イントロダクション
クロスリンク、あるいは一つのSCP記事から別のページにリンクさせる手法は、財団世界をつなげるために有用です。適切に行われたならば、記事をより面白くさせるでしょう。
これは、大抵の場合脆弱なクロスリンクが行われてしまうことを意味しています。そうしたクロスリンクは、著者たちが自分の作品をよりよく見せるために、人気のあるSCPと絡ませるといった形をしばしばとります。なぜなら、その作者たちのSCPは単体では面白くないからです。こうしたクロスリンクは、あなたの記事を援護するというよりも傷つけることがほとんどでしょう。
このガイドは書き手にどのようなクロスリンクなら記事を改善するか、また、一般的にどのようなクロスリンクを避けるべきか理解する一助になるでしょう1。
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どうやったら適切なクロスリンクだとわかるの?
あなた自身のクロスリンクをチェックする最速の方法は、アイデアとブレインストーミングと下書きと批評に投稿することです。もしあなたが良いクロスリンクを計画している/書いているならば、幸福な議論が行われるでしょう。
以下は良いクロスリンクかどうかを確認するいくつかのやり方です。
1. そのクロスリンクは自然で効果的か?
クロスリンクが最もよくなるのは、SCP記事間の繋がりが論理的であり、読者に財団世界への理解を与えるときです。もしクロスリンクが撤去されたとしても、どちらの記事も価値を減じることはないでしょう。
たとえば、SCP-1323はSCP-2952と繋がっています。
それぞれのアクセスポイントは最も近いSCP-2952の駅から1.5 km以下に存在します。
この二つのSCPは近しい場所(ヨーロッパ、とりわけ英国)に存在し、似通ったテーマ(妖精、そして妖精と交流できる場所に繋がる異常なアクセスポイント)を持っています。財団がそれらの関連についてコメントするのは自然に思えますし、財団世界内での繋がりは両方のアノマリーを観察するフィールドエージェントを助けるでしょう。
2. そのクロスリンクは科学的視点で理解できるものか?
よいクロスリンクの行われているSCPは大抵、関連する背景(それらの起源が近しいものである)があるか、財団世界内の妥当なクロステスト(それらが関連する能力や性質を持っている)が行われているかのどちらかです。例えば、
調査によりSCP-695は遺伝子組み換えの結果の可能性があり、複数の生理学的な面と行動において非自然的な進化の徴候が示されました。またいくつかの遺伝子シーケンスはSCP-1238、SCP-1340、SCP-1821のものと一致しています。
SCP-2285とSCP-2106を含むCorvus corax実例に関連するアノマリーはSCP-1505による潜在的な汚染について監視されます。SCP-1505のイベントに関する無力化プロトコルの影響は、これらや他のアノマリーで確認されています。
これらのSCPオブジェクトを繋げることで世界観への没入感が得られます。なぜなら、これは一つのSCPよりも世界の広がりを感じさせるからです。これらの記事内で、財団は一つ一つを完全に個別化して制御するのではなく、関連する無数のアノマリーに気づき、類似したオブジェクトを追跡しています。
また、似通った能力のSCPを繋げることが、しっかりしたクロスリンクを保障するわけでないことを覚えておいてください。あなたが安全性と情報収集を念頭においてクロステストを制御しようとするなら、"もし[すごいパワーのモンスター]と[別なすごいパワーのモンスター]がたたかったらどれだけクールなんだ?!"などとするべきではありません。
3. そのクロスリンクは関連する記事の読書体験を改善するか?
よいクロスリンクはあなたの記事とあなたがリンクさせた記事の両方をより面白いものにします。なぜなら、物語がダイナミックな繋がったものになるからです。よいクロスリンクはSCPユニバースの関連していそうなパートを繋げることでSCP世界へのより大きな視点を作り出します。
ワーオ! ワンダーテインメント博士限定版コレクションのリトル・ミスターを見つけたね!
ぜんぶ見つけてミスター・コレクターになっちゃおう!
01. ミスター・カメレオン
02. ミスター・くびなし
03. ミスター・おわらい
04. ミスター・わすれっぽい
05. ミスター・シャピー
これは要注意団体ワンダーテインメント博士によって作り出された、一連のSCPシリーズリトル・ミスターズです。読者はそれぞれのSCP記事やリトルミスターズのtaleの間をジャンプすることでリンクを調査できます。これは一つのSCP記事を読むよりも、より大きな財団世界への視点を感じられるでしょう。
4. このクロスリンクのために物語上の確固とした理由が存在するか?
