生き物プロフィール: ランディ―!
概要!
個体名: ランディ―
種族: シャドーウルフ
主要世話役: 陸生チーム、フレデリック・マーティン
食事: 活きの良い鹿
移住区: ウィルソンズ・ワイルドライフ・センター、50号囲い場
状態: 逡ー蟶ク縺ェ菴咲スョ、迴セ螳溽憾諷
生物の特徴!
ランディーは、私たちが持っている不思議なゲームに登場するキャラクターだ!そして、現実に存在している。ウィルソンズはゲームのやりすぎで、おかしくなったのか?と思う人もいるかもしれない!でも、本当の事なんだ!
というのもランディーは、ゲームの世界と現実の世界を行き来する事が出来る。そして、現実世界の物体をゲームの世界に持ち帰る事も出来る。ただし、ゲームの世界に持ち込むと、現実には二度と戻せなくなるみたいだから、注意が必要だ!ゲームの電子説明書によれば、"境界性別次元投影システム"という仕様を使っているらしい。(仕組みはサッパリ分かんないけどね!)
ゲーム中から出てきた直後のランディ―を正面から撮った写真。とっても薄い!
ランディーが現実世界に出てくると3Dのポリゴンを2Dに圧縮したような、薄くて黒い塊が出てくるんだ。塊はパシャっと溶けるように崩れて、地面に影のように広がる。そして、その真上に色々な狼の姿をした像が現れるんだ。
影を出したランディ―。
実は、本体のように見える狼の像が「影」で、地面にある黒い平面体がランディ―が本体らしい。(本当にややこしい!世話役のフレデリックも、よく混乱している。)ちなみに、「影」はホログラムのようになっていて触ることが出来ない。
▶ チャットログを展開する。
▶ 会話に参加する。
▶ 進行状況を確認する。
もう一つの特徴として、現実世界に来たランディーは、空中に"チャットウィンドウ"を出すことが出来る。ランディーは話すことが出来ないから、コミュニケーションもウィンドウを使う必要がある。チャットをするように会話をするんだ。
経歴!
不思議なゲーム"ブラックウルフ"のスタート画面。
ランディーと出会った時の話をしていなかったね!
その日、フレデリックは事務所で、ノートパソコンに送られてきたイタズラメールの処理をしていたんだ。その中には、「動物に対して味方であるアナタたちへ」という件名の、消すことが出来ないメールが混じっていたんだ。フレデリックがメールを開くと、いきなり「ブラックウルフ」というゲームがダウンロードされ、スタート画面が始まった。
フレデリックは真面目だから、ゲームを始めず閉じようとした。でも、色んなボタンを押しても反応せず、パソコンの電源を落とす事も出来なかった。そうしているうちに、こんなメッセージが出てきたんだ。
腹が減った…。誰か居ないのか…。
それを見たフレデリックは恐る恐るEnterキーを押し、ゲームがスタートさせてみた。すると同時にゲーム内にランディーが出現し、画面の前に居るフレデリックに言ったんだ。
おまえ うまそうだな
それを見たフレデリックは、反射的にパソコンを折り畳んでスリープさせたんだ。その後、急いで集まってきた何人かのウィルソンズのメンバーと共に、慎重にパソコンを開いてみた。
ポーズ中
ESCキーを押して、ポーズを解除できます。
後で分かった事だけど、ゲーム開始後ならスリープ状態にしたりESCキーを押す事で、"ポーズ"が出来るらしい。その後、ランディーが出てきて職員に襲い掛かろうとしたけど、ESCキーを押してポーズする事で問題なく攻撃を回避する事が出来た。それからも色々とあったんだけど、長くなるから後で説明しよう!とにかく、ウィルソンズとランディーが出会った経緯は、こんな感じだった。
特殊要件と居住空間!
