インタビュー記録092-01
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以下の文書はシュタイン博士とクラニック博士によって実行されたSCP-092-DEへのインタビューが記載されています。SCP-092-DEの武器の性質に関する知見や、脅威分析に必要な精神性の見解を提供しない記録は省略されました。

対話記録092-02, 20██/06/04
シュタイン博士によって実行されたインタビュー

シュタイン博士: ハロー、092。お元気ですか?

SCP-092-DE: ああ神よ。本当にこんなところで元気でいられるとでも?

シュタイン博士: えーと……よくわからないのですが……

SCP-092-DE: 昨日ここに来た男は不快なことをしようとした。部屋に入るとすぐに私を脅し、怖がらせようとした。そして今日は優しそうな人間が来る。見え透いているな。

シュタイン博士: ……私はあなたをがっかりさせるに違いありませんね。クラニック博士はあなたのような存在に対処するのに独自の手段のみを用いています。

SCP-092-DE: 何故「存在」と? 私が人間じゃないとでも思っているのか?

シュタイン博士: それはまだわかりません。ですが、あなたは確実にその確認を手伝えるでしょうね。

SCP-092-DE: 既にDNAサンプルを手にしただろう。他に何が欲しいんだ?

シュタイン博士: 名前がいいですね。

SCP-092-DE: あなたは私に名前を付けた。そいつでいい。

シュタイン博士: あなたが生まれた時に付けられていた名前のことを言っているのです。それか、あなたが自分で付けた名前です。

SCP-092-DE: 名前はない。

シュタイン博士: 名は霞と声とに過ぎない1、ええ、そうですが――

SCP-092-DE: 違う。誤解だ。名前はないんだ。私たちは女の体から叫びながら押し出された直後にみな1つの名を得る。その名に意味があるふりをして、その響きがよければ自慢し、自己を確認する。だが最後には虫や細菌が来て肉の中に巣を作り、心臓を分解し――それで何が残るんだ? 石1つに書かれた名前だ。私たちがなした全てがなくなる。何も残らない。

シュタイン博士: ……なぁるほど。話題を変えましょう! あなたの過去を何か教えてもらえますか?

SCP-092-DE: 断る。

シュタイン博士: 詳細なものや非常に個人的なものである必要はありません。何か教えてください。

SCP-092-DE: ああ、それなら……いやだ。

シュタイン博士: よろしい。ならあなたの武器について話しましょう。この話題は大丈夫ですか?

SCP-092-DE: もちろん。

シュタイン博士: あなたの剣ですが。我々ではそれを鞘から抜き出せないのは何故ですか? あるいは、あなたのベルトから鞘を抜き出せないのは何故?

SCP-092-DE: 私の剣だからだ。

シュタイン博士: 詳しく話してください。

SCP-092-DE: この剣は……私の一部だ。説明が難しいな……この剣は固体の要素を超えてその内部が処理されている。剣それぞれには私の一部が結びついているんだ。

シュタイン博士: 愚問を許してほしいのですが……どの部分ですか?

SCP-092-DE: ……一部だな。

シュタイン博士: いい返答ではありませんね。

SCP-092-DE: いい質問でもなかった。

シュタイン博士: そうですね。あなたの魂ですか? 意識の一部ですか?

SCP-092-DE: どちらでもないし、どちらでもある。

シュタイン博士: その返答は役には立ちませんね。

SCP-092-DE: 私には殊更関係ないことだ。だが、私にも1つ質問がある。ここから出るにはどうしたらいい? やるべきことがあるんだ。

シュタイン博士: 申し訳ありませんが、現時点では長期的なゲストとなってもらいます。

SCP-092-DE: 理解できない。私にはやらなきゃならない大事なことがあるんだ。やらなければ人々が死ぬ。

シュタイン博士: ……詳細を。

SCP-092-DE: まだ何か詳細が必要だって? 私をここから出せ!

シュタイン博士: あなたが今話している内容は、ここから出たいがための嘘に思えます。それで?

SCP-092-DE: ……それは外にいて、人間を殺す。私はそれを殺さねばならない。

シュタイン博士: 「それ」とは何ですか?

SCP-092-DE: それは……怪物だ。それがまた誰かを殺すのを防ぐために、私が滅ぼさねばならないものだ。

シュタイン博士: どんな見た目ですか?

