畜生に成り下がってから後悔しても知らん。
元々我々は、最初から人間であった等と言う保証も無い。元の姿など忘れ、只々自身は最初からこうであると信じ込んでるだけなのだ。全てがそうだ。己もそうだ。君もそうなる。
而して思案せよ。以て思索せよ。
己の言動のみが、理解される己の人柄の全てであることを知れ。
<カウンセラーにより記録中断>
<記録開始>
何故人を殺してはいけないのか、君ならば何て答えるかな。
あぁ、喋れないだろうから応えは聞いていない。安心し給え、君の意見は大体分かっているさ。"そんなこと良いから解放しろ"だろう? まぁそれは少し後の話だ。ちょっと話をしようか██君。
基本的に、法律にて制定され、我々の多くが道徳として知り得るべき事柄と言うのは、実質的には意味を成さない禁忌であることが多い。人を殺してはいけない道理など本来は無い。だが、合理的に考えるのであれば。そう、我々人類が社会生物として共同体を成し、文明を更新していく中では共同体を維持するルールが必要だった。事柄のデメリットが我々の築いた共同体に対して損失を与えるような事は出来る限り減らさねば為らない。でなければ、共同体は中途で分解してしまう。
人を殺してはいけない理由など幾らでも挙げられる。まず第一にコストが異常な程大きいこと。人類は生物学的にあらゆる種を食らう上位捕食者で有る為、殺害されてしまった場合にそれまで消費されるカロリーは多大となり社会収支としては損失になってしまう。
第二に、人間と言う種族は我々がそう考えている程には合理的では無いこと。人類は幾度となく己自身の利益と個人的好嫌に依り人を排除しようと試み、結果として大規模な殺戮を引き起こして来たが、殺戮や戦争や殺人鬼が齎したのは価値ある資源の喪失と言う生物学的生存戦略に反した結果だ。常に合理的に判断できるのであれば本当に不要な人間という区分も生じるだろうが、残念ながらそう言った可能性を考慮出来る状態には無い。
そして第三に、人殺しが許容される社会では、教育を受け育成された人員が明日また同じように仕事場に来ることは保証されないこと。このような状況下では経済活動は活発化せず、必要最低限の文明さえ維持出来るかどうか疑わしい。現在の人類文明はその形成上、労働者の数が確実に保たれる事を想定しているからだ。
この他にも無数の理由を挙げることが出来る。法律、共同体のルールと言うのは概ね合理性に従い制定された物で、我々が同族を殺してはいけない理由は道徳や個人感情に訴えかける必要など全くないのだ。
だが、今言った理由は、あくまでも人間社会を視点にする合理的判断だ。殺人者はそのような判断等意に介さない。何故なら彼彼女にはその人を殺さねば為らない理由と、殺すことで得られるメリットが存在した筈だからだ。彼等には彼等なりの理論が在る、例え合理性を説いても、決断した者を止める事は出来ない。
同様に、猛獣に理論を説いても聞き入れる事は無い事は自明だ。畜生に合理性を説明して何に成る? 人間で在る事を疾うに止めた連中に、人類足れと述べるに如何程の意味が?
これは己の話では無い。畜生に成り下がって居るのは己のみでは無い。
孰れ君にも分かる。
[物音]
ふむ、縄抜け出来るだなんて聞いてないね。いや、矢張り私の助手にしておくには惜しい程優秀じゃあないか君。
だからこそ、多少残念だがね。これは財団の損失だ。私には止める心算が無い故に。
まぁ、君も随分長い間勤務して来たのだし、ここらで事故に巻き込まれて引退と言うのも悪か無いんじゃないかな。良い加減私から離れたいだろう? 聞き入れる代わりに対価を払って貰おうと、そう言っている丈なんだがね。
駄目だよ、君の銃は研究室に置いて来たのを忘れたのかい? 患者を撃ち殺そうとするなんて君は酷い奴だな。
あぁ、最低な奴だよ君は。悪いのは君だ。君を食い殺そうと目を向ける猛獣に背を向けた、君が悪いのだ。
己の言動で咎を負え。
<記録終了>
<記録開始>
「こんにちは、烏丸教授。白月結弦といいます、以後よろしくお願いします」
やぁ、君が私の新しいカウンセラーか。いやいやこれから宜しく頼むよ、こちらこそ。そうさ心からそう言ったさ。
「それはなによりです」
既に話には聞いてるかもしれないが、私は狂人と言う事になっている。少なくとも、裏の裏ではね。
まだ収容スタッフだった頃に哀れなカウンセラーを数人ノイローゼにした所為で、異動通達を受けとってから連中が煩いんだ。どうも私が公然と好き勝手してしまうと「何故奴に口枷を着けないんだ?」とか「奴は本当に倫理委員会になるのか? 奴の倫理に財団を任せるのか?」と苦情が、私にではなく倫理委員会の方に行くらしい。失礼な輩だが、確かに正論だ。私は、自身が如何見られているのかは分かっている心算さ。
