生き物プロフィール: コンスタンティン!
概要!

名前: コンスタンティン
種族: Betta splendens (ベタ/闘魚)
主要世話役: 水生チーム、カサンドラ・カイレン
食事: 小さなペレットと生きたイトミミズ
居住区: ウィルソンズ・ワイルドライフ・センター、12号淡水囲い場
生物の特徴!
コンスタンティンはウィルソンズで暮らす1匹のベタの名前です! コンスタンティンは数週間前にメドフォードのとある家で発見されたのですが、あまり良い扱いを受けていませんでした。彼はまるでカバのように膨れ上がり、スクォンクのように悲しげでしたよ。けれども、ウィルソンズの私たちは、彼を回復させるために尽力しています!
ベタは大抵鮮やかな体色ですけど、コンスタンティンは特別! 彼の鱗の色はその時の感情に応じて変化します。もしコンスタンティンが一度に1つ以上の感情を抱いているなら (普通はそうです) 、同時に複数の色を示すんですよ! これまでのところ、この子は9種類の色を見せてくれました。内訳は以下の通り!
- 青 - 憂鬱、動揺、悲哀、絶望。
- 赤 - 怒り、欲求不満、苛立ち。
- 紫 - 不安、恐怖。
- 黄 - 興奮、熱意。
- 緑 - 困惑、不確実、熟考。
- 橙 - 興味、魅惑。
- 桃 - 感嘆、畏敬。
- 黒 - 身体的な苦痛。
上の写真を見れば分かるでしょうが、コンスタンティンはいつも幸せな気分というわけじゃありません。これは、私たちが彼を引き取る以前の飼育環境による深刻な病状が主な原因です。しかし、心配ご無用! 水生獣医のアン先生が毎日コンスタンティンのお世話をして、彼が完全かつお魚らしい姿に戻れるように頑張っていますからね!
それと、コンスタンティンは見た目より賢いんですよ。“餌”という言葉の意味を学習していて、それを聞き付けると必ず水槽の正面に泳いできます! 本当に良い子なんです、もう少し打ち解ける必要がありますけども。
経歴!
先程も言った通り、ウィルソンズに来る前のコンスタンティンはあまり良い生活を送っていませんでした。飼い主は私の甥の1人だったのですが、ベタのお世話をよく分かっていなかったのです。私は彼らの家に行った時、居間にいるコンスタンティンに気付きました。彼が住んでいたちっぽけな1ガロン水槽には、ヒーターもフィルターも何もありませんでしたよ。水線は水槽の半分まで下がっていて、厚い水垢越しに、水槽の正面にいるおチビさんが、その大きな目で私を見つめているのが辛うじて分かりました。
姉に訊ねると、なんと2年前から飼っていたと言うじゃありませんか! そんなに長く生きられたのは奇跡です! 引き取りたいと言っても、姉は大して気にしませんでした。そこで私は水槽を持ち出し、ご飯を与え、ウィルソンズに持ち込んだのです! 私たちは住処として40ガロンの大水槽をプレゼントしました。最初の数日間、彼が真っ黄色になっていたのを、皆さんにも見せてあげたかった!
アン先生はコンスタンティンの到着翌日に診察を行い、鰭腐敗病、ポップアイ病、鰓吸虫感染症、カラムナリス病、そして軽度の白点病だと診断しました。私たちの坊やの逞しさがお判りでしょう! 彼は一体いつから病気だったんでしょうね?
また、アン先生の話によれば、恐らくは劣悪な環境で飼育されたせいで、コンスタンティンが鬱病なのはほぼ間違いないとのことです。なので、水生チーム一同、ベタ用のお楽しみを沢山用意して、この子の生活を明るくしていこうと思っています!
特殊要件と居住空間!
