経費削減
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サイト-19に陰鬱な一日が訪れていた。

「また予算が減らされたよ」 バーグストロム博士は口いっぱいにソールズベリー・ステーキを頬張ったまま言った。「助手が2人いなくなった」

「分かりますよ、その気持ち」 エージェント ロークが溜息を吐いた。「ウチの部隊は明日、ダニエルズ管理官の審査を受ける予定なんです。解散させられるのはもう目に見えてますよ。きっと僕はクソつまらない事務職をする羽目になる」

食事のトレイを持ったウェイン博士がやって来て、2人と同じ食堂テーブルに座った。

最低ね、この職場」 と吐き捨てる。「今さっき、部門のスタッフの半数を他所のサイトに転属させるって知らされたばかりよ。“無駄を減らしたい”んですって。これはもう絶対に就職先を間違えたわね。GOCの科学者たちはこんな仕打ちに我慢しなくて済むはずだわ」

バーグストロム博士は頭を振った。「ああ、財団での働き方はもう昔とはすっかり変わっちまった。ウチがDクラス割当を完全に取り上げられた話はもうしたっけか? 今じゃ俺たちは動物でアノマリーの試験をしなきゃならないんだぞ!」

「こっちもです」 エージェント ロークが言う。「高リスクな探索任務にはDクラスが付き物だったんですが、もう派遣されなくなりました」

ウェイン博士も頷く。「私たちもそう。サイト-19だけじゃなくて、何処でも同じらしいわね。今後はDクラス無しでやり繰りしなきゃならないだろうって言われてる」

「へぇ」 バーグストロム博士は眉をひそめた。「そいつはどういう意味だろうね」

「さぁ?」 エージェント ロークは肩をすくめた。

しばらくの間、3人とも無言で食べ続けた。

「ま、少なくとも肉はメニューに戻ってきたけどな」 バーグストロム博士がようやくそう言った。

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