だが所属員が悪目立ちするのは、倫理委員会としても宜しくない。
だから、新しいカウンセラーとして君が選ばれた。
「えぇ、そうですね。私の異動前の最後の仕事として、前任の同業者のカウンセリングをしてきました。彼は可哀想なことになってましたよ。貴方の所為で」
……白月結弦研究助手、君が何を委員会から言われているのかは知らないが、恐らく一つ思い違いをしている。私は今までの公式な精神鑑定で、疾患が見つかったことは、一度も無い。勿論、誓って担当者にそう書くよう脅した訳でも無い。
私は、狂人ではないし、サイコパスですらない。少なくとも公的見解では。理解し給え。
「そうですか」
まぁ、君の異動は委員会に依る決定だから、私は何も言わないしその権利も無い。のだが、少なくとも君が留意すべきことを、もう一度復唱してやることが出来る。
乃ち、普段の君の職務は適度な私のカウンセリング、および私が要請する業務の補助要員である。
乃ち、君は私を拘束・権限を剥奪する権限を与えられる。これは君が望んだ時に、望む期間だけ継続出来るものとする。
乃ち、先の権限を、君は適度な期間で行使する義務がある。全く拘束しないのは苦情回避にならない為いけないし、拘束し過ぎるのは業務に支障が出るためいけない。そこは君の裁量に任せる。
乃ち、私は基本的にカウンセラーという輩が嫌いであり、人格を具に分析されるのが嫌いである。過度に干渉して来る事は推奨しない。
乃ち、私は君のことが嫌いだ。
「はぁ、なるほど」
今後は以上を理解した上で業務にあたって欲しい。勿論、これまでのカウンセラーのように意図的にノイローゼに追い込む事は極力避けるし、君が事更に無礼な事をしない限り、私も君に対して誠実でいようと思う。更に言えば、未だ君の能力を測りかねているので暫くは事務仕事も様子を見ながらだ。あまりに君が酷ければ、咆えたり牙を剥いたりすることも吝かではない。重々承知して仕事に当たってくれ。
さて、何か言いたいことは?
「そうですね。"妄想性障害と見られる攻撃的な言動と狂言癖あり"ってカルテに書いておきましょう。これからよろしくお願いします」
ふむ。成る程、認識を改めておこう。
私は君のことが大嫌いだ。
<記録終了>
<記録開始>
「幾つか質問します。できるだけ正直に答えてください」
どうぞ。
「"今まで、人を殺したいと思ったことはありますか?"」
誰かを殺してやりたい程、憎んだ事は有る。一般的な感情だ。だが本気で殺しを考えたことは無い。思ったことも無い。それは一般的な感情ではない。
「"死にたいと思ったことはありますか?"」
無いよ。
「"毎日幸せですか?"」
幸福かどうかは主観に依る。人は自分で思う程には幸福でも不幸でも無い、とも言うね。まぁ、財団で自分を幸福だと言い切れる奴は中々いないだろうがね。ここはそう述べるには酷過ぎる場所だ。
「"直ぐにカッとなる。または、カッとなってしまって大きな問題を起こしたことがありますか?"」
見た目よりは怒りっぽいんだがね。そう言った事件を起こした事はないよ。
「"自分を責める声を聞いたことや、混乱して考えがまとまらないことがありますか?"」
幻聴も幻覚も、錯乱も無い。一般的に妄想を事実だと思うのは気狂いの所作だ。私も視界の端を黒い物が掠める事はよく有るが、それは飛蚊症だからだしね。
「……貴方は嘘つきですね」
そう思うかい?
「でしょうに」
なぁ白月君。毎回似たような回答を聞くだけの問答を、いつまで続ける必要があるんだい? 普段のカウンセリングですら記録を取っているんだ、今更定型的な質疑応答に意味がどれほど有るのか。
「私はやれと言われてるから、やるだけです。委員会から言われてることですし、これをやらないと私が怒られてしまいます。なので、とりあえずまだ暫くの間はマメにやります」
君が職務に忠実なのは良い事だとは思うがね。何度やったって回答は変わらんし、無駄としか思えんよ。
「そうですね…………教授。カルテには書かないので、一つだけ教えてください」
ふむ、何かな。昨日の事ならもう説明したろう? 頭が痛かったんだ、とても。ただそれだけさ、本当さ。
「そうではなく、遺体安置所に出入りしていることに関してです」
……む。
「先週、私がいない間に行ってたんでしょう? あんな、処分前の死体を積み上げた所に、何しに行ったんですか?」
何、と言われても。実験用の死体の申請書を出しに行っただけさ。良く有る事だが、気になるのかい?
