
» セキュリティコードを確認中…
» 諜報局人事部サーバーの応答を待機中…コードの照合が完了しました。
» ようこそ、担当職員様。ご希望のファイルを選択して下さい。
「へっ、財団のセキュリティもこの程度か。俺様の手に掛かれば、ちょろいモンだぜ。さーて、どんな奴かな、蒼井の弟子とやらは──」

もう紛失しないように
戸神 司(とがみ つかさ)、日本国籍、男性、満2█歳。
雇用までの経歴: 西洋魔術の世界的権威である故・戸神博士の孫であり、祖父の影響を受け同じ道に進みました(卒業論文は「中世魔女に見る地母神信仰の残滓」)。
三須角大学に在学中、要注意団体██████の犯行がキリスト教グノーシス派の思想に基づいていることを警察に示唆、事件解決と██████が秘匿していたSCP-███-JPの回収に貢献したことから財団の目に留まり、雇用に至りました。
財団側は当初研究職に席を用意していましたが、本人の希望を受けて諜報局調査部への配属になりました。理由については「魔術は研究室で起きているんじゃない、現場で起きているんです!」と述べています。
諜報局人事部によるフィールドエージェント適性評価: 202█/█/██時点のもの

スキルランク目安: D=趣味レベル C=セミプロレベル B=プロレベル A=エキスパートレベル
S=国内トップ10レベル、SS=世界トップ10レベル、SSS=[削除済]
諜報局人事部による人物評サンプル:
「ソロモンの大鍵1を丸暗記している人を、自分以外で初めて見ました」-遠野司書
「ええと、注文は……イモリの黒焼き、墓場の土、マンドラゴラの根っこ……何に使うんだよ?」-エージェント・差前
「せいぜい高校生にしか見えない……あ゛? 中学生にしか見えない奴に言われたくないって?」-エージェント・餅月
「私の身長を分けてあげたい」-長夜博士
「(メイド服を手に)ねね、先輩も着てみません? きっと似合いますよ!」-エージェント・那澤
「(猫耳カチューシャを手に)ねね、戸神君も付けてみない? きっと似合うよ!」-エージェント・猫宮
「シイタケ食うか?」-天王寺博士 ←関係ない書き込みはお控え下さい -諜報局人事部
「常連さんです。私より主に子供達に慰められています」-賀茂川カウンセラー
「呆れたお人好し。なにせ私ですら殺せなぐぼぁ!?(インタビュアーに殴られて終了)」-大和博士
「普通に会話しているだけでセクハラしている気分になれるから便利」-ゴリラウーマン -前原博士
「なりたさんに優しくしてくれます……あの、何で私のコメントだけ、色がこんなに薄く……?」-朝比奈博士
「嘘をつくと、右目に“う”、左目に“そ”と表示されるらしいで」-エージェント・カナヘビ
「隠密行動と称してダンボール箱を被ろうとした」-D-2930特例Dクラス職員
「何だ、その遅いパンチは? ハエが留まるわ!」-霧甲水博士
「解雇? しないわよ。だって、見ていて面白いし☆」-日本支部理事”鵺”
現在までの任務実績: ※画像説明
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単独行動を取らせるには経験が不足しているため、指導教官であるエージェント・蒼井(元監査部所属)とツーマンセルを組ませています。※東弊重工の拠点に突入前、エージェント・蒼井と。銃の安全装置が外れず焦る。 | エージェント・蒼井は「気長に育てる」とコメントしています。※202█/█/██、合同射撃訓練での成績。 |
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祖父の縁故で世界中の学術機関にコネクションを持っています。SCP-███-JPの研究にスミソニアン博物館の所蔵品が必要になった際、██████館長に連絡を取り、世間話混じりに貸与の許可を得ることに成功しました。※禁断の魔道書を収めた閉架書庫にも顔パスで入れます。 | 財団フロントサイト、“神の摂理”魔術クラブ(S∴C∴P=Sorcerey club of providence)の管理者の一人です。本サイトは81地域ブロックの魔術愛好者の交流サイトとして機能しており、フォーラムのログからしばしば異常存在に繋がる情報を発見しています。※サイト内ではネ申と呼ばれているそうです。 |
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オカルト系要注意団体████への潜入作戦において、メイン潜入員を担当しました。卓越した魔術の知識で首領の信頼を得、団体が秘匿していたSCP-███-JPの確保に貢献しました。※潜入3日目で秘密の儀式への参加を許されました(本人・右)。 | 魔術の知識が必要な研究に、外部アドバイザーとして参加することがあります。※SCP‐███‐JPの収容実験に参加する様子(本人・左)。魔法陣の参考資料に用いられていたアブラメリンの書の誤訳を指摘し、実験を成功に導きました。 |
私の好きなSCP-JP
私の好きなTale-JP & GoIフォーマット-JP
◆自作記事 投稿コンテスト・キャンペーン 関連カノン・シリーズ
・SCP-362-JP/赤い下水道
・SCP-513-JP/向こう岸
・SCP-606-JP/拷問教会
・SCP-703-JP/不法投棄
・SCP-804-JP/パンを踏むべからず
・SCP-912-JP/もう星は盗まない
・SCP-1016-JP/遠吠えの森のマドモアゼル
・SCP-1109-JP/猫の星返し リサイクルコンテスト2019
・SCP-1208-JP/不幸屋とお客たち 72時間ジャムコンテストJP-2019
・SCP-1370-JP/エデンは遠く
・SCP-1405-JP/英国式白銀庭園
・SCP-1643-JP/ヴェルサイユの木陰にて
・SCP-1784-JP/秋の呪縛
・SCP-1789-JP/パリの小路の不思議な事件
・SCP-1795-JP/薔薇は咲き誇り、そして散る 悪のコンテスト
・SCP-1797-JP/ヴェネツィア幻想ゴンドラツアー
・SCP-1807-JP/月影古譚
・SCP-2005-JP/裁きの剣、赦しの鐘 SCP-2000-JPコンテスト
・SCP-2107-JP/シデムシに手を出すな リサイクルコンテスト2021
・SCP-2206-JP/君と見たかったあの湖で リサイクルコンテスト2021
・SCP-2305-JP/空中黄金戦艦マリエンの王冠号
・SCP-3001-JP/漂流者たちのボトルキープ SCP-3000-JPコンテスト
・Tale-JP/竜に乗って会いにいく
・Tale-JP/すきですさよなr
・Tale-JP/納涼! 財団お化け屋敷 財団夏祭り
・Tale-JP/「分かってます。それでもいい。」 悪のコンテスト
・Tale-JP/たんぽぽが咲く頃に
・Tale-JP/ミッション・ベアハント
・Tale-JP/ウォーレンのすてきなレストラン 無のコンテスト
・Tale-JP/ykamikuraの提言 無のコンテスト
・Tale-JP/ボルドーに火は高く
・Tale-JP/ムーンレイカー アブサンの夢
・Tale-JP/千葉県浦安市でハハッが児童を襲撃 1998年
・Tale-JP/マイ・シン 嘘のコンテスト アブサンの夢
・Tale-JP/蛇と焚書のカルテット: 終演 チームコンテスト2020 蛇と焚書のカルテット
・Tale-JP/蛇と焚書のカルテット: 第三頁 - 血雨と血涙 チームコンテスト2020 蛇と焚書のカルテット
・Tale-JP/Monologue of B&D 財団職員 The Identity
・Tale-JP/劇団SCorPio舞台「サソリたちの仮面劇」第0回公演 財団職員 The Identity
・Tale-JP/小菊の墓 大正150年
・Tale-JP/擬人の愛 大正150年
・Tale-JP/東方に消ゆ リサイクルコンテスト2021
・Tale-JP/船擬きと船喰蟲
・GoI-Format-JP/ハーマン・フラー主催: 光の天使サニー クロスリンクキャンペーン ドレッド&サーカス
・GoI-Format-JP/生き物プロフィール: ファッキンクソダック! 嘘のコンテスト
・GoI-Format-JP/財団 SCP-606-JP“拷問教会”の機密指定を解除 1998年
・GoI-Format-JP/闇寿司ファイルNo.864 "ユムシ軍艦" リサイクルコンテスト2021 スシブレード
◆合作記事
・SCP-978拡張実験記録-JP エージェント・戸神、SCP-606-JP-1の撮影結果を追加させて頂きました!