SCP-092-DE: 闇と牙が混ざったようなものだ。人間の2倍ほどの大きさがあるが、そのくせかなり小さな隙間を通り抜ける。素早く、無音であり、こちらが殺されずにそれを追跡するには犠牲者の悲鳴を追うしかない。その悲鳴は誰もが判別できる……人間にあんな悲鳴を挙げさせられるモノは世界中に他にいないからだ。

シュタイン博士: ……その究極の怪物を、唯一殺すことのできる存在があなただと。

SCP-092-DE: そうだ。

シュタイン博士: さっきはどういう風に言ってましたか? 見え透いてますよ。

SCP-092-DE: 私は本当のことを言っている! ここから出せ!

シュタイン博士: 本日の対話は終えるべきですね。

SCP-092-DE: やめろ!

シュタイン博士: さようなら、092。

SCP-092-DE: お前は愚かな█████だ、ここから出せ! それは殺そうとしているんだ! 私が先に殺さねばならない!

対話記録092-08, 20██/06/19
クラニック博士によって実行されたインタビュー

クラニック博士: 092。

SCP-092-DE: 神よ……他の人と話せないのか? 少なくとも真面目に話を聞けるのに。

クラニック博士: 私がかなり真面目に話を聞いてやっていることを知っておくべきだな。これは遊びではない、092。そちらの武器が……興味深いから生かしているだけだ。

SCP-092-DE: あぁーっと……恐怖で震えているよ。なあ、おい、とうとう普通の人間みたく話してくれよ、それか出て行ってくれ。

クラニック博士: 092-02はどうやって動いている?

SCP-092-DE: 何のことを言っている?

クラニック博士: 左の方の剣だ。

SCP-092-DE: そう言えよ。

クラニック博士: 言った。それで?

SCP-092-DE: とっても簡単だ。抜いて、振り回し、先端が飛んでいく。

クラニック博士: やっていることはそうだな。だがどうやって剣がそうしているんだ?

SCP-092-DE: お前がしている質問は間違っているんだよ。剣がやっているわけじゃない。私がやっているんだ。

クラニック博士: テレキネシス? 分子の変化か?

SCP-092-DE: 私にテレキネシスができたらお前は今頃天井にひっついてるだろうな。それに、自分の指を離しておくことに苦労する――考えてもみろ、分子を互いに区別できるか?

クラニック博士: じゃあどうやってるんだ?

SCP-092-DE: 知らん。ただやっているだけだ。

クラニック博士: ナンセンスだな。何かしら意識してやっているはずだ。

SCP-092-DE: ああそう? おい、お前は顔の筋肉を意識的に動かしている時だけ瞬きしてるのか?

クラニック博士: それとは別のことだ。

SCP-092-DE: どちらとも言えないな。

クラニック博士: そういう空っぽな返答は他の忍耐力がある誰かのために取っておけ。

SCP-092-DE: なら私にそれなりの質問をしろ。お前は私を攻撃的にさせるんだ。念のために言っておくが、私はベルトに2本の剣を差している。

クラニック博士: 脅しても何にもならないがな。

SCP-092-DE: 私がお前を脅したら、思い知ることになるだろうな。

(20秒の沈黙。)

クラニック博士: ……まあいい。いつから剣を持っている?

SCP-092-DE: 私が使えるようになってからだ。

クラニック博士: 答えになっていない。

SCP-092-DE: 賢い人間にとっては答えだよ。賢いヤツは私が超自然的にくだらないことをする能力と同時に剣を手に入れたと結論付けられるだろう。

クラニック博士: ……時期尚早だがいいだろう。その能力はどこで手に入れた?

SCP-092-DE: 私をここから出したら教えよう。そうすればやっとそれを殺すことができる。

クラニック博士: 「それ」? そちらが言い続けているとかいう創作怪物か? 私は馬鹿ではないのだがな。

SCP-092-DE: それについて話し合うことはできる。だが今じゃない。事はそう遠くない。私が今殺さなかったらそれは先へと進んでしまう。

クラニック博士: 何週間もここにいるだろう。もしそれが存在するなら、それがまだ移動していないと誰が言える?

SCP-092-DE: 数週間前はまだそれほど近づいていなかった!

クラニック博士: ……なら、それが今近づいていることをどこから知り得た?

SCP-092-DE: ……お前は信じないだろう。

クラニック博士: どちらにせよ怪物も信じていない。それで?

