アルト・クレフ著「現実が現実でなくなったとき生存するためのハウトゥ」からの抜粋
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よし、それじゃあ始めようか──ああ、画面に文字が表示されてるな。最後の文章を削除しよう。クソ。よし、とりあえず音声入力でやってから後で編集することにする。

アロハ、老若男女の財団職員たち。それから、これの海賊版を読んでやがる異常団体所属の奴らへ。くたばっちまえ。漏洩に責任があるやつもくたばっちまえ。そいつが私でない限りな。いや、そいつが私なら特にだ。どうでもいいが。

以前からO5には、若い世代に私の技術を伝えていくためのフィールドマニュアルを執筆しろと言われてきた。歳を取るにつれて、どんどん若い世代との関わりが減っていく。つまり私はアダムより歳上で──アダムってのは"怪しい伝説"1に出ていたアダム・サヴェッジ2、あいつより歳上なんだ。あの番組を覚えてる奴はいるか?誰か?

畜生、私も本当に歳を取ったな。

最近は職員の間で私の噂がまた盛り上がってきたらしいので、私のフィールドマニュアル「アルト・クレフ著 "現実が現実でなくなったとき生存するためのハウトゥ" 」を公開する最高のタイミングだと思った。この冊子からは、現実改変者への対処法や物理法則が突然どこかに行ってしまった時にどうすればよいかが学べる。私は余談を入れるのが好きだから、君たちが有用な情報にアクセスするためにはくだらん話も読む必要があるかもしれないが。


だから私は、彼が植物に与えるのと同じ影響をもたらすか調べるために彼にキノコを与えようとしたんだが、彼らは馬鹿を見るような目で私を見たんだ。

「アルト、キノコは植物じゃないぞ。あれは菌類だ。」

もちろん知ってるさ、だが彼は聖書のSCPで、聖書の時代には近代的な分類学的命名法なんてものは使われてなかった。そんなものはなかったんだ。全ての名前は口語的なもので、だからこそ聖書がヨナの鯨を大きな魚と呼んでも間違いにはならない。水の中に棲むものは全部魚だった。17世紀、カトリック教会はビーバーは魚だと公式に宣言した。魚だったら四旬節の間に食べられるからだ。聖書の論理によるとビーバーが魚であるならば、キノコは植物なんじゃないのか?

カインが呪われた時代には、菌類が何かなんて誰も知らなかった。アリストテレスだって、この世界の生き物を「植物」と「動物」のたった二つの種類に分けている。カインの呪いが菌類にも影響を及ぼすっていうのは意味が通るはずだ、昔の人々がキノコを植物と分けて考えてはいないんだからな!

もちろん、財団のクソみたいな官僚主義のおかげで、私は答えを知らない。単純なことじゃないか。近くのスーパーでキノコを少しばかり買ってきて、カインに与え、何が起こるか見る。だが、キノコの持つ危険性だか何だか、とにかく出鱈目な理由により倫理委員会に却下された。なぜ却下されたか、私はよくわかっていないんだ。ただの意地悪だったのかもな。一度キャンベルのマッシュルームスープ缶を持ってカインに近づいたことがあったんだが、缶を開ける前に警備に取り押さえられた。

実際には違う、あれはハインツのスープだった。全体、私はハインツのスープなんかで何をしてたんだ?


ああ、あいつは実際682に乗ったさ。ああ、あいつはペニスをペットボトルに詰まらせたとも。残る疑問はこうだ:あいつはペニスをペットボトルに詰まらせた状態で682に乗れるんだろうか?


君たちは、私のクリアランスレベルともなれば財団の財源を知ってると思ってるだろうが、実際には知らない。私の要請への返答でいちばんよくあるのは、「そのための十分な予算がない」で、私はそれに対してよく「その予算ってのは何なんだ」と返す。

私たちはどのように資源を得て、どのようにそれを分配しているんだ?これはおかしな質問ではないはずだ。秘密主義の国際組織には、ほんの少しの透明性も求めちゃいけないのか?例えば、私たちはかつて月の偽物をでっち上げたはずだが、一方でロンバルディはオリエンテーションのためのコーヒーもドーナツも用意できない。一体どういうことなんだ?


つまり空想科学部門は架空だが、それでも存在する。なぜならそれこそが空想科学というものだから、かな?

