生き物プロフィール: ウィロウ!
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生き物プロフィール: ウィロウ!

概要!

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名前: ウィロウ

種族: 未知の生物。詳しくは調査中だけど、広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)などの、人間に寄生する生物と類似する性質を持っているみたいだ!

主要世話役: 陸生チーム、ライトニン・エイブラムズ

食事: 生物の血液

移住区: ライトニンの体内なら何処にでも。(脳または脊髄に居る事が多いみたい!)

生物の特徴!

ウィロウは、陸生チーム所属の飼育員であるライトニン・エイブラムズの体内に住み着いた、寄生虫の名前さ!おっと!結論を急がないでほしい!ライトニンの命に今すぐの危機はない……多分!

さて、ウィロウは寄生虫という事になっているけど、実際は本当に寄生といっていいか難しい所がある。というのもウィロウは、凄い速さで寄生した生物の体組織を、全く別のモノに新しく置き換えながら、共生しやすい体質に変えてしまうんだ!激しい変化だから、ライトニンの場合、寄生されたばかりの頃は全身の激痛と発熱、手足や顔面の麻痺、激しい嘔吐、痙攣、言語能力にも障害が出てしまっていた。でも、数時間でケロっと回復したんだ!しかも生まれつきの心臓病まで直った状態でね。

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寄生初期、治療を受けるライトニン!本当に無事で良かった!

そして、脳も作り換えているせいか、ウィロウはライトニンの口を借りて自身の意思や思考を周囲に伝える事が出来る。(この時、ライトニンの瞳孔が大きく開き真っ黒になり、虚ろな感じの目になるから分かりやすい!)

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明るい所でもこうだから、誰が見ても分かりやすい。ちょっと怖いけどね!

経歴!

数日前、監督者たちからの緊急連絡が主要担当者に一斉に伝えられた。その時の、分かりやすい概要が記載されたメールを掲載する。

送信者: サイト-64 クルー・L・ザンダー
受信者: ティム・ウィルソン
日付: 2021/8/15
件名: バイオハザード発生の可能性について

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緊急の案件です。
4時間ほど前に異常性を有した未知の寄生虫がオレゴン州を含む複数地点で同時に発見されました。感染経路・感染の拡大状況等を現在調査中です。

全容は掴めていませんが、寄生先の生物の細胞を作り換える性質を持ち、生態系への大幅な悪影響が懸念されます。人間への感染は確認されていませんが、十分に警戒を行ってください。

別添、資料をお送りします。主要担当者に早急に情報共有の上、現在保護下にある生物への検査を行ってください。派遣した対策班も間もなくそちらに到着致します。

クルー・L・ザンダー

多種多様な生物を飼育していく中で、寄生虫は非常に気を遣う部分だ。深夜だったけれど、すぐに各チームの担当者が集められた。ライトニンは、そんな急な招集でも誰よりも早く来るほどに仕事熱心な陸生チーム期待の若手だったんだ。

だからこそ、勢いがあるからこそ、少しだけ慎重さに欠けていた部分があったのかもしれない。保護している全ての動物たちの無事が確認され、排泄物の清掃や飲み水などの衛生環境の見直しなどが行われている中、ライトニンは囲い場の隅でぐったりとしている野生の小鳥を発見した。

咄嗟に駆け寄り、容体の確認を行おうと小鳥の目を見た時だった。小鳥が突然大きく口を開け、ライトニンの顔めがけてウィロウを吐きかけたんだ。ウィロウはライトニンの眼球に着地し、そのまま体内に侵入した。そこからは先ほど説明した通り。拒絶反応によって生死の境をさまよう事になったライトニンは緊急搬送された。何とか無事だったけどね!

そして、そんな危険な状況から回復したライトニンが、虚ろな目をしながら一息に発した言葉がこれだ!




特殊要件と居住空間!

