人類の罰
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いわゆるAK-クラスシナリオとは
実のところ、心を乱すものが無制限に拡散する現象のことである。
それは人類全体の思考を破壊し、文化の伝播を止め、回復も困難とする。
この種の現象は、すでに財団により確認されている。

今宵、この奇妙な世界に巻き込まれた主人公――すなわちナインスは
果たして人類を救うという任務を遂行できるのだろうか。




「四脚魚!」「四脚魚!」
ナインスは狂ったように叫ぶ群衆をかき分けた。
世界は約一か月以上前に崩壊した。今や世界はSCP-CN-546に感染した人で満ち溢れている。
もちろん、今ではもうSCP財団というものも存在しない……概念上は。財団はもはや「財団」とは呼ばれておらず、ナインスにはよく理解できない別の言葉に置き換わっていた。
ナインスは道端の焼き鳥屋の屋台に座り、イカ串を一つ注文した。
「あいよ。」
――感嘆詞と、肯定否定を示す語だけは変わっていないのか……
イカ串を受け取ったナインスはふと、まるで世界がまだ正常であるかのような錯覚に陥った。

もちろん正常だ。君が理解できていないだけ。

ナインスは、苛立たしい上位物語がまた始まったんだとすぐ理解した。世界が崩壊する前の彼はただのSCP-CN-546-1だったが、今回の終末シナリオを引き起こした張本人でもある。

おいおい、張本人はさすがに言い過ぎだろ。

「じゃあ何?人類が洗脳されているのと何が違っていうの?」

分かってないな。人類ってのは矛盾、矛盾によって成り立つ存在なんだ。例えば星間航行。人類は星間航行する種族になると豪語していたくせに現実はどうだ? 月にすらろくに行けていないし、火星旅行だって今でも先送りのままだ。それ以外は? 世界中の力を結集すれば星々へ行けるはずなのに、結局内輪揉めの方が気楽なんだろ?

ナインスは自分が反論できないと知っていた。これは作者であり、神であった。

まるで、君がよく見てる『██████』みたいだね。君と君の友人も言ってたろう。"エアプ勢の多くは何も知らずに叩きまくる。どうにかして駆逐できないものか"。これが俗に言う"人と人は分かり合えない"ってやつさ!だから人間みたいに群れたがる生き物は、強制しないと一つにまとまれない。だからこういう世界の終わり方が一番穏やかなんだ……だから私は「好奇心は猫を殺す」ような物語を作った。その物語が広く伝播したとき……

「わかってるよ、わかってる。ただ宗教を作っただけでしょ?世界規模の洗脳よ。」ナインスは竹串を横に放り投げた。「それはさておき、あなたの物語が一体どういうものなのかを知りたい。」

ふっ……最初の話で全部説明したつもりだったし、SCP-CN-546の作者も同じことを言いたいんだと思うけどな。

「さすが、財団に自分を収容させるなんて。」ナインスは缶ビールを買った。「私の負け。好きにすればいいよ。」
口ではそういったナインスだったが、彼女は"彼"の言葉の中に、自分だけが知っている微妙な、しかし論理の核心となる誤りを見抜いていた。


缶を開ける音とともに、ナインスは思い出した。
ただ彼女には、もう少し具体例が必要だった。
「カオス!カオス!」旗を掲げた集団が通り過ぎていく。
ナインスはそのうちの一人を呼び止めて言った。「四脚魚ノー、カオスインサージェンス?ミルク終了、猟銃?」
模倣は高確率で問題を引き起こすはずだ……だがナインスには言語学の素養が少しあった。
「そうそう!」リーダー格の人物がうなずき、後ろの者たちも議論を始めた。
「カオス!」ナインスはわざと怒ったふりをしながら右手を高く掲げた。
「カオス!カオス!カオス!」
群衆は熱狂した。

「四脚魚!」「四脚魚!」
「カオス!カオス!」
「四脚魚ノー、カオスインサージェンス!」
「[不適切表現につき削除]、猟銃、ほふく前進!」
両陣営はそのまま乱闘を始め、血が四方に飛び散った。
「ほら、もう殴り合い始めた」

あり得ない……俺のミームは完璧だったはずだ。お前何をした!お前が扇動したのか!

「私は何もしてない。」ナインスは肩をすくめた。「この連中は最初からこういう存在だったってわけ。むしろ——ミーム1は、伝播の過程で変異するものなんだよ!”

お前……くそっ!

「それにあなたも言ったはず、『人と人は理解し合えない』って。じゃあもう一つ言ってあげる。『人が歴史から学べる唯一のことは、人は歴史から学ばないということだ。』って。これはヘーゲルの言葉。」
ナインスの背後で、さらなる人間が乱闘に加わっていった。

やめろ!この世界を滅ぼす気か!

「結局のところ、人間ってのはやっぱり野蛮なんだよ。」
「でも!最後に一つ言っとく。あなたはもうこれ以上、"上位物語層"みたいなものを軽々しく扱うな!」

は……え?

「分かる?最近この財団に来た人たちってのはやたらと格好つけたがるんだよ。ちょっとした収容案件でもすぐ『空想科学部門の出番だ』とか言い出す。軽々しく!そのせいで私がマーフィー・ロゥと出会った時のレポートでも、博士に『あー、ちょっと上位物語多すぎない?』って言われたくらい。私たちは別に上位物語層なんかに興味はない!もう書くな!財団はメタ会じゃない!」
ナインスは突然、お腹を押さえた。おそらくさっきのイカ串が生焼けだったのだろう。

何だかんだ言っても、私だって作者の一人なんだぞ……お前を消し飛ばすくらい朝飯前だ――

消えろ!え?何だ!?どういうことだ!?」
「ちょっとマーフィーの力を借りただけだよ。あの人がくれたんだ。こうすれば呼べるってね」
「このクソ野郎が!」
ナインスは、人混みの中へ作者を蹴り飛ばした。
「猟銃、ほふく前進ノー!犬ネット回線騎士!!」ナインスは人混みへ叫んだ。
「[不適切表現につき削除]!」全員の血走った目が、一斉に作者へ向けられた。
「な、何だ……お前たち……何をする気だ! 私は……私は作者だぞ……神だぞ……お前たちに平等な交流を与えた神なんだぞ!」
ナインスは首を横に振った。

「忘れたの?SCP-CN-546の異常性を。」

「やめろ……やめてくれ……!」
作者の悲鳴が夜空に響き渡った。じきに、その声も聞こえなくなる。


ナインスは公園のベンチに座り、目の前の血痕と臓物にまみれた死体の山を眺めながらカップ麺を食べていた。
「ホルモンラーメン……おいしい。」
——ひょっとすると、人類みたいな混沌にして邪悪な生き物は、滅びるべきなのかもしれない。ついでに言うと……このシリーズの前作は駄作だ。この作者は全然大したことない。
ナインスはそんな考え事をしていた。









さあ、我々は町と塔を築こう。塔の頂は天に届くようにして、名を上げよう。そして全地の面に散らされることのないようにしよう。

——『旧約聖書』創世記11章4節

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