ああ、こんなたわごとを話すには、私はまだ酔い足りないな。


低クリアランスの職員が私によく聞くのは、収容下にあるSCPは実際にどのくらいあるのかということだ。私は、その情報は彼らの給与等級よりも上にあると伝えることにしているが、私の給与等級よりもさらに上にあることは教えないようにしている。

私が知っているのは、データベースを参照しても総数は分からないということだ。データベース上のエントリーは、一日のうちに何度も出現と消滅を繰り返すこともある。いくつかのファイルは確実に意図的な誤情報であり(それらは001のエントリーだけではない)、SCPの番号は変更され、何故だか古いファイルが出回っており、おまけにCK-クラス世界再構築シナリオのせいでいくつかのファイルは平行宇宙から来ていて私たちの宇宙には存在しない。複雑だよな。私は実際、SCPオブジェクトを収容していたという複数の空の収容セルがある施設に行ったことがある。もしかすると、オブジェクトは全部実験か何かのために持ち出されていただけかもしれない。誰が分かるって言うんだ?

私が時々恐怖するのは、私たちは自分で作り上げた嘘の網に絡まってしまって、もはや真実を知る人間が誰もいないのではないかということだ。

すまない、少し酔いが回ってきた。酔いすぎたかもしれない。

それで、もしもまだ君がSCPの総数の概算が知りたいなら、私の財団における個人的な経験からは少なくとも数百、存在すると考えられる財団の全ての収容サイトとエリアの最大容量から考えて最高でも数万だと言っておこう。それか、もしかするとアノマリーこそが正常で、私たちが正常だと思っている全ての物がアノマリーなのかもしれない。よし、それで行こう。


私たちがハッチを開けると、そこには深さ1kmの地下貯蔵庫があり、血と糞を永遠に垂れ流し続ける173のレプリカでいっぱいだった。私は変な日本のポルノ関係の何かじゃないのかと言ったんだが、周りに人種差別主義者だと言われた。だが……可能性としては考えられる、だろう?


畜生め、ApollyonはSCP-2317のためだけのクラスだった!あれは(十分なクリアランスレベルがないならここで読むのを止めろ)世界を破壊しようとしている強大で奇怪な悪魔で、忘れ去られた古代の魔法でしか抑えることができず、その魔法も少しずつ機能しなくなっている。あれの解放と人類種の滅亡は不可避で、私たちにできることはない!

それこそがApollyonの意味だ!

だがタローランが「ああ、僕を永遠の生き地獄に落として苦しめたこの現実改変者は、自由になったらきっと他のみんなにも同じことをするだろうな。だから、これのクラスもApollyonにすることにしよう」と言って、今では文字通りデータベース全体がApollyonに指定されている!

今のはちょっと大袈裟に言ったが、それでも最悪なのは確かだ。今やもう、2317は私たちが最初に恐れていたほどに無敵のものではなくなった。結局のところO5は二発の榴弾砲を奴の頭に撃ち込んだんだが、例えそれが効かなかったとして、どうやってあのドアを通り抜けたっていうんだ?

私が何を言ってるのか、自分でも分からなくなってきたな。

つまりはこうだ。冷静に、そしてApollyonであれ。3


君たちにちょっとした秘密を教えてやろう:ミーム殺害エージェントはただの脅しにすぎない。何も起こらないさ。行って、ひとつ見てみればいい。やってみろよ。私からの挑戦状だ。挑戦状を拒否することはできないぞ。


考えてみよう、真実なのはどの001提言だ?私のが違うってのは分かるだろう、私はうそつきだからな。私が言うことは全てが嘘だ。この発言を含めて。ロックのが現実なわけがない、あれは明らかに起こっていないことだからな。また例のCK-クラス世界再構築シナリオじゃない限りだが。"ファクトリー"は存在するから、ブライトの提言には一部であれ真実が含まれてはいるだろう。ギアーズの"プロトタイプ"は私も実際に見たことがあるから、少なくともあれは本当だな。

ギアーズの提言は、Keterがどうしてこのように発音されるかの説明にもなっている。ミラー博士、あれを読んだか?Keterってのはカバラとは関係ない、ドイツの博士の名前なんだ!

考えてみよう、もしも"壊れたる神"が真実ならば、カリフォルニア湾は1942年までには存在しなかったことになる。でももしそうだったなら、カリフォルニアが島だと間違われることだってなかったはずだ……それも私たちの作り話だったなら話は違うがな。

嘘の網に絡まって何も分からなくなるっていうのがどういうことかわかっただろう?


ところで、O5が理由のないクロステストや悪ふざけを取り締まり始めた頃、彼らは職員にピザボックスの使用すら禁じようとしたんだ。だが、サイト-19のほとんどの職員がストライキをすると脅されたものだから、禁止は取り下げられることになった。一部の奴らにとっては、ピザボックスの存在こそが彼らが財団に残る唯一の理由になっているらしい。


想像できるとは思うが、私は現実改変者の攻撃を擬似的に再現する目的で講義の参加者に自作の幻覚剤をこっそり投与するという習慣に関して何度か倫理委員会と衝突している。ミームと情報災害部門の奴らも同じようなことをやっているんだが、事前に伝えておいて「同意」を得るだとかそんなようなヒッピーまがいの戯言を言うので許されているらしい。

私の訓練は、人々が現実だと思い込んでいるからこそ効果がある、そこが重要なんだ!訓練中に自分あるいは他人を傷つけたり殺したりした奴はいるか?いるとも。自殺したり、罪悪感やバッドトリップから来る精神的なトラウマによって長期的な精神へのダメージを負ったりした奴はいるか?ああ。唐突に本格的な偽装攻撃に晒すことで貴重な人材を死と狂気に追い込むよりも、訓練をしながらだんだんと現実改変攻撃のストレスに慣らす方が理にかなっているのでは?その通りだ。

つまり私が言いたいのは……クソッタレ!