繰り返しになってしまうけど、ウィロウの居住区はライトニンの体内だ。ライトニンは全身の細胞が全く別のモノに置き換わっているわけだけど、スパイダーマンのように怪力や身体能力が身に付いたわけじゃない。免疫能力や回復力が異常に高まっている事以外は、ほとんど普通の肉体と言っても良い。

むしろ、そのおかげでライトニンは前より元気になったと言えるだろう。生まれつき心臓と肺がかなり弱く、シフトの日を休むことはよくあったんだけど、今は一切無くなり性格も以前より明るくなったように思える。監督者たちによる監視と行動制限はあるけれど、持ち前の知識量から機転を利かせて大活躍してくれている。

肝心のウィロウの様子としては、本当にライトニンが大好きみたいだね!だからこそ、過保護なくらいに守ろうとする所が見られる。また、ストレスを溜めやすい性格で、思い込みも激しいから、様々な事であっという間に限界を迎えてしまう。そうなると自暴自棄になる事もしばしば。とはいえ、ライトニンはクールで器が大きい。今の所、大事には至っていないけどね。

ちなみに、今現在もウィロウと同様の性質を持つ寄生虫は数多く発見されているけれど、そっちは監督者たちに任せることになった。

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監督者たちが撮影した別個体の写真。個体ごとに姿形は大きく異なるけど、性質は一致しているみたいだね!

ウィロウの記録!

映像記録

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日付: 2021/08/16
記録者: クルー・L・ザンダー


クルー: ライトニン、自分の今の状況を説明できますか?ゆっくりで構いません。

ライトニン: 分かった……。僕はクルーたちが教えてくれた新種の寄生虫に、飼育している動物たちが感染していないか調査していた。その時に飼育室の中で倒れていた鳥の中に居た、白い虫 ウィロウって呼んで!……ウィロウに寄生 運命の出会いだったわね!……運命の出会いを果たしたんだ。

クルー: ……ええと、ウィロウが喋っている間、ライトニンの意識はあるのですか?

ライトニン: うん、問題なく。何て言えばいいんだろう。感覚としては流れてくるウィロウの意識を自然と代弁しちゃうって感じかなぁ。 それはライトニンが私を心から受け入れてくれているから……。今の所、体も僕の意思に反して勝手に動くとかは無いね。

クルー: 体の具合はどうですか?

ライトニン: ……それが、凄く調子がいいんだ。こんな、めいいっぱい空気を吸えるなんて久しぶりだ。 ライトニンの体、とってもボロボロで脆くて危ない状態だったから…。そうか、ウィロウが僕を治してくれたんだね!ありがとう!……本当にありがとう! え、えっ!そ、そんな私自分が生きるために必要だったからしただけで……。そんなに大した事は……大した事だよ!凄いんだね、ウィロウは。 そんなに褒めないで……。

クルー: ……コホン。とりあえず状況は分かりました。ライトニン、病み上がりの所悪いですが、このまま精密検査と、収容担当と医師による詳細な問診を受けてもらいます。……最後にライトニン、貴方はどうしたいですか?

ライトニン: そうだね。ほんの数時間前まで、摘出してほしいと思っていたよ。 あ。あはは……そうだよね。私、邪魔だよね。本当に死ぬかと思ったし。 私なんて、消えちゃえばいいんだ。ごめんなさい、私ったら浮かれてた……。正直、恐ろしい。 ごめん、ごめんね。今、居なくなるから……。

でも今は!一緒に居たいと思ってるよ!僕を頼ってくれている女の子を無視するわけにもいかないしね! 本当にいいの……?私、勘違いしちゃうよ……?