・SCP-549-JP補足資料 昆布その他を追加させて頂きました!
・波戸崎研究員の挨拶回り エージェント・戸神を追加させて頂きました!
・SCP-554-JP/マハーラージャの聖牛 nao_sunneyさんと共著させて頂きました!
・財団服飾部門依頼受諾記録 エージェント・戸神の依頼を追加させて頂きました!
・蛇と焚書のカルテット ハブ チーム「永久欠番四天王」のメンバー(Dr_Knottyさん、
v vetmanさん、私)で共著させて頂きました!
◆記事裏話 ※未読の方はネタバレ注意
かの有名なSCP-354/レッドプールの下水道バージョンのつもりで書きました嘘です書いてる途中でネタ被りに気付きました。イメージソースは、映画ゴーストバスターズ2のスライムが流れる下水道です。
2020/03/14、大規模改稿しました。最後のインタビューログを削り、もう一捻り加えてみました。できれば「巨大生物の血管」の可能性も残したかったのですが、構造的に難しかったですね……。
平坂氏の書置きの”春の花も夏の空も~”はH・P・ラブクラフトのクトゥルフの呼び声からのパクリリスペクト引用です。あ、私に神話ネタは振らない方がいいですよ! 止まらなくなりますからね! いあ、くとぅるふ、ふたぐん!
シスター・カタリナ、エージェント・片岡理奈……彼女達の名前は、果たして偶然でしょうか。結末についても、色々な解釈ができるかもしれません。ひょっとしたら、エージェント・蒼井の願いは、何らかの形で叶ったのかもしれませんね。
私にとって「蒼井の後輩である」ことは、エージェント・戸神のキャラクターを形成する重要な要素の一つです。戸神が登場する記事は全て、多かれ少なかれこの記事が影を落としているでしょう。もちろん、皆さんが戸神を書いて下さる場合は、お気になさらなくて構いません。あくまで「私にとっては」ですからね。
0が溶けてしまったのは、出現当時の南極大陸がまた温暖な気候だったためです。0だけが大昔に現れたのは、”何者か”のミスでしょうか。あるいは、南極大陸をSCP-703-JPの保存に適した環境にするために、わざとやったのかもしれません。まあ、ぶっちゃけ、真相ははっきり決めていません。
元ネタはアンデルセンの童話『パンを踏んだ娘』です。パン繋がりで、キリスト教の聖体拝領(聖餐とも。パンとワインをイエスの血肉に見立て、信者が食する儀式)もモチーフにしています。そもそも、パンを踏むことが地獄に落ちるぐらい重い罪とされているのも、聖体拝領の思想がバックになっているそうです。イエス様の体を踏んづけたりしたら……そりゃ、天罰不可避ですね。
十字架上の人型実体はイエスの投影(力の残骸、イデアの影……ともあれ、本人ではありません。ありませんからね!)であり、ブレッド夫人はイエスの妻という説があるマグダラのマリアをイメージしています。何らかの理由で、イエスの投影から作ったパンを売り、彼の教え(キリスト教と言うより、もっと根源的なもの)を広めようとしています。
ブレッド夫人がパンを売る理由は、次のどちらかを想定しています。
- イエスの教えを広めるために、あえてこの世に留まっている。
- 何らかの理由で天罰を受け、天国に行けない身になった。そのため、この世の方を天国に近づけることで、イエスとの再会を果たそうとしている。
彼女をモデルに童話、およびその主人公インゲルが書かれた……という経緯を想定しています。ブレッド夫人が鳥怪人になったのは、小鳥になって償いを続けるインゲルのイメージです。
パンを踏むと落ちる空間と、ドアの向こうの空間は中で繋がっています。どちらでも[水が泡立つ音]がすることがその証拠であり、インゲルが落ちた沼の底の地獄をイメージしています。
オチのワインバー開店は、ブレッド夫人に惚れていたD-7122が彼女に協力を申し出たせいです。パンと並ぶ、もう一つの聖体拝領のシンボル、ワインを売ることにした訳ですね。
発想元はミステリ小説『私たちが星座を盗んだ理由』(著・北山猛邦、出版・講談社文庫)です。こちらでは現実的なトリックでしたが、本当に星を盗めたらどうなるだろうと思ったのが切っ掛けでした。
お察しの通り、█姉ちゃんの正体はステラちゃんことSCP-134/星眼児のつもりです。まあ、この記事の存在するパラレルワールド上でのお話ですので「これが公式設定じゃ!」なんて主張するつもりはありません、念のため♪ 「俺たちのステラを汚すな!」とか言われるんじゃないかと(今も)ビクビクしてますが、書きたい衝動が抑えられなかったすまん。
ペルセウス計画の下りはあるお方のアドバイスがなければ書けませんでした。重ねてお礼申し上げます!