「その前は? 先月も、先々月も行ってるじゃないですか。それも実験に利用する為に? 貴方、ここ暫く実験なんてしてないじゃない癖に」
さぁ、何とも言えないね。君のセキュリティクリアランスには明かせないことだ。知りたければちゃんと上に申請を出して貰わないと。
「嘘ですね」
君がそう思うなら、そうなんじゃないかな。
「……ちょっと中断しましょう。珈琲でも淹れてきますよ」
白月君。
「はい」
言うまでも無い事だろうが、君の知らない事だって、沢山ある。我々は自分が思う寄りも物事を知らないし、自分が思う寄りも人を理解出来ていない。特に、ここ、財団では。
それに、深入りする事が賢明な判断だとは、私は思わない。君はそこまで考え無しの人間ではなかったろう?
「……そうですね。えぇ、そうです。心配はいりません、話したくないなら、それでいいんです」
<記録終了>
<記録開始>
白月君、私は今とても凄く喉が渇いているので、是非珈琲が飲みたいんだが。今珈琲飲まないと確実に脱水症状を起こしてしまうことが確定的に明らかであり、つまり君は私に珈琲を提供する義務がある。
「ダメです。水でも飲んでてください」
……うむ。そうだね、カフェインには利尿作用がある為、確かに脱水時に飲むと脱水が加速する。正しい。
しかし私は珈琲が飲みたいんだ。分かるか。いいから珈琲をくれ。ダメかい?
「教授、席に座ってください。カルテに書いちゃいますよ」
ダメか。
「えー、では教授が席に座ってくれたので、先日の拘束についての話をしましょう」
不可抗力だ。私はただ新人職員諸君に"サイト-8181で何故唐揚げに気を付けなければならないのか"を吹き込んでいただけであり、何も疚しいことはしていなかった。しかしそこに鳴蝉博士が通りかかった。やぁと声をかけたんだが、何やら合点が行ったように柏手を打って、スタッフへの通知ボタンを押した。
「あれ、教授って鳴蝉博士と親しかったんですか?」
いや全然。どうせあの検査員にしっかり吹聴されていたに違いないんだ。とにかくボタンを押した鳴蝉博士は私の肩に手を置いて首を振ると、一言「セミ」と言い、鼻歌混じりにどこかへ去って行った。そんな訳で君に連絡が行って、今回拘束されることになったという訳さ。
「そもそもからして、新人に対して"異常性を持つ職員と正常な職員の実務的な差と待遇の優劣"みたいな、きわどい話をしていたと聞いているんですが。そこの弁解はしないんですか?」
してない。私は単に、『あの唐揚げ男が何故特別措置を受けるのか、それは彼が優秀である事を理由とする以外には無く、また優秀であるのと同等に財団への忠誠心が高いからである。しかしそれらを差し置いて、異常性の致命度が考慮される。』という話をしただけさ。他には何も言っていないよ。
「嘘ですね」
うん。
「まぁ、いつも通り報告には"突発的な演説行為による通報"、"演説内容に重大なミーム汚染は含んでいないと思われる"、"精神状態には変化なし"って書いておくので、安心してください。お仕事に戻って大丈夫ですよ」
わーい。
「ほら、権限戻しておくので、溶けて無いで立ってください。今日中にSCP-███-JPとSCP-███-JPの書類読まないといけないんでしょう?」
済まんが、もう一寸だけここで溶けさせて置いてくれ。著しく眠いんだ。
「わかりました、じゃあ珈琲持って来ますので、それ飲んだら人に戻ってくださいね」
いぇーい、白月君気が利くー。
<記録終了>
<記録開始>
「それで、この記録は、何ですか?」
あぁ、随分怒ってるね、君。中々見ない顔だ。
それはただのカウンセリングログだよ、2010年の。当時の担当は████カウンセラー、ログは彼が辞表を提出する直前の物だ。未だ、残っているとは思わなかったがね。
「……何を意図して、こんなことを?」
前に言っただろう? 私は人格を具に分析し、分類し、好い気に成るカウンセラーと言う輩が嫌いでね。彼は財団職員としてはかなり優秀だったんだが、若干私を貶めようとする傾向が強くてね。あまりにも無礼だったからご退場願っただけさ。
勘違いしないで欲しいんだが、私は別に何もしてないよ。
「どうせ、そそのかしたんでしょう? それで貴方は何を得たんですか」
束の間の自由と、彼の左腕さ。彼は高齢だったから、加工は結構難しかったがね。
「……加工、したんですね」
最早君に取っては訊くまでも無い事だと思うがね。机の上にあるペーパーナイフがそれさ。中々使い易くて気に入ってるよ。
記録にある通り、彼は一次的な収容違反に巻き込まれ、左腕を引き裂かれた。腕を元の通りにくっ付けるのは難しかったから、彼は義手を選び、腕を私にくれた。後遺症が酷かった為、彼は異動になったさ。これは正式なものだ。何なら書類を見るかね?
