「つまり、お前はカンを見つけたんだな?」
「イエス。」
「そしてそのカンは……『カート』なんだな?」
「イエ~~~ス!」
「なるほど、そのカンは『カート』だったのか。」
「さっきからそう言ってるじゃねえか。」
「そのカンは『カン』じゃないんだな?」
「ああもちろん。ただ、カンがカートに入ってるんだけどな。」
「その『カート』はどういうヤツだ?」
「カートは『カート』じゃなかったぜ。」
「なんだって?」
「そのカートは『カン』なんだ。」
「じゃあ、そのカンは『カン』なのか?」
「違えよ。『カート』が『カン』に入ってるんだ。『カート』はカンだよ。」
「んんん?じゃあ『カート』は何に入ってるんだ?」
「いや、地べたにそのまま置かれてるんじゃねえの?」
「『カート』はカートに入れられてるってさっき言ったじゃねえか!」
「言ってねーって。カートは1つしかねえよ。『カート』は内側にあるんだよ。」
「するってーと。『カート』の中にカートが入ってて、『カート』は地べたに直接置いてある、ってことか?」
「ああ。」
「カートには何が入ってる?」
「カンだ。」
「カンには何が入ってる?」
「カートだ。」
「とするとつまり、カンとカートがお互いの中に入り合ってるのか?」
「違えよ!?カンはカートに入ってて、『カン』の中に『カート』が入ってるんだよ!」
「『カート』には何が入ってる?」
「知らん。」
「知らん、て?」
「だから知らん。カンを開ける道具を持ってねえんだ。」”
「ということは、お前はまだ『カン』を開けてねえのか。」
「ああ。」
「じゃあどうして『カート』が『カン』の中にあるって知ってるんだ?」
「だーかーらー、違うっての。カンはカートの中にあるんだよ!ちょっと待て、エージェント・ナニーがここに来た。」
「そこに誰が来たって?」
「違う違う。ナニーだよ。ダレイはもう辞めたよ。」
「そいつと電話を代わってくれ。」
「誰と?」
「いや、ナニーだよ。」
「何?」
「そうだよ。」
「そうだよって、何が?」
「そうだよ、ナニーだ。」
「なんだって?」
「そいつと電話を代われ!」
「ソイッツはもうオフィスに戻ったぞ。電話なら自分でしてくれ。」
「なんなんだよもう。で、『カート』と『カン』は今何がどうしてるんだ?」
「いや、ナニーなら俺の隣にいるぞ。」
「お前の隣に何がいるって?」
「その通りだ。」
「もういい。『カート』と『カン』は今何がどうなってる?」
「だから違うって!ナニーは今ここにいるんだってば!ちょっと待て、彼女が今カンの所に行った。」
「誰が?」
「違う。ナニー。ダレイはもう辞めたよ。」
「何が起きてるんだ?」
「違う、ナニーは起きてるんじゃなくて向かってるんだよ。」
「じゃあ、カートは今何が向かってるんだ?」
「そうだ。」
「なに?」
「その通り!」
「ちょっと待て、最初からやり直しだ。カンには何が入ってる?」
「違う。『カン』に入ってるのは『カート』で、ナニーはその隣だ。」
「どうにもわからんな。お前は俺に何を聞きたいんだ?」
「何が?」
「ナニーはどこだ?」
「何がどこだって?」
「そうだ。」
「何が?」
「そうそう!」
「何が!?」
「そうそう!!」
こうして特別捜査官アボットと特別捜査官コステロは、異常事件課を飛ばされましたとさ。
ちゃんちゃん。
(訳注:『カン』『カート』はUIU式のオブジェクト分類法。UIUのオリエンテーション参照。)
原文:カンとカートは頭文字が小文字。『カン』と『カート』は頭文字が大文字。何とナニー=whatとwatt。誰とダレイ=whoとHu。そいつとソイッツ=himとHymn。)