ゲームの中には食べ物が存在しないらしい。本当は食べなくても生きていけるみたいだけど、お腹は空く。
だからランディーは、現実世界の鹿を狩って食べる事を好むんだ。ただし、ランディーの狩りの方法は独特だ。「影」を何体も出現させ、囲むように鹿を追い立てつつ、自分は動かず待ち続ける。鹿が自分の真上に来たら、一瞬で四肢を噛み千切って動けなくして、そのまま確実に仕留めるんだ。後はゲームの世界に持ち込んで食べる。巻き込まれると危険だから、注意が必要だ!
居住空間としては囲い場を確保してあるから、ゲームをプレイしたり、ランディーと交流する時はそこを使うといい。本当は事務所を歩き回らせても良いんだけど、監督者が許可してくれなかった。代わりに、ランディーが破れない特殊な構造の檻を用意してくれたから、ありがたく利用させてもらってるよ!感謝だね。
ランディーとの旅路!
編集 2025/8/25: ランディーからの攻撃をポーズで回避する事が出来ると知った私たちは、対話を試みたんだ。
<チャットログ>
ランディー: ぐぐぐ 何故当たらん…。
フレデリックが、ボイスチャットで会話に参加しました。
ランディー: 誰だ?
フレデリック: こんにちはランディー。僕はフレデリック。君の目の前に居るのがそうだよ!
ランディー: それは俺の影だ。それすら分かってない奴を仕留められないとは…。
フレデリック: え、そうなのかい?まぁ、その話は後にしよう。ランディー、君はお腹が空いているみたいだね。
ランディー: ああ。腹が空いて仕方ない。眩暈がする。
フレデリック: 申し訳ないけど、僕たちを食べさせる訳にはいかない。でも、僕たちが代わりの食事を用意すると約束する。僕たちはそういう仕事をしているからね。
ランディー: ………分かった。だが、嘘だったらお前らの骨までしゃぶり尽くすからな!
フレデリック: オーケー!話は決まったね!それじゃ、急いで準備だ!
フレデリックが、会話から離脱しました。
<チャットログ>
フレデリック: お待たせ!食事を用意したよ!
ランディー: フン、待ちくたびれたぞ!
フレデリック: ごめんごめん。人間を食べようとするくらいだから、肉が好きなのかな?と思ってね。それらを中心に集めてみたんだ。気に入ってくれると嬉しいな。
ランディー: 何でもいい。くれるというなら、貰っていくぞ。
境界性別次元投影システムを展開します。……正常に動作しています。
ランディーがゲームに復帰しました。
「鹿肉」が持ち込まれました。
ランディー: どれどれ……。…………………。
フレデリック: どうかな?
ランディー: ……………………。
フレデリック: もしかして口に合わなかったかい?
ランディー: ……うっまぁぁぁぁぁぁ!!
ランディーは、私たちが用意した食事が気に入ってくれたみたいだった。特に鹿肉は、一番のお気に入りだ!その後、鹿肉を定期的に用意する事を条件に、私たちに危害を加えないことも約束してくれた。上手くやっていけそうで良かった!
実際のゲーム画面の一部。
編集 2025/8/26: 監督者と話し合って、大まかな方針を決めた。監督者たちは、性質の調査や由来の調査を担当し、私たちは交流をメインに担当する事になった。
ランディーの事を更に知るために、私たちはゲームをプレイしてみる事にしたんだ。内容としては、シルエットのようになったランディーを操作する2D横スクロールアクションだった。さっそく、ゲームが得意なメンバーがやろうとしたんだ。
しかし問題があった。プレイヤー登録みたいなものがされていて、フレデリックしかプレイする事が出来なかったんだ。フレデリック以外の操作では、ランディーが反応しない。……何が問題かと言うと、フレデリックはゲームを殆どしたことが無く、物凄く下手なんだ!最初の方に、ギリギリジャンプで穴を越える部分があるんだけど、それを突破できず今日は終わってしまった。
ランディーも呆れかえっていた。この先、大丈夫だろうか…。
ランディー: おい人間!流石に下手すぎる!何回飛び降り自殺させる気だ!