SCP-092-DE: 「長らく獲物を狩り続けた者は獲物の習性を身に付ける」という言葉を聞いたことはあるか? それは人間が近くにいる場合に感知できる。黙っていようが視界外にいようが役には立たない。それは誰かが近くに来る時がわかる。私は何年もそれを狩ってきた。私はそれが近づいてくる時を感知できる。

クラニック博士: そちらが正しいな。一言も信じられん。

SCP-092-DE: 行かせてくれ!

クラニック博士: そんな機会はない。

SCP-092-DE: それは殺そうとしているんだ! お願いだ! 私は先にそれを殺さなければならない!

クラニック博士: 変人め。

(ビデオカメラの記録にはクラニック博士が立ち上がり扉に向かっている様子が映っています。彼が扉を開けると顔の至近距離を金属の物質2が飛んで行き、その眼鏡を破壊しました。クラニックが警備員を呼び出している最中にSCP-092-DEは剣を抜いてその横を通り過ぎました。脱出の試みはエレベーターの直前でテーザー銃が撃たれたことで阻止されました。詳細はインシデント記録092-██を参照してください)

この脱出の試み後、SCP-092-DEとの対話用にセキュリティ対策が強化されました。

対話記録092-09, 20██/06/22
シュタイン博士によって実行されたインタビュー

シュタイン博士: ハロー、092。

SCP-092-DE: ようやくフレンドリーな顔をした方が来たな。

シュタイン博士: その顔はもうあまり見せませんよ。我々は脱走しようとしたことを非常に深刻に捉えています。

SCP-092-DE: いいさ、少なくとも私の話を真剣に聞いてはいる。そうでなければ……えー……あなたが自分の卵に籠っている間にあの忌々しい怪物が外を闊歩して無辜の人々を殺している!

シュタイン博士: 素晴らしい比喩ですね。

SCP-092-DE: そうでもない。

シュタイン博士: ……それで、「それ」を殺すために自由になりたかっただけだという主張は続けますか?

SCP-092-DE: そうだよクソったれ。

シュタイン博士: それほど怪物が危険なら、どうやって殺すのでしょうか?

SCP-092-DE: とっても簡単だ。左の剣で牙を阻み、右の刃で外層を剥がし、ダガーを核に押し込む。

シュタイン博士: 結構単純ですね? 他の誰もができないほど難しくは思えませんが。

SCP-092-DE: だがそうなんだ。あの牙は恐ろしく長い、それなりの距離から撥ね退けなければならない。内側には……とんでもない熱さの刃でしか切り込めない、そうでなければ即座に再生する。そして、その全てはダガーがないと上手くいかない。

シュタイン博士: あなたが襟元に身に付けているナイフのことですか?

SCP-092-DE: これはナイフ以上のものだよ。実際はダガー以上のものでもある。私が持つ必要のある中で最も致死性の高い武器だ。

シュタイン博士: ダガーの何がそれほど特別なのでしょう? それも燃えるんですか?

SCP-092-DE: いや……これは……えっと、それを知るには私にアレを殺させねばならない。

シュタイン博士: それでは、自分でダガーが何をしているのかわかっていないのですか?

SCP-092-DE: そうではないが、あなたは信じないだろうし、信じたとしても私を外の人間の傍には決していさせないだろうさ。

シュタイン博士: 私は毎日非常に危険なモノを扱った業務をしています。たとえあなたのダガーが何をしてようが、それほど悪いものにはなり得ません。

SCP-092-DE: いや、なり得る。剣には私の一部が入っていると言ったな? そう、ダガーには……残りの全てが入っている。

シュタイン博士: ……あなたの精神はダガーの中にあると言いたいのでしょうか?

SCP-092-DE: どちらとも言えない。

シュタイン博士: (はっきり聞き取れるほどの溜息)

SCP-092-DE: もっと正確な表現ができるならそうしてる。だがな、彼が私にやったことは私にも正確にはわかっていないんだ。

シュタイン博士: ……があなたに何をしたって?

SCP-092-DE: おっと。

シュタイン博士: その剣と能力を他人から手に入れたんですか? 誰から?

