笑い話」
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book09:そろそろ賭けは締め切るぞ。
男は思い出していた。濁流の中で飲んだ泥の味を、雷に打たれ焦げていく自分の匂いを、疫病にかかり一人孤独に死んだ夜の寒さを…思い出していた。
男は喘いでいた。今この場所を包む、熱気のせいではない。単に、男は疲れ切っていたのだ。
book09:もうこれ、駄目じゃないか?もう少し持ってくれよ。でないと酷いぞ。
目の前で年老いた女が燃えている。
「██████!████████!!」
男に向かって、何かを叫びながら、女はただ溶けて、そして焦げていった。
book09:よーしおし、行けよー逝け逝け。頼むよー
まだ間に合うだろう。男が行けば、この低いコンクリートのビルを走っていけば、煙と炎で眩暈がしようとこの女を助けられるだろう。だが、代わりに男は死ぬだろう。今までもそうだったし、これからもきっとそうなのだ。この地獄は、そんな風に出来ている。
book09:あれ…おいおい
物言わぬ群衆を見る。炎に魅せられているのでも、絶句するでも無い、虚ろな目の人形だった。中には男と同じ消防士も居た…だが、誰も放水していなかった。男もしなかった。きっと、水は出ないのだ。
きっと、男があそこに行かない限り、彼女は助けられないのだ。
book09:おーいおいおい、そりゃ無いだろおい。おい、おい消防士!こら
「██████!████████!!」
book09:おい誰だ妨害してるの。検閲かけんな
彼女を、どこかで見た記憶がある。きっと、どこかで出会っている筈だった。
book09:まだワンチャンス残っているだろうが!
いつもそうだった。いつも、何か大切な事を忘れている様な気がする。
book09:tommy!邪魔するんじゃない!!
「█████████████████████████████████████████████████████████████████████!!!!!」
book09:まじか
book09:おいおいoi
book09:怯め地第がかかっtんだよ
年老いた女が、もう一度叫んだ。
book09:fuck
book09:fuck!
book09:ike
book09:行け!!
だが、男はもう、立ち上がる事が出来なかった。
book09:fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuckmb;:b:ml@99783-^46;:,.:cx;@bo0f89-;6;@99ekihk;lp@it0w[t;;r;@

book09:あーあ、結局見捨てちゃった、まぁ結局人間なんてこの程度の生物だよねぇ。ちょっと苦労した程度ですぐ人を殺しちゃう。
fred:俺はそう思わなかったけどなぁ。
book09:そんなのに期待したのがいけなかったのかもなぁ。
book09:お疲れ様でしたー
book09:題名は何か適当に差し替えといてー
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book09:待て、誰だお前
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fred:誰だと思う
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book09:BANされたいか?
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fred:怖いこと言わないでよ
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fred:まぁいいか。でも、最期に一つだけ
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book09:あ?
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fred:お前、彼女の体に発信機ついてたの知ってる?最新型の。
[題名]
book09:ha
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book09さんがログアウトしました。
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fred:そろそろ聞こえるかもな、財団のヘリの音
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「一生で幾度となく人類に貢献してきた英雄的な女性を、その最期の時に救えなかったみすぼらしい消防士の―

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