ボナールは人狼(と人類に呼ばれる何か)の血を引いていました。その血筋がもたらすビジョンのおかげで、独特の画風を確立しました。その才能はフランスの要注意団体"ヒューマニストの貴族たち"、通称貴族たちに見出され、彼らの援助を受けることができました。貴族たちは人類を"優れたる人"という理想像へ押し上げることを目指しており、芸術はその有用な手段になると考えている組織です(と私は解釈していますが、正直自信がない)。
1940年、最初の悲劇が起こります。突如人狼の血に目覚めたボナールは、愛妻ロクサーヌを殺害してしまいます。幸い(?)ナチスドイツの仕業と誤認されたものの、自らの所業を恐れたボナールは隠居して世との繋がりを断ちます。しかし、その後も幾度も人狼化して村人を殺害してしまいました。被害者の遺体の様子は、ボナールの申し訳ないという気持ちの表れです。
人狼にはなりたくない、しかし人間でもいられない。追い詰められたボナールの元に、貴族たちから贈り物が届きます。その名も"ラファエロの創造の筆"。心血を注いで描いた絵を実体化できるというもので、これを用いてボナールは最後の作品"猟犬を愛でる冥界の女神"(モデルはギリシャ神話の冥界の女神ヘカテ)を描きました。そして生まれた存在が、お嬢様ことSCP-1016-JP-2です。ボナールは彼女に犬として飼ってもらうことで、誰にも迷惑をかけまいとしたのです。
現在、ボナールがどうしているのかは分かりません。まだお嬢様に飼われているのかもしれませんが、ひょっとすると、衣装部屋にあった妙に真新しい毛皮のコートは……。
村に現れた狩人の一団は、ボナールと同じ人狼の一族です。ボナールが同族だと何らかの手段で知って、仲間に迎えるべく邸宅を目指しました。2010年代にはボナールは100歳以上ですが、人狼は不老不死なので生きている可能性はありました。しかし、時すでに遅し、ボナールはお嬢様の世界に去ってしまっていました。
諦めきれない人狼たちは、ここで待てばいずれボナールの子孫がやって来ると考え、周囲の森に潜伏することにしました。彼らが狼の群れことSCP-1016-JP-1たちです。森にやって来たDクラスにかけた言葉は「お前はボナールの子孫か?」だったのでしょう。
そして念願の子孫である████氏がやって来ますが、彼もまたお嬢様の犬になってしまいます。彼が陥った"森(=人狼の世界)には出られない、けれど館(=人間の世界)にも居られない"というジレンマは、先祖の記憶の追体験でもあったのかもしれませんね。
お嬢様が████氏を解放した理由は不明ですが、ひょっとしたら機動部隊隊員アルファという最高級犬が手に入ったからかもしれません。複数飼いはしない主義なんですかね……。
原案はVideoGameMonkeyMONOさん著『彗星ネコ』です。リサイクルしすぎて原型留めていませんが……それでも、この原案を拝見しなければ、この記事は生まれなかったことは断言できます。インスパイアされました、ええ! VideoGameMonkeyMONOさん、あまり原案を活かせなくてすいません。
初めはもっとこう、ロマンチックなお話にするつもりだったんですよ。猫が星の欠片を集めているとか。それがどうしてこうなった。元ネタは多分、ラヴクラフトの小説『未知なるカダスを夢に求めて』での猫が月にジャンプするシーンや、漫画『鎌倉ものがたり』での小さくなって猫の体に入り込むエピソードだと思います。あと平沢師匠の『地球ネコ』もきっと影響している。脳内化学反応って不・思・議。
影響個体、惑星ぬこ、ノミ怪人、ネコノミの関係については、ぶっちゃけ詳しく考えていません。ノミ怪人は惑星ぬこの血を吸わせてもらう代わりに、ウイルスや異星人といった連中から守っている……とかも考えてみたんですが。ネコノミは彼らの子供で……どうして地球にいたんでしょうね。留学とか(思考放棄)?
元ネタは私も大好きなボカロP、きくおさんの楽曲『不幸屋の娘』です。元ネタの主人公の役割を不幸屋とお客に分離し、オチの一言で再び融合させる……と言った感じですかね。
黄欣怡さんの心情に共感……は無理でも、せめて理解して頂けるかどうかが、評価の分かれ目かなぁ。自ら望んで不幸になろうとする人は、確かにいると個人的には思いますけどね。その多くは無意識の内に、かもしれませんけど。不幸屋に「その不幸、引き取ろうじゃないか」と言われたら、あなたはどうしますか? フフフ……。
いやあ、ジャムコンはとんでもないことになりましたねえ。72時間という制限にも関わらず、あの投稿数……しかも、複数投稿する人まで!化物か。白状すると、構想は以前からあったんですが、執筆は本当にテーマ発表後に始めました。完成直前はランナーズハイで(゜∀。)アッヒャッヒャ!←こんな顔になってたと思います。
発想元はNeruさんのボカロ曲『病名は愛だった』です(ぜひ視聴しながら記事を読んでみて下さい!)。こちらは比喩表現ですが、もし本当に愛が病気扱いされていたら……という発想から色々広げました。
ナンバーの由来は、ゲマトリア数秘術で"全体、完全、基礎"を意味する数字370からです。370YのYはヤハウェ(YHWH)のYのつもりです。ブライト博士はここからYesodというオブジェクトクラスを連想したのかもしれませんね。
新人類とその社会がどういうものかは、私自身にも想像が追いついていないかもしれません。ただ、年齢上限やエラータイプ認定なんて制度がまかり通る以上、きっと彼らには自己愛すらないのでしょう。ある意味、何の悩みもない、平穏で平等な世界かもしれませんが……ともあれ、彼らにとっては、良くも悪くもない当たり前の世界なのでしょうね。
この世界が今後も安泰(?)かどうかは分かりません。財団の手を逃れた恋人たちが、愛のパンデミックを引き起こすかもしれません。また、世界のどこかには、旧世界の生き残りが隠れ住んでいるかもしれません。それを察知した370Yが、再び地球に降臨したら……今度こそ、愛に満ちたエデンが実現するのかもしれませんね。
ホカイドーのポッポロ=北海道の札幌、すごいお祭り=さっぽろ雪まつりです。最近の妖精はグローバルですね~。一応、SCP-2952 - 地方グウェリン国際輸送の妖精たちと同じ種族のつもりです。あのワンちゃんなら日本にも駅がありますし、彼らが来日しても不思議はないでしょう──かな?
発想源は「さる植物園が冬期の集客率を上げるためにイルミネーションを実施」というニュースでした。そこに前々から書きたいと思っていた妖精という題材を組み合わせることで、何とか形になりました。健気でかわいいけど、財団的にはちょっと困る──という感じが出ているでしょうか?
イギリスでは多くの人々が、密かに妖精との交流を持っている──というのが、私のヘッドカノンです(妖精用の道路標識があるお国柄ですしね~)。1998年カノンの世界で、公に姿を現した妖精たちのお話なども、いつか書いてみたいですね。
現代のヴェルサイユ庭園が絶好の[削除済]スポットだと知って( ゚д゚)←こんな顔になったので、是非皆さんにも( ゚д゚)←こんな顔になって欲しくて書きました。ヴェルサイユ庭園で[削除済]かぁ、ロマンチックなんだが下品なんだか……。
ヴェルサイユ庭園の美しさ、広大さを知るには、現地に行かれるのが一番でしょうが、グーグルアースでもかなり臨場感溢れる映像が見られます。はっきり言って、日本人が想像する"庭園"の概念を超越しています。ヴェルサイユ宮殿を包む、これ自体が一つの世界と言ってもいいくらいです。
記事中でル・ノートルが述べている"サロン"はAWCY?の原型になった組織の一つという設定です。思いついた自作要注意団体案を書いていくだけのスレに投稿した"ガブリエル夫人の魔法のサロン"にしようかなとも思ったのですが、蛇足っぽいので諦めました。代わりに使って頂けると、私がのたうち回って喜びます。
季節感のあるSCPの中でも、秋に関する記事は少ないなぁと思って書きました。あと、レイ・ブラッドベリの小説「たんぽぽのお酒」での青年と老婦人の年の差恋愛っぽいシーンが好きで、ちょっと真似してみたかったんですよね。
エージェント・戸神の「それでも、理解の努力はすべきだと思います。女性と対等のパートナーでいたいなら」というセリフは、先輩のエージェント・蒼井のことを念頭に置いているのかもしれません。こんな風に想像の幅が広がりますので、ネームド職員は積極的に使っていくのが私の方針です。まあ、財団世界観を崩さない程度に、ね。
サンジェルマン伯爵は実在の人物ということに一応なっていますが、ググると色々すごい逸話が出てきます。まさに18世紀の厨二キャラです(あ、豚肉の塩漬けちゃんが悶絶してる~)。ネタとしてのポテンシャルは高いので、機会があればぜひ再登場させたいです。
記事中に登場する通りは、全て実在します。特に、魚釣りをする猫通りは有名みたいですね~。ニューヨーク通りはフランス原語が並木道(Avenue)なので、小路(Rue)と言う程狭くないかもしれませんが、ここは記事の都合を優先させて頂きました。
リュミエール騎士団が登場する記事を書くのは目標の一つでしたので、個人的には大満足の記事です。一応、フランス支部の騎士団関係の記事には(Google翻訳先生のお力を借りて)目を通したのですが、この記事中の騎士団は、あくまで私の想像です。パリをあっさり見捨てる騎士団や、見捨てないにしても財団の手は借りない騎士団の方が、フランス支部の意向には近いかもしれません。
フランス支部のリュミエール騎士団ハブページは改稿が予定されているそうです。なので、この記事は改稿後のハブページと設定がそぐわなくなる可能性もあります。そうなったらどうするかは、その時になってから決めたいと思います(最悪放置)。え、改稿まで待てば良かったんじゃないかって? 書きたい衝動が抑えられなかったすまん。
コンテストで初めて残れた記事です。コンテスト苦手なんですよ~~~。自分の書きたいものしか書けない人間なので……。コンテストで毎回上位に食い込む人はすごいですよね!