「私の前任者たちは、教授がそうやってダメにして来たってことで良いんですか?」
駄目に、という言い方は好かんな。諸君はカウンセラーだ。正式な、資格を持つ精神科医でも在る。私がどうこうしたと言うよりは、患者の戯言に耳を傾け、まんまと思考を誘導された彼等の落ち度だよ。違うかい?
「……」
諸君は私を気狂いだと、サイコパスな精神病患者だと思って私と対面する。そして、私の言葉に嫌気がしながらも自らの立場が上だと、そう信じながら私を見ている。だと言うのに私の言葉を真面目に受け取り、惑わされる等、不様としか言いようが無いのだ。
君はカウンセラーで、私は患者だ。それを忘れかけたカウンセラーのどこに同情の余地がある。
「でも、貴方は教授で、私はその研究助手です」
然り。だが実際の所、君はあまりその関係に頓着してはいない、そうだね? 君の前例が如何に惨たらしく追いやられたかのかは、君に取ってはさして重要では無い。
重要なのは、私がカウンセラーに"そう言う事をする人間"であるという事実と、君がその対象にならないという保証はないという事実だ。君はその事実に慄き、何故そのような本性を隠していたのかと私を責めている。
「違います」
ふむ。
「私はただ……教授が、普段あんなに高尚で偉そうなことを言っているのに、まさかあんなに非効率的で恐ろしいことをするなんて、思ってもいなくて……驚いただけです。今更、貴方の本性とやらを知って慄いたわけでは……」
白月君。
「はい、なんですか?」
合理的に考える事と、最終的に何をするのかを決断する事は別の次元の話だ。例えどれだけ非効率だと分かっていても、我々は己の敵を排除するのにそれしか方法が無いのであれば簡単に人を殺す。人類は合理的な生物足り得ない。個人的な理由で、簡単に人を殺す。
私のそれも、そういう物の積み重ねだよ、恐らくね。魔が差してるのさ、ずっと。
君は未だ、私の顔を見た事が無いし、依ってこの意見は分からないかも知れないが、私は別に合理性だけを追求して生きている訳では無いんだ。どころか、自身でも理解していることだが、非常に非合理的な事もする。私がそうしたいからだ、他に理由など無い。己のしたいようにして来た結果虎に成ったのだから、筋の通った話だろう?
だが、私は今まで何度も嘘は吐いては来たが、そして他人を幾度も騙しては来たが、誓って言うがね、私は一度も法に触れるような行いはした事が無いのだよ。
何も致命的な事はしていない。それでは駄目かね?
「それは、"まだ"、したことがない、だけでは」
…………あぁ、そうかい。
君は此処に至り、己が前にして居る者の存在すら深く思慮していないと見える。猛獣の檻に入る飼育員は、幾ら猛獣が可愛くてもそれを忘れてはならないのだ。己の言動に気を払えなくなった飼育員は同情こそされ、飼育員を弄ぶのを趣味にしている猛獣に襲われたのは当然だろうと、人は言うだろう。
そう、全く以て、君は浅はかだったのだ。
「えっ、……ちょっと、教授?」
[数十秒の揉み合う音]
君が私を"そう"だと謂うなら最早構わん。虎の如く、牙を剥く丈だ。後悔しても知らんさ。
そうだね、君のなら脚が良い。
実は前々から、美味そうだと思っていたんだ。
「……それは、……それは告白ですか?」
狭義のね。
<記録終了>
事件報告: ████/██/██15:23分に発生したSCP-███-JPの収容違反に、烏丸教授の現在のカウンセリング担当員である白月研究助手が巻き込まれ、左脚部膝上を太腿切断される重傷を負いました。SCP-███-JPは違反からおよそ25分後に再収容が確立され、白月研究助手は他の6名の負傷者と共に治療を受けました。白月研究助手が左脚部の接合手術を拒否し、義足の装着を望んだ為、2ヶ月のリハビリ期間が設けられます。尚、切断された左脚部は、本人の希望により烏丸教授が受領しました。
補遺: 倫理委員会では彼女の怪我が、烏丸教授の謀略に依る物ではなく、収容違反は偶然起きたものだと言う事を確信しています。仮に、関連を求めるのであれば、最近の白月研究助手が頻繁に収容違反を起こすSCP-███-JPの収容房付近によく見られていたこと、終始"ボーっとしている"様子だった事が考えられます。しかし、事件後の聞き取り調査では、有意な回答は得られず、また当人の精神状態も落ち着いている為、委員会では先日のカウンセリングログと当事件との関係性を否定します。この怪我に依る業務への支障は殆ど無いでしょう。彼女の希望もあり、リハビリ期間中も含めて、今後も引き続き烏丸教授のカウンセリング担当員として業務に就く予定です。受理した脚を烏丸教授がどうしたかについては、前回と同じく焼却処理したと答えています。
EN
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
Alexylva University | Alexylva大学 | 平行世界に存在する大学。研究の一環として異常な物品を制作しているようだ。回収した物品はどれも輸送中の物である。 | 中立 | 平行世界の団体であるため、こちらへのアクションは無い。危険度も不明。 |
