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生き物プロフィール: ホッキョクグマ!
概要!

名前: ホッキョクグマ
種族: Ursus Maritimus (ホッキョクグマ)
主要世話役: N/A
食事: 生の豚肉
居住区: 3号囲い場(旧)、冷蔵ストレージ・インクの5番ロッカー(現在)
生物の特徴!
私たちはこの生き物に名前を付けていないが、一緒にいた頃、ワイルドライフ・センターの皆は彼を単に“ホッキョクグマ”とだけ呼んでいた。そう、その通り。北極からやって来た正真正銘のホッキョクグマだ。うんまぁ、私は北極から来たのだと思っている。北のどの辺りの出身でもおかしくはないだろうがね。ともかく、生物の特徴説明に入ろう! この生き物は私たちが今まで会った子たちとは訳が違うぞ。
ホッキョクグマは自分の周囲領域から全ての熱放射(要するに暑さ)を吸収する。君は今きっとこう考えているに違いない — “へぇ、そう悪くないや、真夏日にはきっと役に立つね!” いいや、彼は気温をちょっと涼しくするどころか、あらゆる物の熱を吸収する。空気の暖かさも、ラジエーターの熱も、君の体温さえも。ホッキョクグマはそれらを全て吸い上げ、私たちには分からない何らかのプロセスを経て、信じられないほど明るく光るんだ。
この熱吸収には、彼が何処へ向かおうとも周りに雪を降らせるという不幸な副作用もある。彼が真夏日にやって来たらそれこそ大変な事だ!
経歴!

カップルが“襲われた”場所。
この生き物や私たちとの初遭遇を巡る状況は、控えめに言っても非常に異例だ。全てはティックル・クリークでのピクニックから始まった。ボーリングの町民でない人のために説明すると、ティックル・クリークは町の南側に1、2マイル離れた場所を流れている小川だ(素晴らしい場所でもある)。夏になると土手でピクニックをしたがる人も多い。私たちが最初にホッキョクグマを発見したのはそういう人々の1組がきっかけだった。
事の発端は、ティム・ウィルソンが親友のマッキントッシュ保安官からの電話を受けたことだ。どうやら、あるカップルが保安官事務所に駆け込み、小川から現れた“どデカいアルビノのグリズリー”に町外れのリンゴ園まで追いかけられたと訴えたらしい。ティムはこの事件を自ら調べようと決めて、ハギと私(アルバート!)に同行を頼んだ。そこで私たちは彼のピックアップトラックに飛び乗り、保安官がアルビノグリズリーを探している果樹園へ向かった。
彼を見つけるまで長くはかからなかった(巨大な白熊を発見するのはそう難しくない)。彼は赤く熟れたリンゴを悠々とかじっていて、すぐさま退却する私たちには幸い気付かなかった。彼がアルビノのグリズリーではなく、どうもホッキョクグマらしいと悟ったのはこの時だ。私たちは車まで引き返し、ホッキョクグマ捕獲計画を考え出すことにした。
計画はこうだ。マッキントッシュ保安官は町に戻り、運の悪い通行人がクマに近寄り過ぎるような事態が起こらないように手配する。ハギは携帯でもっと大勢のボランティアを呼び、全員総出でクマを町から引き離してワイルドライフ・センターに送り、3号囲い場(当時は完成したばかりだった)に落ち着いてもらう。とても単純に聞こえるだろう? 大間違いだよ。
ハギがワイルドライフ・センターに電話を掛けようとしたまさにその時、クマは猛然と私たちを通り過ぎて町へと向かい始めた。私たちはティムのピックアップで道に沿って彼を追い、ハギは大きなホッキョクグマを捕まえる用意をしろと無我夢中でボランティアたちに伝えていた。ありがたいことに、彼らはクマがボーリングに辿り着くまでに準備を整え、何の問題も無く彼を捕獲バン(と言うと聞こえは良いが、ただの後部に大きな檻を載せたバンだ)に誘導できた。
彼をワイルドライフ・センターに運び、囲い場に入れるところまでは問題なくできた。ところが数時間後、私たちは何かが妙だと気付いた。時間が経つにつれて、次第に3号囲い場が寒くなっていたんだ。最初のうちは空調の問題かと考えたが、そもそも完全に設置されてすらいない。囲い場の中に雪が降り始めるまで、誰もクマが寒さの原因だとは考えなかった! 彼が囲い場を雪で埋めてしまうのを防ぐために、ハギはヒーターを最大温度まで上げようと提案した。
ヒーターが作動するや否や、クマは苛立った様子を見せ始めた。当初、私たちはこれをほとんど重要視しなかった。大抵の野生動物は聞き慣れない音を嫌うからだ。だがその後、彼は光り始めた。太陽の光が毛皮に反射したとかそんな話じゃない、まるでクマ型の電球のように光を生成し始めたという意味だ! まぶしすぎて目を向けられないほどだった。君がどう動くかは分からないが、クマが(特にボーリングで)発光し始めるのを見たら、私はまず可能な限り早く身を躱そうとするだろう。あの時やったのはまさしくそういう事だ — 私がハギとティムをドアの外に押し出した瞬間、クマは目も眩むような光の波動を放ち、私たち全員を地面になぎ倒した。立ち上がってみると、クマは3号囲い場の焼け焦げた残骸としか思えないものの真ん中に座り込んでいた。
熱がとても破壊的な結果をもたらすことを踏まえて、私たちは代わりに彼を寒い場所に入れようと決めた。都合良く、町の冷蔵保管ユニットには1ヶ所空きがあった。オーナーと何度か話し合った後、私たちはユニットを購入してクマをそこへ移転させることができた。ユニット代は非常に高くつくが、これはあくまで彼を北方の何処かへ移転させるまでの一時的な対応だ!