コンスタンティンの病状はまだ重いので、アン先生が毎日治療にあたっています。毎日、アン博士はコンスタンティンに抗生物質を与え、水槽にも抗菌剤を投入します。毎週1回、コンスタンティンには30分間のエプソムソルト浴をしてもらいます! 彼はお気に召さないようですけれども、私たちはこれが有効だと分かっています。
コンスタンティンの水槽の管理手順は、水槽の棚に入っているクリップボードに書いてあります。質問は私 (カサンドラ) か、アン博士まで宜しくお願いします。
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: ソフィア・チューナー
日付: 2025/07/14
ソフィアへ、
コンスタンティンの月例報告を送るよ! 残念ながら、調子はあまり良くない。精神面では多少幸せそうで、鱗に黄色い筋が入ることが多くなり、より生き生きしているように見える。
ただ、身体的にはベストとは言えない。アン先生は毎日薬を飲ませ、週に一度のエプソムソルト浴をさせているけれど、効果が出ていないんだ。でも悪い事ばかりじゃない! 抗生物質でポップアイと白点病はたちどころに治ったし、鰭もまた伸び始めている! それでも、まだカラムナリス菌には感染しているし、鰓吸虫もしぶとい。
私は希望を捨てるつもりはないけど、見込みはますます小さくなっている。何か君たちにできる事があれば教えてほしい。
宜しく、
フェオウィン・ウィルソン
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件名: コンスタンティン
ウィルソン様、
仰る通り、コンスタンティンの容態は、控えめに言っても好ましいものではありません。我々の獣医師チームに連絡を取ったところ、役立ちそうな抗生物質サプリメントがあるとの話でした。長引いているコンスタンティンの感染症に対処できるように、サプリメントを送ります。
コンスタンティンの容態は芳しくないので、彼の最新情報は毎週送っていただければ幸いです。
敬具、
ソフィア・チューナー
収容副管理官
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: ソフィア・チューナー
日付: 2025/07/16
ソフィアへ、
今日サプリメントが届いた! アン先生は明日からコンスタンティンへの処方を始める予定だ。助けてくれて本当にありがとう、これできっと彼の命を救えるよ。
敬具、
フェオウィン・ウィルソン
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: ソフィア・チューナー
日付: 2025/07/21
ソフィアへ、
コンスタンティンの週間報告を送るよ! 彼は前よりずっと良くなっている! 君たちが送ってくれたサプリメントはきっと特別なんだね、鰓吸虫はもう根絶された! カラムナリス病は相変わらずだけど、鰓が治ったおかげでだいぶ楽になったようだ。
それに、この子は日ごとに少しづつ幸せになっているみたいだ! 昨日、カサンドラが餌やりに行った時には、“ご飯”と聞いてほぼ全身が黄色に変わった! 桃色の鱗も沢山見せるようになっているしね! 元気を取り戻したようでとても嬉しいよ。
敬具、
フェオウィン・ウィルソン
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件名: コンスタンティン
ウィルソン様、
コンスタンティンが快復に向かっているそうで、私も安心しています。提供したサプリメントが効いているようですので、こちらからは彼の治療をこれ以上援助できないことをどうかご承知おきください。 (ボーリング協定第13条第4項、参考までに下に添付します。)
“当該実体の治療後、SCP財団からウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズに提供されたリソースが、実体の完全な快復を支援するに十分事足りる場合、ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズはSCP財団から追加のリソース及び医療支援を受けないものとする。”
敬具、
ソフィア・チューナー
収容副管理官
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: ソフィア・チューナー
日付: 2025/07/28
ソフィアへ、
コンスタンティンの今週分の報告! 彼は割と元気にやっている — 少なくとも身体的にはね。厄介なことに、カラムナリス病は未だに治らないんだ。菌の拡散速度は少し遅くなったようだけれど、大きな変化は無い。ただ、精神面では、コンスタンティンは先週よりもずっと落ち込んでいる。しつこい鰓吸虫がいなくなって喜んでいると思ったけれど、その多幸感も薄れたらしくて、また鬱っぽい挙動に戻ってしまった。
もう黄色い筋はほとんど見かけない、餌の時間だけだ。君たちがくれたサプリメントは確かに効いているけれど、それだけでは足りないような気がする。
上手くいくことを願う。私はこの子を応援しているんだ。
敬具、
フェオウィン・ウィルソン