ルイ17世に関してもっと知りたい方は、こちらなどが参考になります。下手なホラーより怖くて悲惨なので、閲覧はお覚悟の上で! 何が恐ろしいって、これ史実(だから100%真実ではないかもですが)なんですよ。加害者たちには「庇ったら革命政府にギロチられる」という恐怖もあったのでしょうが、それ以上に高貴な人物を辱めるサディズムに酔っていたのではと思うのは、私だけでしょうか……。
悪コンでは「こんな悪趣味な創作をしている我々が一番悪い」というテーマの記事が多かったので、そのアンチテーゼっぽい感じにしてみました(後出しジャンケンっぽくてずるいかな~とは思いましたが)。この記事を通して、ルイ17世の悲哀を一人でも多くの方にお伝えできれば、何よりの証明になると思います!
執筆にあたって、『海の都の物語』(著・塩野七生、出版・新潮文庫)を大いに参考にさせて頂きました。あと『ARIA』ちょっとボリューミーながら文章は読み易いので、ヴェネツィアの歴史に興味のある方にはお薦めです。恥ずかしながら、この本を読むまではヴェネツィアがかつてヴェネツィア共和国の首都であったことすらよく知りませんでした。皆さん、こんな私でも書けるんですから、海外モノ難しそう歴史モノ難しそうと尻込みする必要はないですよ! 必要なのは興味だけです!
かつてのような地中海の覇者ではないけれど、世界中から観光客が訪れ、海賊や戦争に悩まされることもない──ヴェネツィアは現在こそが黄金期なのかもしれませんね。SCP-1797-JPも理性では分かっていたのでしょうが、博士に言ってもらうまでは確信できなかったんでしょうね。それにしても、千年以上も待ち続けるなんて、奥さんも辛抱強いですねえ。
幻島同盟の要素は上手く組み込めているでしょうか? 争いのない新天地に旅立った幻島国と、あくまでこの世界に残ることを選んだヴェネツィアの対比が描けていれば成功です。幻島同盟は設定が詳細すぎて却って使い辛いというお声を聞きますが、このように一部を引用する使い方なら難易度は下がると思います。
読者様によくある因果応報譚としか見て頂けなかったら、この記事は失敗です。私が想定している成功は、"物語"という得体の知れない存在を感じて頂くことです。だからこそ、この記事のタイトルは天空の網でも月影の衣でもなく、"月影にまつわる古い物語"なのです…なんちゃって、記事の楽しみ方は読者様の自由ですけどね~。
タッシリ王国は目指せ要注意団体…は無謀としても、何らかの形で再登場できないかなぁと考えています。関連する異常存在はその由来に関するシチュエーションを再現する…いわゆる物語的な異常性を備えていて、何ならタッシリ王国そのものが物語という名のミーム的な存在で…とか妄想しています。あとは、動物が普通に喋ったりすると、アフリカの神話的な雰囲気が出ますかね。
1. サンソンはどういった存在なのか?
リュミエール騎士団の秘術によって、天使のような存在に生まれ変わっています。不老不死の上様々な能力を行使でき、定命の人間にとってはまさに「神聖にして不可侵」ですが、通常はこの世界に長時間出現し続けることはできません。
2. なぜサンソンは戸神と雛倉の前に現れたのか?
サンソンが出現する条件は何より、処刑人の「殺したくない」という想いです。それさえあれば、非合法な私刑等でも出現していた可能性はあります。ただし、ごく稀なケースな上(普通、私刑は殺意に駆られてすることですし)、財団の目に留まる可能性も低いでしょう。あるいは「█████軍保衛司令部」が国家機関であったこと、「略式裁判」を経て合法的な処刑のような体裁を取っていたことで、出現条件を満たしたのかもしれません。
3. なぜサンソンは雛倉に憑依したのか?
上述の通り、通常サンソンはこの世界に長時間出現し続けることができません。そのためには依り代が必要です。戸神を助けたかった&少なくともあの場はサンソンに共感していた雛倉は、無意識の内にサンソンの依り代になることを受け容れてしまいます。
4. なぜサンソンはO5を狙ったのか?
雛倉に憑依したサンソンは、彼女と精神を共有することで財団の情報を得ました。そして財団が「殺したくない」という思いを抱える人々に溢れていることを知ります。Dクラスで人体実験しなければならない研究者、異常性に曝露した一般人を終了しなければならないフィールド職員。そして、雛倉のように同僚さえ見捨てなければならない者……。
サンソンの価値観では、それは革命期のフランスと何ら変わらない、理不尽で醜い"国家"でした。よって、"処刑人たち"に不本意な"処刑"を強いる"国王"であるO5を討伐することを決意します。悪い人ではない(むしろ聖人)んですが、基本がフランス革命期の人なんですよねぇ。
5. なぜ鐘は戸神の発砲に反応したのか?
戸神を始めとする、雛倉の同僚たちの「殺したくない」という想いを、鐘が"祈り"だと判断したためです。自力では叶えられない、でも諦められない願いがあるならば、無宗教の人間でも祈りは自然にこみ上げるのでしょう。リュミエール騎士団も「ヴェールの守護者たる諸君なら、サンソン氏の苦しみが理解できるはずだ」と言っているように、こうなることを計算、少なくとも期待はしていたのでしょうね。
もし、戸神が下手に冷静ぶっていたら、鐘は反応せず、この物語はバッドエンドを迎えてしまったでしょう。それどころか、いつか罪悪感を誤魔化しきれなくなった戸神の前に、サンソンが再び現れて──今度こそ、誰にも止められないSCP-2005-JP-1が誕生し、O5が皆殺しにされるというナイトメアエンドが待っていたかもしれませんね。
6. 監視カメラログ後半、戸神とサンソンのやり取りが噛み合っていないのは?
雛倉がテレパシーで二人に話しかけているためです。戸神やサンソンのセリフから、雛倉が何を言っているのか大体想像できるようにはしたつもりですが……。雛倉のセリフもご覧になりたい方は、ページソースに仕込んでおきましたのでご参照下さい。
7. なぜリュミエール騎士団は鐘を(他のサイトではなく)サイト-81ILに送ったのか?
お話の都合ゲフンゲフン、まあ、次にサンソンが現れるのがサイト-81ILだと、超常的な手段で知ったんでしょうねえ。
8. なぜサンソンに憑依されていた雛倉の記憶が[削除済]になっているのか?