Anderson Robotics | アンダーソン・ロボティクス | 異常なアンドロイドやロボット、人工知能、サイバネティクスの販売を行う工学系企業。少人数ながらも、MC&D、GOCと取引をしており資金規模は盤石。 | 中立(敵対的) | 某AptureなScienceの雰囲気を感じる。製品的な信頼度は高め。 |
Are We Cool Yet? | 俺達はクールだったろ? | 「アート・テロリスト」集団。異常なオブジェクトを作成能力を持つ"芸術家"の集団で、多くの場合無関係な人が重大な被害を被る。AWCY? | 有害 | 芸術と称して身勝手で傍迷惑なオブジェクトを作る、し曝す。連中に悪気は無い。厄介。 |
The Black Queen | 黒の女王 | 黒の女王と呼ばれる人間。一切が不明であり、報告は矛盾する。財団のセキュリティを破り、幅広い情報を保持している。謎が多い。 | 厳重警戒 | Gears氏の娘だとか蛇の手のリーダーと同一人物だとか、確証の無い情報が多い。 |
The Chaos Insurgency | カオスの反乱 | 財団から幾つかのSCPを持ち出し離反した組織。世界権力の統合を目指し、物品を個人的利益の為に使用、武器の密輸なども行う。 | 敵対 | コンセプトは"利己的で身勝手な財団"。Ifであるが故に彼らはテロリストではない。 |
The Church of the Broken God | 壊れた神の教会 | SCP-882の存在を根幹とする宗教団体。SCPを「神」の欠片だとしており、"取り返"そうと攻撃する。構成員は精神的作用への耐性を持つ。 | 敵対 | 理由は不明だが的確な攻撃を仕掛けてくる。見た目より頭は悪くはない。 |
Doctor Wondertainment | ワンダーテインメント博士 | 個人か組織かも不明。異常な特性を持つ子供の玩具を作り出す。説明書付属、欠陥品回収とかなり律儀。技術が謎過ぎてヤバイ。 | 中立 | 消費者への配慮が好印象だけど、基本大惨事。 |
The Factory | ザ・ファクトリー | 異常な製品を作り出す工場。機械的な大量生産品がお得意。詳細は全く不明。ワンダーテイメント博士との関係性が疑われている。 | 中立 | 小ネタ的な作品が多めで、素朴。最近はあまり増えない、悲しい。 |
The Fifth Church | 第五教会 | 高度に秘密主義的な宗教団体。娯楽産業とパイプを持っているが、それ以外の組織構成や目的などは判明していない。起源は数世紀前に遡る。 | 敵対的 | 精神作用を持つ、ミーム的なオブジェクトが多め。財団との直接的な接触は無い。 |
The Global Occult Coalition(GOC) | 世界オカルト連合(GOC) | 第二世界大戦後に各国から人が集まった同盟組織。超常的な世界の警察と自称しており、物品の破壊に力を注ぐ。最先端の装備を保持している。 | 敵対的(協力) | 財団を軽蔑してる。協力することも、敵対的になることもある。かなり厄介な相手。 |
Gamers Against Weed | ゲーマーズ・アゲインスト・ウィード | ネットでゲーマーとか集まった集団。AWCY?の分派が起源。風刺や単なる娯楽として異常物体を生成する。ネットスラングとか多い。自己顕示欲は無い。 | 厳重警戒(不干渉) | どのGoIの事も知っているが、敵対する武力は無い。基本的に平和主義。Weedは大麻。 |
GRU Division "P" | ロシア連邦軍参謀本部情報総局""P""部局 | 元はソ連の捜査局で、Psychotronics(精神工学)部局として再編後、物品の研究を進めていた組織。該当地区での財団の活動を長く妨げていた。 | 中立 | 一時期物品が流出しまくって大変だったが、現在は殆ど無害。 |
Herman Fuller's Circus of the Disquieting | ハーマン・フラーの不気味サーカス | 異常な起源と目的を持つサーカス団、初期はAWCY?と同一視されていており、実態は未だ確認できていない。団員は虐待されてるようだ。 | 不明 | 物品としては団員やアトラクション用。虐待されても外界を怖がり逃げない団員が多い。 |
The Horizon Initiative | 境界線イニシアチブ | 主要アブラハム系宗教の団体によって創設された組織。壊れた神の教会や第五教会とは敵対関係。目的は物品の回収、破壊と見られる。武装している。 | 状況次第 | 宗教系団体の中では新参。組織形態も未熟だが、面倒なことに武力はある。 |
Manna Charitable Foundation | マナによる慈善財団 | 宗派を問わないNGO人道支援団体。困窮している人へSCPと副産物を無償配布する。公的機関であり、資金援助を各方面から受けている。理想家。 | 有害 | 下手に力のある無能集団、故に危険。十分な検証なく後先考えず行動する事が多い。 |