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件名: コンスタンティン
ウィルソン様、
コンスタンティンの容態が改善していないと聞いて非常に残念です。あのサプリメントは試験中、betta splendens標本の真菌感染症の治療に有効だったそうなので、我々の獣医師たちは、コンスタンティンの現在の病状が当初の想定より遥かに深刻であり、治癒には予想以上の時間を要するだろうと考えています。
加えて、コンスタンティンはbetta splendens標本としては高齢のようです。もうそろそろ寿命と考えた方が良いかもしれません。
来週までにコンスタンティンの容態が好転していることを願います。
敬具、
ソフィア・チューナー
収容副管理官
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: ソフィア・チューナー
日付: 2025/08/4
ソフィアへ、
今回のコンスタンティンの報告。調子は良くない。この1週間は青と紫と黒以外の色を全く見せなかった。カラムナリス病の拡散は止まったけれど、既に感染している部位では悪化している。彼は鱗を何枚か失い、いつも水槽の底に沈み込んでいる。浮かび上がるのは食事を摂りたい時だけ。もう声を掛けても反応してくれない。可哀想に、水槽の水を交換している間もただじっとしていた。
アン先生は毎日、君たちのサプリメントと、他の抗生物質や薬をコンスタンティンに与え続けている。エプソムソルト浴も毎週欠かさずさせている。私たちはコンスタンティンの快復に向けて、できる限りの力を尽くしているのに、効果が見られないんだ。アン先生は、コンスタンティンを生かし続けるには手術が必要かもしれないと言った。彼は歳を取っているかもしれないが、ベタは平均して最長5年まで生きられる。
コンスタンティンへの追加援助を正式にお願いしたい。君たちの助けが必要だ。
フェオウィン・ウィルソン
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件名: コンスタンティン
ウィルソン様、
コンスタンティンへの更なる支援が提供される可能性は極めて低いと思われます。しかし、あなたのコンスタンティンへの追加支援要請を、当サイトの研究管理官に提出させていただきました。彼の回答が届き次第、お知らせします。
敬具、
ソフィア・チューナー
収容副管理官
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From: pcs.PiCS|aihposrenrut#pcs.PiCS|aihposrenrut
件名: コンスタンティン
ウィルソン様、
研究管理官は、コンスタンティンの快復に向けた追加支援要請を却下しました。
コンスタンティンに関する報告、過去に提供したリソース、コンスタンティンの現在の年齢を考慮した上で、これ以上の支援はボーリング協定第19条第8項違反となると判断したとのことです。参考までに下に添付します。
“SCP財団は、ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズに対して、同組織が飼育する実体に必要な高度医療処置を提供することを認められる。しかしながら、当該実体の体長が9.5cm未満である場合、SCP財団が高度医療処置を提供することは認められない。”
敬具、
ソフィア・チューナー
収容副管理官
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: レナルド・ジョンケルン
日付: 2025/08/08
サイト-64保安記録
日付: 2025/08/10
フェオウィン・ウィルソンがサイト-64管理執務エリアの待合室に座っているのが見える。室内にいるのは彼女だけである。彼女の左足は幾度も素早く床を叩いている。
約15分後、フロントデスク裏のドアから1人の男性が入室する。
ジョンケルン: お待たせしました、ウィルソンさん。サンチェス博士がお会いになるそうです。
ウィルソン: ありがとう。
ウィルソンは立ち上がり、足早に執務エリアの入口へ向かう。ジョンケルンが後を追うが、ウィルソンは彼が近付く前にドアを押し開ける。
ジョンケルン: あの、宜しければ私が-
ウィルソン: いやいや、必要無いよ。でもありがとう。
ジョンケルンが返答する前に、ウィルソンは執務エリアに入り、各ドアの名札を確認しながらサンチェス博士の執務室へ辿り着く。サンチェス博士はデスクで数枚の書類に目を通している。執務室のドアに辿り着いたウィルソンは、ノブを掴んでドアを勢い良く開け放つ。ウィルソンが入室すると、サンチェス博士がデスクから顔を上げる。
サンチェス博士: おお、ウィルソンさん! こんなに早くいらっしゃるとは思いませんでした。レナルドに会いませんでしたか? いつもは彼が来客を案内-
ウィルソン: 自分で来た。道は分かってる。
ウィルソンは前に進み、サンチェス博士のデスクの向かい側の椅子に座る。
サンチェス博士: それでは、早速本題に入りましょうか。メールでは何を話したいのか、あまり具体的なことは書いていませんでしたね、ウィルソンさん。しかし何か… 問題があるとか?