ぶっちゃけ「よく覚えていない」でもいいのですが、それだと戸神の「漠然としたイメージがあるのみで、詳細は記憶にない」の繰り返しになってしまうのでこうしました。ひょっとしたら、サンソンの属する上位次元の存在(神様とか)を見たのかもしれませんね。
*
という訳で、サンソンを題材にするという、長年の念願が叶いました。彼の人生自体があまりにも"完成度の高い物語"なので(元恋人を処刑する羽目になるとか、出来すぎですよねえ)、中途半端な付け足しでは蛇足にしかならない……しょうがないので、蘇らせて200年以上も仕事を続けさせることに。鬼か私は。
一応、SCP-606-JP/拷問教会の続編でもあります。自分を誤魔化し続けたせいで、罪悪感に潰されてしまった蒼井。エージェントとしての責務は果たしながらも、殺したくないという想いを捨てなかった戸神。そんな師弟の対比が描けているでしょうか? 「俺みたいになるなよ」という蒼井の遺言は、少なくともこの記事の戸神には届いたのでしょうね。
死刑制度に関しては、私は賛成とも反対とも言えません。無責任と言われても仕方ないのですが、そんな重大な決断に関与する資格は、自分にはないと思っています。ただ、死刑制度に関する議論の際は、被害者と加害者の他に、刑務官もまた"当事者"であるという事実を念頭に置いた方がいいと思います。それが、サンソンについて書く過程で私が得た、ささやかな持論です。
原案はARAGAMIakitさん著 『君と見た湖を』です。リサイクルしすぎて原型留めていませんが……それでも、この原案を拝見しなければ、この記事は生まれなかったことは断言できます。インスパイアされました、ええ! あれ、このセリフ、前回のリサコンでも言ったような気が……。
楼蘭の美女が土谷氏に瓶を託した理由は、第一には彼が楼蘭に憧れていたからですが、彼の原風景(人の心の奥にある原初の心象風景)が湖だったからという理由も大きいでしょう。ロプノール湖は現実世界の██湖というより、土谷氏の原風景と融合したのです。土谷氏がロプノール湖と██湖を混同しているのも、融合の影響かもしれません。
執筆の参考にした『楼蘭王国―ロプ・ノール湖畔の四千年』(出版・中公新書、著・赤松明彦)によると、楼蘭を地図に記載しているのは日本だけなのだそうです。現地の中国も地図には載せていないとか。まあ、現在は無人の砂漠ですから、それが普通でしょうね。むしろ、日本人がここまで楼蘭にこだわる理由こそ謎ですねえ。
竜はビッグフット達の文明を滅ぼした天候操作兵器のつもりです。それが二人の友情の象徴になっているのは、皮肉と同時に救いにもしたつもりです。犀賀派には、このTaleで登場した"方舟"の完成を優先する"方舟分派"という分派があり、主流派と微妙に対立している……なんて設定も考えています。よろしければ、使ってみて下さいね。
自作史上、かつてない程UVDV入り乱れた問題作です。SCP-496-JPちゃんがエージェント・蒼井に簡単に惚れすぎと言われてしまったんですよねえ。ウイルスよりも短命な彼女は、恋愛過程のスピードも人間より遥かに早いから……と、いう事にしてはいるんですが、説得力が足りなかったですかね。
あるいは、496ちゃんの本体と蒼井が、以前から知り合いだったという設定にするのもありですかね。でも、どういうシチュエーションにしたものかなぁ……よいアイデアがあれば、ぜひお寄せ下さいね。
や、やっと戸神をTaleに出演させられました! いやあ、これまでにもチョイ役では出ていたんですけど、ここまで設定をがっつり組み込めたのは初めてです。著者ページを作ってから、約3年……長かった。生みの親だというのに、扱い辛い子で困ります……。
冬美は自分がコピーであることも含めて「分かってます。それでもいい」と言っているのか、戸神は本当に冬美を道具としか思っていないのか、それは読者の皆さんのご判断に委ねたいと思います。戸神については、「自分を誤魔化してる」と蒼井は思っているみたいですけど、ね。
ちなみに、宝石言葉の意味には気付いて頂けたでしょうか? ことごとく皮肉になっているんですよ……我ながら意地が悪いなぁ。
大好きな記事てんこ盛りの、私的なハッピーセットTaleです。いや、XK-クラス起きちゃってますけど。終末モノはもう食傷気味かなぁとも思いましたが、書きたい衝動が抑えられなかったすまん。
リリーの提言、いいですよね。きっと、一番幸せな世界の終わりです。あゝ死よ、いいですよね。クソトカゲが死んでいるのを見て絶望したのは、私だけではないはず。
そしてさきがけ……恥ずかしながら、この記事を書いて初めてタイトルの理由が分かったような気がします。ハービンジャーは終端であると同時に、先端でもあるという訳ですね。この宇宙を舞台にしたバトンリレーにとっては。改めて著者様の構想の壮大さに感服しました。
何とかこの3記事を共演させたいな、でもただ並べただけじゃダメだろうな……ということで、花言葉で繋げるというテクニックを使ってみました。たんぽぽということで、レイ・ブラッドベリの小説『たんぽぽのお酒』(多分、多元宇宙とたんぽぽのお酒についての元ネタ)を彷彿とさせる表現も散りばめています。一つは簡単かもですが、もう一つは分かるかな……?
まあ、お分かりかと思いますが、元ネタはディズニーアニメのくまのプ[削除済]さんです。キャスティングはジェラルド博士がピグレット、ライツ博士がティガー、 グラス博士がラビット、 ギアーズ博士がイーヨー、 ブライト博士がオウル、エージェント・戸神がクリストファー・ロビンです。Bを風船と泥で雨雲に化けさせるシーンも、くまのプ[削除済]さんからの引用です。
作中人物ではなく、読者をダイレクトに騙すという(フヒヒ、サーセンwww)叙述トリックを用いてみましたが、いかがだったでしょうか? 本来はミステリーのテクニックですが、ホラーや感動ものでも使えそうですよね。
一見するとギャグTaleのようですが、抗ディズニー部門だってKaterクラス、つまりキチクマと同等の危険度なんですよねえ。ヤツがGOCに寄生したのは、果たして偶然でしょうか? あるいは、これこそが最終目的だったのかもしれません。財団世界のディズニーランドはどうなることやら……。
このTaleの構図を一言で表すなら、司の宇宙と動物たちの宇宙(SCP-280-FR-1)の存在を賭けた喰らい合いです。
ストーリー開始時点で、司の宇宙は彼のみを残して消滅してしまっています(だから、そもそも帰りようがない訳ですね)。原因としてはSCP-1690-JP/犭貪あるいはウロボロスを想定していますが、読者に要求される前提知識が増えすぎる気がするので、明言は迷っています……。
動物宇宙への入口であるドア(SCP-280-FR)が残っていたのは「次の宇宙の卵」だからです(SCP-280-FRのメタタイトルの「明くる日」を、この記事中では今の宇宙の消滅後と解釈しています)。司が残ったのは、その近くにいたせいで宇宙の消滅に巻き込まれずに済んだからです。本来であれば、すぐに動物宇宙がドアから溢れ出て次の宇宙になるはずでしたが、そこに司が迷い込んできたことで、宇宙は不確定な状態になります。
