【クトゥルフTRPG風】格闘・収拾つかず・和むTRPG【Tale】
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うーし、始めるでー。改めて、ウチは咬冴隊員、今回のゲームマスター進行役をやらせてもらうで。

咬冴さんはじめまして。プレイヤー1をさせていただきます、ハルキュオネ事務員です。いっぱいおしゃべりしましょうね。

安堂用務員と申します♡またステキなオアソビができると聞いて……あぁ♡昂っちゃいますぅ♡

今回は私のために2人とも集まってもらってありがとうございました。

ええて、ええて。やるからにはハメを外すで!ウチらの言葉が物語になる。アツいごっこ遊びを始めようや。今、探索者は……、



クトゥルフ神話TRPGとは、
スケールの大きな恐怖のお話。



シナリオ
無援の住人



Call-of-Mamana-TRPG.png


えっと……2人の前にはサミオマリエ人のような魚っぽいニンゲン、それもいかにも屈強そうな体つきをしたバケモノ級マッチョが立ちはだかってるんや!

えーっ!?

これは……いきなり戦闘ですか?

いや!これはあくまでもイベント、導入や。回想シーンと思ってええで。

あー、それなら……導入シーンのうちに見回せる範囲の景色は確認してもいいでしょうか。

おっ、ええで。設定を決めてる範囲で答えるわ。

まぁ♡アマリアさま、かしこい!じゃあ、ここはどこなんですぅ?

うさん臭い雰囲気のある研究所や。

マッチョサミオマリエ人と探索者以外に人やその痕跡はありますか?

アンドーとハルキュオネの後ろには生々しい血、そしてその真ん中に倒れる女性の姿があるな。うつ伏せで誰かはわからない。
その言い方なら知り合いの可能性も視野に入れておきますね。

じゃあ、ここでタイムオーバーや、突然の光景に動揺していたハルキュオネにバケモノは水かきのついた太い腕を振り上げ、ハルキュオネの小柄な体を…………と、いうところで、ハルキュオネは汗だくになって目を覚ますで。 『なんだ、また夢ですか……』 とハルキュオネは愚痴をこぼすな。

死ぬ寸前になる夢ってことですねぇ?見たことないからわかんないですけどぉ。

何度、同じ夢にうなされているんやろうか。もう数えきれん。ハルキュオネが今回のシナリオでおっ死んじまったらこれは予知夢だったってことにするし、生き残ったら過去の記憶に心を傷つけられたということになる。実にCoCクトゥルフの呼び声っぽいやろ?まぁ今は生き残ってもらう前提で話すわ。で、ハルキュオネはそしてこれからもきっと同じ夢を見て苦しむことになるのは容易に予想できる。なにせ、あの光景は、自分が立ち向かったあの悪夢の残滓は、今も心に突き刺さったまま、ジクジクと決して口に出せん暗い記憶としてうずき続けてるんやから。……っちゅーわけで、ハルキュオネのキャラシート設定資料を渡すで。前回のウチらと同じ方式が希望やからウチがダイスロールしてハルキュオネ本人をイメージして設定を考えたで。ちょっと読んでてくれな。

かしこまりました。ということは、安堂さんのPC探索者は……

ああ。今回、アンドーのPCは据え置き、続投や。アンドー、前もらったキャラシート、忘れてへんか?

持ってますぅ!


……よーし。ハルキュオネ、今回はアンタがPC1、主人公や!自分のPCをカッコよく紹介してくれな!

はい!PC名はアマリア・ハルキュオネ。新米警官です。留学した日本で事件に遭遇し、地元警察に助けてもらったのがきっかけとなり元々正義感の強かった彼女は警察官を志して日本国籍を取得し、勉強を重ねて最近ようやく交番に配属されるようになりました。

おまわりさん!

身長が低いのでその分他の同性の同僚よりはよく鍛えてよく勉強しています。また、POW精神DEX俊敏さには特に自信があります。KPキーパー、この跳躍(飛翔)80とはどのような技能でしょうか?

ああ!そいつやけど、成功すると飛べるんや!もちろん、現代日本シナリオをプレイしてもらう都合、ハルキュオネにはニンゲンとして振舞ってもらうけどな、それだけだと味気ないやろ?っちゅーわけで、ハルキュオネがその技能に成功するとものすごいジャンプ力で敵の攻撃対象から外れたり、高い柵を飛び越したり、離れた相手に飛びかかって捕まえたりできるってわけや。すごいやろ?

となると、跳躍の判定を拡張したハウスルール独自性といったところでしょうか。

んっ!そゆこと。続けて。

武器は警棒、小さい棍棒の扱いでダメージは1D6、技能値は70です。他に技能で特に強力なのは聞き耳が80なのと応急手当の70ですね。警官は職務質問で対話能力が鍛えられているので目星・説得・心理学・英語はそれぞれ50。また、学歴の関係で神学を50持っています。って、神学ってCoCだとどう使うんですか?

あー、ちゃんと考えてへんかった。いやーハルキュオネって元の世界では神様がホントにおるんやろ?なら神様に詳しいかなーと思ってなー。せやなぁ、オカルトで代用できると思ったら宣言してええで。全般的に神話に詳しいもんで、異端の宗教の存在をすぐに理解できるっちゅーのはどうやろか?

すごくいいと思いますよぉ!武器を持ってて、邪神崇拝に気付けるって特徴があるなら、マナさまもGMがやりやすいと思いますぅ!

……あー、安堂さん?CoCではGMじゃなくてKPですよ。

んっ?おお悪い!ウチもさっきから間違えとったわ!ありがとな!それじゃアンドー、続けて自分のPCの紹介頼むで!

はぁい♡自分は安堂戯乃介アンドウ ギノスケです♡職業はディレッタント資産家、細かく言うと御曹司ですぅ。戦闘技能は全く持ってませんが、図書館と嗅覚(聞き耳)が70、魅惑50、信用30を持ってますねぇ。

御曹司、にしては信用が高くはない……財力はそこまでないのでしょうか。

アンドーのPCは隠し子みたいな設定でなぁ、昔は別荘に軟禁されとったんや。んまぁ、外部とのつながりを絶たれてるわけやないんやけど、ディレッタントの肩書きにしては使える資産はそうはないと思ってほしいとこやな。あと、これは追記になるんやけど、完全に家に閉じ込められてるわけやないから普通に学校には通ってたものとするで。あと、町では有名なお屋敷に住んでるって設定なんやから、本人も町では有名人ってことにさせてもらうわ。

”かおぱす”ってやつですねぇ!やりましたぁ!

ちょっとキャラシートを貸してくださいね……おー、初期SAN85は心強いですね。戦闘で期待できない能力値でも発狂行動デバフ発生でお荷物になるよりずっといいですから。何となくですが、把握できたと思います。……それで、私のPCが恐ろしい夢を見たというのと今回の卓にどのような関係が?

そうやったな!PCの紹介で時間取ってスマンかったわ!これから2人にはハルキュオネが見た夢の内容を追体験してもらう形になる、とだけ言っておくで!ウチも初心者なりに頑張ってタケナギと一緒にこのシナリオを作ったから、2人には張り切って切り抜けてもらうで!

はい、喜んで。

……せや、それなんやけど、本当にええのか?ハルキュオネ。あんたがウチらとレクリエーションしたいって言いだしたからには付き合うけど、ウチもアンドーも実卓経験1回こっきり、シナリオ回しなんてやったこともないんや。こんな素人ばっかでグダりそーな面子で遊んでハルキュオネが楽しめそうか心配なんや。

きっと楽しくなりますよぉ?

まぁ、ウチらはバカ騒ぎできれば満足できるタチやん?それに、ウチらはヒトはヒトでもハルキュオネみたいにニンゲンとして暮らしてる時間が浅いからな……その、アンドーが傷ついたら、すまん。でも先に断っておきたいというか……な?ウチら世間知らずに両側挟まれて、ハルキュオネがせっかくTRPGに興味があるって言ってくれたのに興醒めしてまったら、ウチにこの遊びを教えてくれたみんなに悪いなって、ちょっぴり……。

大丈夫ですよぉ、それだけマナさまが悩みながら作ったシナリオならきっと面白いですぅ。

……私は、あなたたち2人と会ってみたくて、こうしてじっくり顔を見ながら話してみたくてこういう場を作ってもらったんです。咬冴さんと安堂さんだからいいんです、私の次元では咬冴さんも安堂さんも私も、ニンゲンで……種族が違うから気味悪がられるなんて、今までなくて。だから、この3人でいるときの私は、なんだか故郷にいるみたいで……それだけでうれしくて……だから、改めて、今回はよろしくおねがいします。

……ふーん。あれ?てっきり、今日たまたま空いてたから自分が呼ばれたのかと思ってましたぁ。

ちょっとぉ!?アンドー、今の話聞いた感想がソレか!?えー……そんな気持ちがあったなんてな、わざわざ聞き出したのは無粋やったわ。すまんな。それじゃ、トレーラー導入文、読むで!


この世に隔絶など、なくなりはしない。
持つものと持たざるものが真に理解できることはあるのだろうか。
『持たされた』ゆえの苦しみを『持てない』側は知ることはできない。
幾多の辛酸を抱いた彼に手を差し伸べられるのは、きっと、
同じ運命にあるものであるのだろう。

あなたたちはそれぞれの理由で訪ねた研究所に事件が発生していると気付く。
その施設の中には親しい者がいる。現場はただならぬ雰囲気をのぞかせる。
それでも、あなたたちはこの事件の火の粉から旧知の存在を救い出そうと動くこととなる。
自分たちがどんな光景に直面することになるのかも知らずに。

シーン1

行動キャラクター
ハルキュオネ

ロケーション
交番


さて。先に舞台と日時の指定をさせてもらうで。ここは……そうやな、西都サイト町という海に近いのどかな街や。安堂のお屋敷がある町の名前やと思ってくれな。この日は土曜日。おはようございます、なーんて言い方はもうしないかなってくらいの時刻や。ハルキュオネは赴任先の交番に彼女を訪ねてやってきた人物の話を聞いていた。その人物は…………そうだなぁ…………フィレム。身体のあちこちに傷跡が見える彼は難民孤児の出身でいじめを受けていたところをハルキュオネに助けられたことがあるで。日に焼けているがどこか青白い肌色の、背の低い男の子や。性格は人懐っこいはずなんやけど、いじめを受けた経験があるせいで人見知りというか人間不信が強いな。

その人との付き合いはどれくらいですか?

ハルキュオネが留学していた時に最初に彼を助けた、ということにさせてくれ。ハルキュオネが日本語を教えたり、ガキ大将と殴り合いするやり方を教えたり世話してあげてたもんで、フィレムの家に近いこの交番にハルキュオネが赴任してからは時間を作っては軽く世間話をしに来るんや。年の離れた友人、もしくは舎弟ってとこやろな。

身のこなしの軽いアマリアさまに格闘を教わったのならそれはお強いお子さまなんでしょうねぇ。

ああ、それはもう。地元では”人間離れしたケンカ番長がいる”と噂になってるくらいや。でも実際ケンカが強いんやけど、それだけでもなくてな。フィレムは歩くときに左右に身体の芯がふらつく癖があってな、それが不気味がられて話に尾ひれがついたって理由もあるんや。

彼とはどんな話をするんですか?

お互いの守秘義務に差し障らない程度に雑多な話や。テストでヤマを張ったらうまく当たっていい成績がとれたとか、海で溺れる夢を見て怖い目に遭ったとか、友達が木から落ちて骨が折れたとか。友達やからできるようなしょーもない近況報告をしてたんや。まぁ今回もそんな感じで、速度超過車に注意しろとか自転車にぶつかるなとかハルキュオネが話していると、フィレムは少し間をおいて神妙に話し出すな。
『な、なぁ……アマリア、さん?』

『うん?どうしましたフィレムさん、あなたの方から私を”さん”付けで呼ぶなんて、そんな改まって』

『あ、あの……お、俺……これを、治すことにしたんだ』
フィレムはハルキュオネと向き合い、長そでのシャツを肩口までめくりあげるで。そこには、焼けただれた痕のように皮がカチコチに固まった痛々しい腕があった。ハルキュオネはそれを知っている。フィレムの両手両足は彼が物心ついたころからこんな風に凝り固まっていたんや。そのせいで彼はいついかなる季節でも長袖で過ごしていた。いじめを受けていたのも、そういう彼の姿が発端となった部分もあるで。
『ずっと診てくれてたセンセーがついに元気になれる手術ができるって言ってくれて。明日、その手術の日なんだ。たしかアマリアは明日は仕事終わるの早いんだよな?俺の身体がきれいになったのをアマリアに一番に見てほしいんだ……!』
ハルキュオネはくしゃくしゃの紙切れを押し付けられる。開くと” 津々トゥトゥ生物研究所”という名前とその住所が書き殴ってあるで。ハルキュオネが見慣れない名前に困惑している間にフィレムは手を振りながら走って帰ってしまったな。

これ、アマリアさまの夢に出た研究所っぽいですねぇ。

帰ってく背中に『楽しみにしてるねー!』と大声で声援します。その……フィレムさんが持病で悩んでいるという話を前から知っていたなら、それが治るとなれば私も嬉しいですから。

うん、せやな。そーゆーわけでこの日のハルキュオネは親しいフィレムが長年の悩みから解放されると知ってなんだかこっちまで嬉しい気分になるな。だけど、それと同時に、なぜか同じくらいの大きさの不安にも包まれていくで。ハルキュオネ、アイデアを振ってもらえんか?

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(17) = 17”
45>17
アイデア成功!

よし……成功やからハルキュオネの不安感の出どころを説明するで。ハルキュオネは一日中彼と別れる寸前の会話の内容を反芻しては考え込んでいた。なんで、彼は持病が治る手術が受けられるという明るい話題をこんなギリギリに伝えたのだろう。なんで、彼はあのように後ろめたい態度でその予定を伝えたんだろう、というわずかな違和感にハルキュオネの心にわずかなさざ波が生まれていたんや。それは、虫の知らせというやつなのか、単なる気にしすぎなのかはわからへん。ただ、ハルキュオネはどこか心の片隅で、この出来事が無事には終わらないと、直感が危惧していた……。

わぁ!ひどいことされそうですぅ♡

フラグがすごーーく建設されちゃってますね、フィレムさん。

ハハハ!不安がってくれるならシナリオを考えた甲斐があるわ。でもすまんけどあんまりメタなこと言うのはよしてーなー?んじゃ次、安堂の導入いくで。

はーい♡


シーン2

行動キャラクター
安堂

ロケーション
喫茶店


昼下がり、安堂はよく通ってる喫茶店に行くな。ココアがおいしいと評判の店で、もちろん安堂もそれが目当てや。
プディング!
あーはいはい。じゃあプディングとココアの最初の一口を噛みしめてる最中に若い女から声を掛けられる。赤い瞳と大きな緑色の宝石がついたブローチが目立ちよる身なりのパリっとした紳士的な女やな。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(7) = 7”

ん?いまダイスを振ったのは?

あーいや、大したことじゃないで、描写の細かいところを決めたくてな。

こちらは準備できてますよぉ。始めましょー!