クルー: ……ハァ。相変わらずですね、ウィルソンズの皆さんは。何となく、そう言う気がしていましたよ。まぁ、出来る限り上手く伝えてみます。大した事は出来ませんが……。

ライトニン: ありがとう、クルーさん。 クルーさん、もしかして良い人?よろしくお願いします。

クルー: 別に、私は財団のやり方が全てじゃない。そう思っているだけですから。あまり期待はしないで下さいね。


編集 2021/8/26: ボーリング協定第16条第4項の解釈を巡る議論が巻き起こったけど、クルーの大奮闘により、ライトニンはほぼ以前通りの日常生活を送れるようになったと言えるだろう(多少の行動制限はあるけどね)。ウィルソンズの他の皆も、ライトニンの状況にすっかり慣れて、むしろお熱い二人に興味津々といった感じだね。ウィロウも初めは戸惑っていたけど、徐々に素を出せるようになってきた。

ライトニンは、ウィロウを受け入れた。そして、それは思ったよりウィロウの中で大きなことだったみたいなんだ。彼女なりの”はじめましての挨拶”でも分かった通り、ウィロウはライトニンに心酔している。だからこそ、素が出てきた今だからこそ。……ちょっとした問題行動を起こすようになってしまったんだよね。

ある日、いつも通り元気よく囲い場にやってきたライトニンだったんだけど、ちょっとした事件が起きた。ライトニンを見て、声をかけたアラベラを彼は無視した。それだけじゃない。レミやダニエラも、聞こえていないかのように無視されたという。

それだけじゃない。彼はずっとお世話していた件の寄生されていた小鳥(ジャスミンと名付けられた)を探していた。目の前に居るというのに!

指摘され、異変に気付いたライトニンは、すぐにウィロウに問いただした。


ライトニン: ウィロウ、もしかして君かい? ライトニンが、いけないのよ……。

何だって?

だって、だって!ライトニン、他のコばっかり見てるんだもん!分かってる。ライトニンが浮気なんかするわけないって。皆に優しいのがライトニンのいい所だもんね。私だって、我慢しようとしたのよ。でも、やっぱり嫌なの、どうしても。私以外が、ライトニンの脳内に思い浮かぶのが許せない。だから、認識機能をちょっとだけ……。ねぇ、私だけを見てほしい。それ以外要らない。嫌いになっちゃう……?独り占めしちゃダメ……?ダメだったら、私、わたし……おかしくなる。

ダメだね。ウィロウ、僕を元に戻してくれないか……?

なんで!なんで、そんなコト言うの……。ひどい、ひどい……。

ウィロウがショックを受けた影響で、ライトニンの両手足は痙攣しはじめ、床に思い切りバッタリと倒れてしまった。近くに居たロバートが助けに入ったけど、ライトニンは地面にうつ伏せになったまま、大丈夫!と言った。

やっぱり、僕はウィルソンズの一員として、まだまだだったみたいだ。ウィロウがストレスを感じていることに、全く気付けなかった。きっと、君はサインを出してくれていたのに。

私の事、嫌いになった……?

まさか!……どんな理由があろうと、女の子を不安にさせた自分が悪いのさ。確かにものの見え方を変えたり、体を痺れさせるのは嫌だしやめてほしいけど、そんなことよりウィロウが僕を嫌いになったんじゃないかってことが僕にとっては一番怖いよ。

あっ……そういう訳じゃないの!私がライトニンの事を嫌いになるなんて……。

僕もさ。僕がウィロウの事を嫌いになる訳ないじゃないか。だからこそ、いざという時、君を守るために僕は、周りの状況が分かっていないといけないんだ。ウィロウなら、分かっているはず。

……うん……。

ウィロウ、君は言ったじゃないか。何かあったら、いつでも言ってねって。逆にウィロウも不安になったら、僕に何でも相談しても良いんだよ。一緒に考えていこう。子供の時からの付き合いじゃないか。 あ、ごめんなさい、記憶も書き換えていたの忘れてた……。

その後、説得に成功したライトニンは無事に回復した。(と言ってもケガはすぐに治るから、監督者たちによる記憶の復元治療が殆どだったのは内緒だ!)ちなみに、ライトニン自らの提案でウィロウへの揺るがない想いを示すためのタトゥーを彫ったんだけど、ウィロウは凄く感激してデレデレになっていたね。

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消えにくくて周りにアピールできるような、何かおそろいの物を身に着ければ安心してもらえるかも。という事らしい。


編集 2021/9/1: 監督者側として、ライトニンとウィロウを完全な収容下におかないのは非常に大きいリスクだ。このような処置をされているのも、クルーがウィロウのサンプルとしての特異性を主張したからに過ぎないし、ライトニンとウィロウはその研究対象としての義務を果たさねばならない。つまりは、定期的な検査が必要であるということだ。

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監督者側の検査員は、終始こんな感じだ!ほぼ丸一日かけて検査を行うから結構大変!