Marshall, Carter, and Dark Ltd. | マーシャル・カーター&ダーク株式会社 | 超富裕層向けのクラブ、会員に高価で希少な物品を提供するのが目的。武力ではなく財力の団体。全体的に趣味が悪い。 | 敵対的 | 衝突というより、財団がオークションに押し入って一方的に接収してる。 |
"Nobody" | "何者でもない" | 集団なのかも個人なのかも分かっていない。通常、灰色のスーツと中折れ帽で着飾ったコーカソイドの男性の姿で現れる。幾人かの構成員がいる。 | 中立 | 彼自身も自分の名前を忘れているようだ。行動原理も何もかも不明。 |
Office For The Reclamation of Islamic Artifacts (ORIA) | イスラム・アーティファクト開発事務局(ORIA) | イランの最高指導者にのみ従う準軍事組織。中東地域から財団を排除した。研究対象はイスラム系物品には留まらない。派閥間で内紛を起こしている。 | 敵対 | 内部抗争は組織の規模を制限するもののようだ。過激。 |
Oneiroi Collective | オネイロイ・コレクティブ | 仮説では非永続的な夢をより永続的な現実に持ち込むために活動している明晰夢であるとされる。その他は一切が謎。The factoryと敵対関係にある。 | 中立 | あらゆる要注意団体と、夢を通じてコンタクトを取ることができる様だ。 |
Prometheus Labs, Inc. | 株式会社 プロメテウス研究所 | 「超常的な異世界に対する人類の克服を助けるための技術と道具の開発」を標榜するR&D企業。妄信的で財団へ非協力的だった。爆発四散し、消滅。 | 無力化(吸収) | 爆発にて施設が消滅後、物品は回収、研究員は財団へ吸収された。 |
Sarkic Cults | サーキック・カルト | 独自の宗教/哲学体系を基にするカルト集団。邪教。“弱きを淘汰”して大衆を浄化しようとしている。目的はSK-クラスシナリオを引き起こすことと。肉と肉。 | 敵対 | 二種に類別される(カトリック・プロテスタントということだろう)。食人や生贄等を行う。 |
The Serpent's Hand | 蛇の手 | 小規模だが効果的にSCPを用いる謎の組織。指導者は"L.S." と呼ばれる。構成等は不明だが高度に連携を取る。GOCとは敵対関係にある。 | 中立(うるさい) | 財団へ忠告してくる。独立した「放浪者の図書館」という創作wikiが存在する。 |
Unusual Incidents Unit (UIU), Federal Bureau of Investigation | 連邦捜査局(FBI), 異常事件課(UIU) | FBIの超常現象・超常犯罪へ対応を専門とする特別部門、という名の窓際族。仕事に対して意欲的ではあるが、全体的に無能で騙され易い。格下。 | 監視下 | "通常の"訓練しか受けていない故に無能。ヤバイSCPを入手した場合、財団が回収する。 |
RU
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
Гора Гнилого Господа | 腐敗卿の山 | 腐敗と破壊が教義のカルト集団。自ら疾病にかかり、主への親愛の証として腐敗した食品や有機廃棄物を食べる。儀式で生成される物品がかなり有害。 | 厳重警戒 | 分派が一杯ある。分派間の断絶、数度の主流派の衰退で、用語や儀式様式がバラバラ。 |
Корпорация "Логос" | 株式会社 "ロゴス" | 財団とGOCにより心理的・社会的異常現象の研究を目的として造られた組織、の成れの果て。勢力を拡大し研究を推進、異常物品を作成・販売している。 | 敵対 | 武装している。RUで最も力の入っているGoI。今はどうも財団ともGOCとも仲が悪いようだ。 |
Левша | レフティー | "左利き"は異常な武器・装備品を製造し、犯罪組織へと提供している発明者の名前。詳細は不明。敵対的ではないが、財団は身柄確保を急いでいる。 | 中立 | 向こうは財団のことを把握しているが、何らアクションを起こしていない。武器商人。 |
"Мясной цирк" | ミート・サーカス | ラジカルな人体改造を行い、"製品"として売り出していると思われる組織。製品には製造番号がタトゥーが入れられている。素材の入手先は不明。 | 敵対 | 存在が発覚した事件にて拉致された職員が、その後"改造された"状態で発見された。 |
KO
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