編集 2025/8/29: ここ数日は、ずっとゲームを見て実況する日々だ。フレデリックも少しずつ上手くなっているんだけど、それ以上にゲーム自体が難しい。即死ポイントが多いし、ミスしてしまうと毎回一番最初に戻されるのが、かなり苦しかった。
ただこの日、フレデリックが口にした冗談から、一気に突破口が開けた。「穴があるなら、現実世界から橋を持ってきて渡してしまえばいいのではないか?」…そうだよ!それは本当に出来るじゃないか!なぜ、それに気づかなかったんだろう。もしかしたら、それを使うのが前提のゲームバランスだったのかもしれない。これなら、何とかなりそうだ!
ランディー: 確かに、その発想は無かったな…。…フレデリックだったか?やるじゃないか。
今日のランディーの「影」。白くキメてみたらしい。
編集 2025/8/31: ゲームと並行してランディー自身の事を知る仕事も順調に進んでいるみたいだ。監督者たちは、毎日夜遅くまでランディー自身の成り立ちや性質の研究を行っている。私たちはパソコンには詳しくないから、任せっきりになって申し訳ないけどね。
その分、私たちはランディーがストレスなく生活できるようにしたり、直接対話したりするのが役割となる。この日は、ランディーが思いっきり体を動かしたいという希望を叶えながら、色々と聞いてみた。
<チャットログ>
フレデリック: さぁ、どうぞ!ここなら思う存分、体を動かせる。やりたかった鹿狩りも許可を貰っている。
境界性別次元投影システムを展開します。……正常に動作しています。
ランディーが現実世界に投影されます。
ランディー: 本当に良いのか?
フレデリック: うん。この辺りの地域は、鹿の増えすぎによって生態系が崩れかかっているんだ。少し可哀そうだけど…。
ランディー: 違う。そこじゃない。監督者?だったか。よく奴らの許可を貰えたな。奴らの目は、完全に俺を危険なものだと思ってる目だったが。まぁ、……嫌われるのは慣れているが。
フレデリック: そこは、粘り強く交渉して何とかね。それに、いざとなったら、ポーズも出来るしね。そこが大きかったかも。
ランディー: ……分かった。フレデリック、お前はゲームは下手だが、良い奴だな。
フレデリック: そんな、お礼を言われるほどの事はしてないよ。楽しんできてね!
<チャットログ>
ランディー: ハァ…。ハァ…。
フレデリック: おかえり、ランディー!楽しめたかい?
境界性別次元投影システムを展開します。……正常に動作しています。
ランディーがゲームに復帰しました。
「大量の鹿肉」が持ち込まれました。
ランディー: あぁ、久々にスッキリしたよ。
フレデリック: それは良かった!また体を動かしたくなったら、いつでも言ってね!
ランディー: ああ。ありがとう。
フレデリック: ……そういえば、聞きたかったんだけど、ランディーはどこに向かっているんだい?ゲームでは、ひたすら前に進んでいるけど…。
ランディー: 言っていなかったか。俺は群れから、はぐれてしまったんだ。それで、何処に居るかも分からない仲間を探している。…見つけた所で、群れに戻れるかは分からないが。
フレデリック: 何かあったのかい?
ランディー: そりが合わなかった。…と言うより、俺自身がおかしくなったという感じだな。俺はゲームのキャラクターだろう。誰がどう見てもそうだ。だが、群れの仲間はそれを自覚していない。それに、「人間は美味しかった。また食べたい」なんて言うんだが、どう考えても
奴らは人間に会った事すら無いはずだ。
俺が人間を見たのは、お前らが初めてだ。……おかしいだろ?奴らは、自分の意思もなく、フレーバーテキストに沿った言動しかしない。俺は、それを薄気味悪く思った。そして、俺は嫌われ、群れを追われた。
フレデリック: そんな事があったんだ…。………ランディーは、群れを見つけてどうしたいんだい?
