世界を変えろ
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    Manna Charitable Foundation
    [2014 Wikidot Theme, 2020 Restoration]
    Originally created for the SCP Foundation GoI Contest of 2014 (MCF team and Group of Interest) by Reach.
    Thanks to Aelanna and Crayne for their assistance and patience.
    Brought back by Stormbreath and UncleNicolini.
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最後にプリシラ・ロックが覚えているのは汗だくであったこと、裂き剥がされた服、間近での発砲音、そして痛みがあって何も聞こえなくなった。それから彼女はまっすぐに立っていて、スーツは無傷で汗を新たに吸っていた。部屋はむっとして暖かく、開いたドアからは埃に覆われて、人が触れた痕跡のない廊下が見えた。

それはそこに彼女と共にあった。彼女は同じ場所に立っていたに違いない。まだ受け皿から飛び出しているワイヤーがあった。まだワイヤーがあるということは、見つけられていないということだ。彼女にはそれがいいことなのかどうか分からなかった。彼女には何が起きたか、何処にいるのか知ることに利益があった。他に誰かが生き残って、新たなる世界で初めて目覚めているのだろうか……

彼女のポケットは空だった。自分のアパートがこちらで存在しているのかすら確かではなかった。もし彼女がこれと一緒に財団に見つかったら、彼らは彼女が別の時空間から来た財団エージェントだと言えば信じるだろう。それから……何を? Dクラス指定? 彼らがああするのは種に叛いた者か、その他の破壊分子だけだ。しかし彼らが彼女に何をするのかについて知るすべはなかった。

彼女は小鼻を膨らませながらあれを脇に押しやり、ジャケットを脱いで彼女の命を救った小さくがっしりとした装置を包むのに使った。

「SCP-1856、」彼女はあたかもそれが喋れるか、あるいは自分の番号を認識しているかのように話しかけた。それはこの'時間'では発見されていない。再びSCP指定を受けることはないだろう。SCP-1856がこれらの人々のためのものだとは誰が知ろうか?

「誰かに尋ねられたら、あなたの名前はアンナ・バセットです」彼女は包みを持ち上げ、肩に担いだ。それは彼女の想像通りに重かった、まるでコンクリートが詰まった靴の箱のように。「いつもあれがあなたの名前だったって知ってる、でも……」彼女の思考は脇道に逸れた。誰かが1856には精神影響があると言っていた。長時間作業していた研究員の何人かが装置に話しかけ始めたと。そして彼らは認知症の兆候を示し、人々を幻視し、味わい始めたと。彼女はここ数日間かなり長い間それの周りにいたので、すでに影響を受け始めているのかもしれなかった。

「くそっ……アナバシス。おまえの名前はアナバシス


リャノン(Rhiannon)・ロック―プリスが知っていた限りには―はいつもエネルギッシュで刺激的で、嫌われながらやりおおせる程度にはいつも賢かった。子供時代はトラブルメーカーで、大人になってもそうだった。少なくとも、旧い世界では。大統領が悪名高き"我々は亜人の雑種とは取引しない"スピーチをぶった頃、リャノンは"亜人の雑種"を名乗り始めた。1熱烈な非白人の擁護者かつより進歩的な社会のための情熱的な活動家は、旧世界では裏切り者であるとみなされていた。彼女はここなら英雄だろう。

リャノン・"亜人の雑種"は髪を切らず、胸と背中にタトゥーがあり、複数の歯が折れていて過度に飲酒した。徹底したカルトのリーダーのペルソナにあるときは、彼女は全く見通せなかった。刑務所の扉のごとく図太く、とても楽しんでいる時のあの戯画じみた、女生徒のような笑いがなお一層苛立たせた。

尽きることなき大量のアノマリーという事情の中、手続きと形式主義の環境で他者と働くことは財団での仕事の魅力的な面であり、ロックを引きこんだ。収容違反を阻止する間に感じられる恐怖と不安は、一旦死と破壊の恐怖が過ぎ去ればほとんど楽しみのようなものだった。

