ENTIRE CODE: Autopsy
稼働状況: Active
梗概: 「剖検」プロジェクトは、単一の巨大な超常存在に由来すると仮定され、地質構造の形を取っている複数のオブジェクト群に対する包括的アプローチを模索する計画です。
本プロジェクトで取り扱われるオブジェクトには、本来の指定(SCP/AO/UE/その他適切な区分)に加え、「CODE」指定が行われます。CODE指定オブジェクトは本プロジェクトの対象として下表に記録されます。
CODE指定オブジェクトの主要な共通項として、以下の要素が挙げられます。
- 日本の国土/領海内に存在する。
- 岩石および鉱物を主要な構成要素とする。
- 何らかの生体プロセスの模倣と見做すことが可能な特性を有する。
また、以下はCODE指定オブジェクトにおいてしばしば認められる特徴です。
- 極めて長大な洞穴構造を取るものがある。該当するアノマリーは未解明領域に指定されることがあります。
- オブジェクト内部または周辺に他の(時には複数種の)アノマリーが棲息していることがある。
- 接続先が不明の空間異常を内包することがある。この空間異常はCODEオブジェクト同士を接続しているものと推測されます。
CODE指定オブジェクト群の由来となった不詳な存在は「剖検」プロジェクトの実施対象に指定されています。個々のオブジェクト群が持つ多様な有機的性質は、その複合体である「剖検」対象が、極めて巨大なスケールの単一生命体として活動している存在であることを示唆します。一部のCODE指定オブジェクトに関連する記録は、日本神話における何らかの神格と「剖検」対象間の関連性が存在する可能性を示しています。
「剖検」プロジェクトの達成目標の一つは、CODE指定オブジェクト群の由来となった超常存在を特定することです。プロジェクト進行に伴い、判明した超常存在はHiemalまたはMaksurクラスのオブジェクトとして再分類される可能性があります。「剖検」対象の特定が完了するまでの期間におけるCODE指定オブジェクトの管理に際しては、該当するオブジェクトがCODE指定を受ける以前の収容方式が維持されます。
CODE指定オブジェクト群: 以下は、「剖検」プロジェクトにおいてCODE指定を受けたオブジェクト群のリストです。各々のオブジェクトには特定のコードネームが割り振られ、関連するドキュメントと共に記録されます。
CODE: Biggest-Watcher
説明: 鹿児島県の鬼界カルデラ内部に存在する巨大な半球型の岩塊であり、最初に発番されたCODEオブジェクトです。内部には未知の異常空間を有していることが判明していますが、現在に至るまで進入手段は発見されていません。鬼界カルデラを由来とする火山灰が特殊な条件下で表出する異常な性質は、当該CODEオブジェクトが「剖検」対象の中核となる存在であった/ある可能性を支持しています。
既知のドキュメント
CODE: Circulator
説明: 富山県の沖合の海底に沈む長大な管状構造体であり、霊素をはじめとする異常元素を外界と交換しています。「剖検」対象のホメオスタシス維持に必要な物質循環を行う器官であると推測されます。当該CODEオブジェクトから排出される異常元素は、当該エリアに構築される超常生態系(SCP-1081-JP)の基礎となっている他、海底に広く分布する超常種族の資源としても活用されています。
既知のドキュメント
CODE: Immunocytes
説明: 日本各地に存在する特定の飛行ルート上を出現箇所とする石球であり、SCP-1906-JPに指定されています。特定の周期に基づいて出現し、ルート直下に存在する他のCODE指定オブジェクトへ被害を与えている存在を対象として攻撃を行います。財団による捕捉が初めて行われたのはイベント・ホノサワケの前後であり、「剖検」対象の特定部位に大きな損傷が発生したことで当該オブジェクトの著明な活性化を招いたものと推測されます。
既知のドキュメント
CODE: Lung
説明: 長野県の山岳部に古代から認められる洞穴構造であるSCP-2595-JPは、多数に分岐した小部屋の集合体からなる盲端を持ちます。小部屋内は多様な動物の生息に適切な環境に保たれているにもかかわらず、内部の生物は常に突然死のリスクに晒され、人間も例外ではありません。長期滞在を試みる人員からは、「剖検」対象と類似した存在を示す幻覚の報告が多数寄せられています。壁内には霊素などの異常元素および定量的な神格反応を含む液体の循環機構を有し、当該異常領域の機能により「剖検」対象に消費される多様な生命体に由来すると考えられています。
既知のドキュメント
CODE: Orexia