『待ちましたか、戯乃介さん?』
親しげに声をかけてきたその女は名前を 天鵞絨ビロードという。特別な産まれのせいで何かと難儀していたアンドーが物心ついたときから知っとるかかりつけ医やな。とは言っても、彼女は闇医者みたいなもんで、本職は科学者としてアンドーの実家の資金援助で研究をやっとるらしい。天鵞絨とアンドーはたまに時間を作ってはこうやってスイーツを食べ歩いたりする仲になっとる。食事指導とか何とかからこんな習慣が始まったような、どうだったか……まぁ、どうやってこうゆーことをしはじめたのか覚えてないくらいにはこうして同じテーブルを囲む場数を踏んでると思っておいてくれな。

『愛おしい方をお待ちしている時間は、等しく愛おしいですよぉ♡それに、ここにはプディングがありますしねぇ♡』と言いながらプディングを頬張りますぅ。

かわいい。いえ、続けて。

『ええ、あなたはいつも気恥ずかしくなる言葉で自然に返しますよね。嫌いじゃありませんわ』
彼女は微笑みをアンドーに返し、4人掛けの机にアンドーと対角の椅子に座ったな。

『明日は戯乃介さんの誕生日ですね。プレゼントは指輪にしましょうか?特別かわいいものを魔法で用意して差し上げましょう』
実は、アンドー自身、自分の誕生日がいつなのかは知らない。両親に祝われたことがないからやな。せやから毎年この時期になるとこうして茶化してくる天鵞絨の態度から何となーく誕生日はその日なんだとかなり漠然として認識しとるで。

『指輪は気持ちよくも美味しくもありませんからねぇ……食べられない魔法より、前に行こうとして売り切れちゃってたあのお店のプディング、食べてみたいですぅ……♡』

『あら、つれない返事ですわね。プディングならいつでも食べに行けますでしょう。ワタクシわりとあなたのことは好んでいますのに』
天鵞絨はテーブルに置いてあったフォークの先端に親指を押し付けたりして手慰みをしている。

『いいえ、天鵞絨のこともプディングのことも愛しておりますよぉ。なら、今度はプディングを食べに行く、決まりですぅ』

『……どうでしょうね、その言葉。真に受けてもよろしいのやら』
天鵞絨はやれやれといった態度でテーブルに運ばれてきたコーヒーに蜂蜜を入れてクイっと味わう。

『それでも、明日はあなたを私が取り上げた日であるというのは揺るぎませんよ。あの日、臍帯を切り落としたその日の、私は神秘的な姿をしたあなたの姿を見た感動は語りつくせませんわ。だからそのお礼を毎年こうして提案しているというのに』
そう彼女は思い返すように天井を見上げるが、彼女はアンドーから見てお姉ちゃんといった風貌で、アンドーはこの発言をいつも冗談だと受け取ってるな。

『えっ!?もしかして、奢ってくださるんですかぁ?うーん、別に必要じゃありませんが……遠慮なくいただきますねぇ♡』

『あら?あなたが誰かに遠慮していた姿、見たことがありましたかしら?まぁ、いいでしょう。プディングのことは約束しても構いませんわ』
天鵞絨はやや皮肉っぽく笑い、先ほど手遊びに使ったフォークの先をじっと見つめる。少し改まった空気を纏ってアンドーを横目に話す。
『その明日に、あなたをわっと驚かせる発明が完成いたしますの』

『あら、おめでとうございますぅ!そんなすごいんですかぁ?』

『ええ、これで私の目標に一歩近づけますから。見たらあなたも喜ぶこと間違いないでしょう。なんてたって、私はあなたの魔法使いですからね』
天鵞絨はまるで孫か姪でも見るような柔和な笑みでアンドーに微笑んでいる。

『わーっ!あっ!ごめんなさぁい……見る前からわって驚いてしまいましたぁ……』

『ふふっ……そういう仕草をする戯乃介さん、私は可愛らしく思いますわ』

『えへへ……天鵞絨の楽しそうな気持ちが伝わっちゃって。自分も嬉しいですぅ♡』

『そうですわね、詳細はまた後ほど。きっと、楽しませてあげることができますわ。おっと、そうでしたわ、このお店のプディングの一工夫を教えましょう。この紅茶の付け合わせの蜂蜜がどうしても余ってしまうので、これをプディングに……』

『えーなになにー!?う~~~~わ~~~~~~!!!!』

……そんな感じで2人が過ごすティータイムは進んでいくで。アンドーは別れ際、天鵞絨からアンドーの家の近くにある”津々生物研究所”に来てほしいと告げられたな。なんでも、その発明が完成してすぐに安堂に連絡する、っちゅーことやった。所長名義のちゃんとした招待状ももらったで。

同じ場所の名前が出てきましたねぇ。

なんだろう、この方の目標ってものすごくきな臭いです。

いえ!きっと、いい人ですよぉ!プディングにハチミツソースがけなんて……すばらしいっ!

多分この方にとって安堂さんは都合のいい人だと思いますよ。

えっ……照れますですぅ……♡

アンドー、それ褒められてへんよ。


シーン3

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
津々生物研究所・エントランス


そんじゃあ、ゲームの中では1日経ったことにして先に進むで。日の入り時刻、ハルキュオネは交番で事務処理を片付け、早めに帰ることができるようになった。津々生物研究所にはまだ呼ばれていないが、行くか?

それなら一度家に帰って着替えてから向かいたいなと思いますがKP的には問題ありますか?

おっけー。特にそれで構わない。ハルキュオネはちょうど日が沈みきったころ……7時って言っちまうかな、研究所に着く。フィレムからの連絡はまだない。すると、研究所の玄関口で建物の奥を見て呆然としとる長身の女性に気が付く。

彼女は研究所の関係者ですか?

うん、その通りや。乱れた服装にヨレた名札を身につけとるで。ハルキュオネはボサっとしよる女性を不審がって顔を覗き込んだときに名札をつい読んでしまう。この女性は許山華シュウ サンファという名前だと判定なしに把握できるで。さて、ここでRPロールプレイや、ハルキュオネは許をほっといて中に入ることもできるし、声をかけることもできる。あ、アンドーは適当なときに来てなー。

かしこまりましたぁ!

許さんがNPC……?モブ、ではないと思った方がいいでしょう。

ん!?まぁまぁ……前回のNPCの命名にならっただけや。

当たっているみたいですねぇ。

では普段の仕事モードで許に話しかけます。『どうかされましたか?』

放心してた許は我に帰ったような様子や。
『ん!?あ、あぁ……さっきまで中いたのよネ、ちょっと外出てみて……振り返ったら、研究所の様子おかしいのヨ~……』
ハルキュオネも許が向く方を一緒になって見ると、確かに”何かがおかしい”ということが把握できるで。照明がどこも切れかけているように点滅し、光は揺らめき、白磁の壁の屋内はまるで闇が意思をもって歩き回っているかのように影が差し、不安定な薄暗さに包まれとる。蛍光灯の寿命が尽きたくらいじゃあこんな不気味な光景は生まれない。SAN値が減るほどの衝撃は受けないがそれなりの気味の悪さを感じるような雰囲気がそこにはあった。

KP、一応ですけど彼女に心理学を振ってもいいですか?

ええで。成功してるかどうかは秘匿事項やからよろしくな。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(??) = ??”

この人が隠し事をしているかと言われるとそのようには見えない。だけど、もしかしたら話を盛ってたりするような事実との食い違いはあるかもしれへんな。少なくともハルキュオネは許の態度をそう受け取ったで。

ふーん……成功はしているんでしょうね、おそらくは。

それにしては描写があいまいじゃないですかぁ?

心理学のダイス結果はキャラクターの思い込みも含まれた分析なのでそんなものじゃないかなと思いますよ?それに……、

それに?

このゲームにおいて記憶は一概に信用できるものではない、と聞いています。

……会話シーン戻ってええか?

えぇ、続けてください。

『何か……中に忘れ物あった……気がするのヨ……でも、なんだか、入っちゃいけない気がするネ……オゥ、ワタシこんなに知らない人と話し込むの久しぶりヨ~、ハハハ……』

『なら、ちょうどよかった。私は警察の者です。こちらにはここの患者のフィレムさんに呼ばれて来たのですが、もしよろしければついでにあなたの忘れ物もとってきましょうか?』

なるほどな。それなら許は少し考えこんで、
『…………フィレム。フィレム……誰ネ?』
と首をかしげちまったで。

その反応……それなら許には改めて中は私が捜索するので外で待っていてくださいと頼みたいです。説得を試みる必要はありますか?

ええで。ロールの必要もなく許はそこら辺の段差に座り込んで待っとる。なんかとっても疲れてて混乱してる様子やったな。

はいはーい!そのやりとりしてる2人を通り過ぎて研究所に入りまーすぅ!

うーん、今か……KP、ハルキュオネと安堂は顔見知りですか?

んー……アンドーは町の有名人やからなー、ハルキュオネはどうしてあの屋敷の子がこんなところへ?と思うやろなぁ。特別な理由がなければこんなところに一般人は来ないやろうし、アンドーは職務質問を受けると思うで。

……ちょっと賭けになっちゃいますが、合流するのにいい方法がありますよぉ。アマリアさまぁ、RPをお願いしますぅ。

え、なんか、心配なんやけど……

わかりました。『おや!きみ、お屋敷のおぼっちゃんだね?こんなところでどうしたの?』

『大切な方を待たせていますぅ。あっ、研究員さーん!天鵞絨はどちらにいらっしゃいますかぁ?』と許さまに話しかけますぅ。

……ほーん?そうきたか。それなら、許はアンドーの発言でハッとした様子で立ち上がってアンドーを見つめ、その後ハルキュオネに掴みかかってきた。攻撃する感じじゃなくて、頼み込む感じや。
『お巡りサン!所長ヨ!所長アルヨ!お、思い出したネ!所長が治験をしていた実験室!えーと…………えーと…………』

『落ち着いて、落ち着いて。息を長く吸って、長く吐いてください』と許を落ち着かせます。所長さんと実験室について詳しく聞くことはできますか?

……残念やけど許は興奮したり腑抜けたようになったりで話が繋がらなくてまるで会話にならんくなったわ。心理学を使うまでもなく、錯乱しきってる状態なんやとはっきりわかるで。

仕方ありませんね。では、10分ほど彼女と向き合ってなだめます。ここは精神分析を行使するところでしょうが、あいにく私たちは初期値ですので失敗による悪化は回避させていただきます。RPでもう少し彼女から聞き出すことはできるでしょうか?

うーんそうかぁ……そこまで時間を取るっていうんやったら、ウチにも考えはあるなぁ。待つ時間と話す時間併せて全体で20分や、それで1つ、まともに聞き出せたことができた。実験室は施錠されていて部外者は入れへんようになっとる。許はその鍵を持ってたんやが、屋内に置き忘れちまったみたいやな。以上や。

その、所長って方は、天鵞絨さまですかぁ?

せやで、アンドーはそれを本人から聞いとる。

なら、中に入りますぅ。『おまわりさん、自分は行かないとぉ。知り合いが危険かもしれません』

『……それだったら、私だって……いや!一般市民を事件に巻き込むわけにはいけませんので!』

『いいえ。天鵞絨の身に何かがある事件なら、自分も当事者です』

なぁアンドー、あんたってそんな洒落た言い方できるのに何でいつもあーゆー口調なんや?

うえっ!?……えへへぇ♡愛おしい方の危機かもしれないと思ったら、つい……。

KP、安堂さんの気迫に私が折れる、という形の合流でいいでしょうか。それとも安堂さんが私に何かロールする必要は?

あー、そういうめんどくさいのはナシで頼むわ!ちょちょっと合流して中に入るで!

わかりました。『……あなたの気持ちはわかりました。ちょうど偶然、私にも中で助けを求めているかもしれない知り合いがいます。同行しましょう。私のそばから離れないようにしてください』

『ふふっ、一緒の道を行くなら、自分たちはもうお友達ですねぇ。お願いしますねぇ、おまわりさん♡』

じゃあ合流したところで、研究所の中について解説するで。玄関口からエントランスに入ると、ぱっと見3つの扉が見える。それぞれ、薬品室、資料室、エレベーターと書いとるな。このうちエレベーターと書いてある扉にはよく見るエレベーターの呼び出しボタンがなく、カードキーを入れるような薄い隙間だけが扉の脇についとる。つまり、施錠されとるわけやな。

はぁい!薬品室から順番に入っていきまぁす!

アンドー、ちょっと黙っといて。

ひゅぅぅ……。あ˝ま˝り˝あ˝さ˝ま˝ぁ˝ぁ˝ぁ˝ま˝な˝さ˝ま˝か˝い˝し˝め˝ま˝す˝ぅ˝ぅ˝ぅ˝

あーもー。ハルキュオネからもなんか言ってやってやー。

…………静かにしてないと活締めにしますよ。ピチピチスケベスーツ

ひっ……♡

お、おう……ええと、まぁ、残り2つの部屋は書いとるまんまや。薬品室は実験に使う薬剤の保管庫で更衣室も併設されとるらしいな。そのためか、
『必ずノックすること!』
ってデカデカと張り紙されとる。資料室は研究用の文献や研究結果を置いている部屋みたいやな。あと、資料室はそのまま研究員の休憩室としても使われとるみたいや。

どっちの部屋を先に探索しても問題なさそうですね。それなら安堂さんの言う通り薬品室から行きましょうか。

……!!わぁい!入りますぅ!

ノックしろって書いてあったのが見えなかったんですか?その大きな耳が飾りなら削ぎ落としてポン酢和えで食べてあげますよこのゴム人形

はぅぉぉぉぉぉぉ……♡

は、ハルキュオネ?こ、これ以上言うとアンドーがビビってチビりそうやしそれくらいにしておいてあげてな?

いや、そうはなりません。

あ、あのなぁ……いくらアンドーが打たれ強いからって、あんな苦しそうな顔をしてるんやから……さ?

それで実際に失禁したなら……そのときは、善がっていたということです。ねぇ?変態

ぉ˝っ˝……♡おほぉ……♡

……ん?おーい?アンドー……?おい、ちょっと!?帰ってきてやアンドー!なんかハルキュオネ怖い!起きて!アンドー!!


シーン4

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
薬品室


ぷぅー!麦茶、ありがとうございますぅ。

ええてええて、続き行くで。んで、薬品室に入った2人はすぐに照明が落ちていることに気が付くな。

入口ドアから手の届く範囲に灯りのスイッチはありますか?

あるにはあるけど機能しないな。ブレーカーが落ちてるようやな。

窓開けましょう!

それもついとらん。扱ってるモノが薬品という都合で日光が入らない造りになってる部屋みたいやな。あと、えらく甘ったるい匂いがするのと、消毒液の臭いがきつい。

えー!?明かりが全然ないなんてマナさまはけちですぅー。

まぁまぁ。KP、携帯電話のライトを使って室内を見渡します。判定にはどれくらいの悪影響が出ますか?

目星と図書館に-20、もしくは難易度ハード成功値半減のどちらか成功率が高い方を採用、というとこやな。2人とも目星は……50か。ならこの室内で探し物をするときの判定は30で振ってくれ。

はーい!いいもの見つけちゃいますよぉ。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(28) = 28”
50-20>28
目星成功!

いけましたね。ではRPのためにも私の分のダイスも振っておきましょう。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(84) = 84”
50-20<84
目星失敗

まぁ!自分だけ成功ですねぇ。

ふぅん……じゃあ、アンドーはこの部屋で何を探したいのか聞こうやん。それによって何が見つかるか検討するわ。

話ができそうな生存者さまぁ!いらっしゃいませんかぁ!

あー?なんでまた、いきなり人を探すん?ウチとしては怪しい日記でも探し始めないかなとか思ってたわ。

ふふ、咬冴さんもメタ読みの駆け引きにはまだ疎いみたいですね。あなたは初めに今が夜の7時だと話しました。それに、私が10分時間を取ると発言した時に、あなたはわざわざ会話が合計で20分かかったことを明示した。安堂さんは気が付いているんですよ。このシナリオには……時間制限がある、とね。

…………えーー!?そうなんですかぁ!?

おい、アンドーの考えはそうやなかったみたいやで?

あ、ええー?では安堂さんはどうしていきなり人探しを?

だって、事故が起きたときはまず避難誘導ですよぉ!

……なんちゅーか、アンドーの考えてることが一番常識的だと……数倍恥ずかしいなぁ……。

で、結局誰か見つかったんですか?

うん、椅子から床に突っ伏した姿勢で動かない人がいることに気が付くで。

『あら!ここらへんにプリケツ突き出してる方がいる感触でございますよぉ!』

『なんですって!事態が事態ですし、床に吐いた跡があるようなら回復姿勢をとらせましょう』

あー、平気、平気やって……それじゃあ安堂が揺すっているうちにその人の意識が戻った様子やな。ここからはRP中心で行くで。

『う……ん……あれ、私……んん……?』

『あ、起きましたか。具合悪いところはありませんか?自分の名前はわかります?』

『え……?あー……私……飾霧還梛カザキリ カンナ……です。んー……え……?なに?もしかして、薬品吸って倒れちゃったかな、私……?』
カザキリの発言で床に照明を当てると、コルク栓がしてある瓶一本とスマートフォンが床に転がっとるのが安堂には見えるな。瓶は底が割れ、中から沸騰して蒸発しつつある液体が漏れ出とる。消毒液の臭いが充満してたのはもしかしたらこの薬剤のせいかもしれんで。

次はエージェント・飾霧が登場ですか。

飾霧さまなら白衣もきっと似合いそうですねぇ♡

『落ち着いて。大丈夫です。あなたは何も失敗していません。私たちはここの所長さんを探しているものです。あなたがこんな暗い部屋で倒れているのを見つけて心配になって……よかったらどうしてこうなったのか、聞かせていただけませんか?』
あぁ、目星失敗してるハルキュオネは気づいてないってカンジでいくんやな。それなら……、

『……ええと、所長、天鵞絨所長のお客人の方でしたか。お話は聞いていましたよ……ええと、何が起きたかですよね?私はここで所長から頼まれていた薬剤の配合を頼まれていました……下拵えは済んでいるから、後は量を確認して混ぜ続ければいいと言われまして。えーと、今は、何時ですか……7時半?なら、30分ちょっと前ですね、どーんと建物が揺れて、すぐに今度はブレーカーが落ちて真っ暗になってしまいました。恥ずかしいことですが、私、瓶の中身を混ぜながらスマホでデイリー周回してまして……』

『驚いて、携帯電話を落としてしまった』

『……はい。うかつでした。机の角に頭をぶつけてしまって今度は瓶まで落としてしまって。割れた音が聞こえて、しまった、と思ったときには意識が遠くなって……』

『自分たちが見つけるまで倒れてた、ということですねぇ』マナさまぁ、飾霧さまがまぜまぜされていた薬品って何なんですかぁ?

それは飾霧自身も知らんみたいや。ただ、所長はそれを”水銀酒”という名前で呼んでたそうやな。

す、水銀!?あ、アマリアさまぁ!すぐにこの部屋から飾霧さまを運び出しましょう!水銀中毒ですぅ!

……なるほど。KP、2人がかりで飾霧を担ぎ上げてエントランスまで運びます。この場合の対抗ロールはどうなります?

ええっ!?えーと、ルールブック読ませて……んー……アンドーとハルキュオネのSTR筋力の合計は20、飾霧のSIZ体格は……11にしとこうかな。せやから、95以下のダイス目が出ればカザキリを部屋の外まで運べるで。

わかりましたぁ!振りますー!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(94) = 94”
96>94
対抗ロール勝利!