しかし、ここには大きな壁があった!  ウィロウが監督者のことをひどく警戒していているんだよね。まぁ、検査の様子なんかを見れば、監督者たちがウィロウに対して否定的な立場にいるということは察することができるだろう。『ライトニンと自分が引き離されるかもしれない』という疑念は、少しだけ思い込みが激しいウィロウにとってほぼ確信に至っていたようだ。

事件は検査の当日の朝に起こった。朝、クルーがライトニンの家まで迎に行ったというのに、ライトニンが部屋から出てこないというのだ。クルーからの知らせを受けた私たちは、すぐにライトニンの家に向かった。もしかしたら、何かあって倒れてしまったのかもしれない!

出てくる様子は無く、仕方なく部屋の扉をなんとかこじ開けると、ライトニンが自身の首元にカッターナイフを当てて立っていたんだ!!


ロバート: おいライトニン!バカな真似はやめろ!

ライトニン: バカなのはあなたたちのほう。わたしたちは正しいわ。あ、それ以上近づいたら私たち死ぬから。

クルー: ウィロウ、落ち着いて下さい。何があったと言うのです。

ライトニン: ライトニンったら、二人で逃げようって、ずっ~~と何回も、何回も何回も何回も何回も繰り返し言ってきたのに(後で聞いたら、そんな事は言ってなかったらしい) 、私が作戦を考えましょ!って言ったら、「え?何の事だい?」なんてとぼけちゃって、しかも「監督者から逃げられるとは思えない」だなんて言うの。ライトニン、監督者の奴らにひどく怯えてるみたい。可哀想で仕方がない……!

ロバート: それで、何で死ぬなんて話になるんだ!ライトニン!早く出てきやがれ!

ライトニン: ライトニンなら私と寝てるよ?監督者からの洗脳を解くために、寝てもらったんだ。

ロバート: おいマジか、嘘だろ。どうしたら返してもらえるんだ。

ライトニン: それはもちろん。監督者が二度と私たちに関わらないと約束してくれるならね。

クルー: ……苦肉の策ですが、機動部隊の応援を呼びます。こうなってしまった以上、"物理的に"対処せざるを得ない。

ロバート: 待て待て!そんな事したらライトニンとウィロウはどうなっちまうんだ!……せめて、時間をくれ!ライトニンなら、きっとウィロウを説得してくれる。信じてくれ!

クルー: それは……。ああ、もう仕方ない!分かりました。……15分、いや、30分。それが私の裁量の限界です。

ロバート: 頼むぞライトニン起きろ!起きろよ!

その頃、ライトニンは夢の中にいるような、そんな微睡の中にいたという。一日たったような、一年たったような気もする、心地よい空間であったそうだ。気づくと、目の前にはライトニンの好む容姿をした女性が立っていた。


ウィロウ: どう?可愛いでしょ?

ライトニン: あぁ、かわいいよ、ウィロウ。

ウィロウ: 流石だね、ライトニン!姿を変えても私だって分かるんだね!

ライトニン: まぁ、ね。で、僕はいつこの空間から出ることができるんだい?

ウィロウ: ……出る必要なんてないよ。ここにはなんにも辛い事はないし、私たちを引き離そうとする敵もいない。ね?ここでずっといようよ。思考を加速しているから、たとえ肉体が滅んでも何十年、いや何百年、何千年でも一緒に居られるよ。

ライトニン: 確かに、それも良いかもしれないね。快適だろうし、楽しいと思う。

ウィロウ: だったら!