説明: 秋田県田沢湖底に存在する巨大な口腔状の一方向ポータルであり、湖水に含まれる殆どの種類の有機物を摂取していると見られます。当該オブジェクトの活動は物理的な攻撃によって阻害可能であることが示唆されており、田沢湖に生息していたSCP-1092-JPがその役割を担っていたのではないかとする仮説が提唱されています。CODEオブジェクト群の中でも比較的古くから複数の超常組織による認知を受けており、過去の文献によると東北地方の地中の広範囲にわたる遊走能を有していたとされていますが、江戸時代に発生した複数の地学的災害との関連性は不明です。
既知のドキュメント
CODE: Rabyrinth
説明: この指定を受けているCODEオブジェクトは、ある時期を境に日本列島から消失したことが知られています。オブジェクト上に構築されていた広範囲の行政区域が共に喪失しており、なおかつその区域に関する全ての知識や記録は殆どの人間および文献から脱落しています。この現状が理由となり、オブジェクトが本来は「剖検」対象が有するどの部位を構成していたのかという謎に対する確実な解答は未だ得られていませんが、消失した行政区域が有していた「手振県」という名称は謎の解決に一定の示唆を与えるものであると考えられています。
既知のドキュメント
CODE: Terminal
説明: 東京都の地下300m以深に存在する一方向性ポータルであり、SCP-2070-JPに指定される強い悪臭を持つ気体を生成しています。「剖検」対象の活動に供される、有機体をはじめとする種々のエネルギー供給源の分解プロセスにおける終端を担っているものと見られます。生命体の立ち入らない地底の高圧によりガス流出は自動的に抑制されているものと思われますが、人類の地下開発活動が正常域を超えて拡大した歴史においては、外部構造の破綻によるガス放出が地下社会に重大な影響を及ぼす可能性も考えられます。
既知のドキュメント
CODE: Urethra
説明: 群馬県の山中に存在する一泉の源流からアクセス可能であるSCP-724-JPは、その後の調査により正式にCODEオブジェクトとして再分類されました。元来は「剖検」対象のホメオスタシス維持にかかる老廃物の分離・排出を司る器官として作動していたと推測されています。しかし1970年代以降、当該オブジェクトは不詳な敵性生命体による侵食を受けており、現在ではオブジェクトおよび周囲への影響を抑制するために財団による介入が必要とされています。
既知のドキュメント
CODE: Vertigo
説明: 徳島県山中の洞窟からアクセス可能であることが発見された、極めて複雑な構造を取る異常な空洞です。探査機材および人員の聴覚・平衡感覚に影響を及ぼす異常性を帯びているほか、最深部の塔状構造の頂上からは「剖検」対象との共通性が示唆される存在を内包する追加の異常空間へ一方向的なアクセスを行うことが可能です。CODEオブジェクトとしてのSCP-1533-JPの本質は、「剖検」対象が他の生命体を分解することで情報を取得する感覚受容器官であると考えられています。
既知のドキュメント
CODE: Zygote
説明: 兵庫県淡路島の地中に存在する、「剖検」対象の次世代となる存在を育んでいたと見られる空洞です。1995年初頭に発生したイベント・ホノサワケにおいて、極めて長期間にわたる生長現象を完遂した巨大岩石構造体 UE-0925は地表への進出を試みました。イベントの進行が財団および種々の異常な勢力によって阻止された結果、UE-0925は崩壊しました。空洞の収縮に伴って生じた一般社会への影響は、非異常性の地震と偽装可能な範囲に留まりました。現時点ではUE-0925自身のオブジェクト指定は保留中です。
既知のドキュメント
新規に発見されたCODE指定オブジェクトに関する情報は、適切な監査を経て当該ページに追記されます。
「剖検」とは、SCP/Tale/GoIフォーマット/その他のSCP財団上に存在しうる形態を取る作品のうち、以下の根幹設定を有するものが属する一つのシリーズです。
先史時代、ある1体の女性神格実体が形成途上の日本列島を闊歩していました。
全てが岩石から成るその身体は、ある時に名前も物語も残らぬ古代の超常コミュニティによって細断され、日本列島の各所へと散逸していきました。
現在に至るまで日本のあちこちに眠る神の器官は、その殆ど全てがオブジェクトと呼ぶに足る異常な力を纏っています。ある時は主役の異常地帯として。またある時は裏方の舞台装置として。
遥か昔に地へと斃れた神は、無数の物語を産み出す母体として現世へと蘇ることでしょう。このシリーズにおける登場人物たちは、各人の行動原理に基づいた活動の中で、意図せずして日本各地の自然から死した神格の肉体を暴き出す「剖検」を行う者となります。