アンドーが落とすギリギリのところみたいやったがなんとかカザキリを運び出せたみたいやな。

勢いで運んじゃいましたけど、どうします?この人……。

どうしますって……救急車ですよぉ!救急車!許さまと飾霧さまを病院に運ぶんです!

あー……アンドー……?

あの……安堂さん……それなんですけど……ほんとに、これ、水銀だったんですかね?

だって!水銀のお酒!ですよぉ!うっ……うっ……飾霧さまぁ……死んじゃやですぅ……。

あぁ、どーしよ、アンドー、泣かないでくれよ……!

……安堂さん。

うぅ……はい、どうしましたかぁ?

遊びなのに咬冴さんを困らせてどうするんですかこの真っ黒クロスケ

……はぅぅ!♡?

咬冴さんはさっき私たちが飾霧を持ち上げようとしたときにだいぶ混乱していた。これは薬品室から飾霧を動かす必要がそもそもなかったことを意味します。つまり……もうわかりますか?

飾霧さまが割った薬品は……毒じゃない……!

……はー、やっとわかってくれたみたいやな。まぁええで、真っ暗で辛気臭い薬品室からカザキリを連れ出してくれたボーナスや。エントランスで2人からこれまでのいきさつを聞いたカザキリから、許は所長と地下室に行っとったはずやと聞き出せるで。せやから、錯乱した許を見て所長の身に何かあったのではないかととても心配しとるな。それと、カザキリはぺーぺーやから地下に行くためのカギは持っとらへんで。

となるとです、地下で何かバケモノが現れて天鵞絨と許が襲われ、許だけが脱出できた……という状況?

手術を受ける予定のフィレムもきっと一緒に危険ですぅ!

許のあの態度は一時的狂気5点以上のSAN喪失健忘症記憶の狂気パニック逃走の狂気を患っていると考えれば……、

とにかく、早くエレベーターに乗れるようにしないと、ホントに誰か死んでしまうかもしれませんよぉ!

ふんふん、なら2人はどうしたい?

薬品室には戻らずに資料室に行きましょう。NPCが襲われている可能性がある以上、探索に時間はかけられません。エレベーターのカードキーを今度こそ手に入れたいので。安堂さんは大丈夫ですか?

はぁい♡いいですよぉ。

じゃあ、次は資料室の捜索や。カザキリは入り口でガタガタ震えとる許と一緒にいて様子を見てくれるそうやで。


シーン5

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
資料室


こっちの部屋は明るいですかぁ?暗いですかぁ?

おう、そこをこれから描写するで。資料室と表札が付けられた部屋の扉を開ける。明かりは点いてはいないがブレーカーは落ちてないらしいな。中を覗き込むと、業務用のパソコンとプリンター、金庫、大きなファイルが設置されているウチのサイトでもよくあるような従業員休憩室って空間になっとるとわかる。一番窓から離れたテーブルで椅子を何個か繋げて寝てる人がおるのが見えるで。かなり深く寝入ってるようで身体が半分椅子から落ちとるんやけど全然起きそうにないみたいや……隠密の判定なしで部屋を漁ったりとかできそうやな。

これは……!おへそチラリズムを自然に演出するなんて粋な演出じゃないですかぁ……っ!ハァっ……!すばらし……っ。

聞き耳の判定を振ることはできますか?周囲の気配を警戒して部屋に入りたいです。

……あっ、そうでしたねぇ。さっきは不用心にすぐ開けてしまいましたぁ。アマリアさまは80、自分は70ですぅ。

ん、そうか……ええで、やってみてくれ。

よし、ここで情報を獲ってきましょうか。

ダイスいきまぁす!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(72) = 72”
70<72
聞き耳失敗

くっ……あと2だけ届かないなんてぇ……♡

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(72) = 72”
80>72
聞き耳成功!

同値?珍しいこともあるもんやな。ハルキュオネだけ成功や。それじゃあ……ハルキュオネは資料室に入ろうとする瞬間、気配を感じて振り返る。そこに誰かがいるということはなかったんやけども、ハルキュオネは何者かの気配、いや、息遣いのような波動を感じていたんや。まるでこの建物自体が生きているような、全方位から感じるわずかな振動……和太鼓の演奏は聞いたことあるやろか?……あるな?イメージとしてはそーゆー肌全体で感じる重低音みたいな刺激と思っていてくれな。で、そんなゾワゾワとくる振動が、この研究所をわずかにだが確実に、土台ごと震わせていることに気が付いてしまう。

……もしかして?

もしかしてやな。その事実をどう受け止められるのか判定させてもらうで、SANチェックや!失敗するとSAN1喪失な。

そ、そんなぁ!

これで墓穴を掘ってしまったとは思いませんよ!回避してみせます!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(69) = 69”
75>69
SAN減少回避!
ハルキュオネのSAN75→75

ふー……よかったですぅ。

ん。それなら、ハルキュオネはこの事態に恐怖を覚えなかったな。この不気味な振動をあくまでも理性的に、そして合理的に答えを導きだそうとしたハルキュオネやったけど、ふと同じこの建物の中のどこかにいるはずのフィレムもこの振動を聞いているのかと思い至るな。結局振動について自分の中で明確な答えは出なかったが、ハルキュオネはフィレムを想い余計な詮索をしようとすることをやめた。こんなしょーもないことの結論を求めることより、とにかく彼を見つけようと気持ちを新たにするやろな。

なるほどぉ……おねショタ。

は?

あー、うー!……えーと、SANチェック回避できたのはいいんですけどぉ、聞き耳を成功したわりにはなんかためになった情報じゃないんですけどぉ、これってどうすればいいんですかぁ?

アンドー、その答えはこうや。ハルキュオネは気づいてはいけない真実の糸口を掴んでしまい、とっさに放した。クトゥルフ神話TRPGの世界における真実ってのは財団のヴェールと同じくらい一般ニンゲンにとっては不都合なんや……。気付くだけならただただ不快なだけの情報ってのも世の中いっぱいあるもんやからな。少なくとも、ニンゲンだけが知的生命体と地球上で名乗れる唯一の種族ってゆー自負がウチら3人の存在で崩れるだけでも、2D6くらいのSANチェックをくらうヤツらはおると思うで?

はぇー、マナさまはかしこいですぅ。

安堂さん、それで私たちの人生割を食っていることを忘れてはいけませんよ?

でも、そのおかげで大好きなマナさまとアマリアさまに出会えたんですよぉ?

……世辞なしでこういうことが言えるんやからやっぱりアンドーにはかなわんなー。このままいくと2人は資料室に入ることになる、それでこの部屋で何をしたいんや?

それなら寝てる人を、

……いや、安堂さん、ここはロールを振って何か試してみましょう。ここまで救助活動を率先して行っていましたが情報収集サブクエストを置き去りにしているような感覚がします。きっとどこかに隠された展開が眠っている。パソコンや金庫があるという話はそういう可能性を示しているものだと私は思います。真っ直ぐな咬冴さんなら、ハッタリや罠のための不利になる探索ポイントを設置しているとはあまり思えませんし。

お、おう……い、いや!知らんなぁ?

もし、そういう悪だくみが用意されているなら態度に出ると聞き及んでいますから。

……ハハァ!ウチのことをよく調べてるみたいやな!お見通しすぎてもう笑うしかできんで。

ではアマリアさまは何を調べようと思っていますかぁ?

ファイルとパソコンですね。手術の予定を閲覧して今フィレムがこの施設にいるのかを改めてはっきりさせます。また、フィレムが受ける手術とは具体的にどんな内容なのかも調べたいですね。

自分も一緒に調べまぁす!

そうしてもらえるなら、私から友達を一緒に探してほしいと頼んだことにさせていただけますか?

はーい!

そのアイテムに触れるなら目当ての情報を引き出せるか図書館ロールに挑むことになるで。振ってくれ!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(47) = 47”
20<47
図書館失敗

初期値じゃだめか。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(2) = 2”
70>2
5>2
図書館クリティカル!

ふぉぉ!?

おっ……クリティカル最大成功。そうやな、追加ロールに成功できたらと思っとった情報を出そっかな。まず成長ロールしてや、もう一度図書館を振って失敗なら1D10の成長、覚えとる?

はぁい!いきまぁすぅ♡

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(6) = 6”
70>6
ダイスロール成功、成長ならず

んー……。

まぁまぁ。確率が渋かったからしょうがないよ。

そうですねぇ、立ち直ってクリティカルの深ぁい情報お願いしまぁす♡

ああ、アンドーはハルキュオネの探し物を手伝い、フィレムという人物へ天鵞絨が行っとる治療と生活指導の記録を見つけ出すことができた。ハルキュオネが聞いたとおり、フィレムへの施術は今日の予定で、夜6時に開始してたっちゅーのがすぐ読み取れるな。で、施術に参加していたのは天鵞絨と許の2人だったみたいやな。施術の中身やけど、”血脈純化”とだけ書かれておりこの資料に詳しい説明はない。ここまでは、日本語が読み書きできればすぐ読み解ける情報やな。

ホラーで出てくる研究所に血ってワードが出るのはとても……いやな風向きですね。

ここからはクリティカルによるボーナスですねぇ。

いくつかの天鵞絨がフィレムへ行った対応を追っているとアンドーは気が付いたことがあった。たとえば食事療法の指南、家での過ごし方、患部に使う薬剤。それらは小さな違和感、もしくはちょっとした既視感という点の集まりでしかなかったんやけど、探偵の親友の手伝いを行ったこともあるアンドーにとってはそれは点と線をつなぎ合わせた事実を想像させたな。呪いまじない、アンドーの脳裏にこの単語が浮かんで消えなかった。天鵞絨がフィレムへ行っていた持病への対応の全てが呪術や風水に則った行為やと、アンドーは今そう結論づけた。そして、もしこの考えが正しいなら天鵞絨はフィレムに対しなにか災いをもたらそうとしているということも理解してしまうやろうな。残念やけどSANチェックを入れさせてもらうで。失敗でSAN1喪失や。アンドーは親しい者がこのようなオカルトな行為を職権乱用までして行っていることをどう受け止めるか判定してもらうわ。

やっとCoCらしい魔術的な描写がでてきたじゃないですか!待ってましたよ、こういうの。SANチェックをくらってしまったのは残念ですが、失敗でも1程度なら必要経費ですね。

ヒトの精神衛生を必要経費と言い切るアマリアさま、たいへん……サディスティックでございますぅ………………ふひ♡

おーい喜んどる場合かアンドー。SANチェック失敗したらそれなりにショックそうなRP入れてもらうで。

はぁい、では振りまぁす!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(73) = 73”
85>73
SAN減少回避!
安堂のSAN85→85

耐えた。んー盛り上がりませんね。

SAN85に何を期待しとるん?さっきは頼りになるって……、

発狂する心配のない時だからこそ反応を楽しみたいときもあるんですよ。そういうものでしょう?

いや知らんて。とにかく、アンドーは天鵞絨がこのような薄気味悪い行動を繰り返していたことを冷静に受け止めることができるな。

……はぁ……、

どうしました?

プディングが好きな方に悪いヒトはいないと思っていましたのにぃ……残念ですぅ……。

あ、そこショックやったんやね?

ふーんだ、もう天鵞絨は知りませんですぅ。男の子にこわーい呪いをけしかけようとしてるのをバラしちゃいますよーだぁ。自分がこの資料から気が付いたことをアマリアさまに伝えますぅ。マナさま、アマリアさまはフィレムが呪術的な干渉を受けてると知ったら自分と同じようにSANチェックですよねぇ?

せやな、この描写で大切なのは親しい人物が魔術的な事案に関わってるっちゅーところやからな。

それなら……『おまわりさん、自分はおまわりさんに謝りたいことがあります。自分の大切に思っていた方……天鵞絨所長はあなたのお探しの方……フィレムさんを騙しているかもしれない、ということです。天鵞絨は主治医の立場を利用してフィレムさんが自分にとって都合のいいように生活するように仕向けていたらしいのです。それが何の目的があるのかはわかりませぇん。それでも1つ言えることは……自分は以前にこれと近い問題を起こした方と向き合ったことがあって……暴力沙汰になった事があるということですねぇ』

その言い方なら事態を伝達しつつSAN値も守ることができる。さすがは経験者ですね安堂さん。あなたには発情した惚け顔を振りまく以外にもできることがあったんですね、素晴らしいです。

えへへぇ♡

いや、褒められてない褒められてない。だけどたしかに、今の伝え方ならハルキュオネは事態を把握しつつ精神的にショックを受けることはなかったな。

……まだです。KP、私の神学で安堂さんが見つけた資料を読み解き、どのような呪術を行っていたか確定させることはできますか?

えっ?アマリアさまぁ、自分はアマリアさまに天鵞絨が呪術を行っていたとは伝えてないですよぉ。

そうやな、安堂の言う通りでハルキュオネにとっては自身の知識が生かせるかどうかの判断もつかないシロモノや。ついでにメタ的に言うと、たとえその判定に成功してもハルキュオネにSANチェックの判定が襲い掛かってくるだけや。この資料には一度クリティカルが出てるから勘弁してな?

わかりました。情報は取り出し終えたようですね。あとは金庫……それよりも寝てる人ですね。

この人は名札を付けてませんかぁ?

付けてるな。Tuulia Takenoトゥーリア・タケノとある。日系人かなんかっぽい顔立ちや。

うっ……タケノさんが登場しますか……なんか恥ずかしいですね……起こしましょう。

アマリアさま、お願いしまぁす!

判定は必要なく揺すり動かせば目を覚ますで。
『んぁ……許さん……後生ですからあと15分……』
……起きるとは言ってへんけどな!

『……起きろ!西都町警察ですっ!

ぅぇっ!?
あぁ、びっくりした……大きな声出さないでくださいよ……羽毛が逆立つじゃないですか……。

たぶんこう言えばタケノは急いで起きますねぇ?

お、おう……せやな、タケノは2人の方をびっくりして見るな。

『我々は警察の方から来た。ここの所長さんに診察と称して未成年に危害を加えているとの疑いがあり、調査させてもらっている。所長さんのところまで案内してもらえますかぁ?』と尋ねますぅ。アマリアさまには目配せして一芝居うってもらうように合図しますぅ。言いくるめは初期値ですけど寝起きでいきなりこんな風に聞かれたら断られないと思いましてぇ……。

はー……アンドーお前、考えてるのか考えてへんのかわからんわ……。

私たちのPCの対話系の技能値は信用ならない数値だからボーナスに期待したいですね。

わかったわかった、2人ともとりあえず威圧で振ってくれ。初期値やから成功値は15や。失敗したら言いくるめ、説得と次々に交渉用のロールを試してもらうことにするわ。それで成功したロールに従った描写で進めよか。ただし、全部スカやった場合はプッシュロール泣きのもう一回失敗扱いにしてタケノとの会話は絶望的になる。これでええか?

うーん……ファンブル大失敗が怖いですねぇ……。

えーい大盤振る舞いや!タケノは寝起きで事態を理解できてへんもんで100ファンだけをファンブルとする!これどうや!?

それなら安心してダイスを振れますね。私はこれで納得してますけど安堂さんはどうですか?

リアル言いくるめが成功できて自分は満足ですぅ。

ハハハ……勘弁してや。

では威圧のロールは本物の警官役の私から。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(35) = 35”
15<35
威圧失敗

安堂さんに託します。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(54) = 54”
15<54
威圧失敗

……えへ♡

なーにがエヘや。ハイ次、言いくるめ。これの初期値は5や。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(22) = 22”
5<22
言いくるめ失敗

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(53) = 53”
5<53
言いくるめ失敗

次は説得ですか?

せやな。ハルキュオネが50持っとるし今度はいけるんちゃうか?アンドーは初期値やから10で成功や。だけど一つだけ。説得ロールは交渉術の中でも特に時間を使うもんなんや。これに成功した場合はゲーム内の時間は30分は必ずかかると思ってくれな?

とにかく振ってみますぅ!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(71) = 71”
50<71
説得失敗

えっ、

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(74) = 74”
10<74
説得失敗

あっ、う~ん…………全滅!

えへへぇ♡クソザコですぅ♡

ぶっはっははははは!せっっかく提案を受け入れたのに何やっとんねん!

えー……?どうします?

自分には魅惑50がありますよぉ?

魅惑ぅ?あー……交渉技能やな、うん。ちょっと振ってみるか?これの初期値は15やな。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(12) = 12”
15>12
魅惑成功!

えっ?

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(22) = 22”
50>22
魅惑成功!

えええっ!?

やりましたぁ!

お前らっ!?なんちゅー突破の仕方しよるんや!?えー!?ウソやんウソやん!えっと、この場合の交渉の進め方……ルールブックの魅惑のページは……………………うん、うん……。

どうします?

アマリアさまの魅惑も成功しているので、2人でタケノさまを誘うとか……?

待った!そういう方向に進んだらシナリオが壊れる!魅惑は持ち前の人柄で相手を感化させることにも使える!せやから、タケノは2人の態度を誠実に感じて疑うことなく応じてくれるようになった、こうさせてや。特にアンドーは昔からヒトの冷たいところも温かいところも肌で知っとるし、性根が人懐っこいからな。よし、アンドーは色仕掛けを用いる宣言がない限りは魅惑のロールの成功は人柄の勝利ということで処理してくことにするわ。

あぁ……ありがとうございます。安堂さんの普段のノリを一緒になって演じるのはちょっと抵抗あったので助かりました。

えっ……?