私はメートル法が大嫌いだ。私は全てをヤード・ポンド法で書き、収容スペシャリストどもにそれを変換させている。財団の時間と金と、もしかすると人命も犠牲になっているかもしれないが、そんなのは知ったことか。クソが。大嫌いだ。メートル法め。


あの6月について誰も触れたがらないってのはわかってるが、どれだけたくさんの職員とスキップがあのくだらん虹色のロゴのせいで失われたかについて、私はまだ信じられない。ギアーズが、あのロゴが異なる主義思想を持つスタッフ同士の対立を煽るのではないか、と心配しているのを聞いた時はあいつもついに狂ったかと思ったが、次に聞いた知らせはSCPS団結号が消えたというものだった。消えちまったんだ!

私たちにはあの船が必要だった。例えば木星の大赤斑にいて私たちを攻撃してくる巨大なエイリアンのロボットのような、大宇宙から来る脅威のためだ。トランプの宇宙軍なんかにはあれは撃退できない、私たちにかかってるんだ!

もしかすると、例のムーン・チャンピオンが役に立つかもな。


チタンを使ってはどうかと提案する若手研究者を馬鹿にすることは誰もが楽しむが、私は実際にチタンセラミックのフライパンを愛用している。確かに、たいていの場合チタンを使うのはやり過ぎだ。しかし、私たちが何の収容を試みているか考えてみれば、やり過ぎくらいがちょうどいいと私は思うね。


ドレイヴン、坊主、これを読んでるか?君とタローランは結婚式のために花婿が二人のケーキトッパーを用意しているのか?個人的には、それは時代遅れだと思う。今は「同性婚」ではなくて「平等な結婚」だからな。

性別の分かるケーキトッパーからは離れて、もっと普遍的なものにするべき時だ。首をハートの形にしている二匹の白鳥とか。白鳥の性別が外見では分からない場合に限るが。あるいはもっと抽象的に、例えば二つの中性子星が互いの周りを高速で回っていて、互いに破壊し合う運命にあるものの互いの引力から脱することができるほどのエネルギーがない、みたいな。

冗談だよ、どうでもいいね。ケーキは取っておいてくれ。


SCPのカップリングパーティーってのは、言うほどアホなことじゃない。私たちがバンカーに閉じ込めている怪物どもの精神衛生について誰もがひどく心配していて、そいつらのほとんどはセックスなしで残りの人生を過ごしたくはないと思っている、だろう?男にコンドームを与えて、女には避妊用にホルモン剤のインプラント。それで準備完了だ。


ここで君たちに問題だ:どうして財団の現実改変者対応チームの中心人物たる私が、クローネンバーグ4風の精神汚染の悪夢やボディ・ホラーを与えることで現実改変者をプラグ・アンド・プレイ5の異常兵器に変えるプロジェクト・オルフェウスに参加していないと思う?

何故ならば、私が馬鹿ではないからだ。カステロ博士と彼女のチームに起こったことは必然だった。現実改変者を現実錨でコントロールすることはできないんだ。現実錨は緊急時のためのもので、遅かれ早かれ現実改変者がそれを回避する方法を見つけるか、もしくはそもそも錨がガラクタだからという理由で壊れるために、短期間の収容にしか役に立たない。我々は現実改変者を収容しない。弱っている隙に終了するんだ。錨は奴らに隙を作ってくれるかもしれないが、それが永遠に自分を奴らから守ってくれると信じているんだとしたら君は馬鹿だ。チャンスがあるうちに奴らを撃て。

財団が私にやらせなかったことを後悔しているかどうかは、神のみぞ知ることだろうよ。


それは最高の時代であると共に、最悪の時代でもあった6……ああ、私が古典文学を引用しだすとは、本当に話題が尽きてきたな。ここらで終わりにしよう。

おめでとう、君は低ヒューム領域に対処し、タイプ・グリーンとの戦闘行為ができることが証明された。よくやった、エージェント。私はどのくらい長い時間話していたかよくわからないし、集中力が時々切れもしたが、確実に役に立つことを言っただろう。新しい能力は責任を持って使えよ、私のようにな。

アロハ

 
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