ライトニン: 君が本当にそれを望んでいるのなら、僕は本当にそうしても良いと思っている。「外」で君が何をしているか分からないけど、それをやったらいい。

ウィロウ: ……どういう意味。

ライトニン: そのままの意味さ。僕は君に殺されてもいいし、ここで君とずっと過ごしても良い。


でも、僕が愛していて、ずっと一緒に居たいのはそんな姿の君じゃない。そのままの姿のウィロウなんだ。


そう言った瞬間、目の前に居た女性の体は崩れ、無数の白くて細い姿の小さいワームに変わったという。ワームの群れは激しく動き続けながら、あっという間にライトニンの体を覆いつくした。

ウィロウ: 本当に?私って、こんな姿なんだよ!?

ライトニン: 君の姿を始めて見たけど、言っていた通りだね。すらりとして、気品がある。綺麗だよ、ウィロウ。だから安心して。僕は君を何処にも置いて行ったりしない。……君の本当の望みを叶えるために、僕はずっと君のそばに居られたらと思ってる。

ウィロウ: ……なんで、そこまで分かるの。なんで、なんで。

ライトニン: 短い付き合いだけど、君はもう僕の体の一部なんだから、そりゃぁ分かるさ。不安だったんだろう。

僕と離れちゃうかもしれない。そうなる位なら、ここでずっと一緒に暮らしたい。それも本心だろう。……でも、ウィロウが人の姿で現れた時に、ピンと来たんだ。僕と一緒にありのままに生きていきたいっていう、ウィロウが心の底で本当に望んでいる事が。

ウィロウ: ……最初は本当に心中をしようと思った。でも、何があっても私がライトニンを殺すなんて出来ないわ。だから、ずっと此処に居ようと思ったの。そうしたら、


あなたの中で、永遠に生き続けられるから。


ライトニン: 大丈夫。僕達なら、こんな夢の中じゃなくても、実現できるさ。……それに、それを手伝ってくれているのが監督者たちなんだ。僕たちは僕とウィロウのことをもっと知る必要がある。だから、僕たちは監督者たちの手を借りる必要があるんだよ!

ウィロウ: ……ライトニンが、そう言うなら。私、信じてみる。

ロバート: 頼むぞライトニン起きろ!起きろよ!

ライトニン: おっと、危ない!ゴメン、皆、心配かけたね。もう大丈夫。

ロバート: 早ぁー!?一瞬じゃねぇか!流石だぜ、ライトニン!

クルー: ハァ。……まったく心配かけさせられましたよ。後で、じっくり話は聞かせてもらいますからね。

色々とあったけれど、ウィロウはライトニンに身体を明け渡し、予定通りライトニンは検査に向かうことになった。ロバートを中心にWWSのメンバーはホッとしていたけど、何より嬉しかったのはクルーだろう。だって機動部隊を要請するだなんて大事に発展しなかったんだから!

その後の様子を見るに、ライトニンの機転で、逆にウィロウは検査やインタビューに積極的になったと言えるだろう。一緒に楽しめて夢中になれる、そんな時間に変わったからこそ、精神的な安定に繋がっているようだ。

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血液検査の様子!クルーの提案で今後の検査から、なるべくウィロウにストレスをかけない方式を模索していくらしい。


編集 2021/9/16: 監督者たちの検査から戻って来たウィロウから、ビッグニュースが伝えられた!何となんと、


ウィロウが、遂にママになった!