誰が踏まれて感じる変態の態度を好き好んで真似しますか?

ん˝ぉぉ……♡

やめときなって。強くあんまり言うとアンドー苦しむで?

え?達してますよ、これ。

へ?達する?どこに?

あー……聞かなかったことに。安堂さん、戻ってきて。

ん!?あぁ、はいっ!元気ですっ!

ハルキュオネ、そろそろタケノが話し始めてもええか?

あらら、安堂さんがすみませんでした、どうぞ。

んんん?アンドー以上にハルキュオネの方が何考えてるかわからんなぁ……。
『警察と聞いてびっくりしましたけど、優しそうな方なのでよかったです。それで、天鵞絨所長の容疑、というのは……?』

『それを確認するためにこの地下の実験室で行われている手術を確認させていただきたいのです。地下室を開けていただけませんか?』

『わかりました。でも、お言葉ですが所長はそんな悪事に手を染めるような方じゃないはずです。何かの間違いでは……?』

『それを見極めるために彼女と会わせていただきたいのです』KP、タケノが地下室を通れるようにできる間に天鵞絨の人となりを聞くことはできますか?

あぁ、できるな。

なら、まず自分が知ってる天鵞絨がどういう方なのか教えてくださぁい!

せやな、まず見た目やけど、銀髪の小柄な女性。小柄なヒトは気が強いっちゅーセオリーに漏れず欲しいものは全部自分の力で獲得してきた辣腕家やな。元はイングランドの生まれで、手に入れたいものに手を伸ばしているうちに日本のそれも社会の裏側の世界にどんどん入っていって、今では立派に研究所の所長兼闇医者ってところや。

ということは、天鵞絨という名前は……、

せや、日本で使っている名や。ウチみたいにな。彼女の名前はベルベッタ。まぁシナリオ上意味がある情報じゃあないけどな。だけど、これは安堂だけが知っている情報ということを付け加えておく。

研究所の方々は知らない?

知らん。まぁ、真名を必要とする呪文を詠唱せんとならん場合にゃ重要なことやけど、ハッキリ言うてそーゆー要素このシナリオには用意できひんかったから。考える必要はないで!

他に安堂さんのみが知りえる情報はありますか?

ははっ、ロールしてもらうのも面倒やしな、言っていいことは全部話すで。まずは天鵞絨が日本に住んだ理由や。彼女は正義感が強く、特にマイノリティを締め付けるマジョリティに対して特別な反感を持っとる。そういう理由があって実家が迫害を受けた経験があるそうなんや。日本に来た理由自体は単純で、童顔な日本人の顔立ちが気に入ってカレシでも作ろうって魂胆だったわけや。

……ん?なら、もしかして……、

なんか思いついた?

あー、続けてください。

そか。で、日本に来た天鵞絨は国民性の中に染み付いた”出る杭は打たれる”という差別感情に対して相当な義憤を抱いた。平たく言えば特別であること自体が何かと気に食わないっちゅー考えやからな。マイノリティを救いたい。才能を持つゆえの苦労も知らず、一方的に型に合わないニンゲンを処分する社会のやり方に異を唱えるため、闇のルートのパイプを伝って影響力のある家に取り入ろうとした。それが安堂の家やったってところやな。

なんだか……かなり具体的ですね。どこが重要なのか覚えておく必要があるかもしれません。

ま、思い付きやけどな、ハハハ!

これだけの情報を自分は天鵞絨本人から聞いたわけなんですよねぇ?

せやな、最初の方であったみたいなお茶会の場で世間話してる中で聞けていたということにしとってくれな。

では、タケノからは仕事場での天鵞絨の様子を確認させてもらいましょう。彼女がどんな仕事をしてるのか、とか。

一番の仕事は実験やな。遺伝子の研究でヒトの個性の根源を探しているみたいやな。次に研究所の人事。職員の採用は彼女が行っている。面接を受けたタケノによると、天鵞絨は研究員としての実力は当然として、その人物が不自由を感じるようなマイノリティの当事者かどうかに重い比重を置いているのでは、と思っとるらしい。

やっぱり。

ありゃ、もしかして見抜かれとったか?

そうかなと思ってましたぁ。自分、許さま、飾霧さま、タケノさま……天鵞絨と仕事上の付き合いのある相手全員がオスとメスの性質を兼ね備えた方たちなのですぅ。

なるほど。性的マイノリティの受け皿として研究所を運営していたみたいですね。

性的minority……?あぁ!マイノリティ!なるほどぉ!オスメスで表現しきれない方をそう言うんですねぇ、日本の方はぁ……となると……フィレムにも何か別のマイノリティの要素を見出すことができるのでしょうか?

いやーこの人はクライアントであってスタッフじゃないから違うんじゃないですか?たしかに皮膚病というわかりやすい不自由を持っているキャラですけど。

一応言っとくが、アンドーはフィレムという個人について今日で初耳や。でも資料に目を通して顔写真くらいは見ていた事にはしとくけどな。

その方がRPが円滑になってありがたいですね。

タケノさまは天鵞絨のことをどう思っているのでしょうかぁ?

恩人やと思っとるな。知らんけど。研究所には今まで自分のパーソナリティを隠して生活せざるを得なかったヒトが何人も働いとる。今日が日曜日でなかったらもっと多くの天鵞絨に雇われた者たちがここで過ごしとるとこや。全員少なからず恩を感じてるんやないかとタケノは言うな。特にカザキリは天鵞絨を信奉してて彼女の言うことは何でも聞くし今日だって休暇をなげうって彼女の調合を手伝っとったらしい。

そういう事情があったんですか。それならタケノがこんなところで昼寝していた理由が気になりますが……。

……飾霧さまと同じ部署の先輩後輩とか。気が置けない関係でぇ……あっ、職場恋愛、とかぁ♡

研究が佳境に入ってて実験室が空くのを待っとったみたいやな。

そっかぁ……。

なるほど。それなら鍵を持ってることも納得できますね。

まぁ設定の開示はこんなもんでええか?次のシーンに進みたいと思うんやけど。あと、アンドー、タケノとカザキリの前でそれ言うたらシバかれるからマジ言わんといてな?ホント……。

はぁい。それなら、タケノさんに鍵を開けてもらって2人で進みたいですぅ。

不意打ちに備えて安堂さんの前をカバーします。

じゃあタケノは胸ポケットからカードキーを取り出して通す。そうすると扉が開きエレベーターに乗れるようになった。許がそうやったように帰るときにカードキーはいらんようやな。

安堂さんの言う通りタケノには捜査と保安上の都合により残ってもらいましょう。

天鵞絨が怪しいですぅ。なので、天鵞絨の部下をしてるタケノさまには来ないでもらいますぅ。

ふんふん、それじゃあ、ここで休憩する?

あぁ、それならちょっと喉に優しいものを。

プディング!

ああ。

プディング!

わかった!わかってる!アンドーが来るのわかっとるから用意しとるわ!


シーン6

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
地下室


んま、んま、んま……。

……あの、安堂さん?それ、もう10個目……。

もっきゅ、もっきゅ……………………ぷはー!

満足か?

はぁい♡

……太りそう。

ウチはそれより糖尿病が心配なんやけどな……。その年で老化とか……そういうの……大丈夫なん?

さぁ?

さぁ、って……まま、ええわ。もう知らんし。地下の階まで降りたところから始めるで。地下の階は書斎のような雰囲気の部屋やな。上の階の資料室が研究結果の保管を行う場所で、こっちは参考書を所蔵する保管室らしい、と思うやろうな。

大学図書館みたいに書架がぎっしり詰まってる感じでしょうか。

それ知ってますぅ!鉄の本棚にボタンがついてて動くやつですよねぇ。初めて見かけた後しばらくはよく挟まれて拘束される妄想を、

エヘン!ン!ッんー、次、いってええな?アンドー。

あっ、はぁい…………♡

2人がそれぞれ軽く見まわした時、自分たちが困難な壁にぶち当たっとることに気が付く。この地下室から伸びる通路は見当たらず、また何者の気配も全くないんや。少なくとも、許の話によればこの区画に天鵞絨がおるはずなのやけども……と、いうわけで、天鵞絨はどこにおるのか。それを探す探索の時間やな。

まずはどこを探すか、ではなく何があるか、ですね。保管室の部屋の内装はどうなっていますか?あと振っていいなら今のうちに聞き耳ロールを。

どんな本が置いてあるのか見たいですぅ!

わかった、それぞれ答えるで。せやなぁ内装言うても全然考えとらへんかったから、ハルキュオネとアンドーのイメージしとる本棚……あのスイッチで出し入れする機械式のやつで部屋が埋まっとることにするで。他の内装はその日の段取りが書いとる職員用のホワイトボードに資料閲覧用のオフィス机やなぁ。置いとる本は遺伝子工学やらゲノムやらそんな単語が並んどるもんや。もっと詳しく調べるなら図書館ロールやな。聞き耳やけど……せやなぁ、振るには振ってええで。

隠し通路がある可能性はありますか?ほら、蹴り入れたら消える壁とか。

隠し扉ー!

まぁそれこそ目星やな。どうにもならなくなったらなんか助け船出すから気軽に提案してどんどんダイス振っとくれな?

では私は聞き耳を。

自分は図書館!

はいはい。面白い出目に期待しとるで?

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(11) = 11”
50>11
目星成功!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(74) = 74”
70<74
図書館失敗

スペシャル大成功まで1届かず。残念ですけどとりあえず成功です。安堂さんと私と両方が躓くのだけは避けられましたね。

うー!

おっ?プッシュロールするか?ここの図書館ロールで取り返しがつかなくなっても別にウチはかまへんからな。

おや、それなら安堂さんやってみます?

はいっ!天鵞絨が行った”血脈純化”とは何か、もっと焦点を絞って精一杯調べますぅ!

それならアンドーがまたしくじったときは、せやな、ムキになって活字を追ってハルキュオネの言葉を聞き入れない。しばらく別の技能ロールがでけへんくなるっちゅーとこやろか?

わかりましたぁ、それではぁ……はぁ、失敗するのが怖くておしっこ出ちゃいそうですぅ……お願いぃ…………ロールしますぅ……!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(23) = 23”
70>23
図書館成功!

祈りが通じましたね、安堂さん。

ぃぃぃいやりましたぁ!ふー、すっきり!

いきなり立つから椅子倒れたやん。おいおい……そんな興奮して汗以外にもなんか出してへんか?

へ……?あっ……。

…………まさか。

ちょっ、冗談よしてや、アンドー。

ごめんなさいぃ、今立ち上がったときに……その……おならが。

へ?……う˝っ!?げぇっ!?うえっ!ゲッホゲホゲホ!おま、お前ウエェェェッ!!

うわ、くっさ……もしかして安堂さん、私がこの前あげた卵、今日の朝に全部食べたの?ちょっとびっくりするくらい硫黄臭いですよ。卵は茹ですぎると栄養が硫黄臭に変わっちゃうからもったいないんですよ?

あ、あははははは…………

う˝う˝う˝え˝っ˝、ハルキュオネ、窓、開け、うっぷ!うあぁぁぁ……サミオマリエ人は嗅覚が鋭いからオナラの臭さが応え、

……まずい!

ふ、袋!こちらに!

うぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…………。

…………これはダメみたい、ですね。

あ、あ、あの、自分は、どうすれば……。

……とりあえずソレを捨てて飲み物を持って来てください。

う、うう……。

あ˝、ア˝ン˝ト˝ー˝……気にしなくてええ……たまたまアンドーのハラ具合が悪かっただけやろ?それならウチは怒る理由ないから、な?

あう……マナさまぁ!!

うっ!やめ、それを持って抱きつくな、また、う˝っ˝

わわわわわわ!?

わー!ごめんなさいぃ!!

んんん!っふぅ、っふぅ、すー、はー……うん、ちょっとお茶くれ。んぐ、んぐっ……はぁ、平気。いける。おっけ、次いこう。

……もう大丈夫ですか?

はう、ほんと、ほんとにごめんなさいぃ。

……うん、ほんま大丈夫、大丈夫やから……アンドー、ちょっとお茶のおかわり全員分頼むわ。その間にハルキュオネの処理しとるから……。

は、はいっ!

ああ……大変なことになりましたね。それで、私のキャラが気付いたことの話はもう聞いていいです?

ああ、ヘーキや……ハルキュオネはどこかに隠し通路があるって疑ってたな?それで床や壁に片っ端から耳を寄せていたら壁側の本棚の奥から何かしらの機械と水の音がすることに気が付いた。ここの奥に隠し通路らしい空間があると気が付いたハルキュオネには目星判定にプラス30の補正がかかるで。

おお、そういうことになりましたか。その情報を安堂さんと共有して安堂さんにも同じ補正を受けてもらうことはできますね?

ああ、是非そうしといてくれ。

では安堂さんは何を見つけたんでしょう?

ズバリ日誌やな。研究所見第何十ナントカ番って書いてあるA6サイズの小さなノートや。一つだけ明らかにメモ帳サイズで目立っていたそれをアンドーは手に取る。小さいメモ帳とはいえこれを何十冊も書き終えるならこれの筆者はけっこうな筆まめなんやろな。でも買い換えたばかりみたいで見たところ4日分の記録しか書いとらん。

それって誰のですかぁ?はい、お茶ですぅ。

上で会ったタケノのものみたいやな。あ、お茶さんきゅ。

鍵のかかった部屋で見つかる日記ほど怪しいのもないですよね。

もしかして、タケノさまが悪いお方だった……?なんてこと……。

あはははは、まだウチ読んでへんやんけ、2人とも落ち着きーや。疑いたい気持ちもわかるけども……あー、番茶、うま……ほら、いくで。

■月×日(木)
今日は搬入が多い。所長を疑いたくはないが発注数を一桁間違えていないだろうか。
培地などなら冷蔵していればとりあえず量があっても保管できるが、とにかく食料が多い。
それも皆に配るおやつには今まで含まれていなかった冷凍食品がほとんどだ。
まさか、泊まり込みの研究のために?最近の所長はワーカホリック的で心配。
書いてるここがまだ臭い!あの AKI運輸って業者何か腐らせてない?栗とイカが悪くなった臭いがしてたんだけど。

■月△日(金)
飾霧さんが何日もよくわからない瓶を一日中眺めている。人の手による監視と1週間の発酵が必要な薬品らしい。
まーた許さんにヘンな実験手伝わされてると思ってたけれど、頼んだのはまさかの所長。
でもたぶんふざけて騙されてるだけだと思うな。こんなことで『真空状態に耐えられる薬』ができるわけないじゃない。
こんなとこクランケに見られちゃ困るから冗談を言うにしてもすぐオチをつけてほしいな。
ついこの間も飾霧さんに読んでる本が魔導書だなんて言って驚かしてたし、もうあれは遊ばれてるよね。

■月☐日(土)
クランケのフィレムくんは明日からここで入院だ。持病のせいでずっと苦しい生活をしていたらしい。
偏見を受けたり疎外感に悩む気持ちは痛いほどわかる、私が何かできるわけじゃないがきっとよくなって欲しい。
特に許さんが張り切ってて、「投薬治療ネ!」と見たこともないナニか漢方かなんだかよくわからないものをいっぱい作ってる。
彼の世話をしていて最近根詰めてた所長がどうか失敗しませんように。
何かあって実験室が空かなかったら私も参ってしまうし。

■月●日(土)
い や 暇 。
土日の休みを繰り越しさせられるのはイヤだけど、仕事に出たのに手持ち無沙汰なのはもっとイヤ。
結局飾霧さんはまーだあの溶液を振り続けている。しかもなんか飾霧さん気持ち悪そう、臭うのかな
所長は卓月「今日で世界に苦しみを全てシ青算させる」と言って十二フィレムさんの持病を治す意✗气込みを感し˝る
とりあえす˝戸頎のし˝っ険糸冬わらな乀丶と^~~~―――――,√ノ      ダメだこれ仮眠しよ

この日記は最終的に1回寝落ちしたっぽいな。

案外、タケノはシロって認識して良さそうな日誌でしたね。

うーんぅ……誰も悪いことしそうには見えませんねぇ。

少なくとも天鵞絨はなにか良からぬことを行っているようには思えますよ。魔導書とか言っていますし、世界に復讐するみたいな発言とかもありましたよね。そうだ、日誌にあった魔導書というものは探すことはできますか?

図書館ロールか考古学、それか目星あたりで探せると思うで。だけど冗談で言っただけかもしれないあるかどうかわからない本を探すとなったら時間経過は勘定させてほしいところやな。

あー……うん、やめときましょうか。

えっ?

アンドー、ハルキュオネが察してくれたからここは引いとけ、な?

図書館と目星なら成功率は高いですよぉ?

いや、今の説明の仕方はKPからのやめといてくださいというメッセージです。時間的な都合があると始まってすぐ想像した私たちの指摘はきっと合っていたんですよ。そのうえで、時間経過を警告してくる、つまり……、

これ以上時間を使うとバッドエンド……ってことですぅ!?マナさまぁ!?

えーっ……?まぁ、その想像でええんやない?知らんけど。

ふぅん……ネタばらしされてしまったところで、時間を無駄にしないように早めにこの部屋を突破しちゃいましょうか。

かしこまりましたぁ!たしか、目星でしたねぇ?