簡単だった、なぜなら彼女は訓練を受けていたから。人生でずっと知っていた他人に出会うことに関する訓練は存在しなかった。

今、この新しい世界で彼女がそうであるところのリャノン・ロックはエネルギッシュで刺激的で、嫌われながらやりおおせる程度にはいつも賢かった。似ているのはここまでだった。髪は肩までに保たれて綺麗に梳られ、タトゥーはなく、歯は全て無傷だった。頻繁に謝罪し、プリスを涙を浮かべて、あまりにも沢山の暖かさと愛で受け入れたので彼女すら泣き崩れてしまった。

「慈善?」プリスはいぶかしげに訊ねた。「そしてあなたたちは全員ただ……使うだけ?」

リー(Rhie)は微笑んで頷いた。「いいでしょう? 私達を助けてくれるかもしれないものを封じ込めるのにそんな沢山のお金とマンパワーを使ってどうするの? 'アノマリー'なんてものはないの―まだ私達が理解していないだけ。理解していない物をもてあそぶのは危ないって分かってる、でも根拠のない恐れのために仕舞いこんでしまうよりは少なくとも試してみる価値があると思わない?」

情熱的な活動家。もう1つの類似点だった。プリスは目をしばたいた。「私、まだ何も言ってないけど」

リーはため息をついた。「ごめんなさい。私ちょっと……予想してたの。財団のたわごと。『未知の資源を利用するのは安全ではない』とかなんとか。間違いだよ―滑りやすい坂道の誤謬ってやつ。人々が苦しんで死んでいる時に思いとどまるのを正当化するために使われるべきじゃない」

「そんなこと言ってないよ」

「ごめんなさい」彼女は再び微笑んだ。微笑みはいつもプリスを苛立たせた。彼女の折れた歯の見える笑顔、洗っていない服の土じみた汚臭、あらゆる笑みの背後にある不確かさ、せせら笑い、ハグか、顔面へのパンチか、それともナイフか。'いい皮を切り刻んでやろうか'と彼女は言った。ここでの'いい(good)'は'白い(white)'の意味だった。あの微笑みを今目にして、それはとても……心底幸福そうだった。

「よかったら訊きたいんだけど、プリシー……」

再び彼女は緊張した。リャノン・"亜人の雑種"が彼女をそう呼ぶときはいつでも喧嘩をふっかけようとしていたのだ。プリスは顎を緩ませ、無理やりささやかな笑みを作った。「何を?」

「あなたの話を……あなたがどこから来たのかを考えると、何故助けたいの?」

プリスはリビングルームの真ん中の包みを見下ろした。アナバシス……彼女の命を救ったそのものは、おそらくその過程で全世界を破壊しただろう。「分からない……ホワイトプライドなんてものには本当に興味がなかったけど……ただ……」彼女は肩をすくめた。「論理的に思えたの」

リーの表情が硬くなるのを見て、彼女はすぐさま後悔した。「論理的じゃないけど。世界のヨーロッパ系至上主義は'人種'の問題じゃない―本を貸すよ、銃・病原菌・鉄っていう……」

プリスは素早く駆けより、彼女の手をつかんだ。「あなたが言っていることが分かった。それはただ……私があの世界で生まれ育ったということでしょう。物知りで高学歴なら、何でも正当化できる込み入った論理的根拠を思いつくのは簡単だから」

「どういう心変わり?」

プリスは最後にリャノンと対面した時のことを思い出していた。彼女はプリスの喉へ酒にまみれた舌を突っ込もうと試み、猥褻なキスをした。プリスに押しのけられ、リャノンは笑いながら走り去っていった。警察はプリスの吐息に酒を嗅ぎとったとき、罰金と警告とともに彼女を解放した。彼らはその夜通りの全員を逮捕していて、再び娑婆で見かけたのはごく少数だった。

「あなたの方」

リーは落ちつかなげに身動きした。「『亜人の雑種』?」

プリスは頷いた。「あなたのしたことは全部―彼女がしたことね―あなたは私の人生の中で実際に私を守るために全力を尽くしてくれた人だった。そして私があなたのグループを見たとき……民兵が人々の家に押し入ってあなたに関わりのある人を誰でも処刑していたときでさえも、まだ皆あなたを頼っていた。民間人がよ。そしてあなたは持っている物をすべてあげた、お金を全部、服を全部、持ち物を全部」