엔트로피를 넘어서 (Beyond Entropy) | エントロピーを越えろ(BE) | オブジェクトを利用して環境問題を解決しようと目論む環境団体。熱力学第二法則を超越したい。組織立てられており、盤石。資金は潤沢。かなり秘密主義。 | 敵対的 | 許可される地域では簡易的に武装している。元はESCという真面目な環境団体だった。 |
플러그소프트 (PlugSoft) | プラグ・ソフト | 異常特性を持つゲームを制作・販売している会社。内容は結構危ない。財団は何故か通販用サイトにアクセスできない。プレイヤーについても情報が無い。 | 厳重警戒 | 従業員もどっからか来てどっかに消えちゃう。目的もよくわかっていない。 |
한낮의 떡갈나무 유랑극단 (Noonday Oak Troupe) | 真昼の樫楽団 | 異常な楽器を用いる楽団。基本的に善意で動く慈善団体である。頻繁に意図しない事態を招き、事態収拾の為財団に助けを求めてくる。 | 友好的 | 以前は伝統的な楽器のみがSCP的であったが、最近は電子楽器も使うようだ。 |
CN
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
"银河联邦" | "銀河連邦" | 馬鹿げた"カルト"的集団。無自覚に欺瞞ミーム系物品を作り出すも効果的には使えず、制御できないために問題を引き起こす。宇宙飛行士と仏教の融合! | 邪魔 | 組織自体が混乱してる為、財団も攻めあぐねている。頭はあまり良くない。 |
岿阳派 | クイヤン派 | 小規模かつ長い歴史があり、深い知識を持つ道教系の集団。情報源としては信頼性が高いが、メンバーは"神隠し"が可能、捕獲は非常に困難。 | 中立 | 仙人集団。総本山は怒江山だと判明している。カッコイイ。 |
圣克里斯汀娜书院 (St.Christina College) | 聖.クリスティーナ学校(CC) | 既知の異常な物品をコレクションしてる中等教育機関。異常物品を基に、既存の学校と異なるカリキュラムが組まれ、操作方や制作方等を教えている。 | 厳重警戒 | |
中华异学会 | 中華異学会 | 中国最大の超自然現象研究組織だった。CN支部よりも古く、"竹簡"に書かれた物品の研究・管理をしていた。長い期間の間に縮小、財団に吸収される。 | 無力化(吸収) | 詳細な設定などはフォーラムへ。"竹簡"がすごい。001-CNの一つなので読んでね。 |
"05议会" | "05議会" | O5議会でなく、模倣集団であり、O5職員のように振舞いつつ財団内にメッセージを残し、データを改竄する。確信犯。財団職員が手引きしているとの噂も。 | 敵対 | 番号ではなくアルファベットが振ってある(O5-'T',O5-'P'…)。ギャグではない。 |
FR
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
L'Ordre de la Lumière | オーダー・オブ・ライト | テンプル騎士団に由来を持つ武装勢力。数世紀に渡って存続し、秘密裏に活動していた。資金源も武力も充実している。財団とはまだ関わり合いが無い。 | 厳重警戒 | 話の規模が大きすぎてよくわからない。1224年に設立された、最も古いGoIのうちの一つ。 |
La Société Athée Pour la Halte de l'Idéologie Religieuse (SAPHIR) | 神秘主義終焉のための神論者協会 (SAPHIR) | 過激な無神論者の集団。メンバーの大半は有力な科学系の研究者で、宗教と迷信と異常物品を破壊する為には何でもやる。財団内にも入り込んでる。 | 友好的(有害) | 財団と意見が合うが、破壊したがるので面倒。正常か異常かに関わらずカルトが嫌い。 |
PL
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
WWW | 〃 | 財団の物品に興味を持ち、奪い取ろうと画策した団体。交戦した結果、構成員はほぼ死亡、残りは機密保持の為に自殺したが、16人だけ生き残ってる。 | 無力化(?) | 生き残りが団体を再建しようとしている。16人のメンバーの確保が急がれる。 |
Wspaniałości Mieszkaniowe sp. z o.o. | 有限会社 荘厳住宅 | 異常な日常的物品を製造・販売してる組織。意図は不明。正確には企業ですらない。製品は大体酷い結果をもたらす。輸出は財団が止めた。 | 有害 | ワンタメみたいなノリの商品説明が付いてる。東弊重工とかワンタメちっく。 |
Autonomic Recon Group with Undefined Specialization (A.R.G.U.S Inc.) | 株式会社 非限定分野の自立警備隊 (オーガス・インク) | 訓練済み兵士、軍事装備品や向精神薬を、民兵組織に販売・レンタルしている警備会社(建前)。異常物品をどっからか持ってきて利用している。 | 厳重警戒 | 要は傭兵稼業。装備品の電源を小型核融合炉とかにさらっとする。それ戦場で使うの? |