あぁ、ハルキュオネの聞き耳成功のおかげで30の技能値ボーナスがある。

なら2人で80と80で、完全に失敗する確率は4%ですぅ、ファンブルする確率よりもざぁこ♡ですよぉ!

おっ、安堂さん、百分率を教わったんですね。勉強頑張ってえらいえらい。

うひゃ~~~~♡うれしいですぅ♡アマリアさまのナデナデはふわふわで格別ぅ……ですぅ……。

おーい、ダイス振るんを忘れてないか?

おっと!?いけませぇん、先振っていいですかぁ?

どうぞどうぞ。

いきまぁす!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(47) = 47”
50+30>47
目星成功!

ふんふんー、この結果なら補正なしでもいけましたね!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(100) = 100”
50+30<100
96<100
目星ファンブル!

Θεέ μουなんてこったい.

アマリアさまー!?

うわもう……こっちは補正ありでもまるでダメじゃないですか、どうされてしまうんです、私のキャラ。

ここでダメージが来るとすごくわるい!ですぅ!

うわぁ!処理に困るときにヘンなもん出すなや!えーとぉ……せや!ハルキュオネは隠し扉の存在という疑念を事実とするため、目を付けた本棚の蔵書を机の上にどかしていたんやけど、机の上に置いとった薬品を本でどついて割ってしまうで。飛び散った薬液は酒臭い黄金色の液体で、床に落ちたその液体はシュワシュワと泡立ってすぐに蒸気に変化してしまう。問題は、ハルキュオネがとっさに落とした薬品を拾おうとして蒸気を吸ってしまったということやな。

あら、鼻からアルコールは酔いますよぉ?

酔いは回らないな、酒が入ったときの感覚があるかっちゅーと、そうは感じん。ただし、アルコールで感じるそれをはるかに上回る不思議な、それこそ超常的な感覚をハルキュオネは味わうことになった。ハルキュオネの身体から、あらゆる刺激がスッと引いてくで。しかし、それは自分自身が鈍感になったというわけではないんや。自分自身の身体感覚はそのままに、外界から肉体が切り離されていくように、肌で感じる自分の吐息、耳で感じる2人の衣擦れ、目の前で消えていく液体の輪郭、鼻に広がる甘ったるい酒の匂い、それらすべての感覚器が送る信号が脳から遠ざかるように弱く、薄く、心もとなくなってく。まるで、自分がだんだんと透明に消え入り、存在が希薄になり、空気に馴染んで虚無へ溶け込んでしまうようやな。

ぎゃーっ!?アマリアさまがきえるー!?

ちょっと、落ち着いて、安堂さんから見たら消えてないと思うよ。

そうそう、その通りでこれはあくまでもハルキュオネの自覚症状っちゅーだけで、アンドーから見るとただハルキュオネが薬品の入った瓶を割ってまってショックで固まっとるように見えるな。で、そんな感覚に呑まれてく身体に対し、精神的にはどうかというと、意外にも心は凪のような心地や。だけどそれが、ハルキュオネ自身、あまりにも意外過ぎてショックやった。ハルキュオネの気持ちは動揺しとる、だけどそれは身体の調子がおかしいからじゃなくて、いつもはそうはならない感覚になっとるにもかかわらず一切の心のさざ波は立たず、平穏極まりない心持ちを保つ自分自身の無感情さに対してや。まるで、この魂が身体から抜け落ち、死出の旅に向かうように五感が冷え切っていくこの恐ろしさが、ごくごく自分にとって当たり前の感覚だというのか。いや、そんなことはありえない、こんな変わった体験にハルキュオネは断じて心当たりなんてありゃせんのやからな。

アマリアさま、SANチェックですかぁ?

いや、今回は確定でSAN1を消費してもらう、さらにMP1も一緒にペイや。

ハルキュオネのSAN75→74
ハルキュオネのMP15→14

おそらくこれは超常的な薬物だったのかもしれませんね。効果時間はどれくらいでしょうか?

直接飲んだわけやなくて蒸気を吸っただけやから1ラウンド分の効果にしとく。実際の時間にして10秒たつくらいのもんやろうけど、ハルキュオネにはこれが1分くらい長く感じた10秒やった。手足の先から体の熱量が頭に届くようになり、色を失った視界に彩度が生まれ、駆け寄ってきたアンドーの心配そうな声が分かるようになってくるで。

『だ、大丈夫ですかぁ!?ガラス、刺さったりしてませんかぁ!?』

『ん……ん、あぁ、大丈夫、です。驚かせてしまいました……私があなたを守る立場なのに、すみません、ですがもう平気です。そちらは何か見つかりましたか?』

気丈そうに振舞うハルキュオネやけど、自分で思っとるよりこの出来事は心に大きな爪痕を残した。常識では考えられんような深く暗い体験、そしてあまりにも鈍くなった心。この2つは理性を置き去りにしてどこかへと逃げていってしまったようで、それはハルキュオネに筆舌しがたい心細さを植え付けた。すぐさまそれが心の傷となるようなほどのことやなかったんやけど、相応にこの体験は忘れられないものになったと思うで。まぁそんなところで、ハルキュオネが負ったファンブルの代償は以上や。

あ!もしかしてですけどぉ、飾霧さまのこぼした薬品って、これと同じものですかぁ?

ん!?せやな……あの部屋は暗かったから……ちゃんとあの部屋で見た液体が記憶できてて、ハルキュオネが吸っちまったものと照合できるかどうかは知識でロールするくらいかな、さすがに状況が状況やから自動成功はでけへんなぁ。

わかりました、とりあえず知識80の私から振ってみましょう。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(49) = 49”
80>49
知識成功!

ん、ならハルキュオネは自分が蒸気を吸ったそれはカザキリが吸って倒れた”水銀酒”と同じもんやと確信できたな。

なるほどぉ、天鵞絨は飾霧さまに魔術の薬物を作ってもらってたんですねぇ。

たしか、マジックアイテムを作ることにも使うことにもMPが消費されるんでしたよね。なら、あの人が倒れていた理由もわかりますね。

そうなんですかぁ?

おそらくは。私が考えるに、天鵞絨は魔術師です。彼女が目指す”目標”のためには何かの儀式とマジックアイテム……その水銀酒が必要でした。ですので儀式には自身のリソースを割き、酒作りには疑問を持たない都合のいい部下をあてがった。最初に話していた”発明”というのが、この水銀酒か……別の何かなのかは想像するしかありませんが、いずれにせよその使い道は迷惑なものなんでしょうね。きっと、赤の他人に迷惑と損害と永遠の別れを突き付けるような。

ええな、ええな!ファンブルのせいでこないなってしまったけど、それでここまで推理が膨らむならウチも頑張って考えたかいあったわ!じゃあ……おっと、アンドーの成功の処理が後回しになっとったな。アンドーはハルキュオネが薬品ぶちまける少し前に本棚に”開閉”と書かれたボタンがついていることを見つけてたで!

アマリアさまが元気になったところで押しますねぇ。

なら、扉がドアを開けるように半回転して開いたで。その先は広々した通路に出るな。

ようやく道ができましたね。改めて、私は安堂さんの前を先導します。通路に気配はありますか?

ああ。多くの扉が左右に付いたこの通路の突き当りの扉の前で、何かを操作している若い小柄な女がおる。

『……天鵞絨』

じゃあ、その女は振り返った。昨日と同じ微笑みをアンドーに返しながら。
『……あら、待たせていましたかしら。こちらから迎えに行くと言っていましたのに』


シーン7

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
地下通路


アンドーの声を聞いて振り返った今は白衣姿の若々しい女……天鵞絨はどこか高揚を隠し切れないような声色で2人の突然の来訪に応じたな。白衣には大げさな数の小さな薬瓶が入っとってもうバチバチにうさんくさい雰囲気や。

『お迎えにあがりましたぁ。ここには、プディングはありませんでしたので』

『ふふ、いつも通り可愛らしいかぎりで。それで、そちらのお嬢さんは?』

『袖摺り合うも多少の縁、旅仲間ですよぉ』

『なるほど。あなたはそうして気ままに、途方もない知り合いを作りますのね。まぁ、いいでしょう。私はこの津々生物研究所の代表で天鵞絨・ガーネリアと申します、お見知りおきを』
天鵞絨はネクタイを改め、恭しくハルキュオネにお辞儀したで。
『戯乃介さん、礼節に欠くことは承知ですが、今手が離せませんの。この実験はもう少々時間をいただきますので……お待ちいただいてよろしいかしら?』
天鵞絨は向き直ると壁に取り付けられた端末にまた指を走らせ始めたな。

『……私は、ここに入院しているフィレムさんの友達です。彼が、今日の施術が終われば、持病を克服できると聞いてここに来ました。彼は、あの子は、こちらですか?』

『申し訳ございません。”あれ”は今まだ調整中ですわ。あぁ!麻酔をかける前に会いたがってたのはあなたのことでしたか。慕われているのですね。愛らしいことです』
天鵞絨はクチも指もものすごいペースで動かしてんな。
『”あれ”には偉大なる深きものたちのダゴンハイドラの血脈を目覚めてもらわなければなりません。まだ弱々しいバケモノでしかない”あれ”にこの世界全てを沈める偉大なる存在の呼び水となってもらうためには、まだまだ時間と魔力と栄養が足りていないのですから……』

『……それは、』

『それが、あなたの目標ですかぁ、柘榴?』

アンドーの問いに、天鵞絨は冷笑で応じた。
『いいえ。これだけではありませんよ』
天鵞絨はこちらへ向き直る。彼女は未だ変わらず柔和な笑みをたたえてるが、その眼はとてもうつろに、どこか遠く壁の向こうを見据えとる。先ほどまでとは、纏う空気がまるで違っとる。
『600年も前のことです。私と、私の両親、そのまた両親。そして、私たちの家族と同じまじないの業を持っていた同胞がいました。今は、私の愛していた存在と私自身の全てを滅ぼしたつもりでいる罪を抱くこともないただのニンゲンたちだけがいます。私たちは魔術の世界を視ることができるというだけで一族を魔女狩りの慰み者にされ、処刑により幾百年もかけ討ち滅ぼされました。その行いへの復讐、これこそが、私の目的ですよ。戯乃介さん』

『なんですか、それは。あなた正気ですか?それに、フィレムが何の関係があるというのですか!』

『関係ならありますよ、お嬢さん。”あれ”は私の復讐の小道具……鍵です。計算では、あれが身体に宿すヒトあらざるものの因子を完全に表に出せば、どこまでも泳ぐことができる深海の僕となりましょう。そして 深海の都アフ=ヨーラへと潜り、私は魔術により、わが故郷に大いなる父母と、あるいは彼らの旧き神グレート・オールド・ワンをも連れて帰りましょう。その最初の一手に動かすポーンが”あれ”なのですから』

『ふざけたことを。そんな意味わかんないことをまだ言っているなら、フィレムは私が連れて帰ります、あの子はどこですか』

『”あれ”ならこの扉の先で培養しています。完成すれば、手始めに、この町は呼び寄せられた深き水底の兵によって蹂躙されてしまうでしょうね。ですが、それだけでは足りません。足らないのですよ。ただ死んでもらうだけだなんて、私が望むものに比べたら……………………私が望む願いは、私の両親を灰になるまで燃やし殺したあの農民ども、焚きつけた貴族たち、それを認めた聖職者、あの奴ら全ての末裔たちに生きて炙られる痛みを上回る苦しみを与えて根絶することに他なりません。私の全てと命を奪おうとした連中の卑しい血を引くヒト全てから、尊厳を奪い、指を奪い、目鼻耳を奪い、手足を奪い、空気を奪い、最後に魔術で死後の安寧を奪いましょう。私の両親が味わった痛みを超える不幸を、火に踊らされ美しく燃え尽きる苦痛と水に揉まれ醜く溺れ果てる結末を奴らにもたらすのです』
天鵞絨の言葉の1つ1つはまるで出来の悪い戯曲のようや。歯切れの悪く調子の狂った不格好な呪詛。せやけど、せやからこそ彼女の発する、怒りや苦しみ、悲しみ、そしてもうすぐ復讐が成し遂げられそうやという喜びが、2人には理解できる。アンドーとハルキュオネには第六感でわかった。天鵞絨の話す全ての荒唐無稽な未来絵図が、彼女には実現できることであると。

『私はこの作戦を”レイロア=マナツアガ忘れられた記憶”計画と名付けています。我が故郷の人々が忘れ去るために社会から燃やし消された私たち魔女によって、人々が忘れ去るために記録を燃やされた深き海の主は沖より舞い戻り、時計の針が巻き戻るのです。ニンゲンが理の外の存在に脅かされる時代へと、私に帰る場所があった時代へと……。戯乃介さん、あなたは私と共に来てはいただけないかしら。私は戯乃介さんへ害をなすものを消し去ることができますわ。あなたが望むなら、幸せな眠りの中で暮らすことも、あなたに愛を捧げるものに囲まれることも、あなたをありとあらゆる悦楽に満たすことも、私にはできますわ。私は、あなたのような美しい魂の器が汚らわしく扱われることから解放したいのです。あなたを忌み児と切り捨て、そのくせ手切れ金にした財産まで奪おうとしたあなたの家族のことが憎いなら、私が狩りましょう。あなたに愛を捧げ、あなたの望む全てを叶えようとする存在に、私がなりましょう。これは、あなたに有利な取引です、戯乃介さん。約束してください、あなたの笑顔で、どうか、溜飲を下げるために赴く私を送ってくださいませんか?』
天鵞絨は微笑んでいる。火のような鮮紅の目が、復讐をきっと成し遂げてやるという決意に満ちとる。

……はぁ。

どうした?ハルキュオネ。

いやぁ、なかなか、辛い問いかけをしましたね、と思いまして。

んん~~?そうか~~?そう思われるやなんてな~~?どうしてそう思ったん?

天鵞絨の境遇、私たちに寄せましたね?100年以上前からの屈辱、奪われた家族、故郷に帰りたい……。それぞれが私たちの心の傷に寄り添ってしまう。私の演じるキャラクターにとっては天鵞絨は呆れるほど壮大な八つ当たりをしようとしてるくらいにしか思わないでしょうけど、ね。

ふぅん……そうでしたかぁ……天鵞絨は、そんなに……。

んっふっふっふ!あぁ、せや。気付いてくれてちょっと嬉しいで。とにかく、こっから先はアンドーの返事しだいやな。返事するか?

……ええ。

そうか。天鵞絨は笑顔の口角を上げ、アンドーを迎え入れようと両手を広げてるで。

『……嬉しいですぅ。天鵞絨はそこまで自分を想っていたなんて』

えっ。安堂さん?

『……ええ!ええ!!そうですわ。復讐を終えて、過去を清算した後は余生をあなたを守るために使うと誓います。だから……!』

『でも、だめですよぉ』

『…………え?』

『忘れちゃってたみたいですねぇ。自分と天鵞絨はもう約束なら1個、してますよぉ?あのお店のプディングを食べに行くって。約束をするなら、順々にこなさなきゃ、ですよぉ?それにぃ……この町を壊すつもりなら、それは自分が許しません。だって、そんなことをしたら、これから天鵞絨と食べに行くプディングがなくなってしまいますよぉ?』

……ふ、ふふふ、安堂さん、すごく……、

アッハッハッハッハッハッハ!!いやー、アンドー、あんたプディングのことならほんとマジで本気にするんやな。いやもう、最高や。悪役に向かって返すこんなおもろいセリフ、ちょっと当分忘れられへんわ……よし!わかった!アンドーが天鵞絨を突き放すならこっちにも考えがあるで!
『あぁ、私、あなたという方を少し誤算していたようです。あなたは、私が思っているよりも、より無垢で、賢く、向う見ずだったのですね』
そこまで言ったところで天鵞絨は白衣を脱ぎ捨てる。いつの間にか彼女の手の中にはメスが2本。何かアンドーとハルキュオネには聞き取れない言葉をそいつに吹きかけ、先端を愛おしそうに撫でている。
『こんなに美しいあなたを傷つけることは心が痛みますが、仕方がないことです。少し失血死していていただきましょう。大丈夫です、私なら生き返らせられます』
アンドーとハルキュオネは天鵞絨から吹く風を感じる。それは建物の中で感じるにはあまりにも強く、冷たく、怒りに打ち震えとった。
『戯乃介さん、あなたも1つ忘れていることがありますわ。私は、欲しいものは力尽くで手に入れてきたことを』
天鵞絨のアンドーに拒絶された怒りが吹き荒れる風を通じて伝わってくる。彼女の超常の力が、2人に暴力として具現化しようとしていた。
っちゅーわけでぇ……戦闘や!ナイフ持ち天鵞絨が相手やな。


戦闘開始!


やっぱり彼女がボスでしたか。

なんか大変なことになっちゃいましたぁ!

ふふ、安堂は天鵞絨に気に入られとるからなぁ、負けてもバッドエンドで済むと思うで。

それって私は負けたらキャラロスト再起不能って事じゃないですか!ぜ、全力で抵抗しますよ!

目星のロールで天鵞絨のステータスを知ることはできますかぁ?

おっ、いい提案やな。ちょっと振ってみてくれ。失敗してもペナルティーはないで。アンドー、振ってくれ。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(54) = 54”
50<54
目星失敗

きゅーん。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(47) = 47”
50>47
目星成功!