彼女のすべてだよ」

プリスは片方の眉をひねった。「あなたはしないの?」

リーは鼻を鳴らし、目に涙を浮かべて笑った。「いやいや……まさしく私だよ。自国内テロ以外は」

プリスは微笑み、再度財団の書類の束に目を落とした。「とにかく'マナ'って何?」


マナによる慈善財団と会見するのは驚くほど簡単だった。ただし政府もどきの準軍組織ではなく、慈善団体だったが。彼女が聞き及ぶ限りでは、こちらのSCP財団はこの点において似通ったものだった。まだ……危険な感じがする、財団の職員で長年行方知れずだった姉妹であると称する、全くの見知らぬ人を仲間に入れるのは、他の……タイムライン? 宇宙? 次元からの? 誰が彼女の話を確認できるんだろう?

「パニックにならないで、そんな厳粛じゃないから」リャノンは事務室の外で待ちつつ請け負った。建物は……平均的な外見だった。現実性の法則を拒むアノマリーを扱う集団にしては痛々しいぐらいに平均的だった。軍隊なし、武装警察なし、奴隷なし、セキュリティチェックポイントが1つだけ。ロックと同じぐらいの背丈で、体重は3、4倍ありそうな笑顔の警備員。

「誰がパニックしてるって?」

「出身についていくつか質問される。この人たちの何人かは元SCPだから、ただ……自然にして」

プリスは顎を緩めた。「きっとこっちの財団はあっちとは全然違うのかな」

「パニックになってるよ。パニックは止めて。何が起きても忘れないで」リャノンはダッフルバッグを叩き、プリスをやや緊張させた。「あなたにはこれがある。これがあなたの加入を保障してくれる。無理やり記憶処理されて送り出されたり、知りすぎたから'終了'されたりしないの。もう私達の一員だよ」秘書がプリスに入るよう促すと、彼女はドアの方に頷いた。

「待って、1つだけ!」リャノンが姉妹を呼びとめた。「頼むから人種差別主義者みたいなことは絶対に言わないでね」

プリスは彼女を睨みつけた。「自分の姉妹が文明人の大人らしく振舞うって信じられないの?」

リャノンは驚くほど陰鬱に頭を振った。「いいえ、信じられない。だってあなたは私の姉妹じゃないもの」

プリスは息が漏れるのを感じ、瞬きした。予測した以上の痛みだった。

リャノンは気付いたらしく、謝るために口を開いた。

「ミス・ロック、どうぞ」秘書が口をはさんだ。


装置が彼女のためにしたことと、その能力の規模を思えば、それをどうやって動かすかを理解するのは驚くほど簡単だった。

「4つのつまみがあります。1つめは長さ、おおよそ2282.35メートルまでです。2つめは高さと幅を両方示しています、だから固定です。3つめは時間を表します。年数です。少なくともそう考えています」彼女を待ち、見ている者たちが全員すぐさま、彼女が本当にこの手のものに対していかに嘆かわしいほど準備不足で不適当であるかを理解したと思い込み、募るフラストレーションでプリスはそばかすのある頬が上気して染まるのを感じた。5人いた。リャノン、背の高い黒人男、白人の男、そして2人の女、1人はだぶだぶのズボンにTシャツだった。少なくとも、この狭い講堂でプリスの声はよく通ったので、彼女は話を繰り返す必要がなかった。

「4番目のつまみ……」彼女は見た。他のものにはひねった際に満足な音のするスナップ感やクリック感で分かる、数百の調節点があった。4つめには3つしかなかった。それには"0"と"1"と"4"の調節点がラベル付けされており、"4"は部分的に擦れて消えていた。

「4つめのつまみは時間か、空間か、その両方に関連した何かをします。我々が最初に試したとき、」彼女はどうやってDクラスで試験したのかを思い出し、言葉を飲み込んだ。自分で気付いたという事実がとりわけ驚きだった。多様性を愛する、新世界の文明的な市民であることに素早く適応している。