ウィルソン: ああ、そうだよ。ただ、その前に1つ訊きたい、サンチェスさん。ボーリング協定が締結された時、あなたはその場にいたのか?
サンチェス博士: 何ですって?
ウィルソン: 2008年。例の北極熊事件の後、ここの重要人物は全員、ウィルソンズ・ワイルドライフ・ソリューションズと面会して、一緒にボーリング協定を策定したはずだよね。あなたはその日、そこにいたのかと訊いてるんだ。
サンチェス博士: …ええ、いましたよ。もっとも、私自身はあまり発言しませんでしたがね。書類に署名しただけです。
ウィルソン: でも、書類の内容は分かってたんだろう?
サンチェス博士: ええ。協定書は数日かけて作成され、その後に最終的な読み合わせを行い、そこでホルマン管理官が文書全体に目を通しました。
ウィルソン: そりゃ良かった! じゃあ第19条第8項のことも知っているね?
沈黙。
サンチェス博士: ウィルソンさん、まさか先日提出なさった要請の件ですか? あれは-
ウィルソン: 私はこんな条項が存在するなんて全く知らなかった。一体どうして私が、フェオウィン・ウィルソンがボーリング協定の条項を知らないなんてことがあり得るんだ?
サンチェス博士: お話がよく呑み込めません、ウィルソンさん。ウィルソンズの運営を引き継いだ時、協定書にはしっかり目を通されましたよね?
ウィルソンズ: 勿論だ! エドガーから直接、一式全て受け取った!
サンチェス博士: だとすると、あなたは第8項のことを忘れていたのではありませんか? 或いは単純に読み飛ばしてしまったとか?
ウィルソン: 分からない。大した事じゃない。要点は、私はボーリング協定のこの条項には同意しなかったということだ。
サンチェス博士: ウィルソンさん、協定が締結された時、あなたはその場にいなかったのです。あなたの…
会話に間が空く。
サンチェス博士: あなたのお父上は第8項に同意なさいました。彼の同意こそが必要だったのです。締結当時、あなたはまだ16歳にすら達していなかったでしょう。
(ウィルソンが鼻を鳴らす。)
ウィルソン: だからってそのままで良いとはならないだろう! ウィルソンズの経営者はもう父さんじゃない、私だ。だから、ボーリング協定の内容についても発言権があって然るべきじゃないのか?
サンチェス博士: ボーリング協定に改定を提案されているのでしょうか?
ウィルソン: そうとも言える。
サンチェス博士: ウィルソンさん、それは非常に実現困難な話だと分かっているはずです。今回のような低優先度の問題を巡っては尚更ですよ。
ウィルソン: 低優先度?
サンチェス博士: ウィルソンさん、あなたの要請で取り上げられたアノマリーはただの魚です。
ウィルソン: ただの魚? 彼は動物だ! 私たちが世話している動物だよ! 私だけじゃない、両方の組織が面倒を見ている! 彼は生き物だ、そして死にかけているんだ!