ランディー: 分からない…。だが強いて言うなら、奴らの目も覚ましてやりたいというのは、あるかもしれない。
フレデリック: 分かったよ、ランディー!僕らも全力で協力させてほしい!
ランディー: ありがとう。……俺はずっと孤独だったんだ。お前らに会えて、良かった。
今日のランディーの「影」。少し眠そう。
編集 2025/9/5: この日、監督者の調査結果がウィルソンズにも共有された。
監督者によればランディーは、「悪役としての狼」のイメージを元にして生まれた知性体、「Imaginanimal」と呼ばれる存在の一種ではないかという事だった。
確かにヨーロッパなどでは、人狼などのように「死や恐怖の対象」として描かれることも少なくない。"三匹の子豚"や"赤ずきん"等の童話でも「大きくて悪い狼」として描かれている。色んなゲームにも、狼は「敵キャラ」として採用される事も多い。「ブラックウルフ」というゲームも、何者かによって概念をプログラム化して組み込まれたものであるらしい。
さらにもう一つ、プログラム的な部分からのアプローチによって分かったのは、ランディーは意図的にバグを仕込まれた存在であるらしい。結局、ゲームの作者が何を意図していたのかは分からなかったが…。
<チャットログ>
ランディー: 聞いたよ、フレデリック。狼は悪役、か…。
フレデリック: ショックだったのかい?
ランディー: いや?俺としては、うすうす感じていた事を改めて言われただけだ。驚きはしない。
フレデリック: 僕は少しショックだったよ。確かに童話などでは悪役だったりするけど……。実は、僕が動物好きになったのは、「シートン動物記」というのを読んだからなんだ。
ランディー: シートン動物記?
フレデリック: うん。その中の一つに、「狼王ロボ」っていう話があるんだ。その中のロボは、気高く誇り高い王者としても描かれているんだ。家畜を襲ったりもするけど、それは人間の視点だから悪役になっているに過ぎない。僕の中の狼と言うと、そのイメージが強かったからね…。
ランディー: ロボ、ねぇ。…それに俺は、そんなに誇り高くもない。
フレデリック: そんなことは無いよ!君は群れから追い出されても、群れの事を忘れず考えているじゃないか。
ランディー: どうだろうな…。案外、自分の事しか考えていないかもしれないぞ?
フレデリック: 僕はそうは思わないね。……ランディー、実は一番ショックを受けているのは、君なんじゃないか?
ランディー: ……ハ、まさか!!さぁ、そんなことより、今日もゲームを進めようじゃないか。練習はしてきたか?
難関ポイント!実に時間がかかった!
編集 2025/9/12: ゲームはだいぶ進み、もう終盤だ!ここは赤い頭巾を被った狩人が襲ってくるステージで、すごく難しいステージだった。ウィルソンズも全力でサポートしたよ!耐久力の概念を生み出せる防弾チョッキや、穴を越えるための橋に使う木材も大量に必要だった。他にも色々な道具を使ったけど、何より凄かったのは、フレデリックとランディーが息ピッタリだったところだ。
ランディーの視点からなら、画面外からの理不尽な攻撃や罠も発見することが出来る。まさに阿吽の呼吸という感じで、進めていった。
<チャットログ>
ランディー: ここを抜ければ、恐らくゲームクリアだ。…あっという間だったな。
フレデリック: そうだね。少し寂しくもある。…ゲームクリアすると、どうなるんだろうか?
ランディー: さぁ…な。俺にも分からない。だが、クリアしろと体が滾っている。本能ってやつかもしれない。……そろそろだな。フレディ、行けるか?
フレデリック: もちろん!1発で決めたいね!
…そして、日付を越えた頃、遂に画面には「GAME CLEAR」の文字が出てきた。
編集 2025/9/13: 遂にゲームクリアだ!