「最初に試験した際、他の3つのつまみの設定を反転させるように思われました。次の数回はパターンは見られませんでした。我々はこれが何をするのか分かっていません」

「あなたは第3のつまみが時間に関わると言った。4番目のつまみが時間を扱うのとどう違うのかね?」男たちの1人がいぶかしげに訊ねた。

「3番目のつまみの'時間'は時間の測量に関わっています。この場合は365日の増加です。4番目はより実際の時間に関わっています、実際の年みたいな。未来には行けません」

「ああ」彼は明らかに理解せずに、にべもなく付け足した。

「我々にはそれが何をするのか分からない」リャノンは姉妹をさらなる複雑な説明から救うべく進み出た。「でもそんなの関係ない―我々は全世界を作り直そうとしているんじゃない、だから'4'にしておけば十分でしょう」

「それが何を出来るのか教えてちょうだい」もう1つの声が訊ねた―ミズ・コルテス、フォーマルに装った女だ。

プリスはつまみを調節し、わずか数センチメートルの区域を選んだ。彼女は周りの集団をちらりと見上げた。「それは……あなたは―お気になさらず」

彼らが抗議する前に、彼女はレバーを動かした。手荒にするのが動かす唯一の方法だったが、いつも折れそうな音がした。知っているとも、ベイビー、いじめられるのが好きなんだろ。彼女は内心にやついた。暗い黄色の光が装置の噴出口から現れ、前方に2フィートにも満たない立方体の形を描いた。

シュ-シュ-言う音が鳴り、アナバシスが描き出した立方体の空間は突如浮かぶ水で満たされ、その後床にまき散らされた。魚の上半身が一緒に落ち、綺麗に切断された体から内臓を流出させながらのたうった。

「あれはどこから来たの? それには何をさせたの?」ミズ・コルテスが訊ねた。

「それは……」プリスはその物体に触りたくなかった。綺麗に半分に切れていることを除けばそれは淡褐色の液体を漏らしていて、強い硫黄の匂いがした。「数字から出来る最善の推測は、4は時または空間の最低の設定で、0が最大ということです。だから、これが0にセットされているということは、それはどこかの時または空間の現在から来たということです。安全に違いありません、我々は―私はこの設定を以前使いましたから」

彼女は再びそれを設定し、装置を大きくなる魚の血と茶色い液体の水たまりから遠ざけて脇に動かした。再度彼女は範囲を同じサイズに定め、光が立方体の形を描くのを見守った。今度は粘土様の土の分厚い山が、床にどっさりと湿っぽく落ちた。土の匂いが素早くプリスの鼻腔を満たした。

彼女は彼らの方を振り返った。「時折方向はいつも精確じゃありません。丁度……土壌の一部を海抜の数フィート上に溶け込ませようとしたら、想定より数フィート深い土を持ってきてしまうように。より高い設定ではエスカレートします、だから私は建物全体をワープさせることをお勧めしません……地下に埋まるか、4フィート上から落下して糞粉々になるでしょう。私はこのようにどうにか4つ目のつまみを中和することができますが、厳密にどのように作用するのかは分かっていません。数フィート以内で精確にできる程度です」

リャノンが再度介入し、プリスが発し続ける欠陥と不確かさと猥褻語から素早く注意を逸らした。「これで何が出来るかをちょっと想像してみて。干ばつで荒廃した地域に持っていく。疲弊した土をまだ農耕に使われたことのない豊かで肥沃な土と入れ替えられる。どこにでも肥沃な農地を持てるし、水槽に数百万の汚染されていない新鮮な魚をどっさりだよ、そしてそこからすぐ飢えた人達のところに持っていける」

またあの頬笑みだった。リーをあんなにも美しく、人好きのするように見せる笑み。あたかもいつでも言葉をでっちあげて、彼女にだけ理解できる無意味な韻文を吟じ始めるのを予期したように、まだプリスを居心地悪くさせた。指導的役割にある背の高い男がスーツを着た、おそらく非常に教養のある黒人であるという事実は、プリスの神経過敏を鎮める助けにはならなかった。彼女は旧リャノンがよく言っていた冗談を思い出していた。'白人にとって、図書館のカードを持っているニグロほど危険なものはない。'

