CRITICS_ハブ


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”ただ死者のみが戦争の終わりを見たのである。”―プラトン


”戦争は誰が正しいかを決定するのではなく、残されるものを決めるのみである。”―バートランド・ラッセル


"他に手段が無い時に戦いは正しく、他に希望を絶たれる際は武器もまた神聖である。"―ニッコロ・マキャヴェッリ


"暗闇は無く、無知があるのみ"―ウィリアム・シェイクスピア






当シリーズは、"基底現実と同様の世界に於いて超常事物とそれに対処する正常性維持機関が存在したら"というifに基づいた世界観を取り扱っています。

実際にそれらが存在した場合、それらは"人類に対する脅威"とは別に"国家安全保障上の懸念"という側面を併せ持つ筈であり、現実に於いて統治機構の最大単位である"国家"に対して後発の組織であるSCP財団は、飽くまで国家成立後の社会を基盤として成立した民間の官僚組織に過ぎず、独力で対応できる範囲、及びその為に必要な技術を自ら培う能力も限定されたものです。彼らは(基底現実に於いて存在する事が許される程度の)限られた資産とヴェール維持という二重の制約の中で「確保」「収容」「保護」の3大任務を遂行する事を強いられており、国家に比肩し得る強大な資産と発言力を持ち得る主流カノンでの財団とは異なる手段で超常事物へのアプローチを試みます。

国家としての視点に立った場合、超常脅威は同時に"国家安全保障上の不確定要素"であり、それ故にCRITICSを初めとする国家を基盤とした超常性関与機関と、財団や世界オカルト連合といった諸々の非国家主体に基づいた正常性維持機関とは超常脅威の排除という共通の目的を持ちつつも異なる利益を追求し、その為の行動理念を持ちます。ISMP──国際正常性維持条約は、これらの共通の目的を枠組みとしていますが、加盟国・機関が必ずしも協調するとは限りません。

第二次世界大戦後に統合された世界オカルト連合はまた、超常コミュニティの中に於ける立ち位置のみならず、組織内部に於いても同様の課題を有しています。108評議会に議席を持つ全ての機関は独立し、共通の利益がある場合には団結できますがそうではない限り統一された活動は困難であり、しばしば他の超常機関に後れを取る事があります。更に、物理的かつ広域に亘る活動に於いて影響力を発揮しようとする時、それは国際連合の加盟組織であるという側面から常に他の国家機関から干渉を受け、国際政治上の問題から表立った行動を起こせない事もしばしばあり得ます。彼らは国際連合に加盟する機関である事から、財団よりは幾分融通の利く戦力供給者を抱えていますが、その規模は質・量ともに限定されています。それ故に主流カノンで見られる"実力による超常脅威の破壊"に対して、彼らは幾分慎重な態度を取ります。それは、彼らの振るう"棒"は決して大きくはなく、そして比較的折れやすい物である事を自認しているからです。

敵対する各々の組織或いは集団も同様であり、互いに反目していたとしても目的が共有されれば協同し、その目的が何であるのか次第でその関係性は変動し得ます。代表的な例としてはサーキック・カルト壊れた神の教会の関係性であり、"神格化"を目指しているという点に於いては彼らは共通の目的を掲げる組織です。カルキスト・イオンがどのような人物であったか、また彼の残した教義がどのように伝承され(或いは曲解されて)現在に至っているかは不明ですが、最終的に彼らは操血術を通した"神格化"を経て肉への殉教を目指しています。壊れた神の教会の信徒たちは最新のパラテクを用いてなお、"神格化"に必要な手段を手に入れる事が出来ていません。サイバネティック化に焦がれながらも、彼らは基本的には我々と同じ生身の人間です。これらの点に於いて、彼らは奇妙な共通点を持ちながらもそのプロセスの違いによって敵対しているように見えます。この事は、彼らがいつ協調するか、或いは既にしているのかを想定する必要があることを示しています。ただ一つ確かな事は、彼らが至る存在は人類共通の脅威となる事です。