この記事における宇宙は、そこに属する者たちの主観の平均値が状態に反映されます。なので、前の宇宙の唯一の生存者=観測者である司は、図らずも神にも等しい現実改変能力者になっていました。
今、世界の観測者は自分しかいない。世界全てが、シュレディンガーの猫箱の中にあるようなもの。ならば、世界の在り様は自分次第ではないのか。
Menu 5/ソルベ(口直しの冷たいお菓子)より
しかし、司の能力はこの段階では動物宇宙とその観測者たち、即ち動物たち(SCP-280-FR-2)の主観によって抑制されています。「ちょっと賢いだけのヒト、カンニーに過ぎない」と。また、司自身が己の能力を自覚していないことも、抑制を強めているでしょう。ただし、宇宙を改変するのは不可能でも、自分の肉体に僅かながら影響は及ぼしており、蒼井を失った喪失感、それを埋め合わせたいという願望が空腹感となって現れています。
ああ、そうに違いない。こんなに空腹なのは。
(この虚無が、飢えているせいなのか)Menu 7/サラダより
司という小さいながら影響力の大きい異物を抱えている限り、動物宇宙は新しい宇宙にはなれません。そのため、動物たちを操って(彼らに自覚はありませんが)、司を排除しようとします。動物宇宙が人体だとすれば、動物たちは白血球等の免疫細胞というイメージです。
建物が牙のように立ち並んでいる。空が飢えた目をぎらつかせている。地面がぺろりと足を巻取ろうとする。
世界が囃はやし立てている。そらそら、何をしている動物ども。早くその異物を捕まえろ。Menu 4/ポワソン(魚料理)より
実は、司以外にも以前の宇宙の痕跡は存在します。一つはカンニーです。
「ああ、それまデは、言葉を喋るどころか、頭に思い浮かべたこトすらなかったのに」
Menu 5/ソルベ(口直しの冷たいお菓子)より
と、トビーが語っているように、人間のカンニー化は自然な学習の結果ではありません。「人間は知的生命体」という以前の宇宙の法則が動物宇宙の人間に影響を与え、知性化させるのが原因です。だからこそ、カンニーたち自身も己の知性を持て余してしまっているのでしょう。しかも、司より優先度は低いとは言え、彼らも動物宇宙にとっては排除の対象です。踏んだり蹴ったりですねえ……。
もう一つの痕跡は、ウォーレンことSCP-210-FRです。彼女は「動物は人に狩られ食べられる」という法則の具現化です。司を狼に変えたのは、一見すると動物宇宙の住人にしてしまおうと謀ったようですが、実際は司の現実改変能力を目覚めさせ、SCP-280-FR-1に抗えるようにするためです(人狼の姿は司の考えるエージェントの理想像のようなものです)。とは言え、司に「蒼井のような一人前のエージェントになる」という強い願い/妄執がなければ、そのまま動物宇宙の住人になってしまった可能性もありますが。女神は人に試練を与えるものですからね。
なぜ動物宇宙が司やカンニーのように、ウォーレンも排除しようとしなかったのかは分かりません。彼女が「動物」という属性を活かして上手く擬態したからか、あまりの尊さにさしもの動物宇宙も手出しできなかったのか……。
いくらバーサーク人狼状態とは言え、司一人で動物宇宙の動物たちを皆殺しにできるものか? それについては……。
上空から見下ろせば、霧のヴェールを剥ぎ取られたイーデンの実相が明らかになっただろう。それは直径せいぜい数百mの、虚空に浮かぶ箱庭でしかなかった。
Menu 10/フルーツより
と、描写されているように、動物宇宙はまだ帝都イーデンの一部しか具現化していません。人口もせいぜい数百人でしょう。なので、司一人でも皆殺しは可能でした。そして、この宇宙唯一の観測者になった司は、もう一度皆に会いたいという願いを叶えるため、自らの身体を元に以前の宇宙を再創造します。
こうして宇宙を救い(?)、友人の波戸崎兄妹とも再会できた司ですが、僅かに残っていた動物宇宙の記憶が人々の動物化を招きました。自分が疑問を抱き続けると、この状態で宇宙が固定されてしまうかもしれない。それを無意識の内に察した司は、ウォーレンのシチューを頬張り、「動物は人に狩られ食べられる」という法則を体現し続けます。己の罪深さを嘆きながら。
以上はあくまで裏設定ですが、面白くなりそうならもう少し開示するつもりです。また、裏設定そのものにも固執せず、柔軟に対応したいと思います多分にこじつけですし。こんな長いTaleを最後まで読んで下さり、そして裏設定欄まで見て下さり、誠にありがとうございました!
以下のようなコンセプトで書きました。上手くいっているでしょうか?
1. SCP報告書を装ったTale
さらに言うなら、詩と小説の中間(雰囲気重視、一応ストーリーはある)という感じでしょうか。「エリア・ビオトープ」や「EK-クラス"羽化"シナリオ」といった語句は、実用というより装飾に近い使い方です。決して重要性が低い訳ではないんですけどね。
2. 正常性の擬人化・メタ的な表現
一番分かりやすい箇所は、繭になったSCP-001-JPたちが喋りだすシーンです。正常性という概念としての彼らは、メタ的な視点から財団やSCP-001-JPに言及します。逆にO5-12夫人のシーンは、あくまで一人の一般人として振舞っています。Dクラスやエージェント・戸神の恋人のシーンは、その両方の視点が混在しています。
3. 美しい虚無感
大局的な視点から見れば「みんなが手を取り合い、新たな時代が始まりました。めでたしめでたし」ですが、財団職員から見れば、守るべき正常性が消滅してしまった訳で、やはりバッドエンドと言うべきでしょう。現実を受け入れられず、自殺してしまった職員もいるようですし……そのギャップで虚無感を生み出せていれば成功なのですが。
↑のコンセプトのため、EK-クラス"羽化"シナリオの原因や本質については、あえて触れていません。おそらくは「地球が均衡を保とうとした結果」とか「財団によって"正常"という繭に押し込められていた反動」といったところでしょうが……あるいは、エージェント・戸神の恋人が語った通り、SCP-001-JPから財団への恩返しだったのかもしれませんね。
*
いやあ、私が001提言を書く日が来るとは。これも素晴らしい先行記事(参考記事にこそ入っていませんが、リリーの提言やSCP-3999/私は私に起きることすべての中心にいるの影響も大きいです)や、いつも拙作を批評・評価して下さる皆さんのおかげです。財団に入れて良かったと、改めて思います。これからもよろしくお願いします!
当初は無コンにエントリーする予定ではなかったんですが、コンテストハブページ冒頭の詩を見て「美=虚無か……このテーマでいけるか?」とエントリーを決意しました。つまりは無理矢理ねじ込んだ。「コンテストのために書く」ことができる人はすごいですよね……。
一見いいお話みたいに聞こえるけど、やっぱりペスト医師がズレている……という感じが出ているでしょうか? ジョーン王女が彼の"治療"のことを知ったら、どう思うでしょうねえ。案外気にしなかったりして?