サンチェス博士: ええ、私も承知しています。それでも彼が低優先度のアノマリーである事実に変わりはありません。彼の特性は微々たるものであり、長生きすることは期待できません。
ウィルソン: フェアじゃない。だからと言って、彼に豊かな生活を送らせる必要はないという意味にならないよ。これまでの悲惨な生きざまを思えば、コンスタンティンはそれに値する!
サンチェス博士: これはフェアかどうかの問題ではありません、ウィルソンさん。
ウィルソン: ああ、そうとも。君のおかげではっきり分かった。とにかく、協定に変更を加えてもらいたい。
サンチェス博士: そう簡単な事ではありませんよ。仮に協定書に署名した全員が変更に同意したとしても、実際に完了するまでには数ヶ月かかるでしょう。
ウィルソン: 数ヶ月? 皆にメールを送って集合させればいいだけじゃないのか?
サンチェス博士: もっと複雑です。全員の都合がつく時間を見つけ、どの条項を変更するのかに合意し、修正案に合意しなければなりません。
(ウィルソンは無言である。彼女は頭の横に手を当てる。)
ウィルソン: コンスタンティンを見殺しにするつもりなんだな。あっさりしたもんだ。
サンチェス博士: いや、修正案を提出していただければ-
ウィルソン: コンスタンティンは今の調子じゃ数ヶ月も生きられない! 今、助けが必要なんだ! 以前は私たちにサプリメントを送ってくれたじゃないか、あの時とどう違う? “彼を快復させるのに十分なリソースを既に提供しました”なんて言わないでくれよ。十分じゃないんだから。
サンチェス博士: そうなると、やはり第19条第8項に話が戻ります。財団は9.5cm未満の実体に高度医療処置を施すことができません。コンスタンティンはこの体長に達していません。
ウィルソン: ふざけるな。何故生き物の大きさが重要なんだ? 生きていることに変わりはない!
サンチェス博士: それは、まぁ、小さなアノマリーほど異常性も平凡になりがちですから。どうしても財団のやる事リストの上位には入ってきませんね。
ウィルソン: つまり、コンスタンティンは君たちの手元にある物ほど奇抜じゃないから、大切でもないと? 彼の生命の価値も低いって言うのか?
サンチェス博士: コストの問題もあります。小さなアノマリーに対する先進外科手術はかなり高くつきます。
ウィルソン: …高くつく? 君たちに潤沢な資金があるのはよく分かってるぞ! この施設が見えるだろう? 金欠のふりをするのは止めてくれ!
(サンチェス博士が溜め息を吐く。)
サンチェス博士: フェイ、申し訳ありません。本心から謝罪します。これがあなたにとって大切な事だとは分かっています。しかし、私にできる事は何もありません。気休めになるかは分かりませんが、代わりに私が要請を提出しましょう。それで何か変わるかは分かりませんが、力を尽くします。
(ウィルソンは溜め息を吐く。彼女は床を見つめる。)
ウィルソン: もし、君たちがどんな組織かという私の理解が正しいなら、彼らが気に掛ける頃にはもうコンスタンティンは死んでいるよ。
(ウィルソンは立ち上がる。彼女はサンチェス博士を見つめた後、背を向けてドアに向かい、退室する。)
[記録終了]
送信者: フェオウィン・ウィルソン
受信者: ソフィア・チューナー
日付: 2025/08/11
コンスタンティンの週間報告を送る。
今朝、アン先生から連絡があった。コンスタンティンの鱗が逆立っていて、身体が酷く膨満しているそうだ。松かさ病だと診断された。何種類かの異なる病気の症状として考えられるけれど、ほぼ確実に死に至る。アンは、昨日は症状が出ていなかったから、一晩のうちに発症したらしいと言った。
彼女の話によると、この分では、緊急手術を行わない限り、明日には死んでしまうかもしれない。私たちにはそんな設備も資金も無い。でも、身体が膨満しているせいで9.5cmを越えたから、君たちは彼を手術できるはずだ。
電話をくれれば、今後の対応を協議できる。アン先生がコンスタンティンの手術の準備を整える。
フェオウィン・ウィルソン