つい昨日の事。ウィロウが突然 『あっ……!妊娠……したかも……!!』と叫び出したんだ。前にも3回ほど似たような事があって、結局は気のせいだったんだけど、今回は本当だった!(正直いうと、生物学的に"妊娠"じゃないし、そもそも単為生殖なんだけど、そこはまぁこっちで分かってれば良いからね。)

これについては議論が強く巻き起こることとなった。僕らの中でもウィロウの出産に対しては、流石に心配が勝っているメンバーも多い。クルーは監督者としての「悪い事は言わないからやめておけ」という方針を述べつつも、「自分自身はライトニンの選択を尊重する」と、どうなったとしても協力する事を約束してくれた。

どうするべきか。重要な選択を迫られているライトニンだったけれど、そんな時でも変わらず元気よく、明るく前向きにしているように私たちには見えた。だけどウィロウだけは誰よりも早く、ライトニンの異変に気付いていたんだ。

ライトニン: 産まれてくる子供たちには、何て名前をつけようかなぁ……。可愛い名前が良いな。リンディ……ヴィヴィアン……キーラとかどうかな?あっ、デライラとかも良いかも。男の子なら、ゼノとか……?

いいね!どれも素敵な名前だと思うよ!僕も一緒に考えようかな!えーと、えーと……。

ウィロウ: ……何か不安なの?ライトニン。

ライトニン: まさか!ゴメン、また不安にさせちゃったかな!大丈夫、僕は大丈夫。

ウィロウ: ライトニンってさぁ。……今まで、こっちが色んな文句やワガママを言っても、いとも簡単そうにシレっと私が言ってほしい事を言ってくれたじゃない?

ライトニン: 大した事はしてないよ。

ウィロウ: そんな事ないっ!……本当に、そう簡単には崩れないんだね。そのせいで私、ずっとドキドキさせられてばかりで悔しいと思ってた。だからこそ、ズルいと思うんだ。私はあれ以来、本心をさらけ出しているのに、ライトニンはまだ出していないでしょ?

ライトニン: ……ウィロウにこんな事を言われる日が来るなんて、思っても居なかった。

ウィロウ: 話してくれる?

ライトニン: うん。……いつか、こんな日が来るのかなって思っていたけど、こんなに早く来るとはね。

ウィロウ: ゆっくりでいいからね?

ライトニン: ありがとう。……僕は、ウィロウを愛している。それは間違いない。でも、これが本当の”僕自身の気持ち”が、自分でも分からなくなっているんだ。……だから怖い。

ウィロウ: ……うん。

ライトニン: ちょうど1ヶ月前になるね、ウィロウと出会ったのは。本当に最初の頃、僕は君を正直、気持ちが悪い存在だと思った。そして、殺されると思った。一瞬生きるのを諦めるほど、本当に恐ろしかった。

ウィロウ: あっ、あの時は本当にごめんなさい。

ライトニン: いや、むしろ感謝してるんだ。そんな風に感じた君を本心で受け入れられたのは、生まれつきの心臓病を治してくれたからと言うのが本当だった。恩返しみたいな気持ちでね。もしかしたら、本当に数年後には少しの運動や、ウィルソンズでの活動すらできなくなる可能性もあった。……だから、本当に嬉しかった。

ウィロウ: うん。

ライトニン: 一緒に生きるようになってからは、本当に大変だと思う事の連続だった。……自己中心的で、信じられない位に思い込みが強くて。そして、とんでもない事をさせられる度に、歯が浮くような寒いセリフを言う羽目になったり。タトゥーは少しやりすぎだったかもね。まぁ何というか……正直、演じてた。

ウィロウ: ……今だから、何となく分かるかも。ほんの少し前まで、分からなかったけど。

ライトニン: だから、君が自殺をしようとした時、無意識に出た自分の発言に自分で驚いたんだ。あれ、僕ってこんなにウィロウが好きだったかな?って。

体を侵されている嫌悪と、健やかな体をくれた感謝。
自由を奪われた憎しみの様な感情と、本気で僕を慕ってくれる君への愛しく思う気持ち。

何が本当の僕の気持ちなのか、ずっとずっと考えてしまっていたんだ。


ウィロウ: ライトニンが本当の気持ちを言ってくれたから。私も、本当の気持ちを言おうと思う。

……私、いや私達は、ずっと愛されたかった。

私達は、気付いた時には色々な生物を転々とする気持ち悪い虫で。ずっと、ずっと苦しいような感覚があった。

記憶だけあるの。犬さんに、猫さんに、小鳥さんに。他にも色々な相手に出会ったけれど、皆が私達を拒絶して、本能的にどこかに追いやろうとしてた。私達は、望まれない存在だったんだって。