黒死病の惨禍に関しては、調べれば調べる程、史実とは信じられなくなります。それは勿論悲劇ですが、黒死病を元にした芸術作品が、一種の退廃美を備えているのも事実です。生は死と対比してこそ輝くものですからね。いつかペストが根絶されたとしても、"黒死病幻想"は永遠に消えないのでしょうね。
輪廻転生については、ちょっと組み込み方が強引だったかなぁと反省しています(黒死病と百年戦争について調べた時点で頭がパンク)。でも、キリスト教との対比を描くためには、どうしても必要だったんですよねえ。良い改稿案がおありでしたら、是非お聞かせ下さいね、チラチラ。
このTaleを一言で言えば、戸神の夢とSCP-2686ことナイペリウスの地球帰還作戦のバッティングです。現実世界では魔術が使えなくなってしまっているナイペリウスですが、夢の中ではある程度自由に振る舞えます。そこで、夢を通して「魔術師になりたい」という願望を持つ人間を弟子入りさせ、一人前になった暁には地球への帰還を手伝わせるつもりでした。おそらく、地球側から弟子に自分を召喚させるといった手段でしょう。
そして、弟子候補として目を付けられたのが、戸神と雛倉でした。戸神が見ている夢は、セフィロトの樹の制覇あたりまでは自身のもの(樹から得た知識は、実はすでに彼が知っているものばかりです)ですが、そこでナイペリウスに『こっちじゃ、こっちへ来い。魔術師になりたいのであろう』と呼びかけられ、彼の夢へと引き込まれます。月=最後のセフィラという少々強引な展開は、二つの夢(舞台設定)を無理に繋げたせいです。
本文中では明示されていませんが、おそらく雛倉も戸神と同じような経緯で、ナイペリウスの夢に引き込まれたのでしょう。もし戸神までもが弟子入りを承諾していたら、どうなっていたのでしょう──二人は十年間昏睡状態に陥っていたかもしれませんし、夢での十年間は一晩に過ぎなかったかもしれません。どちらにせよ、魔術師になる代償として常人としての感覚を失い、財団エージェントを続けられなくなっていた可能性が高いでしょうね。
*
という訳で、「雛倉ちゃんを戸神に嫁がせよう計画」第二弾(第一弾はSCP-2005-JP)です……いや、勿論、彼女を独り占めする気なんかないですからね! 戸神、雛倉、SCP-2686という魔法使い(?)キャラたちの共演と、夢の世界の冒険を楽しんで頂きたいのですが、成功しているでしょうか?
取材のために、実際にスティルトンチーズ摘みにアブサンを飲んでみたんですが、確かに奇妙な夢を見ましたね。TVゲームをしている夢なんですが、敵から逃げれば逃げるほど、より強い敵に遭遇するなどしてドツボにハマっていくという……地味すぎて記事に使えん。まあ、飲レポ描写には多少反映できていますかね?
自分では「何となく中世っぽい文章で」ぐらいのフワフワ感覚だったのですが、批評者様に「劇脚本っぽいですね」と言って頂けたので、それで行くことにしました(!?)。「我が妻よ」「我が夫よ」と対になる呼びかけとかがそれっぽいのでしょうか、フワフワ。劇脚本の書き方も勉強してみようかなぁ。
一見いいお話っぽい終わり方ですが、冷静に考えると不壊王がヤバげなことを言っているかもしれません。「私はこの子を利用して二つの世界を繋げ、故郷の世界を侵攻する。そして、今度こそ壊れた神の教会とサーキック・カルトを乗っ取る」という意味にも取れますからね。そうなったら、王子として育てられた赤子は、義理の父に協力するのでしょうか?
1998年カノンのタジキスタン共和国に不壊王が帰還して大騒ぎに……なんて続編もモヤッと思い描いたりもしています。警戒バリバリの壊れた神の教会とサーキック・カルトに対して、当のタジキスタンは「不壊王を味方に付ければ強国になれる」と大歓迎だったりすると面白いかもですね。
1998年カノン世界なら[ハハッ]が現実に現れてもおかしくないのでは? という思い付きを核に色々付け足しました。さりげなくプロメテウス・ラボを悪者扱いしたり、財団職員の有能さをアッピルしたりして、信濃中央新聞社の財団フロント企業っぽさを表現しているのですが、上手くいっているでしょうか? え、タイトルのインパクトが強すぎて、そこまで気が回らなかった? そっか~_(:3」∠)_
この記事を書いてみて、1998年カノンが盛況な理由が初めて分かった気がします。言語化しづらいのですが、我々の現実世界との「地続き感」のおかげなんじゃないでしょうか。一般の財団世界では、異常存在は衆目から厳重に隔離されていますが、1998年世界では街中にポンと置かれていても不思議ではありません。
有名な観光地やいつもの帰り道を背景に「ここに異常存在があったらどうなるだろう?」とイメージする楽しみ、それが1998年カノン躍進の原動力なのかもしれませんね。
うーん、これは伊勢神宮が助走付けて殴りに来るレベル。初めて書いたGoI-Format記事です。GoI-Formatってガチガチに固まった形式なのに、どうやって独自性を出すんだろう。書ける人はすごいなぁ……と思っていたんですが、少しはコツが掴めた気がします。型にはめつつ、予想を覆せばいいんですかね?
財団では現状維持が限界だった彼女を、GoIである不気味サーカスが救った……そんな「皮肉で滑稽なハッピーエンド」が表現できているでしょうか? イッキィがいい人すぎという気もするのですが(おそらくですが、逆さ頭のマニーと共に、フラー団長を謀殺していますしね)、まあ、あくまで彼女の視点でのお話ですからね。
NORMAL END1「騙された世界」。ちなみにJiraku_Moganaさんの Tale-JP/拷問はなおも続くをBAD END1「報われぬ師弟」と勝手にお呼びしています。いや、あの地獄絵図ぶり(褒め言葉)に心を抉られまして。戸神の生みの親として、ちょっとはマシなルートを用意してあげたくて書きました。それがどうしてこうなった。
いや、あの展開で完全なハッピーエンドだと、さすがに戸神がメアリー・スーすぎるかなぁと。特に、色々な人が協力してくれる所がヤバそうで。600万もの人々をたぶらかした戸神もまた、結局は財団にノせられていただけかもしれない……という構図にして、どうにかバランスを取ったつもりです。あの解釈はあくまで戸神の想像ですし、的中していたとしても1998年カノン世界のIFの一つに過ぎません。その点だけはご了承下さいね。
発想源は元CIA局員スノーデン氏の内部告発事件です。正義に燃える青年が、たった一人で(ウィキリークスなどの力を借りたとは言え)巨大組織の陰謀に立ち向かい、見事に勝利する……そんな映画みたいな出来事が、現実にあるんですねえ。
思いついちゃったんだからしょうがない。
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みなさん、ぜひ使って下さい★彡
◆財団外での活動
カクヨムさんにて、クトゥルフ神話をモチーフにした作品等を発表しています。私の著者ページはこちら。昔の作品がほとんどですが、よろしければ遊びに来て下さいね。いあ!
※波戸崎研究員の人事ファイルの合作企画「波戸崎研究員の挨拶回り」に投稿させて頂いたものです。
*
真っ赤な染料で描かれた魔法陣。山羊の頭部を備えた悪魔の彫像。蛇のようにうねる妖煙を吐き出す壷。
そんな禍々しい品々を背景に、漆黒のローブをまとった人々が一心不乱に合唱している。
「ザザス、ザザス、ナサタナダ、ザザス! 守護天使エイワズの名において命ず! 呪われたアエティールよ、今こそ開け──」
その実験室で繰り広げられていたのは、どう見ても──悪魔召喚の儀式か何かにしか見えなかった。
はっきり言って、怖い。
「待たせてすまんね、もうすぐ終わるから」
「い、いえ、どうぞお構いなく」
実験責任者の博士は、その異様な光景を冷静に見守っている。
僕がここを訪れたのは、無論彼への挨拶のためだ。あいにく、実験が少し長引いているとのことで、終わるまで待たせてもらうことになった。
機密の実験という訳でなし、せっかくだから見学していくかと誘われ、喜んでお言葉に甘えたのだが──まさか、こんな特殊な実験だったとは。
(せっかくの経験だけど、活かせそうもないなぁ)
専門分野が違うにも程がある。苦笑する僕を他所よそに、儀式、もとい実験は、熱狂の度合いを増していく。
「ザザス、ザザス──お、おお、見て下さい! ヒューム値が安定しましたよ!」
黒ローブ達──中身は博士の助手達らしいが──が、魔法陣の中央に置かれたカント計数機を見て歓声を上げる。
「ふむ、やはり例の一節に誤りがあったのか。これで、あのオブジェクトの収容にも光明が見えてきたぞ」
博士が満足げに頷き、黒ローブ達が拍手を響かせる。どうやら成功らしいが、やはり異様な光景だ。
「ありがとう、戸神君。君が誤訳を指摘してくれたおかげだ」
(ん?)
