クレフ博士の講義記録:「現実改変者とあなた:存在が存在しなくなったとき生存するためのハウトゥ」
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こんにちは、みなさん、席についてコーヒーとマフィンでもどうぞ。そうそう、思い出した。この教室は非武装地帯なんで、受付にキミらの銃を引き渡したことを確認してほしい。まったくクソみたいな規則だってのは私だってわかってるんだよ。なんといっても今の私の最新流行はキミらの一人がキミらの肉片をくっつけたままブルーゾーンを歩きまわったことでO5に文句を言われることだからね。みなさんいいかな? 素晴らしい。

今日の講義は親愛なる現実改変者、タイプグリーン、メアリー・スー、Bixbies、Shapers、魔法使い、神、悪魔、その他もろもろお好きな様に呼んでいい連中、まあ要するに直感やら意志やらで現実を改変する連中についてだ。私はこういう連中を封じ込めたり殺したりすることで飯を食ってる。そしてキミらは、同じ事ができることを証明するためにここにいるというわけだ。

私のヒミツを知りたいって? 大丈夫、それはあとで教える。まず最初にキミらにして貰いたいのは、この教室のドアを見ることだ。なにか気がついたことがあるかな? もう一度見てくれ。そう、どのドアを?

そう、その通り。ドアはもう無い。気になるんだったら近くで見てもらっても構わない。触っても問題ない。ドアはもうない。ドアは文字通り消えてしまった。
でもまあ、問題ない、そうだろ? まだキミらには窓が残ってる。教室から出たいならそこから出ればいいわけだ。ただまあ、それにはささやかな問題がある。この部屋にはどんな窓もない。そうだろ? 窓は全部なくなってしまった。ここには四方の壁と天井以外何もない。誰も出られない。しかし、それならキミらはどうやってここに入ったんだろうね?

もしかしてちょっとテンパってる? 大丈夫、深呼吸してみよう。そうすれば落ち着くはずだ。何も悪いことなんて起きちゃいない。ああ、つまり、私が言いたいのはもっと悪いことが起こり得たってことだ。そうだろ? でもまあ、少なくとも今キミらには安全が確保されてる。別に机が動き出してキミらを殺そうとするなんてことは起こってないだろ? ああ、ちょっとまって。その通りのことが起きた。
クソッタレな机がキミらを殺そうとしている!!

さあどうする? 一体どうやって生き残ろうってんだ!? クソッタレな部屋がお前らを喰おうとしていやがる! 奴らには牙がある! ここから逃げ出せ! 生きたいのか? 生きたいなら戦わなきゃならない! 現実を否定しようとするんじゃないクソども! これが現実だ! 今起きていることが現実だ! これが現実改変だ! お前らはこいつと今戦わない限り死ぬ!!

ああ、ここに本当のタフガイがいる(笑)。9パラの豆鉄砲で貴様は一体全体何をどうするつもりだったんだ? その銃で現実に対して何ができる? ここにいるのは現実改変者だぞ? 私はそのチンケな弾を砂に変えられるし、貴様の目玉をゼリーにすることも出来る。私にはそのベーグルに変えることだって出来る、今すぐそのクソ銃を下ろして地べたに寝転べ糞袋が!! 私は生ける神だ! そして貴様はクソ虫にすぎない!!

何をするつもりだ? 何をするつもりだだって? 私がクソみたいな貴様らにどんなことをしたいのかだって? 私は貴様らが私のおもちゃであること以外何も求めていない! そして貴様らはすぐにそうなる。貴様らは永遠に神のおもちゃだ。逃げ道など無い。終わりなど無い。私が生きろといった時だけ貴様達は生き、私が許した時ようやく死ぬことを許される。ここには私の想像以外何もない! そして貴様らは私の空想にすぎない!!

……

とりあえず明かりをつけてもらえるかな。さあ、深呼吸をしよう。吸って、吐いて、吸って、吐いて……気分は良くなってきたかな?
それじゃあキミらにいったい何が起きたのか話そう。

君たち全員はバッドトリップしていた。後ろの机にある食べ物全てに私の配合した強力な幻覚剤が入っていたんだ。私の個人的なレシピには幻覚に加えて暗示に極めて影響を受けやすくなる効果がある。幻覚剤といくらかの視覚的特殊効果の組み合わせが、現実改変者の攻撃を受けたら君たちがどうなるかを体感させたというわけだ。こうして話している間にもサポートスタッフが空気中にエアロゾル化させた中和剤を空気弁からポンプでばらまいている。中和剤のせいでしばらくクソみたいな気分になるはずだから、キミらが椅子の下にあるゲロ袋を取り出すまでしばらく待とうか。

一体何が起きてるのかキミらが気づいた瞬間のことを思い返してほしい。キミはあの無力感を思い出せるか? 現実なんてものがもう存在しないことに気づき、キミが敵意ある存在のおもちゃに過ぎず、全てをコントロールされていた時の気持ちを思い出せるか?
その気持ちを忘れないでほしい。
そして、初めて現実改変者に出会った時にはその気持にすがりつくんだ。もしそう出来たなら奴らを封じ込めることが出来るかもしれない。あるいは、奴らに道理を説いてやることも出来るかもしれない。キミが跳ねまわるボールに過ぎず、何もかもが現実でなかった時のことを思い出せ。

そして、奴らマザーファッカーをキミがそこにいることを気づかれる前に殺せ。

キミらは今や、現実改変者に対抗できることが証明された。これで講義を終わる。

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