現在、機動部隊タウ-5 "サムサラ"が収容と緩和の努力を主導しています。
作戦の概要についてはオペレーション・アズール・ペレグリン関連文書を参照してください。
SCP-2970の効果に抵抗性をもつ可能性のあるパラテクノロジー装備を使う技術により、またSCP-2970と関連した異常集団に対処する実証された適性(オペレーション・アズール・ペレグリンを参照)により、機動部隊タウ-5 "サムサラ"が再収容の努力を主導するために選定されました。
SCP-2970は機動部隊タウ-5 "サムサラ"に関連する他のページのシリーズを結びつける記事です。この機動部隊がSCP-2970を収容する物語の包括的なプロットラインは単なる一本の記事以上のものを含みます。クロスリンクはこの物語の手法において必要不可欠な部分です。
カードタイトル: バベルの尖塔
サブタイトル: 人と獣の友好的な連合
タイプ: 建造物
説明: バベルの塔を視線の中のあなたが選んだ正方形の中に置く。近くの動物があなたの側に加わり、攻撃力が+2される。そうしなかった者はバベルに捧げられる。血、血、血。
多様なSCP記事をクロスリンクさせた一例としてはSCP-3301が存在します。これはSCPオブジェクトと、財団の職員、出来事、プロトコルを表したカードで行うカードゲームです。カード上のクロスリンクは財団世界の他の部分をつなげるものであり、読者に十分訴えかけるプレゼンテーションです。SCP-3301を理解するために他のSCPを読む必要はありませんが、もしそうしたならば面白い体験が出来るでしょう。
(念のため言っておくと、"僕は[任意のSCPを当てはめてください]が本当に本当に好きだから僕の記事の中で言及するんだ!1!!11!!"はクロスリンクのための確固とした物語上の理由になりません。)
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どのようなクロスリンクを避けるべきか?
人々が人気のある題材と自分の作品をつなげることをあまりにも好むので、クロスリンクは手軽に誤用されます。その結果として、ダウンボートや、読者に記事を真剣に受け取ってもらえなくなるという現象が起こります。以下はクロスリンクについて最も頻繁に見られる、悪い理由です。
以下の例が常に失敗するわけではないことを覚えておいてください。ですが、こういった方法でクロスリンクを行う書き手は、読者にネガティブな印象を持たれがちです
1. あるSCPオブジェクトを自分のSCPオブジェクトの説明に使う
例: "SCP-XXXXはSCP-682に似ていますが、脚が2本多く、鉤爪がもっと長いです。"
読者にはこう見えるでしょう:
- "私は自分で作った説明を書きたくありませんでした。"
- "私のSCPはあなたのものより優れています。"
- "私は面白いものが思いつかなかったので誰かの作品を借りることにしました。"
"SCP-XXXXは[人気のSCP]に似ています"あるいは"SCP-XXXXは[人気のSCP]とともに発見されました"のような説明で始まるSCP記事は独創性がまったくないように見えがちです。ときどき、書き手は古いSCPの上を行こうとして、もっと危険で、強力で、その上/あるいはスマートな作品を作ろうとします。これは、あなたがご自慢の記事について読者の好奇心をそそらせようなどとまるで考えていないと読者に示す良い手段です。これをやらないでください。 "より危険"は"より面白い"を意味しません。
また、この手法は読者に対し、この記事で何が起きているかを理解するためには別のSCP記事を読んでおいてくれと書き手が期待していることを伝えてしまいます。最悪の場合、書き手は怠惰、あるいは創造性のない人物に見えます。
2. ''サイエンス!''あるいは''なぜしないの?''といった理由で他のSCPとテストさせる
例: "SCP-XXXXはSCP-173がSCP-XXXXを攻撃するかどうかを確かめるためにSCP-173と引合されました。"
読者にはこう見えるでしょう:
- "私は財団のやり方を理解していません。"
- "これが道理にかなっているかなんて誰も気にしないでしょ、とってもとってもクールなんだから!"