ふう、危ないところでしたね。

さすがおまわりさんは観察眼に長けてますねぇ。

それじゃあ、直接戦闘に関わる情報は伝えるで。ダメージボーナス体格の立派さの補正なし、DEXは6、HPは10や!せやから……ハルキュオネ、アンドー、天鵞絨の行動順になるな!

案外大したことないでしょうか?2対1ですし。中ボス……かな?

でもでもぉ、武器に詠唱したみたいですよぉ?怖いですぅ……。でも、オドオドしてては殿方を迎えることはできませんからねぇ、サクッと倒してフィレムを救出しましょー!

……そうしますか。

そうですねぇ!

ならハルキュオネは警棒での格闘攻撃でええか?

構いません、会話パートで置き去りにされた悔しさをぶつけます。成功値が70しかないので外した時は……頑張りましょうか。

あっ……や、なんか、すみませぇん……。

それでいいんですよ。安堂さんも、咬冴さんも。私が特別扱いされていないこの卓の空気感……この自然体さを噛みしめながらロールしますから。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(37) = 37”
70>37
攻撃成功!

よしっ……。

おさらいやけど、棍棒での攻撃力は1D6やな。

ショックロール体力半減まで持っていけるかもしれないのは強いですねぇ。

ふふふ……。

''【ダイスロール結果】''
1d6
''(5) = 5”
5ダメージ!

やりましたぁ!

……ふふ、アッハッハ!甘いなぁハルキュオネ!

えっ……まさか!?

そのまさかや……天鵞絨には装甲が1点ついているで!ダメージは4に減衰!気絶判定はなしや!

5-1=4
天鵞絨に合計4ダメージ!
天鵞絨のHP10→6

防御力!?そんなものもあるのですねぇ……。

彼女のスーツに防弾機能でも仕込まれていた、ということですか?

そこらへん、描写するで。相手がそのメスを突き立てようと動き出すよりも先にハルキュオネは警棒を抜き、払い落とそうと全力で振りぬいた。完全に最高の軌道で小手を撃ち払ったはずの警棒の一撃に対し、天鵞絨はその太刀筋に合わせて身体を突き出し腕で受け流した。彼女の腕を叩いた感触はそれだけでは説明でけへんほど柔らかく、干してフカフカになった布団を殴ったようで、どこか不確かな感触やった。

手に伝わった感触以外に何か変わったことは?

せやな……天鵞絨のネクタイについとる緑のブローチが叩かれた瞬間だけ光っとったような気がしたな。

『この子に暴力を振るうというなら、私も見過ごせません!』

『私の戯乃介さんをそのように呼ばないでもらえるかしら?』
武器を構えて交錯するハルキュオネと天鵞絨。ハルキュオネが目の前で見た天鵞絨の目つきは先ほどと変わらず赤かったが、その目線はハルキュオネの打撃を受けながらも未だアンドーを見つめとるのがひどく不気味やった。その据えた目つきはまるで乾きつつある血のように濁った印象を植え付けたな。

バリアの呪文とかありましたっけぇ?

あった気はしますが、装甲1程度しかつかないものだった記憶はないんですよね……。咬冴さん、どうでしたっけ?

ムフフー、さぁな。とりあえずアンドーの順番に移るで。

装甲1くらいならこぶしでもダメージは与えられるかもしれません、フライパンとか武器に使えそうなのがあればそれを拾いに行くのがいいかもしれませんが……。

ないでしょうねぇ、廊下ですしぃ。わかりましたぁ、この安堂戯乃介逃げも隠れもしませぇん!身体と身体でごっつんこして天鵞絨と向き合いますぅ!こぶしで戦いますぅ!

わかった、初期値は50や、振ってみてくれ。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(70) = 70”
50<70
攻撃失敗

アンドーは両腕をぶんぶんしながら突撃するが闘牛士みたいにするりと避けられちまったで。

ふふっ、なんか緊迫感ないですね。

ううー、やっぱり自分は戦闘ではクソザコですぅ……。

では天鵞絨のターンやな。天鵞絨は握りしめたメスの一本を持ち直し、自身の指の腹を切りつけた!滴る血を刃先に刷り込むとまた一言二言メスに聞き取れない声をかけ、投げた!攻撃対象はダイスで決めるで。奇数がハルキュオネ、偶数がアンドーでいくでー!

''【ダイスロール結果】''
1d6
''(1) = 1”
1,3,5=ハルキュオネ←TARGET!
2,4,6=安堂

こっちに来ましたか。外すことを祈るしかありませんね。

ふふふ……これも残念やけど、そのままダメージロールに入らさせてもらうで。

ええっ!?

天鵞絨が投げたメスはハルキュオネの立つ方向からわずかに軌道がそれた。しかし、ハルキュオネを通り過ぎる直前、投げ飛ばされたメスが空中で生きとるように急激に進路変更し襲い掛かった!こいつは魔術”無欠の投擲”をかけられた魔力の武器やったんや!1D4のダメージが入るで!

''【ダイスロール結果】''
1d4
''(4) = 4”
ハルキュオネに4ダメージ!
ハルキュオネは重傷を負った。
ハルキュオネのHP8→4

ぐあっ……!ショックロール入ってしまいましたね……!

アマリアさまのCON体力は7……ひぃぃ!成功値は35ですかぁ!?

ちょっと出目が良すぎたな……これはウチも予想外や。まぁ、覚悟決めて振るとええで!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(15) = 15”
35>15
気絶回避!

ふぅー……。

よ、よかったわ……ここでハルキュオネが倒れたらシナリオクリアが絶望的やったからな……。

その時は自分、天鵞絨のお婿さんエンドですねぇ!こ、怖いですぅ……。

天鵞絨の投げたメスやけど、腹に思いっきりぶっ刺さったな。描写としてはダウンを奪ったが10カウントならずってとこやな。

立ち上がってメスを抜いて捨てます。

それだけじゃ終わらんで。その物理法則を無視した挙動を見た2人は今度こそ本当に天鵞絨が超常的な存在であることを強く確信する。SANチェックや。失敗で1D2消費でいこか。

わー!?SANにまでダメージですかぁ!?

私たちが初めて直面した本物の魔術ですからね。このくらいの動揺が走るのもしょうがないでしょう。甘んじて受け入れて、改めて彼女に向き合いましょう。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(96) = 96”
85<96
96≦96
SANチェックファンブル!最大値SAN減少確定!
SAN2減少!
安堂のSAN85→83

うわー!?

ふむ……SANチェックでファンブルが出たからアンドーは最大値の減少をくらってもらうし、ゲームの中のアンドーも悲鳴を上げたことにしてもらうで。

『きゃーっ!?おまわりさーん!!』

『私に逆らったニンゲンは……我が魔術で全員苦しめばいいですわ……!』

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(54) = 54”
75-1>54
SAN減少回避!
ハルキュオネのSAN74→74

せーふせーふ。次あの必中の攻撃が来たら本当におしまいです。次のメスを投げる前に私の反撃を何とか成功させて黙らせないと……また格闘を宣言します!

あ、待ってな。ここで一つ連絡や。天鵞絨に1ダメージが入る。いや、正確には天鵞絨のHPが1点、MPが3点消費される。

天鵞絨のHP6→5
天鵞絨のMP?→?

おやぁ?あの魔術は自傷ダメージ付きなんですねぇ……それにしても、想い人にリストカットを見せつけるなんて激しいプレイなんでしょう……。

それは、プレイっていうんじゃなくてヤンデレって言うんじゃないかな……。

今度こそハルキュオネの番やな、スマンかったな、遮って。んじゃ、格闘70で天鵞絨にもう一度挑んでな!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(53) = 53”
70>53
攻撃成功!

やったー!

いや、安心はでけんで~?6分の1の確率でダメージ無効化やからな~?

それならまた5を出すまでです!

''【ダイスロール結果】''
1d6
''(6) = 6”
6-1=5
天鵞絨に5ダメージ!
天鵞絨は重傷を負った。
天鵞絨のHP5→0
天鵞絨は瀕死になった。

おっとぉ!?

わーっ!?

なんやこれは!?ウチが卓にいるといつもこうなるんか!?……ハァもう。とにかく、戦闘は終わりや。アンドーによそ見していた天鵞絨へハルキュオネの警棒がクリーンヒットし、
『うが……っ!?』
天鵞絨が纏う柔らかな感触の奥から鳴るミシャッという聞こえちゃアカンっぽい効果音。彼女は腹の中の空気を吐き出しながら意識を失い崩れ落ちたで。


敵撃破により戦闘終了!


ちょっと大味な戦いでしたね。

アマリアさまのダメージが大きくて自分ヒヤヒヤしましたぁ。

ハハァ、アンドーが不安がることもあるんやな。それで、どうする?天鵞絨からなんか剥ぎ取っとくか?

……介抱します?

いいですよぉアマリアさま。マナさまは大丈夫ですかぁ?

あんたら……瀕死になったキャラクターは最後に医学のロールに成功しないと死を免れへん。それでもええんか?

ええ。彼女には負け惜しみを言ってもらった方がきっと面白くなりそうなので。

じゃあ自分も参加しますー!

…………そうか。なら、2人のうちどっちかが応急手当に成功したら天鵞絨は今すぐ死ぬことはないで。振ってみてくれ。

わーい!振りますぅー!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(1) = 1”
30>1
6>1
応急手当クリティカル!

は?

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(57) = 57”
70>57
応急手当成功!

あら、2人とも成功ですね。しかもクリティカル。

わぁ!成長できますねぇ!

いやぁ、すごい出目やなホント……じゃあ、アンドーの成長判定な?振ってくれ。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(51) = 51”
30<51
ダイスロール失敗、1D10成長可能!再ロール!

やりましたぁー♡

うんうん、私のキャラが大ダメージ受けたときはどうなるかと思いましたけど、ここでグッとツキが回ってきましたね。

ぎゅー!

ちょっと?まだ成長量のダイスがまだですよ?

そうでしたぁ!

''【ダイスロール結果】''
1d10
''(8) = 8”
技能値8上昇、安堂の応急手当30→38

3分の1超えたな。これでかなりカンを掴んだ感じやん?クリティカルが出てアンドーは何をしたんや?

天鵞絨の白衣から薬を取り出して全部飲ませますぅ!

えっ。

えっ……うーん……それじゃあ……その中にたまたま気付け剤の効果がある薬があったみたいやな。息も絶え絶えやけど天鵞絨の意識が戻るで。

『う……っこれ、は……?』

『……天鵞絨』

『あぁ……戯乃介さん……あなたには……まだ、手が届かない……のです、ね』

『あなた、フィレムに何をしたのですか』

『……レイロア=マナツアガ計画は、あれの持つ人外の力を投薬と私が発明した魔術により増強し、大いなる父母に比肩する個体へと成長させるもの……』

『この期に及んでまだ胡散臭い言い回しを……フィレムは今どうなっていると聞いているんです!』天鵞絨の肩を掴んで問い詰めます。

『あれは……もう既に、深きものの血脈が覚醒し、ヒトの形を留めてはいませんが……ゲホッ!ゲホッ!まだ……準備段階……ですわ。……今はまだ……未熟なただの怪物にすぎない……』

『……つくづく、わけのわからないことを言いますね、あなたは……!』

アマリアさま、声震えてそうですぅ。

戦いの前にも同じことを聞いているような気もしますが、天鵞絨が不思議なことをやる存在だと確信を持っている今なら事の深刻さが分かってしまい、恐怖してしまうと思いますね。

『……未熟なら、倒せるんですね?』

『ふふ……愛を込めて、やれるものなら、やってみるといいですわ……もう……あなたというヒトは……死んでも、私知りませんから……』
天鵞絨は吐血して真っ赤な顔でくしゃくしゃの笑みを浮かべるで。

『ええ、お友達の親友の危機なら、自分も当事者ですからねぇ』と答えつつ、上着を一枚脱いで天鵞絨に着せますぅ。

『おぼっちゃん……いや、安堂さん……本当に、ありがとうございます』

『戯乃介さんは本当に……おかしい方……そこのお嬢さんも……まさか私に挑んで勝ってしまうなんて……本当に……懸命すぎて、笑っちゃうわ……生きるって、戦いなのね……』
天鵞絨は何回か笑い声をあげて前のめりにうずくまり、自身で吐いた血の中で動かんくなりよった。まだ死んではおらんけど警棒で殴られた激痛で話すこともでけんくなったみたいやな。

『……行きましょう、おまわりさん。あなたの親友が人殺しになってしまうのを止めに』

『ええ。安堂さん、前は任せてください』

なんや、かっこいい雰囲気出すやんけ。それじゃあ、まだ他にやりたいことの宣言はないんやったら決戦の舞台へ移動するで?

なるようにやる。それだけですよぉ。

ここまで来れたならあとはまた勝つだけ、簡単なことですよね。

その簡単なことが難しい難易度設定なんやけどな!ハハハ……もう、かかってこいって言うしかないわ。


シーン8

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
実験室


さて、2人が扉を開いた先でまず感じたのは、泡の音と海辺の臭いや。研究所の最奥、このやたらと広い実験室にはいくつもの手術台やストレッチャー、薬品棚、あと巨大な筒状の水槽が間隔を空けて並んどる。初めに耳にした泡の音、これはこの大きな水槽に酸素を送り込んでいる音のようやな。じゃあ、この磯の臭いは……?見回す2人の目線が収束する。一段と大きな水槽。どこかでこんな雰囲気を見たことがある。これは生き物を薬液漬けにするシーンで使ってたやつだ。前見たときは、アニメ映画で脳みそがそのまま入ってたっけ……そんな思い出に縋って現実から気を逸らすくらいには、目の前のあれは異形そのものやった。魚人、という種族をゲームの中で見たことがあったと思い出す。あるいは、幼いころに人魚姫という昔話を聞いたことがあったと思い返す。また、あの風貌はサハギン、カッパ、メロウなどという妖怪変化クリーチャーの名を思い浮かべるものもいるかもしれない。だが実際に直面したそれを見て、あぁ、創作の中の存在のなんと可愛らしいものやろか。死人のような血の気のない白色の皮と南国の海を思わせる蒼色の鱗に筋骨隆々の体表を彩られた、長いマズルと何重もの牙、身体のあちこちにヒレを形成し、襟首にはあるはずもないエラをのぞかせるニンゲンの骨格を持った魚……サメのヒトがこちらを向いて水槽に浮かんどった。

『あれは……、』

待った。そいつはフィレムで間違いないが、それをハルキュオネとアンドーが受け入れられるかは別問題や。深きものを目撃したことによるSANチェック、失敗で1D6消費やな。

ついに出ましたね。

自分たちはSANが高いから腰を抜かしたりしませんよぉ。たぶん。

またファンブルしないようにな?2人とも……。戦う前から戦闘不能にならなければなんとか対等に戦える塩梅にできてるはずやから……。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(6) =6”
85-2<6
SAN減少回避!
安堂のSAN83→83

いい出目ですねぇ。アマリアさまも続いてくださぁい。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(3) = 3”
75-1>3
SAN減少回避!
ハルキュオネのSAN74→74

『フィレム……!』

えー?もうちょっと怯えたりしてくれよー……。もうSANチェックするとこ残ってへんで……?

どうやらフィレムを止めるという使命感の方が怪物を見た恐怖よりも何倍も大きかったようですね。

まぁ、とりあえず、戦闘に入ることになるで。2人がフィレムだと確信した鱗まみれの怪物はハルキュオネの声でゆっくりと水槽の中で目を開けた。寝起きで焦点の合わない瞳は少ししてハルキュオネを見つけると瞳孔を見開き、水槽の中で筆舌しがたい威嚇とも悲鳴とも聞こえる恐ろしい雄叫びを上げた。

この姿を見られてショックだったって事でしょうか。

変わり果てた姿を恩人に見せられるのはとても倒錯的ですよねぇ……♡

嬉しそうな顔しないでもらえます?

ひゃいっ♡

水槽の内側に水かきのついた手を当てると、ガラスにメリメリとヒビが広がり、ついには水槽の壁を押し割ってしまうで。ゆったりした動きで二人の前までゆらゆらと重心がないように歩き、こちらをわき目もふらず見つめとったその怪物の剣幕は、まるで、捕食者が獲物を逃さないように睨みを利かとるみたいやった。
っちゅーわけでぇ……もう1回戦闘や!深きものを相手してもらうで。


戦闘開始!


ついに出ましたね、マッチョサミオマリエ人。

バケモノ級マッチョさまとはフィレムだったのですねぇ。

まぁそういうことや。ここでようやく冒頭の回想の場面ということやな。

はぁーー……っくぅ~~~~!こう!友達とゲームを囲んでボス戦に一緒に挑むこのっ感じぃっ!この次元にやってきてからは本当に初めてですよっ!

わぁ!やりましたぁ!アマリアさまの気持ちはパァってなってますねぇ!

ここでテンション上げないでいつ上げるって言うんですかこのおチビ

えーっ!?自分よりマナさまの方がおちびさんですぅ!

おい!サミオマリエ式で測ったら一番ウチがデカいやん!……ま、ハルキュオネがそこまで喜んでくれるっちゅーとなるともうウチは本望や。さぁ、ここまで来れたなら容赦はせんで、クトゥルー全滅エンドになりたくなければ……ダイスに祈って、戦うことやな!