だから、「愛される」って事に、魂の記憶に刻まれた遠い憧れみたいなものがあったんだ。その憧れを叶えるために、私達はパートナーを強く愛するの。そうすれば、愛し返してもらえるかもって。

それに、ずっと言えなかったんだけど、もし子供が産まれたら、また体を作り直さなきゃいけないから、やっぱりパートナーに強い負担がかかっちゃうんだ。今度は凄く痛いと思う。私も初めてだから、何が起こるか分からない。

それでも、私を愛してくれる?

ライトニン: それは……。

ウィロウ: ……やっぱりそうだよね。仕方ない……よね。

ライトニン: ウィロウ、何をするんだ!?

ロバート: おい、難しい事を言われても分からんぞ!つまり、どういう事なんだ!

クルー: だから……!ウィロウを含む、あの寄生虫たちは自殺を行う傾向が高いんです!寄生した後、宿主と適合しなければ、自発的に対外に出て死を選ぶようです……。

ロバート: 適合?

クルー: ……柄でもない事を言いますが。結論から言うと、『宿主に心の底から愛してもらえる状況にならないと、自殺してしまう』って事ですよ!とにかく、ライトニンとウィロウも妊娠というストレスをためやすい状況下で二人きりにするべきじゃない!ロブ、もっとスピード出してください!!

ロバート: まったく、送り迎えさせてる癖に、人使い荒いぜ……。

クルー: いいから早く!

クルーとロバートが到着する頃には、ライトニンの体からウィロウは再び出て行こうとしまっていた!しかも、今回は寸前で止められそうもない。その体が、ライトニンのまぶたと眼球の隙間をビチビチ跳ねながら、ゆっくりだけど確実にズルズルと引きずり出ている。

クルー: ライトニン、今どんな状況です!

ライトニン: 僕は、僕は裏切ってしまったんだ。全てをさらけ出して、本当の気持ちを聞かれた時に、僕は……。

その時、うなだれるライトニンの胸ぐらを掴んだのはロバートだった!

ロバート: シャキッとしろ!細かい事情は分からんが、お前はウィロウの事が大事なんだろ!?

ライトニン: そうだ。そうなんだけど……。

ロバート: 俺にお前の考えなんて分かんないけどよ。これだけは分かる。お世話する動物たちには、正面から本気で向き合わなきゃなんねぇ。お前の不安は、動物たちに絶対伝わるんだ。相手が虫だろうと、何者だろうと、同じだろ!そんな簡単な事すら、お前は忘れちまったのか!?

ライトニン: ……そうか。そう、だったね……。

ロバート: お前がウィロウの事を、

ライトニン: ゴメン、ロバート。……もう大丈夫だ。僕は、一番大事なことを忘れていたんだね。

クルー: 私からもお願いします。私の読みが合っていればですが、ウィロウは何の不安も無く、貴方を本当に心の底から信用した状態になったという事だと思います。……今回も私に、ウィルソンズだからこそ出来る事を見せてください。

ライトニン: ありがとう。任せて。待ってて、ウィロウ……!


すっと両目をつぶり、ライトニンは深呼吸をした後、強く語りかけた!

ライトニン: ウィロウ、死ぬな!生きよう、一緒に!

ウィロウ: ダメだよ、私、もう決めたの……。

ライトニン: 僕が悪かったんだ。大事なことを忘れて、自分の事ばかりを考えて、変にかっこつけたり。……僕はまだまだ未熟でダメな奴だ。だから、僕に悪い所が出たら君が支えてほしい!夫婦って、そういうモノじゃないか!

ウィロウ: え、夫婦って……。

ライトニン: 結婚しよう!ウィロウ!一緒に素敵な家庭を築こう!