その男―ミスター・コーン、おそらくはカリブから中央アメリカのどこか出身であると思われるアクセントのある―はラテックスの手袋を身につけ、魚の方へ動いた。彼は異常な茶色い液体が流出するのを見ながらそれを優しく絞り、想像以上に普通な外見のはらわたが床へ滑り落ちるにまかせた。彼はそれを注意深く魚に押し戻し、ロックに向き直った。

「もっと見たいんだが」彼は魚を彼女に差し出した。「もしこれが清浄だと分かれば、この物体が任務に投入されるのを一刻も早く見たい」

リャノンは喜びに甲高い含み笑いを漏らした。「ヴェスタ寄贈品と一緒にソマリアに投入するのはどう? 想像してみて……辺り一面新鮮で肥沃な土壌の新しく発展した村。ここ数十年あの地域にはなかったものだよ」

もう1人の女が発言した。「せっかくだから、SCP財団がかつて見た中で一番大きい火を立てようか」

リャノンは女に口をとがらせた。「ドジャー(Dodger)、我々がやることは全部誰か、どこかにとっての危険信号だよ。それは言い訳には―」

その女―ドジャー、彼女が自分で名乗ったのか? コードネームだろうか?―は不愉快な鼻笑で割り込み、「そりゃ結構! やってみなよ。その一方で見たこともない微生物や細菌を持ち込んで、我々はネイティブアメリカンみたいに大量死することになるだろうな」

プリスが声を上げた。「私はここにしばらくいました。医療検査も受けました。何の問題も起きていません」しかし"我々はそれぞれの設定で持ち込まれた物を検査して、我々にとって安全だと判明した世界からの物だけを使う。"別の考えが突き刺さり、彼女は素早く付け加えた。「また、私だけが使用可能です。多分他の誰かを訓練できるでしょう、でもそれまで私だけがいつもこれを使うようにしなければなりません」

女は―かなり若く、リャノンより随分美人だった―不意に落ち着き、歯を見せて笑い始めた。「緊張するなよ、ここは刑務所じゃないんだ。あなたがそうしたければそれを一緒に送り込めるよ。様子を見て、守って、ブツが無事でいられるように人を送ったりもできる。あなたさえよければ」

他の皆の表情を見るに、若い女は限度を超えつつあるようだった。若く見えるために、彼女はグループの中で独り目立っていた。彼女はどこかおかしかった。プリスは譲らなかった。「あなたたちは私の存在を知っている唯一の人達です。私の後には誰もいないし、無一文だし、それにもし逃げようとしたら、あなたたちには私の姉妹がいるでしょう」彼女に指示されて、リーは疑い深げに見つめた。

「激しいな」ドジャーはリャノンの側に移動した。「分かったよ。我々はあなたをソマリアに送る、それでもし逃げようとしたらあなたの姉妹を殺す」彼女はリャノンの頭を優しく叩いた。

「まずは新しい環境できちんと落ち着いてもらうことにしよう」ミスター・コーンが口をはさみ、プリシラ・ロックの方へ伸ばした手にはもはや手袋も魚もなかった。「歓迎する、ミズ・ロック」

プリスは軽く肩をすくめ、静かに自分を呪った。本能的反応を乗り越えるのにいつまでかかるのだろう? とうの昔に存在しない世界の名残の感情たち。彼女は己に鞭打って彼の手を握り、微笑んだ。為し終えたことへの圧倒的な喜びの感覚とともに、些細で単純な滑稽さが彼女を満たした。「ありがとう、ミスター・コーン」

ミスター・コーンはその場にいたもう1人の男に向き直った。「ワークグループに注意しなければ。聞いたか、リンズバーグ?」

もう1人の男は肩をすくめると頷いた。「たしかに。こういうことはおもちゃの鳥1体の使用を正当化するんじゃありませんか? 昨日9箱が届きました。そろそろ使い始める時期でしょう」

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