『……フィレム、こんな立派な身体になって。でも、つらいよね。今……楽にするから』

『天鵞絨があなたを使ってしようとしたこと……自分が代わりに謝りますぅ。だから、眠ってください』

よっしゃ!2人ともカッコいい導入できたとこで、目星に-10をかけて振ってみてくれな。成功すれば今回もエネミーデータをいくらか出すで。マイナス補正の理由はフィレムが人間観察を行う枠組みから明らかに外れた存在やから、ってとこやな。

わかりました。まず私から振ってみますね。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(3) = 3”
50-10>3
5>3
目星クリティカル!

お?おおおお!これは!クリティカル!

やったー!自分も続きますぅ!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(31) = 31”
50-10>31
目星成功!

自分も成功ですぅ。

よーし、幸先ええな。まずハルキュオネの成長判定やな。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(29) = 29”
50>29
ダイスロール成功、成長ならず

そっかー……。

あ、あ……アマリアさまが露骨に寂しそうな表情ですぅ。

成長できなかったのは無念やけどクリティカルはクリティカルや。ステータスもそうやけど攻撃力も開示するで。きっと、フィレムを見てきたハルキュオネだからこそ、怪物になっとってもすぐにその身体能力を把握できたんやろうな。そーゆーわけでフィレムの体力は12でDEXは8、コイツも装甲が1ついとる。そして問題の攻撃はかぎ爪、成功値は30や。ダメージボーナス込みで威力は怪物らしく1D6+1D4や!

その威力は今の私のキャラが喰らったら大変なことになりますね。

でも、とてーも命中率が悪いみたいですよぉ?

おそらく、天鵞絨が言う通りまだ変異が完全じゃないからぎこちないのか、それとも、こちらを攻撃したくないのか……。深きものはとても嗜虐的かつニンゲンとの交配意欲が高いと聞きます。きっとフィレムは本能と理性の間で葛藤しているのかもしれませんよ。

なっ!?そ、それは……!い……異……異種、

あーハルキュオネの言う通りやなー!フィレムはきっとか弱いアンドーとハルキュオネを痛めつけたいけどヒトとしての自我が引き留めとるんやろーなー!!クリティカルしてるからハルキュオネにはためらいの気持ちが仕草に出とるとわかるわー!それにフィレムは深きものと深きものの混血児の中間くらいのステータスにしとるから全体的に怪物としては弱めやなー!

……はい。そうみたいですねぇ……。

……咬冴さんありがとうございます。

……アンドー?そういうボケは男子の中でしか言っちゃダメやと思うんやわ。

はぁい。

わかったならよし。今度の行動順はハルキュオネ、フィレム、アンドーの順になる。今回もハルキュオネが先攻やな。棍棒にするか?

うーん……フィレムと私のキャラは仲がいいのに、どうしても戦わないとダメなんですか?

せやな。天鵞絨が言う通りフィレムは倒すほかないな。フィレムとは……もう……分かり合うことはできんのや。

……咬冴さん?

マナさまぁ、顔が暗いですよぉ。そんなだと自分たちのキャラを倒せませんよぉ!はりきって!

あ、あぁ。すまんな……とにかく、フィレムが町へ出て暴れだすことだけは止めないとあかん。これは、天鵞絨の狂気を受け止めた2人にしかできん大仕事や。改めて言うで、フィレムを……止めてくれ。

なーんか、含み、ありません?まぁいっか、じゃあ棍棒で格闘しますね。

フィレムには自分たちの攻撃だとショックロールに持ち込めないのが辛いですねぇ……。

そうや、今のフィレムは人類に牙向くケモノや!いてまえ!

うーん……ここで失敗したら勝ちの目が遠のくなぁ……。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(74) = 74”
70<74
攻撃失敗

ああっ!

うまく受け流されちまったな。動きはよかったんやけど、相手に殺気を読まれたんやないか?

くぅ……!安堂さん!素手で勝てる相手じゃありません!武器を探して!

は、はぃぃ!!えーと、えーと……あ!椅子!椅子を持ち上げますぅ!

ふんふん……じゃあちょうどアンドーの腕力でも振り回せるパイプ椅子がすぐ目の前にあったわ。おかげでターン消費せずそれで攻撃できる。んー……椅子で殴りかかるなら成功値は……よし、こぶしの技能判定で成功すれば棍棒のダメージロールを振ってええで。パイプ椅子程度の武装で命中率が大きく下がる方が不自然やろ。

おっ、良心的。

でもその前にフィレムの攻撃があるんやなー。

ひ、ひぃー!?

''【ダイスロール結果】''
1d6
''(1) = 1”
1,3,5=ハルキュオネ←TARGET!
2,4,6=安堂

また私ですか!?

わ、わ、わ!避けてー!

ほんじゃあアンドーが椅子を何とか持ち上げているときにハルキュオネとフィレムは一発ずつやり合うことになるってところやろな。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(64) = 64”
30<64
攻撃失敗

『どうした!フィレム!私が怖いのか!?』

殴り愛……ですねぇ……。ありがたい……。

アンドー、拝んどる場合か。はよ椅子で殴らんかい。

おっと、そうでしたぁ……!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(77) = 77”
50<77
攻撃失敗

全員失敗ですか、仕切り直しですね。

叩いてるつもりなんですけどぉ……自分がクソザコすぎて全然痛そうじゃありませぇ~ん!

一巡してハルキュオネの番や。フィレムとハルキュオネは攻撃を止めん限り2人で揉み合いになるからフィレムのターゲットは変わらんで。

組み付きとかできたりしません?跳躍を使ってのしかかったりとか。PC的にもPLプレイヤー的にもフィレムを痛めつけるのはやっぱり……。

マッチョ化したフィレムに飛びついたらそのまま絞め落とされませんかぁ?

せやな。成功しても筋力差ですぐ振りほどかれるで。

じゃあ、また殴ります。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(75) = 75”
70<75
攻撃失敗

あーーーっ!?

おっと……フィレムの反撃はどうなる……?

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(33) = 33”
30<33
攻撃失敗

セーフセーフ!お互い攻めあぐねてますね。

きっと、どちらも傷つけたくないと思っているのかもしれませぇん……。

せやな、たしかに、2人とも本気の殺し合いをする覚悟が足りひんのかもな。

それなら……自分になら!薬瓶を拾って叩きつけますぅ!

ええで!今回もこぶしに成功したら棍棒のダメージや!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(19) = 19”
50>19
攻撃成功!

きたぁ!

ダメージ!ダメージ!

''【ダイスロール結果】''
1d6
''(6) = 6”
6-1=5
5ダメージ!
フィレムのHP12→7

最大値!いやおいしい!おいしいですよ!

えっと、アマリアさまに気を取られてるフィレムの後ろに回り込んで頭の後ろを殴りましたぁ!

5ダメージも受けてるからなぁ、きっと瓶が割れるくらいの威力は出とるやろうな。

痛がっているところに追撃できればダメージレースは優勢ですね。今度こそ私も攻撃に加わります!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(71) = 71”
70<71
攻撃失敗

そんなっ……!

そんなにフィレムを警棒で殴るんは気が引けるんか?ハルキュオネ?

……じゃあ、安堂さんの攻撃で痛みをこらえる怪物を見て、『やっぱり……フィレム……私には、できない、かも……』と弱気になってあと一歩が踏み出せない感じで。

同じ気持ちにフィレムもなってくれてたら生き残れるんですけどぉー。

えーい!こっち見んな!このゲームはわりと死ぬもんや!フィレムのかぎ爪ダイス!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(81) = 81”
30<81
攻撃失敗

ちょっと流石に腐っとると違う?

いやいや、私のキャラとフィレムはどちらもケンカに強いですから拮抗した打ち合いになって決定打を与えられないということかもしれません。

なら、打開できるのは部外者の自分かもしれませんねぇ、割れた瓶で今度はザクっと刺しまぁす!

お、刺突に切り替えたか。それならこぶしに成功したらダメージは小型ナイフ換算の1D4や。同じ瓶を武器に使ってるから持ち替えにターン消費なんてみみっちいのはナシやで。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(1) = 1”
50>1
5>1
攻撃クリティカル!最大値ダメージ確定!
4-1=3
3ダメージ!
フィレムのHP7→4

うっそぉ。

や、や、や、やりまし、た?

アンドーだけダイス走るなー。1クリだからちょうど鱗の無い地肌を刺せて大きな傷を作ることができたって感じやろか。成長判定も振ってや。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(73) = 73”
50<73
ダイスロール失敗、1D10成長可能!再ロール!

ん、着実に成長するなーアンドーは。

''【ダイスロール結果】''
1d10
''(4) = 4”
技能値4上昇、安堂のこぶし50→54

わぁい!

これでアンドーはちょっとだけ暴力を振るうことに抵抗が薄くなったな。ちょっとウチらも少しは成功しないと盛り上がらんとちゃう?ハルキュオネ。

私だって戦うって決まったからには成功したいですよ、そりゃ。これでだめならダイス替えません?

あ、さいころなら自分持ってますよぉ。いつか自分が司会キーパーをやるかもしれないと思って持ってたんですぅ。

おぉ、じゃあこれ外したらそっち使わせてや。じゃあハルキュオネの番、頼むで。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(85) = 85”
70<85
攻撃失敗

……エヘ。

……あかんかもしれんなもう。アンドー、ダイス借りるで。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(79) = 79”
30<79
攻撃失敗

このダイス、せめてファンブル起こすとかそのくらいのエンターテインメント演出できないの?

運がクソザコですねぇ。

これ以上グッダグダになったらさすがにヘンな笑い出るからアンドーちょっとまたフィレム瓶で殴ってくれ。

はぁい!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(83) = 83”
50<83
攻撃失敗

あら。

今回はダメでしたぁ。

そうアンドーの幸運も続かんわな、ハルキュオネのターン。

……もう逆にずっと外しそうな気がします。えーい!

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(80) = 80”
70<80
攻撃失敗

うぇーい。

いぇーい!

うぇーい。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(31) = 81”
30<31
攻撃失敗

うぇ~~い。

いぇーーい!!

うぇーーい。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(72) = 72”
50<72
攻撃失敗

うぇー~~^~~い。

いぇーーーーーーい!

うぇーーーーーーい。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(34) = 34”
70>34
攻撃成功!

うぇ~ええっ!?

あっ!成功!

あぁぁぁぁ遅っっっいわアンタその出目!はよダメージ出してフィレム倒せやダイスこのアンタアンタアンタ~!

''【ダイスロール結果】''
1d6
''(6) = 6”
6-1=5
5ダメージ!
フィレムのHP4→-1
フィレムは意識不明になった。

えっ。

あれ?6出たらぁ……?

ああ……終わるな。ハルキュオネとアンドーはダメージ刻んでたからフィレムは死亡せん。意識を失って戦闘不能になるで。

なんか……急にあっさり終わりましたね。

ねー。

……もっとこう、死人が出るぎりぎりみたいなことをしたかったんやけど……なしてこうなったんや……。

ダイス運でしょ。

運ですねぇ。

くくくく……これがダイスの女神クソビッチってやつなんやな……。


敵撃破により戦闘終了!


突然場面が動いて突然終わるとなんか心がついていけないですね、イラっと来ます。

まぁまぁ、アマリアさま……

あなたは大暴れできてたからいいでしょう、マゾエルフ

う゛き゛っ……♡

まーまー、落ち着き。

で、どうします?天鵞絨からフィレムを元に戻す方法、聞き忘れてますけど。

そういえば!フィレムは倒れて何か変化ありましたぁ?

いや、別にそんなことはないで。いや……ある、フィレムの肉体がほんのわずかにデカくなっとるのがわかる。もしかしたらコイツは戦って倒れるだけ強くなる的なアレかもしれんな。早くコイツを何とかせんと、今度はさすがにヤバそうや。

ふーん……つまり、意識を取り戻す前にフィレムを治すか殺すかしないといけない、と。

ええっ!?こ、殺す!?マナさまぁ!?

……意識を失っている今なら抵抗なくトドメを刺せるな。フィレムを治す、か……知らんわ。

そんな!ちょっと冷たいですよぉ!

それは、彼が深きものだからですか?それとも、まだロールに成功してないからですか?

どーやろなぁ。

……咬冴さん。あなたの境遇には同情します。でも、だからといってあなたの同族をゲームで見殺しにするのはなんというか……卑屈ですよ。

はぁ!?知らんがな!たしかに、フィレムはサミオマリエ人っぽいとは言うたけど、

じゃあなんですかこれは!あなた、私のサイトでも噂になってますよ!あなたの幼なじみが見つかったって!それがフィレムのことなんじゃないですか!?

し、知らんし!ウチが昔のダチの名前を敵につけて、何が問題なんや!

ほら!やっぱりそうじゃないですか。あなたの幼なじみの名前がついたクリーチャーを私たちに始末させるとかちょっと意地悪じゃありません?

うぅぅぅ!アンドー!ハルキュオネになんか言ってくれや!

マナさま……アマリアさま……わわわ。

安堂さんも言ってくださいよ。こんな手の込んだ陰口みたいなの、私は好きじゃないですからね!

ええと……、マナさまぁ、

アンドー!あんたもハルキュオネの肩を持つんか?

いやぁ、そうじゃないですぅ、あの……マナさま、きっと、辛かったんじゃないですかぁ?

は~~~~?ウチのどこが、

いや、そうですぅ。マナさまはきっと辛いです、フィレムの話をするとき、ずっとそうでしたから。

そんなの、知らんがな!

マナさま……マナさまが誰かにごめんねって気持ちなの、ちょっと前からびびっと感じてましたぁ。それって、フィレムにごめんねって思ってたんじゃないですかぁ?だから……いっそ、いなくなってほしいって、思ったり、することも、あると思いますよぉ。ごめんって思い続けることって、お腹すきますしねぇ。

え?え、ええと……ほら!安堂さんもこう言ってるんです!フィレムはもう倒れたんですから殺すとかいうのはナシですよ。大ボスを倒した後になってからSAN値を消費させないでください。

あーあ、ハルキュオネはちゃっかりしとるし、アンドーはいったい普段ボーっとしとるのにどうしてこういう事は見とるかなぁ………………わかっとるわ。フィレムが苦労した生き方をしとるらしいってことから逃れられへんことくらい。でも、しゃーないやん。ウチはもう悔やんでも悔やみきれへんくらい悩んだんや。話したいのに声が届かないところで、抱きしめたくても手が届かへん所で、SPCのせいで大好きやったニンゲンに怒って、怯えて、苦しんどるフィレムがおるってことに。だから、いっそフィレムを一度ぶっ潰して気持ちを整理することくらい、許されへんのか……?

あー……えっと……おー、思ってたより深刻な感じでしたね。それなら、どうでしょう。起こしちゃえばいいんじゃないですか?奇跡。

奇跡ぃ?

そそ、奇跡。これはゲームなんですよ?CoCだからといって、常に救いが訪れないわけじゃないんですから。助けちゃいましょうよ。その現実のフィレムさんがどれだけ死ぬ方がマシな感じなひどい有様で、そうなってる事に咬冴さんが負い目を感じていても、です。というか、これをあなたがフィレムさんを助ける決心にすればいいじゃないですか。その時は、私も力になりますよ。エージェントとしてね!

は、ハルキュオネぇ……。

あ、マナさまのごめんね、今なくなってませんかぁ?きっとなくなってますよねぇ?なら、自分はマナさまのためになりたいですぅ!どうすればフィレムは助けられますかぁ?

アンドー……うん。せやな……今すぐ解決できないことになんか悩みすぎとったみたいや。ごめんな、ウチは死んだ思っとったフィレムが生きとる、でも苦しんで生きとる、ウチをかばってくれたフィレムが危ないのにどこにおるかわからんくてどうもでけん、そんでどうも拗らせちまったみたいやな。ごめんな、その通りや。奇跡は……起こすもんや。

''【ダイスロール結果】''
1d100
''(85) = 85”
90>85
医学成功!

『間に合ったヨ!アイヤ~こんな散らかして~~アナタなかなか元気な患者サンよネ!寝る子は育つヨ~!』
そう言いながら包帯まみれの天鵞絨に肩を貸してこちらに歩いてきた人影がある、許や。天鵞絨をテキトーに椅子に置いて許はズイズイとアンドーとハルキュオネを押しのけてフィレムによーわからん怪しい薬を何個も飲ませるで。

あれぇ?フィレムのこと知らないんじゃなかったんですかぁ?

どうしてでしょうね?私から聞いてみますね。

おぅ、頼むわ。

『あなたは……お加減はもう平気そうですか?どうしてここへ?』

『ダイジョブダイジョブヨ~!アナタたち、ベルベッタ倒したでショ?ベルベッタ”コレはワタクシの計画のコマ”言って漢方の準備してるワタシに魔術かけたのヨ!やーひどい目遭ったヨ!五里霧中、ワタシが誰かわからなくなるのイヤー怖かったネ!』

……だそうです?

『あのぅ、それで何をしてるんですかぁ?』

『コレは中国四千年の漢方をワタシがアレンジした!”冥星加竜骨牡蛎湯”ネ、中国人何でも食べるから昔から怪物の血を取り込むネ、毒も喰らわば皿までアルヨ!そんなとき気の巡りを整えてコレ飲むヨ!そうすると元の姿に戻るのヨ~!オゥ、心を過去の姿に戻す漢方もアルヨ!欲しかったらワタシ作るけどどうネ?効くヨ~。1つにつきおカネは……』
そう許が営業トークしている間に、飲まされた薬の効果か、それとも天鵞絨にかけられた魔術とやらが切れたのかフィレムのニンゲン離れした体つきが次第に元の少年に戻っていく。さらに、彼がずっと悩んでいた手足のアザさえも消え去り、すっかりフィレムは何もおかしなところはないフツーのニンゲンへと変化していたで。

わぁお。

許さま、さすがですぅ!

