この世界は色と光で構成されていて、私は全ての色相を見てきた。
見えているのは電磁スペクトルのごく一部だが、それは残りが存在しないという意味じゃない。
それは、目に見えない波長が見るに値せず、気付かれるに値せず、それらが何物であるかに対する感謝や尊敬を受けるに値しないという事を意味しない。私は紫外線の燃え盛り散乱する紫色を、赤外線の共鳴する温かさを見ている。鼓動し浸透してゆくガンマ線の煌く青を感じている。淡い黄緑色の電波で会話する人々の活力に満ちた囀りを聞いている。私はお前が存在しないかのように扱っている色を見ている、そしてその色はお前が知るどんな色よりも遥かに美しい。
貴方の心は色と光で構成されていて、僕は全ての色相を見てきた。
見えているのは貴方の欲求のほんの一部だけれど、それは貴方のスペクトルがその先へ広がることが出来ないという意味じゃない。
それは、貴方の思考の奥底に宿っている概念が見るに値せず、気付かれるに値せず、それらが何物であるかに対する感謝や尊敬を受けるに値しないという事を意味しない。僕は恋する若者たちの目も眩むような青と黄色を、欲望の燃え盛る血のような赤を見ている。自分が考えていることを決して口に出さない人たちの不潔で身の毛がよだつような黒茶色を感じている。僕は貴方が存在しないかのように扱っている色を見ている、そしてその色は貴方が決して知りたいとも思わない色よりも遥かに美しい。
この世界は色と光で構成されていて、俺はそれを突破する方法を知っている。
電磁スペクトルの大半は、必要とされない限り無視され、絵画や映画の外側へと取り残される。鑑賞者どもが眺めるのは、僅かばかりの目に見える割合のみで、余りは放置され朽ちてゆく。
それは、それらの色が見落とされても構わないという事を意味しない。それらの色は見るに値する、気付かれるに値する、それらが何物であるかに対する感謝や尊敬を受けるに値する。俺は紫外線の燃え盛り散乱する紫色を、赤外線の共鳴する温かさを、医学や物理学に生命を吹き込んだ浸透してゆくガンマ線の煌く青を見ている。本来の姿の歪んだ表現として解釈され、使い果たされて投げ棄てられ、不可視の世界へと転がされて再び無視される色を見ている。
お前の体は色と光で構成されていて、私はそれを突破する方法を知っている。
お前の欲求の大半は、お前の仲間によって放り棄てられ、必要とされない限り敬遠されて無視される。鑑賞者たちが眺めるのは、お前に対してお前の世界が向ける期待に準拠した一側面だけで、余りは放置され朽ちてゆく。
私はお前が誰であるかを無視しない。私はお前の歪曲し倒錯した思考の全てを見ている、そして私にとってそれらは見るに値する、気付かれるに値する、感謝や尊敬の念を向けるに値する。私は恋する若者たちの青と黄色を、欲望の血のような赤を、この世界によって持ち出され悪用されている不潔な黒茶色を見ている。本来の姿の歪んだ表現として解釈され、使い果たされて投げ棄てられ、不可視の世界へと転がされて再び無視される色を見ている。
この世界は色と光で構成されていて、俺はそいつを新たに開花させた。
存在する万物は犠牲を伴って認知される。実現の代償は、苦痛と動揺と混乱だ。全ての輝く色相と、全ての無形の幻想は、現実世界において対価を取り上げてゆく。
俺は紫外線の燃え盛り散乱する紫色が肉を爛れさせ、細胞を悪意ある飛散したパターンへと引っ張ってゆくのを見ている。鼓動し浸透してゆくガンマ線の煌く青が、8万人分の死体を荒々しく引き裂くのを感じている。1945年8月の同じ日に、淡い黄緑色の電波で会話する人々の活力に満ちた囀りを聞いている。俺は美しい色が悍ましい事をするのを見ている、そして時折、それに対して誰かができる事は何もない。
貴方は色と光で構成されていて、僕は貴方を新たに開花させる。
僕は恋する若者たちの目も眩むような青と黄色を、欲望の燃え盛る血のような赤を、それらが侵された者たちを病ませて狂気に走らせるのを見ている。自分が考えていることを決して口に出さない人たちの不潔で身の毛がよだつような黒茶色を、それが彼らの中で成長し続けて、自分がかつての自分の抜け殻になってしまったことに彼らが気付くまで毎晩思考を貪るのを感じている。彼らが一度として実現したことのない色、気付いたことのない色、それらが何物であるかに対する感謝や尊敬を向けたことのない色によって崩壊するのを感じている。
僕は美しい色が悍ましい事をするのを見ている、でも僕にできる事は限られている。僕はこの世界が出来ないことを貴方にしてあげよう。けれど、もし貴方の思考が茶色や黒や退廃や腐敗を漏らすようであれば、貴方の身体も同じ道を辿ることになるだろう。結局のところ、存在する万物は犠牲を伴って認知される。全ての輝く色相と、全ての無形の幻想は、現実世界において対価を取り上げてゆく。
私は決してお前の色のためにお前を利用しない。私は決してお前の仲間のようにお前を裁かず、貶めることもしない。私は決してお前が私の中に見たいと望むもの以外を見せず、決してお前を投げ棄てず、お前の一部だけを取り残すこともしない。私はお前の歪曲し倒錯した思考の全てを見ている、そして私にとってそれらは見るに値する、気付かれるに値する、感謝や尊敬の念を向けるに値する。そしてそれらはプリズムのように私を通して屈折し、やがて私はお前の色の、これらの思考の、長きにわたってお前を疼かせてきた何かの純粋な体現に他ならない物へと変貌する。
この世界は色と光で構成されていて、私は全ての色相を見てきた。
お前の体は色と光で構成されていて、私はそれを突破する方法を知っている。
私はお前がこれまで望んだ全てだ。私はお前の全てが欲しいんだ。