SCP-092-DE: それについて話す気はない。

シュタイン博士: ああもうっ、話してください。誰かがあなたにそのプレゼントをしたならば――

SCP-092-DE: プレゼント? これがプレゼントだと思っているのか? ハ……これはプレゼントではなかったよ。私はその代金を支払ったんだ、とんでもない額を、そしてその代金は金ではなかった。

シュタイン博士: どういうことですか?

SCP-092-DE: ……私は怪物を狩る。それは恐ろしい奴らだ、絶対に全ての人間を――男を、女を、子供を殺す。その全てをゆっくりと甚振って殺すんだ。それは私の家族を、息子も含めて殺した。あの怪物は……それは……それは私にこの剣を与えた男よりかは辛うじて悪しきモノではない。

シュタイン博士: 何故ですか? その男は何をしたんですか?

SCP-092-DE: 善良な人間が全く想像もできないこと全てだ。彼は作ったんだ……自分の目的に叶う機械……物体……怪物を。彼は自分の「ビジョン」に会わない全ての人間の集団を滅ぼそうとしている。

シュタイン博士: ……彼の名前を知っていますか? あるいは発見する方法を知っていますか?

SCP-092-DE: 彼は私を見つけたんだ。彼の……「手助け」を受けるために、私がやるべきことを彼は提案してきた。そして私はそれをやったんだ……だが、あなたがその名前を知りたいなら、彼は「ミスター・ラス」と名乗っていたよ。

シュタイン博士: それは――

SCP-092-DE: ――偽名に思える、そうだな。だがその名前は何かを思い起こすのだろう?

シュタイン博士: ……次回また対話を設けます。

注記: この対話後にシュタイン博士とクラニック博士はサイト管理者である██████博士へと報告し、情報の真偽は疑わしくはありましたが「ミスター・ラス」に関する情報を直接理事会へと送付することに同意しました。この男につながる可能性のある全ての痕跡らしきものを調査する命令が出されました。

対話記録092-014, 20██/07/08
シュタイン博士によって実行されたインタビュー

シュタイン博士: おはよう、092。また昨日も脱走しようとしたと聞きましたよ?

SCP-092-DE: ここから出してくれ。

シュタイン博士: 既にそれは話しましたね。やりたくても私には絶対できないんです。

SCP-092-DE: かなり近いんだ。

シュタイン博士: 怪物が?

SCP-092-DE: 円を描くようにゆっくりと近づいてきている。

シュタイン博士: 何故真っすぐこちらに?

SCP-092-DE: ……私はあなたの同僚に伝えたんだが、狩人は獲物の習性を身に付けると。

シュタイン博士: だから「怪物」の接近を感じ取れるのでしたね。

SCP-092-DE: そうだ。ただ……私がもう狩りをしないなら……

シュタイン博士: ……あなたが獲物になると?

SCP-092-DE: 私はそれを殺さなければならない。ここから出してくれ!

シュタイン博士: 言いましたが、私は――

SCP-092-DE: ここから出せ!

シュタイン博士: 落ち着い――うわっ!

この時点でSCP-092-DEはシュタイン博士を人質にとって施設から脱走しようとしました。クラニック博士と対峙した時にSCP-092-DEはクラニック博士かシュタイン博士のどちらかの殺害を余儀なくされました。その際にSCP-092-DEはシュタイン博士を解放し、自主的にセルへと戻りました。詳細はインシデント記録092-██を参照してください。
クラニック博士はそのアプローチに基づき、「092の明白なヒーローコンプレックス」(引用)が脱走するために無辜の人間を殺害することを決して許さなかったのであろうと結論付けています。

対話記録092-018, 20██/07/23
クラニック博士によって実行されたインタビュー

クラニック博士: 092、我々は――

SCP-092-DE: それがここにいる。

クラニック博士: 怪物か? 結構久々だな。

SCP-092-DE: 私が出ないなら、それがこっちにやって来る。お前たちは私を外に出さなかった。過ちだったな。

クラニック博士: 怪物が今から我々全員を殺すからか? お願いしたいところだ。

SCP-092-DE: それはここにいる。殺そうとしている。感じるんだ。

クラニック博士: 一旦「それ」が存在し、実際に近くにいると仮定しよう。それは決してこの施設に入って来られない。この場所は極めて安全だ。

SCP-092-DE: またお前は話を聞いていない。それは近くにいるんじゃない。

(警報が鳴る)

SCP-092-DE: それはここにいるんだ

さらなる情報はインシデント記録092-04を参照してください。

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