『フィレム!あぁ……よかった……!』フィレムに飛びつきます。

はぁ……年の差の親愛感情に見え隠れする母性……尊い……。

フィレムはハルキュオネに抱きしめられるが目を覚まさないな。さすがにいつか起きるけど少なくとも今晩中はずっと寝たままやで。

『こんなこと……あなたは、いったい……?』

『ワタシ?大したモノじゃないヨ。平々凡々、ニンゲン、2,300年くらい生きてるとイロイロできるようになるネ。ベルベッタもそうなだけヨ』

『そ、そうですか……』

あのぉ、もっと疑問に思わなきゃいけないことがいろいろある気がするんですけどぉ……?

い、いや……どうもあの咬冴さんがこんなに許さんの声真似が上手だと、驚きっぱなしでペースに呑まれちゃって。

『ベルベッタ魔術に詳しいカラ、漢方の術がチョットわかるワタシと一緒に研究すれば魔術を薬にしてたくさんのヒトをゲンキにできるって言ってたのヨ。ワタシそのキモチ好きだったから一蓮托生なったアルヨ。デモ何年か前カラおかしなっちゃったヨ……気の巡りが悪くなっちゃった思って漢方作ってたケド、間に合わなかったヨ』

つまり、許は天鵞絨が日本に来る前からの研究仲間で、天鵞絨が復讐心に駆られたのは昔からのことではないということですか。

ま、まさか、自分のせいで……?

『ベルベッタ、アンドー財閥が紹介したAKI自然科学ってトコからの実験を受けるようになって、ヒトが変わっちゃったのヨ……ベルベッタは何でも燃やすのが好きだったケド、あんなに一切合切燃やしたり壊したりして笑うようなコじゃなかったヨ。特に最近はずっと尖ったモノを触っててもう怖かったアルヨ~!』

安堂さんのせいじゃないけど、安堂さんのご家族のせいかもしれないわけですね。

う、うわー!?ごめんなさいぃ!?

なんでそこでアンドーが謝るんや。ゲームのアンドーとは関係あるかもやけど、ホンモノのアンドーとは関係ないやろ。

そうかなぁ……そうかも……。

ところで天鵞絨は精神が参っていたんですかね?今の許の言葉的に。

Pyromania火炎性愛ですねぇ。

おっ……?アンドー難しいコトバ知っとるんやなぁ。解説すると、たしかに天鵞絨はこの儀式のためにSANを使い込んで心が壊れかかっとった。登場直前のあのダイスロールや、天鵞絨にはマニア強迫症の狂気ロールをしとる。それで先端マニア7の出目を引いたってところや。

おっ、かなり大きなネタばらし、いいんです?

ええってええって、だってもう、
ワタクシはもうオシマイ、ですわね。
探索はもう終了しとるんやからな。

わー!?天鵞絨が立った!?

まままま、まさか、第3ラウンド!?

だから、もう終わっとるゆーたやないか。天鵞絨は全員に目配せすると一番奥の扉へと歩いていくな。
『この方法で確実に復讐が成し遂げられると思っていましたが、私ってば計算違いも甚だしいですわね、作戦を開始していなかったとはいえ、たった2人に止められてしまうだなんて』

『天鵞絨、身体を動かして大丈夫なんですか?』

『ふふ、悔しいですがそこの怪しい中国人の調剤は本物ですわ。これだけ血を吐いても身体が動いてしまう。だから、この始末は自分で付けますわ。研究を破棄し、私は自首しましょう。私の頭脳と魔術の粋を集めた研究を誰かに横取りされるだなんて、復讐を成し遂げられないよりも不愉快ですわ』

『あなた……』

『あぁ、そうそう、お嬢さん』
天鵞絨がハルキュオネの方を向く。
『私の計画を粉々にされて本当にあなたには怒りが止まらない思いですが……この子供1人のために、ここまで力を振り絞ったあなたを……少しだけ、尊敬しようと思いますわ』
天鵞絨は扉を開く。

『待って!』

『……なんですか、戯乃介さん』

『また、会えますよね、プディング……一緒に食べましょう?』

『はぁ……あなたはそればかりですね。いいですわ、とりあえず死なないよう善処させてもらいますわ。それでは……』
扉が閉まろうとする。
『さようなら、勇敢な方』
天鵞絨の姿は見えんくなったな。

ふぅん……天鵞絨がいなくなったところで、フィレムをこんな辛気臭いところから運び出さなきゃですね。許に手伝ってもらったら運び出せます?

ああ、自動成功でええで。

アマリアさまは怪我されてますし、まずは病院ですぅ!

よしわかった。とりあえず、天鵞絨の邪悪な野望を打ち砕いて研究所から帰還するところで、本編は終わりや!水分補給して物語の後片付けをしよや。


後日談

行動キャラクター
ハルキュオネ安堂

ロケーション
病院


さて、大変な一夜をくぐり抜けたハルキュオネとアンドーはどうなっとるか、そこらへんを描写するで。ハルキュオネやけど、西都町記念病院というそこそこな大きさの病院に入院しとる。事情が事情とはいえ、メスで刺されたことは事実やからな。消化器の裂傷によりこれから半月は点滴生活や。

なんだか自分事じゃないのに気が滅入る話ですね。ただでさえ痛いのに好き勝手な食事も許されない容態で病院に拘束されるとなると。

まぁ悪いことばっかりでもないで。向かいのベッドに寝てるのはフィレムや。今も意識が戻らなくなっとるが、どこかその顔は晴れやかや。今までは荒んだ生活や人と違う体つきの悩みで暗かったその表情はとても穏やかな寝顔になっとるで。

同じような外傷があるから同じ病室に入れられたんでしょうか。

自分が瓶で殴ったり刺したりしたせいでそうなってるなら……ごめんなさいなのでおやつを差し入れますぅ。

……ハルキュオネは今食べれへんで?

ああああああ、マンガ!マンガをお2人にお貸ししますぅ!

じゃあそんな感じでアンドーが差し入れを置いて帰ったり戻って代わりの品を持ってきたりしてる数日後の病室やな。アンドーがハルキュオネの病室にやってくる。

『ヒマしてませんかぁ?』

『まぁその通りですよ。丸一日じっとしてると安堂さんが持ってきてくれた本もすぐ読みきっちゃいますし』

『そう思って、古本屋でまとめ売りしてるのをいくつかカバンに入れて持ってきましたぁ。そのまま置いてくので読み終わる頃にまた次を持ってきますねぇ』

『お屋敷のおぼっちゃんが古本屋?意外ですね』

『あー……家のセキュリティの問題で通販を使うと大変なんですよねぇ……同じ手間をかけるなら町に出て誰かの手垢がついて思いのこもったものを探す方が自分は好みでぇ……』

『そうですか。でもいいんですか?この前偶然会っただけの他人にこんな世話をかけて。おうちの人心配しませんか?』

『えっ?おまわりさんと自分は友達ですよぉ。また何かあったらかっこいい姿見せてくださいねぇ、それじゃ~』

アンドーが帰った後やけど、今までずっと寝たきりで意識が戻らなかったフィレムが長い二度寝から起きたような態度で起きてくるで。

『ん……んーんん~うんーんーん~^~……んぁ……何時ぃ……?へ?え!?どこ!?ここ!?』

フィレムは起きたときスッキリ起きれないタイプなんですねぇ。

『あ、ねぼすけさんが起きた』

『んぇええ!?あ、アマリア!?どうして……えっ、病院……?』

『忘れたの?この前の夜のこと……それからずっと寝続けてたんですよ?』

『この前の夜……?ご、ごめん……。俺覚えてねぇや……』

『呆れた。あんなにわんぱくに振舞って覚えてないなんて。あそこまで元気な姿見たことなかったのに』

『えっ……!?俺、何やってたんだよ!?』

『ふふふ、ナーイショ、っだよ。まー、まずその身体に聞いてみれば?』

『えっ……あれ!?腕が!?きれいに……!?脚も!?あ、痛っ、て、ててて……なんだよ……なんでこんな腹痛ぇんだよ……てか頭も割れそうなくらい痛ぇ……』
って具合で、フィレムはあの時自分が化け物になって暴れた記憶を持っとらんかった。それをハルキュオネはどう思うやろか?

まぁ、幸せなんじゃないかしら。自分が自分でなくなって制御できなくなっていた記憶なんて覚えてて苦しいだけで利益にはならないし。

なるほどな。じゃあハルキュオネはフィレムと再び過ごすことのできる日常に思いを巡らせながら療養してHPは全回復するで。

ハルキュオネのHP4→8

SAN値の回復は?

それはアンドーの話が終わった事後処理の話やからちょっと待ちーな?

はーい。

で、アンドーなんやけど、ハルキュオネたちにお土産を渡した足で病院内の一角にある鉄格子の扉へ向かうで。病院の職員と2,3手続きして中に入る。そこは特別な患者……妄想に捕らわれた人、暴力的な人、罪を犯した人や錯乱しきった人を収監し療養させる精神病棟や。

こっちは物理的に拘束されている方の病室ですねぇ。

ここにすぐ入れちゃう安堂さんってどういう立ち回りなんです?あ、安堂さん家が病院の設立に関わってるとか?

知らんけど~。まぁそんなとこやない?そんで職員にアンドーは面会室へと通される。ガラスが張ったある先の部屋の扉が開き、車椅子に乗せられた天鵞絨が部屋に入らされる。入らされる、っちゅーのは、天鵞絨の身体が車椅子に備え付けられてるベルトでギシギシに縛り付けられて自分じゃ動けなくされてたからやな。

きっと、上半身は拘束衣姿なんでしょうねぇ。はぁ……いいなぁ……。

アンドー、キモい。

ちょ、直球……。

天鵞絨に噛まされていた猿轡を職員が外し、彼女をアンドーと向き合わせて立ち去った。その声色はこれまでと変わらない穏やかなものやった。
『待ちましたか、戯乃介さん?』

『いいえ、今来たところでしたよぉ』

……このやりとりはお決まりのやつなんです?

いや、なんとなく。
『戯乃介さんの御祖父が気に食わない相手を始末するために作ったこの病院にまさか私が放り込まれるとは思いませんでしたよ』

『でも、自分は天鵞絨のこと、嫌いになったわけじゃないから安心してくださいねぇ。復讐の熱が冷めたらまたプディング食べに行きましょぉ』

『あら、期待させていただきますわよ?ただし、私の炎が燃え尽きることはありませんわよ。恨めしい者たちの命もあなたの魂もいつか手に入れて差し上げますわ。何もかもを失った私が取り返せるものは復讐で得られる心の安らぎと戯乃介さんの心しかありませんから。まぁ……今は手を伸ばせないからここでゆっくり静養させてもらいましょう』

『自首、したんですよねぇ。天鵞絨がそういう自分の負けを認めるような事を本当にするとは思ってませんでしたぁ』

『そう言って、私を心神耗弱と診断させてここに縛り付けたのはあなたの手引きじゃないんです?』

えー!私のキャラの知らないところでいろいろ進んじゃってるじゃないですか!蚊帳の外でひどいですよ!

はうう……ご、ごめんなさぁい、このとっておきのごくまろプディングでお許しを……。

あ、アンドーがワイロ使っとる。

プリン?ありがとう。でもそのくらいで私を……うっまぁ!?

じゃあRPに戻りますねぇ。

……ウチも後で一口ちょうだい。

『ふふふ、愛おしいものがいなくなってイヤな思いをしたヒトは天鵞絨、あなただけとは思わないことですよぉ』

『……なるほど、あなたもこちら側でしたか』

『自分の場合まだ取り返しが利くかもしれない状況でしてねぇ……必要があれば、自分は天鵞絨をここから連れ出しますよぉ』

ほほーん?前回のセッションに繋げるんやな。考えたな。だけど天鵞絨は首を振ったな。

確かにこの魔術師が味方になるなら強いですけど、安堂さんがキャラロストしたら精神崩壊しそうで怖いですからね。味方でも魔術を使ってるところを見たらSAN値が減りますし、パーティーに入ってくるとむしろ危ないかもしれません。

『それではいけません。頼られることは嫌いではありませんが、私があなたのものになることは趣味ではありませんので。私はここから自力で出ますわ。そうですね、あなたは激しいのが好みですから、次はもっと物騒にあなたを地獄へ引きずり込んで悲鳴で啼かせてみせましょう。そして私はあなたを必ず私の色に染め、我がものにしますわ。なんてたって、私はあなたの魔法使い。あなたに呪いをかけに来るわるーい魔法使いですからね』

『うふふ、天鵞絨のような強い方がいれば地獄も怖くありませんねぇ。でも地獄に私の探す方はいないようなので今はお断りさせていただきますよぉ』

すごい高度なドS同士の会話ですね……。

えっ、アンドーってそっちなん!?

このヒトはどっちもってやつですよ、咬冴さん。

そう言われたかて知らんがな……話は盛り上がるが面会時間が終わったみたいで職員が入ってきて天鵞絨をまた厳重に拘束を直し、連れ去っていったな。まぁ、そんな感じでハルキュオネはフィレムを取り戻し、アンドーも天鵞絨を失うことなく日常に帰ることができた、というわけやな。これでこのシナリオは終わりにしてええな?……ええよな?よし、

シナリオ’’無援の住人’’ここでゲームエンドや。



シナリオクリア!



終了処理


今回はウチの手心で許に働いてもらってまったけど、まぁそんなこと関係なくグッドエンドはグッドエンドや。魔術師1体を倒した、深きもの1体を撃退した、フィレムが生還した、これにそれぞれ1D4をつけて3D4の正気度増加や。アンドーが次のセッションを見越した発言をしたことやし、初期SAN値を超えてもそのまま持ち帰ってええで。

それなら正気度が黒字になりますけど、いいんですか?

じゃあクトゥルフ神話技能も2あげるわ。これで2人はSAN上限は97や。

それって今回は代償にならない気がするんですけど……まぁいいや、振りましょう。

''【ダイスロール結果】''
3d4
''(4,2,1) = 7”
SAN7回復!
ハルキュオネのSAN74→81

''【ダイスロール結果】''
3d4
''(2,4,4) =10”
SAN10回復!
安堂のSAN83→93

うわぁ、安堂さんがオリハルコンメンタルに……。

ホンモノのアンドーと変わらない凹みにくさやな。

アマリアさまもSAN80台ですねぇ!

じゃあもう後は質問がなければ終わるけどどうする?

ええっとじゃあ私から、当初の予定通りで行くとフィレムはどうなるのが最善の結果になるつもりだったの?

実は、2人がフィレムにトドメを刺すと腹をくくりよったら、フィレムが正気を取り戻す予定やったんや。でも、深きものに完全に変異した混血児はニンゲンの社会に戻ることはできない。フィレムは2人に礼と別れを告げ研究所がひそかに用意していた水路から海に帰っていく……というのが本来のグッドエンドやな。

なんだか悲しいですねぇ。

ほとんどの場合、主人公たちに刃を向けるNPCはただ不憫なだけやろうと因果応報やろうと正当防衛やろうとだいたい死ぬもんや。天鵞絨やフィレムみたいに深淵の世界に身を投じとる連中となっとるとなおさら日常を取り返すのは不可逆と言っていい……はずやったんやけどな!というか本当にフィレムを助けられたんは特例も特例やで!?そこはわかってほしいわ。

でも、フィレムが助けられる展開に持ってくときの咬冴さんすごくうれしそうでしたよね?

ええっ!?なんや、それがどうしたっちゅーんや!?

ふふふ、いやー、咬冴さんには話に聞いてたおてんばなところだけじゃなくて、女の子なところもあるんだなーって。

はぁ~~~~~~~~???ハルキュオネ、あんた、

ま、まぁまぁまぁまぁまぁ……自分からも気になってたトコ、あるんですよぉ。ケンカするなら先に自分の質問に答えていただけませんかぁ?

……はぁーー、わかったわかった、ケンカにはならんから、ごめんな。で、どこが気になったん?

天鵞絨の防御力ですよぉ。あれはどういうことだったんですかぁ?

あれは”バイオ装甲”という神話生物由来のアイテムや。本来は装甲8の機能を持っとる防護服なんやけど、使っていくうちに摩耗していくんでな、2人が戦う頃には擦り切れる寸前やったってところや。

装甲?そんなもの来ている描写なかったと思うけど?

光ったブローチがそうでしたかぁ?

せやせや。仮にも魔法使いがガチガチの武装してるのは合わないやろ?そういうわけでブローチにその機能があるように描写させてもらったわけや。

それなら拾っておけばよかったかな。

それはでけへんな。なにせ擦り切れる直前や。もう一度外したら砕けてたところやな。しかも装甲が外れるときにはHP1を支払うから天鵞絨は今度こそ死ぬところやった。

ひえっ。

なにせ人知の及ばない未知の防護服、それを無理くり脱がせるとなると、全身の皮が持ってかれて……、

ひーーーー!!

あ、こら!逃げんなや!ごめんて!ちょ、待ちぃ!ハルキュオネ、悪いけど片付けといてくれ!

はいはい、行ってらっしゃい。

うわああああん!!

待てーー!

……ふふふっ。あー、また誘おうかな。

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