ES
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
Sociedad Antares para la Renovación del Espíritu Humano | 人類精神再生のためのアンタレス協会 | フリーメイソン的な秘密主義者の集まり。"高度な知性"と接触する為に異常物品を集めようとする。その為に金銭、強盗や誘拐や恫喝を積極的に行う。 | 敵対的 | 指導者に従えば、全ての人種、貧困、男女差別・偏見が無くなるらしい。MC&Dと仲良し。 |
TH
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
สำนักพิมพ์โนว์อิ้ง (Knowing Publishing) | ノーイング出版社 | 異常な印刷物を製造し、公開している出版業者。マスメディアの一部にメンバーが潜入しており、幾つかの物品はそのまま公衆へ流されちゃうらしい。 | 有害 | 出版系のGoIは中々珍しい。関連記事無し。 |
เดอะซีวิลเลียน (The Civilian) | "一般人" | 異常物品は存在が間違っているので破壊する、巨大な民間団体。とにかく人が多く、物品奪取の為にあらゆる手段を用いる。大体は財団とGOCが標的。 | 有害 | 暴力的かつ人数が多くて、有害。あんまり強くないけどとにかく面倒。関連記事無し。 |
มหาเศรษฐี มิสเตอร์ รอยเยอร์ (The Millionaire, Mr.Royer) | 大富豪ミスター・ロイヤーズ | 財団へ資金提供してる大富豪だけど、彼自身については何も分からない。資金もどっから送られてくるのか謎。不動産を持ってる大富豪なのだけ分かる。 | 友好的 | 彼のただ一人の相続人であるジェイソン・ロイヤーズは、MC&Dのメンバーらしい。 |
JP(これ要る???)
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
日本生類創研 | 〃 | 生物の改造を目的としている研究者団体であると思われる。特異な生命体を生み出すが制御はできない模様。実態は不明。 | 有害 | 創るだけ創るが後先は考えていないことが多い。イナゴが好きです。 |
東弊重工 | 〃 | 異常な人工物の製造に関わっている工場。ロボットや車、電子素子など制作物は多岐に渡る。外部へ技術提供を行っていると見られる。 | 有害 | The Factoryと同系統の製造系。製品的な意味合いが強い。 |
蒐集院 | 〃 | かつて異常な物品を収集していた宗教的な組織。現在は殆どが財団やその他に吸収され、収容プロトコルの参考にされている。 | 吸収(潜伏) | 収集法の一環として謎物品が生まれてる。過激派が潜伏、復権の機会を狙っている。 |
犀賀派 | 〃 | 犀賀六巳とその信奉者からなる、平行宇宙間を跨ぐ集団。宇宙と人類の保護を目的としており、平行宇宙を行き来することで知識と物品を手に入れる。 | 友好的(危険) | 視点が上位であるため現宇宙に固執せず、割と見境無い行動を起こす。危険。 |
"博士" | 〃 | 他のGoIの活動を模倣する個人もしくは集団。ワンタメのパチモンで有名。基本的に悪意と害意が多大で、活動の目的も不明。 | 敵対的 | JP支部一の胸糞系GoI。無責任かつ、適当な愉快犯として書かれる。"楽しもうね!" |
大日本帝国特別医療部隊 (通称""負号部隊"") | 〃 | 大日本帝国陸軍と募集院の間に設立された、オカルトと科学の研究部隊。呪術、生命科学、機械工学が中心。終戦時に解体・財団に吸収された。 | 無効化(吸収) | 不死の兵士の作成とか、葉っぱ生成して疾病を呼ぶ牛頭の子作ったりとか、中々愉快気。 |
DE
元の名 | 訳 | 概要 | 関係 | 備考 |
Das Vierte Reich | 第四帝国 | カルトと科学の集団。リーダーはドイツ帝国の下で働いており、ナチス帝国の後継組織として組織された。メンバーは異常能力を持ち、政治的にも強い。 | 中立 | 財団とは敵対してないけど、邪魔すると邪険にされる。ナチスドイツの後継とかすごそう。 |
Raptor Tec. Industries | ラプターテック・インダストリーズ | 兵器や車両、ドローンや人工知能に関する研究開発企業。現在は、自社製品の実地性能試験としてか、DE支部へ執拗に攻撃をしてきている。邪魔。 | 敵対 | 元々DE支部に装備提供をしてた団体。提供物品が異常性を持ちだったから監視してた。 |
DE: Interessengruppen (http://scp-wiki-de.wikidot.com/groups-of-interest#toc24) by Dr_Grom 2017
注意: 自家翻訳はかなり適当です。