最後になるが、今しがた、数日以内に熱波がクラカマス郡を襲うことが予測されていると聞いた。だからクマの引っ越しはその後まで待たなければならないだろう。彼が恒久的な家に定住したら、このページを更新する予定になっている。それと、この平均より長い生き物プロフィールを読んでくれてありがとう!
特殊要件と居住空間!
ホッキョクグマは、私たちが月例ベイクセールの売上金で建てたばかりの3号囲い場を使った最初(で最後)の生き物だった。あそこは元々ボーリングで遭遇した大型生物(オオカミ、バイソン、サーベルタイガーなどなど)を住まわせるための囲い場で、少しの間ではあったが立派に目的を果たした! せめて数日よりかは長持ちしてほしかったが、まぁ物事は時々上手くいかないものだ。仕方がない!
彼の現在の家である保管ユニットは、アンドリューとケリーという名前の、とても素敵な夫婦が管理している。二人はもっと涼しい住まいが見つかるまでの間、彼をユニットで預かることに同意してくれた。彼らは一連の事を非常に気さくに引き受けてくれた、これもまた素晴らしい話だ!
ホッキョクグマについての注意!
2008/6/20
明日、3号囲い場の再建とホッキョクグマの仮宿の支払いに充てるお金を稼ぐためのベイクセールを開催する。是非立ち寄ってアップルパイを買い、私たちを支援してほしい!
2008/6/21
事件。
事件。
やぁ諸君! 私の名前はティム・ウィルソン(そう、例のティム・ウィルソンだ)、この生き物プロフィールを締めくくる役目をアルから引き継いだ。アルは今、自宅で相応の慰労休暇を取っている。
さて、きっと既にニュースを見て何が起きたか知っていると思う。ホッキョクグマは猛吹雪の中で町を2時間あまり徘徊し、建物を2棟破壊し、ゴミ収集箱を1つ引っ繰り返し、フェンスを引き裂き — アンドリューとケリー・クック夫妻、2人の政府職員、そして私たちの友人サラ・ガードナーの早すぎる死をもたらした。サラ、コッパー、トゥカニ、ブルーファーの告別式は、もし出席できるのであれば、4日に開かれる予定になっている。
しかし、君たちはクマが死んだ後の出来事を知らないはずだ。政府は彼の死骸を、私には分からない何処かへ運び去った。非常に寛大なことに、彼らは町に留まって復旧を支援してくれている。今後数日間は彼らの除雪車をそこかしこで見かけるだろう。その日の遅くになって、スーツを着た人々の一団が姿を見せ、我々との会談を希望した。私は本当に、本当に彼らと会いたくはなかった — 特にこんな事件の最中には。だが彼らの口調からは、私に選択の余地が無いのが明白だった。なのでアル、フェイ(心の支えとして同伴してくれた)、私の3人でスーツの人々と面会した。
どうやら、彼らは今までずっとセンターに寄付金を送ってくれた人々らしく、我々との協定を結びたがっていた。彼らはボーリングにいる様々な超自然の生き物を世話するリソースを私たちに与え、我々は手に余る生き物を彼らに引き渡す。勿論、私は合意した。こんな話を蹴るほどボケてはいない。ボーリングには我々が自力で面倒を見られる以上に多くの生き物が住んでいる。この“監督者”たち(皆は彼らをそう呼んでいる)は、人間にとっても生き物にとっても、ボーリングをもっと安全な場所にする助けとなってくれる。
そして上手くいけば、この協定はこれ以上の傷付く人が出るのを防ぐだろう。
最後になるが、私は君たち全員に謝罪したいと思う。一人一人にだ。私は自分の能力を超えた案件に手を出して君たちを巻き添えにした。私はその無謀さを悔い、心から申し訳なかったと思っている。
サラの家族へ送るカードにメッセージを寄せたい人は、新設されたセンターに立ち寄ってほしい。
君たち皆を愛している。