<チャットログ>
フレデリック: やった!クリアだ!!
ランディー: ああ、やったなフレディ!
フレデリック: ……何が起こるんだろうか。
ランディー: 普通なら、「エンディングムービー」だろうか?もしかしたら、全てが巻き戻って最初に戻るかもな。だが、それでもフレディ、お前との絆は不滅だ。
フレデリック: ランディー……。
???: ランディーくーん。お疲れお疲れ。いや、ホント待ちくたびれたよ!
フレデリック: 彼らは?
ランディー: 俺が追い出された群れの連中だ。…やはりクリアする事で会えるのか。
ロボ: そーでーす。俺はリーダーのロボ。よろしくよろしく。
フレデリック: ……へぇ、ロボって言うのか。よろしくね!
ロボ: よろしくね~。……俺たちの「餌」としてね♡
ランディー: …ロボ、やっぱりまだそんな事を…。聞いてくれ。俺たちは、ゲームのキャラクターに過ぎないんだ。人間にもいい奴らが…。
ロボ: ランディー君。まだそんな事を…というのは、こっちの台詞だよ。バグは治ってないみたいだね。
ランディー: 何?
ロボ: 元々俺たちは、「悪役としての狼」の役割を持った現実侵蝕性のコンピュータウイルスじゃないか。人間を騙して仲間を複製し、現実世界の人間を食べつつ、奴らの大事にしているネットの情報を握って支配する。そんな、無限に餌を食べ放題って感じの生活を送るはずだったんだけどなぁ…。
フレデリック: え?
ロボ: 確かに、変てこりんな対抗プログラムを組まれて、ゲームという形になっていたけどね。バグっていた君しか動けなくて、まいっていたんだ。ただ、ここは唯一の抜け穴「エンディングムービー」だ。……それじゃ、行こうか。現実へ。
瞬間、無数のシャドーウルフの群れが、ロボの号令でパソコンの外に出現した。急いで、パソコンに蓋をしたけど、ポーズは出来なかった。これも「エンディングムービー」だからだろうか。
ただ、忘れちゃいけない。ここは監督者が用意した特殊な構造の居住区だ。こんな時のために、万全の対策が施されている。監督者の対応により、「ブラックウルフ」が入ったパソコンも一般のネットワークからは隔絶されていた。危険な狼としても、コンピュータウイルスとしても比較的問題なく、抑えつける事が出来たんだ!(今回の件は、本当に監督者たちに感謝だ!)
ロボ: ……やってくれたな、腐れ人間共…。せっかく自由に慣れたと思ったのによぉ…。
フレデリック: 残念だったね。申し訳ないけど、僕たちを食べさせる訳にはいかない!
ロボ: クソが。……待てよ、お前「プレイヤー」だな?
ランディー: フレディ、離れろ!!
一瞬の隙だった。「チャットウィンドウ」からいきなり出現したロボが、フレデリックの右太腿に噛みついたんだ。今まで、そんな事は無かったから、誰しもがウィンドウを通ってくるなんて思いもしなかった。
フレデリック: ぐ、うあぁぁ…。
ロボ: 「プレイヤー」を抑えれば、何とかなるかもしれない。賭けだったが…上手くいったな。ランディー。お前、コイツと仲良くしてたよな。コイツがどうなっても良いのか?
ランディー: 助かったよ。
ロボ: おお、寝返るか?
ランディー: 違げぇよ。お前が正真正銘のクソ野郎で助かったって言ってんだよ!!
ロボ: ああ…?
ランディー: ぽっと出の悪役が!こんな陳腐でつまらんシナリオ、没だ!!俺が変えてやる!
狼が"敵キャラ"で終わるなんて、古いんだよ!