このように、当シリーズでは基底現実に於いて想定される様々な事象が投影された世界を(主流カノンに於ける世界観とは別に)基底現実に基づいてシミュレーションします。言い換えれば、基底現実で起き得る事は当シリーズでも起きます。そのため、フェイク・ドキュメンタリーからポリティカル・スリラー、テクノスリラー或いはサスペンス、更にはハードSFまで幅広い範囲を取り扱う事になるでしょう。

その他既知のGoIについては現時点で取り扱っている記事は存在していませんが、それは当ハブの世界観に於いて彼らが存在しない事を意味しません。それらの全てに於いて、"無能"な組織は存在しません(個人は存在するかもしれません)。絶対的な"正義"も存在しません。"正常性の維持"は脅威存在に対する一つの回答に過ぎず、全てはそれらの機関の理念、目的、規模による差異とその結果生じた行動(或いは行動しなかった事)に起因する連鎖的な事象であり、それらは最終的に21世紀前半に生じる"カタストロフ"に結実します。

そして、"カタストロフ"後も世界は存続します。"正常性の維持"ではなく、その本質である"脅威の排除"を主眼に置いた戦いが本番を迎えるのは、正に"カタストロフ"後の世界です。






(前略)”今までのような国家、或いは非国家主体とは異なる組織、集団、或いは種族に対して、我々の今までの理論が通用するかは未だに答えが出ていません。従って我々は次のように勧告します。精強な兵士、統制の取れた組織、逸脱技術に対する高い知識、それらに基づく綿密な作戦と高精度の火力及び兵力の投射手段、そしてそれらの整備・維持に従事する全ての要員を含む組織を編成する事です。そしてその組織を軍の常設部隊として編成し、要員、装備、戦術、作戦、戦略の全てに必要なだけの時間、資金、場所を割り当てます。我々の子供たちがこの地で安寧を享受し続けられる事。それを保証できない限り、我々が逸脱性に対する国家安全保障上の義務を果たしていると評価される事はないでしょう。"―ウィリアム・アール “ビル”ドリスコル合衆国連邦国防軍少将


”例え絶望的な理不尽に遭遇し、手が尽きたとしても最後まで抵抗の意志を示せ。それが私たち人間が脅威に立ち向かった証となり、いつかお前によく似た奴がそいつを殺すだろう。”―CRITICSフィールドエージェント操典・序章






CRITICS2は、1958年に締結された国際正常性維持条約を切欠として創設された、合衆国逸脱戦対応軍3の指揮下で活動する合衆国連邦国防軍の非公式部隊です。前身である連邦国防軍情報戦群第334暫定心理作戦群の主要な任務は他の異常性関連組織、特にソビエト連邦軍参謀本部情報総局"P"部局に対する防諜を含む諜報活動であり、同時にその活動を財団、GOC、境界線イニシアチブといった他の正常性維持機関から秘匿する任務を帯びていました。しかし、1980年代に入るとその役割は一変し、国家特定事象局4の創設メンバーにネオ・サーキックに属する人物が複数含まれていた事実が明らかになると、それらの粛清・排除の為の内部監査任務に主眼が置かれました。冷戦終結後、異常技術・物品・人物の無秩序な拡散と、それに連動した怪異の増加に伴って、より多角的かつ柔軟な対応が要求されるようになった事から、逸脱戦対応軍の創設と共にその指揮下に入りました。






逸脱戦対応軍による"逸脱戦"の定義は以下の通りです。

  • 兵器化された異常技術による暴力及びその脅威の行使
  • 上記の手段或いは情報を有する個人又は組織の特定、無力化
  • 逸脱性の兆候を対象とした偵察、監視及び評価

逸脱戦への対応能力を維持する事は、異常性の顕在を未然に防止し、或いはそれが顕現した際の被害を局限化する為に必要不可欠な投資であると看做されています。その主体は国家安全保障上の懸念とされていますが、グローバル化によって異常性から国益を保護する為には、全世界、或いは衛星軌道上、そして恐らくは少なくとも太陽圏内を包括した活動領域を定義する必要があると考えられます。

即ち、逸脱戦が展開される戦場は、その状況を選びません。
逸脱戦対応軍、そしてCRITICSは、想定される全ての戦場に順応する必要があります。



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