博士が口にした名が、耳に引っかかった。どこで、聞いたことが──。
戸神と呼ばれた黒ローブは、照れ臭そうに頭を掻いている。僕が見る限り、彼がこの実験の主導的立場のようだった。
「いえいえ、僕は大したことしてないですよ」
フードが外され、素顔があらわになる。まだ少年の面影さえ残す、童顔の青年だ。
知っている人だった。
「戸神君!?」
「え、波戸崎君!?」
*
「あはは、驚かせちゃってごめん──ド、ドン引きした?」
「い、いや、そんなことないって!」
博士への挨拶を済ませた後、僕たちは休憩を兼ねてコーヒーで再会を祝っていた。
戸神 司とがみ つかさ君は、中学の同級生だった。インドア派同士で気が合い、お互いの家に招待し合う仲になった。
彼の家はミステリに出てくるような古い洋館で、立派な図書室があった。“ネクロノミコン“、”無銘祭祀書”、“ドジアンの書”、世界に数冊しかないという魔道書の数々は、西洋魔術の権威だった亡き祖父のコレクションだという。
『こんな物、昔の人の妄想だと言う人もいる。でも、僕はそうは思わない。魔術は人々が精神世界に築いた、もう一つの歴史なんだ。いつか、お祖父さんのような学者になって、魔術の秘密を調べ尽くすのが夢なんだ!』
瞳を輝かせる戸神君に、分野は違えど同じ学問を志す者として、僕は大いに共感した。
その後、戸神君は三須角みすかど大学付属高校に、僕は財団の養成機関に進学。お互い勉強が忙しくて、連絡も取っていなかったのだが。
「まさか、財団で戸神君と再会するなんてなぁ。しかも──」
実験は特別に請われて手伝っただけで、彼は研究職ではないという。
「──エージェントになってたなんて」
フィールドエージェント。僕の父と同じ職種だ。
財団の目となり耳となり、未発見のオブジェクトを探索するのが彼らの主な仕事だ。うっかり近付き過ぎて、その異常性に曝露する可能性もある。現場で要注意団体の連中と鉢合わせし、争いになる恐れもあるだろう。お前が成人するまで生き延びた自分は幸運だったと、父はよく言っている。
戸神君と言えば、静かに本を読んでいるイメージしかない。その彼が、ジェームズ・ボンドよろしく、拳銃片手に都会の闇を疾走したりするのか。
「その、どうしてエージェントに?」
「うーん、うまく言えないけど──お祖父さんの仇討ち、かな」
思いがけない告白に、僕は危うく紙カップを握り潰しかけた。
「何だって!? それじゃ、君のお祖父さんは」
「あ、違う違う、あくまで例えだよ! お祖父さんの死因は、ただの胃ガン」
戸神君は、寂しげに語った。祖父は魔術の探求に人生を捧げたのに、ついに本当のことは知らないまま逝ってしまった。すなわち、この世には、人知を超えたものが実在することを。
先ほどの実験が示すように、魔術は実用品だったのかもしれないのに。少なくとも、一部のオブジェクトに対しては。
「お祖父さんの研究人生は、“無知”に殺されたんだ」
なるほど、それでお祖父さんの“仇”か。戸神君は例えだと言ったが、その横顔は確かにどこか悔しげだった。
財団も当初は、研究職に席を用意していたらしい。しかし、彼はエージェントになることを希望した。所詮、同じ道では祖父を越えられない。無知という名の仇を討つことは叶わない。
かくて、彼は本の中から出て、現実の怪異と向き合うことを選んだ。
「すごいなぁ、戸神君は──」
「まあ、実際にやってるのは、使い走りみたいな任務ばっかりだけどね」
苦笑を浮かべる戸神君は、気のせいか再会直後より大人びて見えた。
大幅な価値観の転換を迫られ、それを見事乗り越えた彼。対して、僕はどうだ? 十代の頃から財団の養成機関にいて、父も祖父も財団職員。彼らが敷いてくれた価値観のレールを、ただ辿っているだけではないのか──違う。父も祖父も、財団は正義のヒーローではないと言った。それを承知で財団入りを決めたのは、僕の意思だ──そのはずだ。
疑問の無限ループを断ち切る。結論は、出るとしても、遠い未来でのことだろう。その時、僕は友人に胸を張っていられるだろうか。
戸神君のスマホが、クラシックの着メロを奏でる。
「あ、ちょっとごめん──はい、戸神です。ああ、蒼井先輩、どうしました?」
受け応えが進むにつれ、戸神君の表情から気楽さが抜けていく。了解しましたと通話を切る頃には、僕も滅多に見たことがない真剣な表情になっていた。
「波戸崎君、ごめん。急な仕事が入っちゃった」
「そう──」
戸神君は、強こわばった顔に無理矢理笑顔を浮かべている。多分、“使い走りみたいな”ではない任務なのだ。懐を確かめているのは、きっと拳銃の確認だ。
彼とは違う道を選んだ僕は、こう言って見送ることしかできない。
「戸神君──いや、エージェント・戸神。気を付けて」
「ありがとう。今度はゆっくり会おう、波戸崎研究員」
握手した彼の手は、記憶にあるものよりがっしりしていた。
*
次の挨拶先に向かいながら、僕は戸神君の言葉を反芻はんすうしていた。
『お祖父さんの研究人生は、“無知”に殺されたんだ』
“無知”、その部分は“財団による情報隠蔽”とも言い換えられるのではないか。
僕だって、研究者の端くれだ。研究者にとって、研究とは生そのものと等しいことは知っている。それを否定されたら、どう思うだろう?
戸神君は、内心では財団を恨んでいるのではないか。まさしく、お祖父さんの“仇”として。
頭を振り、勝手な想像を振り払う。万が一そうだったとしても、心優しい彼のことだ。その復讐の手段は──学ぶことだろう。エージェントの任務という、新たな学びの場で。
神様、どうか──財団職員としては失格だと自覚しながらも、祈らずにはいられない。
友人が、任務から生還できますように。そして、お互い胸を張って再会できますように。
研究者とエージェント、辿る道は違えども、同じ学ぶ者同士として。

「何だ、このエージェントは──すごいんだか、ポンコツなんだか。ま、まあいい、こいつを人質に、蒼井をおびき寄せて──がはっ!?」
「あー、エージェント・蒼井より調査本部へ。予定通り、ハッカーを確保した。尋問と記憶処理の準備を頼む。よし、連行するぞ──おい、どうした戸神?」
「うう~、あんな恥ずかしい人事ファイルを、隅から隅まで見られた~。もう、おムコに行けない~」
「(ため息)」