12月20日土曜日、高柳博士の忠誠心検査。その一環の所持品の調査の過程、デスクより、以下の文書が発見される。
高柳博士は広く日本の詩の専門家として知られる。八田やつた雪ゆき 81地域尋問官
オブジェクト特別収容プロトコル: 財団のサイト-19内部にある2 レベル2の低脅威度用ロッカーに、警備員不在で収容されています。オブジェクトとの接触は制限され、レベル3あるいはそれよりも高い セキュリティクリアランスが必要です。
SCP-931の影響は そのものへの連想により曝露します。SCP-931の内部への イメージの精粗によって、影響は ある程度大小すると見られます。SCP-931の描出の 試みは、俳句の見識によらず 影響を逃れることができません。
オブジェクトの説明: これは茶碗です。白素地で、青一筋が外側に、ひび焼きの青い模様が内側に、3インチの高さの碗を彩ります。開口部径は4.5インチで、測定にメートル法は適しません。SCP-931に銘はなく、製作者不詳の碗であるものの、製造は1900いつせんきゆうひやく年代の 末頃であると考えられています。
SCP-931は見る、または 手で触れる者に作用を及ぼします。影響の及んだ者は文章の 執筆に際し俳句の形式で 書き記すことを余儀なく強いられます。影響は文体のみに及びます。内容は強制力を受けません。俳句として詠まれるような季語・季題・自然的テーマは強制されません。口頭の言語は作用されません。
SCP-931の描出の 試みも異常な作用をもたらします。同様に俳句の型に従って オブジェクトを描く結果に終はります。SCP-931の特性に 無知である人物による描出も、影響を逃れることはできません。
SCP-931の影響は ミーム的作用であると示唆されます。理論的根拠は不十分ですが、SCP-931の曝露者が 俳句等に知悉している場合には、芸術性の高い俳句を作れると 実験によって判明してゐます。曝露者の多くは俳句をよく知らず、そのために形式のみが俳句的な 表現が大半となるとされています。
オブジェクトに関するさらなる情報は、音声によつて収録されてゐます。スティーヴン博士に参照してください。研究者チームはこれら音声を 機械的音声認識によつて テキストに変換せんとしましたが、試みは悉く無に帰しました。
SCP-931に関する補遺: SCP-2673の収容に3、SCP-931の有用性、相当に高き確度で認められ、この二つのクロステストが為されたり。SCP-2六73はSCP- 931の曝露者に閉ぢ閉ぢられました4。
高柳博士は現下一か月、躁傾向が強まっていた。癇癪や奇行が目立ち、検定の対象として決定された。尋問課は保安部門より検定の一部作業を嘱託された。
高柳博士は即時拘束し、治療を行う。別紙参照。
当該文書は問題有りと判断。複写の上没収。
忠誠心検査結果は別紙に記載。当報告とは区別される。
→ 今次検査の結果に留意。時機に応じて再雇用。