瞬目集——機動部隊編
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1.
機動部隊長が補給担当に尋ねる。
「我が隊には10名の隊員が所属している。それなのに、どうして死体袋は5枚だけなんだ?」

補給担当は筆を止めずに言った。
「そんなに使えないからですよ」



2.
新人隊員が叫び声を上げる。
「コンバットライトが切れました!何も見えません」

暗闇から、同僚の声が聞こえた。
「大腿部を探れ。3時の方向、ポケットがあるだろう?」

「中にあるのは……電池ですか?新品の?」

「それはな、新品の目ん玉だ」


3.
「隊長、俺にもう1本打ってください!絶対に、あいつらを救い出してみせますから!」

隊長は振り向き、じっとこちらを見つめる。

「中にはもう、人なんて残っちゃいないさ」



4.
今日は寝坊してしまい、隊員食堂へ行くのが2時間も遅れてしまった。
それでもなお、私は肉料理を頼むことができた。




5.
「おいお前ら、今日のプレイはやけに下手だったな!」

ステージ内最後の敵を倒し、ヘッドギアを外そうとする。
その時、無線に通信が入った。

「隊員A1、ここは訓練シミュレータではない」




6.
「どうにもならない事態に陥った際は、一番右の臼歯を舌で押し動かすこと。間髪入れずにな」

口の中を指差す指導官。実習生が手を上げ、質問する。

「それで、何が起こるんです?」

「上手に死ねる」


7.
隊員間の交流機会を増やすため、食堂により多くの充電スタンドを設置した。




8.
老人は車椅子からずり落ちると、中年の博士の上着に縋り付いた。

「たとえ、足が2本少なくともなあ!私は本当に、心の底から、機動部隊に入りたいんだ!」

「先生。あなたは参加されていたんですよ」



9.
Brifeは死亡した隊員の銃を回収する。引き金には奇妙な凹み傷が付いていた。
観察の末、彼はそれが歯型であることに気付いた。



10.
我々は職員宿舎を2棟、余分に建ててしまった。




11.
私は彼のバックパックを漁った。弾と手榴弾は手つかずのまま残されている。
一方で、チョークに関しては一つ残らず消費されていた。



12.
俺たちは1匹の犬を飼っている。そいつは思っていたよりもずっと早いペースで太っていった。




13.
いかなる状況にあっても、仲間の遺体に触れる際は、あらかじめ50グラム以上の銀弾を心臓部に撃ち込む必要がある。




14.
昨日より、隊員のナイトテーブルにはそれぞれ、無菌の彫刻刀が備え付けられた。加えて、袖の無いパジャマも。




15.
彼はもがき、やっとの思いで万能薬を口に入れる。錠剤は食道を伝い、地面へと落下した。



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