ウィロウ: ま、待って。そ、そんなコト、急に言われても……。

ライトニン: これが本当の僕の気持ちだ!ウィロウは夫婦とか、そんな存在になれなくてもいいなんて言っていたけど、僕はなりたい!本当に、本当に心の底からそう思ってるんだ!

ウィロウ: でも!私、心の何処かで子供にライトニンが取られたくないなんて、考えてるし!面倒くさい奴なのは、私が一番分かってるし!

ライトニン: 分かってる!ウィロウとの時間も必ず確保するよ!僕達なら、絶対にやれる!

ウィロウ: け、結婚するなら、今より私に向きあってほしいし、もっと構ってほしい。もっと、分かってほしいし、それに、それに……!

ライトニン: 何を今更!!そんなウィロウが好きなんだよ!

ウィロウ: 本当に……本当になの?私を、生き物として愛してくれるの?


こんな姿の、そのままの私を本当に愛してくれるの?


ライトニン: あたりまえさ!


ウィロウには、僕の中で、永遠に生き続けてほしいんだ!





ウィロウ: ……アハハ、本当にライトニンはドキドキさせられっぱなしだなぁ。また負けちゃった……。

こちらこそ、宜しくお願いします!!!

後日談!

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大腸のあたりで確認された虫卵。

懸念されていた出産の際のライトニンの負担だけど、監督者たちの処置により、大幅に軽減できる物だった。ウィロウは、ライトニンの言っていた事は本当だった!と凄く喜んでいたね。

数週間後、めでたく夫婦になったウィロウとライトニンの間に、デライラとゼノという双子の姉弟が生まれた。虫といえば数百匹ぐらい産むイメージだけど、ウィロウの種は一度に数匹しか産まないみたいだ。頭の中の意思が増えたことで、ライトニンの負担はより増えたけど、それ以上に楽しそうなのが微笑ましい。

初め、ライトニンは常人離れした精神力を持っているように思えたけど、本当は凄く悩んでいた。それでも、最後には揺るぎない覚悟を持った選択を取る事が出来たんだ。今回の出来事を経て、ライトニンはWWSの一員として、そして一人の男として成長できたように思える。ライトニン自身は、ちょっとした黒歴史だと言っていたけどね!


裏方として尽力してくれていたクルーは、今でもライトニン一家の様子を見に来てくれている。ちなみに、ウィロウとライトニンが出会うキッカケになった小鳥のジャスミンは彼に引き取られて、オフィスで元気よく飛び回っているそうだ!クルーもなんだかんだ言って動物が好きだよね!

ライトニンを奮い立たせてくれたロバートは、今日も動物たちのお世話に精を出している。いつの間にか、ライトニンに頼れる兄貴として慕われていて、よせやい!と照れながらも嬉しそうにしていたね。

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2人はウィロウの仲間たちをより良く保護するプロジェクトを進めている。ウィロウ達は、種全体で共有する記憶のようなものから、「私達はずっと愛されなかった」と語っていた。

監督者たちとしては、その辺りから彼女たちが何処からやって来た種族なのかを突き止めていきたいという想いがあるみたいだ。WWSとしては、彼女たちが無事愛される様な環境を何とか考えてあげたいと思っている。監督者たちの意向を見る限り、簡単じゃないだろうけど、動物たちと正面からぶつかるのが僕達だからね。


最後に、今朝のエイブラムズ家の光景をみんなにお裾分けしよう!もう見慣れた景色ではあるけれど、ライトニンとウィロウ、二人の"愛の力"によって多くの困難を乗り越えて、この幸せな今があるということは忘れないでいたい。

デライラ: パパ!あづい!!

ライトニン: わかったわかった!エアコン下げるよ!!

ゼノ: パパ!さらさらのやつがいい!

ライトニン: OK、水飲むよ!!

ウィロウ: あなた!子どもたちばかりずるいわ!!

(ライトニンは手足が痙攣しその場に倒れ込むが、同時にあのタトゥーにキスをする)

ライトニン: ウィロウ、愛してる!愛してるから、突然痺れさせるのだけはやめてくれ〜〜〜!!

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