ランディーもチャットウィンドウを通って、ロボに噛みついた!そこから、あっという間に群れ全体とランディーの大乱闘が始まってしまった。圧倒的に戦力差があるけれど、たった1匹で群れ全体を倒していくほどの気迫を、その時のランディーは纏っていた。
……そして、ランディーは勝ってしまった。たった1匹で。ただ、無傷ではいられなかった。
ロボ: クソ…こんな所で…。
ランディー: ……元は俺も仲間だった。来世があったら、仲良くしようぜ。
個体名: ロボが死亡しました。
ランディー: 終わったな…。
フレデリック: ……ランディー!大丈夫か!
ランディー: フレディ。傷の具合はどうだ…。
フレデリック: そんな事より、ランディーの方だ!大丈夫なのか?こんな…蒸発しかけているような…。
ランディー: いや、ダメだな…。俺も、もうすぐ死ぬ。
フレデリック: 嫌だ…。そんな事を言わないでくれ。こんな事になるのなら…。僕は…。
ランディー: 泣くなフレディ。……聞いてくれ、俺は幸せだ。現実にとって、ただの敵キャラだった俺が…。誰かを守って死ねる…。最高じゃないか…。
個体名: ランディ―が死亡しました。
フレデリック: ……ランディー?…ランディー!
編集 2025/9/14: 「エンディングムービー」が終わって、1日が経った。ランディーは死んでしまったまま、二度と現れていない。フレデリックの右足は傷が深すぎて切除するしかなかったけど、命に別状は無いようだった。「ブラックウルフ」のゲームの画面は、まだ確認できていない。監督者が確認しようとしたけど、「プレイヤー」であるフレデリックしか先に進めず、待機していたんだ。
<チャットログ>
フレデリック: ごめん、ウィルソンズの皆、監督者の人たち。心配をかけて。じゃあ、パソコンを開くよ。
プレイヤー「フレデリック」様。ゲームクリアおめでとうございます。
クリア特典として、ステージ選択ボタンが解禁されました。
クリア特典として、背景が選べるようになりました。
クリア特典として、プレイヤー限定で、境界性別次元投影システムの不可逆性が解除されました。
クリア特典として、「強くてニューゲーム」モードが選べるようになりました。
フレデリック: 「強くてニューゲーム」!?
クリアデータをセーブして、「強くてニューゲーム」モードを開始しますか?
▶ YES NO
「強くてニューゲーム」モードを開始します。
クリアデータを元に、概念の再構築を実行します。
……変質した概念の再構築に成功しました。
ありがとう、ウィルソンズ・ワイルドライフ。あなた達に託して良かった。
おかげで「倒される運命」から、彼らを救う事が出来ました。
ロボ: ああ…?
ランディー: …ここは…?
フレデリック: ランディーーー!
境界性別次元投影システムを展開します。……正常に動作しています。
「プレイヤー」がゲーム内に移動しました。
「強くてニューゲーム」モードの存在により、ランディーたちは蘇った!それだけじゃない、ゲームの世界をフレデリックが行き来できるようになった事で、失った足も治ってしまったんだ!(相変わらず、仕組みはサッパリ分からない!)
問題のロボたちも、ウイルスとしての機能を失っていた。反対に、ウイルスや危険なプログラムを食べて消滅させる事が出来るようになっていたんだ!おかげで、以前は強い飢餓感のせいで気性も荒くなっていたようだけど、改善したみたい。すっかり大人しくなって、今はランディーの部下として働いている。彼から謝ってきて、フレデリックとも和解した。ランディーは優しすぎだと怒っていたけどね。
ランディーたちはウイルスバスターとして、人間社会を守ってくれている。こんな日が来るなんて思いもしなかった!
監督者たちは、ゲームの作者の行方を懸命に追跡しているけど、難航しているみたいだ。……本当に、このゲームを作った人物はどんな存在だったんだろう。信じられないくらい、全てが上手くいったけど、どこまでが計画だったんだろうか。……何も分からない。
もしかしたら、作者は狼が悪役として扱われやすい事自体を何とかしたかったのかもしれない。狼が好きだからこその行動だったと私たちは思うんだ。