- "私のSCPはそれ単体では面白くないので、面白くするために誰かの作品を借りています。"
財団世界内では、あるSCPオブジェクトを、他の良く知られたSCPオブジェクト、とりわけ危険なオブジェクトとテストするという行動は、ナノ秒で首になるか実験で殺されるかという結果を招きます。財団は賢明な科学者を雇用しています。賢明な科学者は危険なSCPオブジェクトを、他の十分理解できていないアノマリーと一緒にテストしたりしません。科学者はアノマリーを試験エリアに輸送し、安全なSCPを確実に破壊しない保証を得る必要があります。
いくつかのSCPオブジェクト、あるいは危険/敵対的な存在を含む実験は、読者に、このテストはリスク以上の価値があるのかどうかをはっきり示すでしょう。いくつかの財団が制作したSCPは、実験が研究者の面目を丸つぶれにした際何が起こるかの実例です。 "私はこれを682に投げつけたら何が起こるか気になります"は財団を馬鹿に見せる理由となるでしょう。
3. 人気の記事に言及しているだけ
例: "SCP-XXXXはSCP-106、SCP-096、SCP-2000について学習した際極度の関心を示しました。SCP-XXXXはSCP-1000についての知識も有していると証明しました。"
読者にはこう見えるでしょう:
- "わたしはSCP記事を一握りしか読んでません!"あるいは最悪の場合、"私はSCP記事を一つも読んでません!"
- "私は人気のある題材だけが唯一良い題材だと考えています。"
- "みんなが[人気のSCP]を愛しているから、私が[人気のSCP]について自分の記事で言及すればみんなが私の記事を愛するようになる!"
SCP-173がインターネットで最初にヒットしたのは2007年です。SCP-682は2008年からです。SCP-049は2009年に、SCP-106とSCP-096は2010年に投稿されました。このエッセイが書かれているのは、2017年です。これらの人気の記事が投稿されてから、素晴らしい数年が過ぎ、大量の高品質の作品がサイト上で生まれています。
人気のある古い記事とのあなたのクロスリンクがどう働くかをテストする良い方法は、自分自身に問いかけることです。: "なぜ研究者は、他のSCPオブジェクトではなくこのSCPオブジェクトに言及する良い理由を持っているのだろう?"もし読者と財団世界内の科学者の両方を納得させる良い理由を思いつかないのならば、おそらくあなたは人気のある古いオブジェクトに言及すべきではないのでしょう。
シリーズIではなく、シリーズII、シリーズIII、シリーズIVの記事をクロスリンクの材料として眺めてみてください。もしあなたがクロスリンクのための、それほど有名ではない良い記事を見つけられないのならば、クエスチョンデスクフォーラム(日本支部にはありません)のサイトメンバーが解決策を与えてくれるでしょう。あなたはタグサーチツールを使って似たようなページを探すことも出来ます。
4. あなたのSCPは他のSCPオブジェクトを収容する/無効化する/友好的にさせるという点でとても優れて見える。
例: "SCP-049が収容違反した際、SCP-XXXXは即座に自身の収容房からSCP-049に立ちはだかるためにテレポートしました。彼らは会話を行い、その後SCP-XXXXはSCP-049を穏やかに再収容させるためにエスコートしました。"
読者にはこう見えるでしょう:
"私のSCPは今までで最高に強力/賢明/完璧だから、とってもとっても価値があります。"
"私のSCPは財団にとってすごく有益なので、みんながこれを愛するに違いありません。"
財団は自身の職務において、SCPに頼ろうとはしません。財団は、彼らが理解し信頼している異常性を持たない 収容セルとセキュリティ職員のほうを使用するでしょう。
ほとんどの読者はあるSCPをより価値があり好まれるものに見せかけるために、"私のSCPが他のSCPを打ち負かす"そして"わたしのSCPは他のSCPと友達になれる"と書くことを浅はかな試みとみなします。もしあなたのSCPがとても完璧で、かつ/もしくはとても有益ならば、平均的な読者はそれらを理解できないでしょう。読者にとって、私たち普通の人間がするような失敗を犯さず、常に正しい行いを為す完璧な存在に興味を持つことは実際難しいのです。
面白い物語を伝えることに焦点を当て、あなたのSCPをこれまで存在しなかった最高のヒーローにすることはやめましょう。
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結びに
クロスリンクは、正しく行われた時、財団世界の中でいくつかの素晴らしい繋がりを生み出します。良い記事という主食の、素晴らしいデザートとなるでしょう。ですが覚えておいてください、素晴らしいディナーはデザートだけでは成り立ちません。クロスリンクを、人気のSCPの知名度を利用するために浪費したりしないでください。クロスリンクは、それ単体ですでに面白い物語をさらに拡張したり、異なる視点を与えたり、物事の裏側で起こっている何か大きなもののヒントを与えたりするために使ってください。
最良のクロスリンクは、関連記事を読むことで、より没入感のある物語を読者に経験させるものです。内部で繋がっている記事は、人類を超常から守るために異常なものの知識を増やすための実験資料について、長い歴史を持つ科学的組織という感覚を与えてくれます。財団をアノマリーの類似性や行動について気付いている組織として表現することは、財団自身、そしてSCPオブジェクトも同様に、より深みのある真実らしい存在として感じさせるでしょう。