こんにちは、皆さん。着席していただければ、すぐ始められますよ。
さてと。
エヘン。
1986年4月27日、ほんの数分の出来事でしたが、HBOの料金設定にむかっ腹を立てたフロリダ州の衛星通信事業者が、東海岸地域のテレビ放送を抗議メッセージで乗っ取り、ショウタイムにも同じ事をすると脅しを掛けました。
彼は脅迫を実行に移す間もなく、連邦取引委員会に捕まりました。
1年後の1987年11月22日、シカゴのテレビ局2社の信号が割り込みされ、人々はマックス・ヘッドルームのゴムマスクを被った男が金属板の前で踊ったり、ポップカルチャーに言及したりした後、フレンチメイド服の女にハエ叩きで尻をはたかれる様子を見せつけられました。
FCCと連邦捜査官たちが全力を尽くしたにも拘らず、今日まで誰の仕業なのかは判明していません。
電波ジャック。海賊テレビ放送。無線ジャミング。民間人が必要機材を最初に購入できるようになった頃から、これらは全て懸念されてきました。通常であれば、これらはFCCなりOfcomなり、影響を受けた地域を管轄するヴェール外の規制機関の手に委ねられます。
しかし、当然ながら、彼らでは対処できない事件も必ず起きます。
例えば、2003年にアリゾナ州パーカーで発生した大騒動を見てみましょう。スポンジボブの新エピソードの初放送を期待していた数百人の子供たちは、通信が上書きされて叡智圏由来のノウアスフィリック情報災害が映し出されたため、幸いにも短時間で済んだとはいえ昏睡状態に陥り、文字通りの意味で人生を30分間浪費しました。
また、2014年には次元を越えた通信流出の結果、緊急警報システムがニューヨーク州ウティカ全域の電波を通して、太陽が24時間以内に超新星爆発を起こすと市民に警告し、財団が介入する前に大々的な暴動と数億ドルの資産損害を引き起こしました。
そして2019年には、ウィスコンシン州からオンタリオ州にかけての地域で、テレビとラジオを通じたウェストヘッド・メディアとヴィキャンデル=ニードの広告戦争が勃発し、壊された虚構シナリオ寸前まで激化しました。
これらは視聴者からの苦情や罰金で済むような問題ではありません。
そこで抑制・記録サイト-247、ひいては異常放送部門の出番です。世界中の多数の放送規制機関の協力、市場に流通している中で (流通していない物の中でも) 最も強力な信号検索装置、そして常駐機動部隊パイ-247 “…コーリング・オール・ステーションズ…” のたゆまぬ努力によって—
…はい?
“何故ジェネシスの最低のアルバムに因んだ名前を付けたのか?”
ウィルス学部門の機動部隊が既に“イン・ジ・エアー・トゥナイト”を使っているからですよ。
…形式的な空気がどっか行っちゃいましたね?
ともかく、我々は万が一異常なものに出くわすことを期待しながら一日中座ってテレビを見たり、ヒットチャートトップ40の楽曲を聴いたりするだけで給料をもらっているのではありません。“放送”の範囲にはWebも含まれるので、YouTube、Twitch、TikTok、その他諸々に不意に投稿される奇妙な動画を抑制するため、サイト-15とも協力体制を敷いています。危うく昔の財団施設に行き当たりかけた都市探検チャンネルがどれだけあるか、話し始めたらキリがありません…
それと、詳しくは話せませんが — 何せ詳細のほとんどは私のクリアランスレベルでさえ閲覧できないのでね — レイ・アーストゥワイル博士率いる超常電気通信課の優秀な職員たちが、財団内の通信・暗号化に大変革をもたらすであろう技術に関して、目覚ましい進展を見せています。ですから、その課に配属される方々は… とんでもなくツイてます。
ふむ?
あぁ。
優秀な博士の話が出たことですし、皆さんがこの部門での配属中に知り合うことになる他の主要スタッフを何人か紹介しましょう。
ガストーネ・U・カイリー、我らが敬愛する管理官、そして同僚がヴェール違反を探す代わりにゲームを観ていた場合に報告すべき人。皆さんのためにまず2つ釘を刺しておきます。その1: はい、彼は自分のファーストネームにまつわるジョークを既に全部聞いています1。ええ、一つ残らず。なので“やっぱり痰を吐くのがお上手なんですか?”などと訊ねるのが賢明だと思っているなら… 止めておきましょう。その2: いいえ、我々はUが何を表すのか知りません。彼は我々の推測が全て間違っていると言っていますし、答えを教える気もないようです。
アメリ・ナイカは我々の主任研究員です。サイト-15から異動になった皆さん、そうです、ジャックの親戚です。いいえ、彼女もジャックが結成したバンドはダサいと思っています。カイリー管理官が不在で、同僚のサボりを報告できない時は、彼女が次善の策となります。そして勿論、彼女がいなければ、財団とフランスの規制機関ARCOMの交渉は遥かに難航していたはずです。
ご心配なく、間もなく終わります! あとはこのサイトのセクターをざっと説明するだけ!
今、我々は1階にいます。ここは電波塔としての偽装に使う以外、大局的に見るとそれほどの用途はありません。でも、ここからのアスペン山脈の眺めは最高ですよ。
地下1階が研究の拠点です。数百人の職員が信号をスキャンし、衛星放送を傍受し、インターネット上のタレコミや通報を処理し、必要とあらばパイ-247の隊員たちに送ります。週7日・24時間24/7体制で — ダジャレのつもりです。アメリのオフィスはハーブタバコの匂いが強烈に漂う隅っこにありますから、例え見落としたくても無理でしょう。
地下2階は資料庫になっていて、単発の超常現象から継続的な要注意団体の広報活動まで、あらゆる調査記録のコピーが保管されています。あちこちで見かけるようなショート動画ばかりじゃありません。実は“ドクター・フー”の欠落エピソードは全部、完全ノーカットで何処かのファイルキャビネットにしまってあるんです。全く幸運なことに、ボストンのとあるパブリック・アクセス・テレビチャンネルが何年もノンストップでそれらを放送し続けていましてね。欠落エピソードを返す見返りにBBCから何百万ドルもふんだくろうと企んだ人物が、細心の注意を払ってテープ録画していたんですよ。
我々が先にそいつを捕まえなければ、情報保存主義者たちは狂喜乱舞していたでしょうよ! やれやれ…
地下3階には超常電気通信課があります。我々の通信が数ミリ秒しか遅延せず、非常にクリアで、サイト内に山ほど置かれているファラデーケージからも干渉を受けずにいられるのは、彼らの努力の賜物です。地下3階の設備や業務については、より技術的な情報を提供できなくもありませんが、その話はレイから聞いた方が良いでしょう。
最後に、地下4階。ここには我々の管轄下にある物理的なスキップが収容されます。我々が扱うものの大半は抑制・記録・保管されるので、それほど数は多くありませんが、念のため十分な広さを確保してあります。デジタル移行後もアナログ信号を受信し続けた古いブラウン管テレビがほとんどですが、自我を獲得してカリフォルニア州の田舎町をクレーターに変えかけたFoxニュースの衛星も1基収容されています。
ええ、意思疎通能力がありますし、お察しの通りレイシストです!
…
アメリが“まとめに入れ”のジェスチャーをしているので、これで入門編は終わりにしましょう。サイト-247へ、そして異常放送部門へようこそ。次回は何を取り上げることになるでしょうかね?
では皆さん、その時まで乞うご期待!