ダークエクエイションの提言
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志号
異学一

級別
疑有り

殊監策
異学一蔵于鉄箍箱内,置学院大庫,編禁軍以戍。欲取異学者,需執太尉符令,無令而擅踰者,雖三公,必戮之。異学所書之言,需詳載于冊,収府庫中,以資研究。非司庫以上,不得閲也。

異学一号は鉄箱に収められ、学院の大庫に置かれる。防衛のために禁軍を編成する。欲有って之を閲覧せんとする異学者は、太尉の符令を予め取得すること。令なしに之を欲しいままとする狼藉者は、たとえ三公1であっても、必ず処刑される。異学一号に書かれた言は、書物に詳細に記述し、書庫の中に収められ、資を以て研究される。管理者以上でない者の閲覧は禁じられる。

特別収容プロトコル(19██年█月█日更新): SCP-CN-001はその機能を喪失したため、現在は中華異学会(現:財団中国支部)の標章として、国内サイト1号の大広間に掲示されています。セキュリティクリアランス2以上の人員はSCP-CN-001に関する資料の閲覧を許可されます。内容に対して疑義がある場合、孫██博士に連絡してください。


異学一乃竹簡一冊,自外観之,其分寸、軽重、材質皆与先秦諸子書簡無幾。然展而閲之,其内文凡展必異,所用以書者,蓋尋常松墨也。内多志神怪之物,而雑有論述之言。文不已,則簡不尽,覆簡,則前文不復見也。有閲其文者,至多則三月,少則頃時,必遇乃物。是此簡之読而創是物,亦或簡乃志是物,不得知也。 夫異学一尋于██秦皇陵,為始皇帝手以陪葬之物。太尉舜-時太学博士███-取而数閲之,驚,乃稟天子,招海内学者組異学会,以収異学所志之怪物,使其無害于百姓。異学会得之凡████載矣,而簡不見腐蝕之象;及帝█,嘗数開合異学,期捜羅天下之怪,然[蔽]。至帝█,以簡為不祥之物,収之,不復閲也;至帝█,方詔而究其理。適此文時,簡志而異学会収者有██████,皆詳載于別冊。

異学一号は一冊の竹简であり、その外観、長短、軽重、材質はみな秦代以前の諸子百家の書簡と大差ない。しかし竹簡を開いてみれば、中の文は総じて異常な物品についてのものばかりである。文は一般的な松煙墨2で書かれている。多くは志・神・怪などの説明で、論述がばらばらと添えられている。竹簡の文が尽きることはない。竹簡をめくると、前の文を再び見ることはできなくなる。文を閲覧した者は最長で三月、最短で直ちに、述べられている物に必ず遭遇する。竹簡を読んだことで異物が生まれるのか、はたまた竹簡はただ異物を記録しているだけなのか、その真相は定かではない。異学一号は██にある秦の皇陵にて発見された。始皇帝のために副葬された物である。太尉舜3-この時、太学4博士███であった-は、之をいくらか読んで驚愕し、天子に上申した。その後、彼らは海内の学者達を招き、竹簡に記された異物を収集し、万民のために用いるため、異学会を組織した。異学会の手に之が渡ってから、およそ████年が経つが、竹簡には未だ腐食が見られない。:█帝は異学を開き、天下の怪を広く捜索し、収集させた。しかしながら、[蔽]。このため、█帝に至ると、竹簡は縁起の悪いものとして、厳重に保管されたため、読まれることはなくなった。:時を経て、█帝は異学の理を再び研究するよう命じた。帝の詔が下された時、竹簡の記述と学会が収集した物は██████にも上っていた。詳細は全て別冊に纏められている。


別録

雍正██年春、告: 有鑑于西人東来,時事丕変,恐夷人取中土之異学以制吾民,乃令各部会,悉封存之,併移異学一至[蔽],以待大局底定,方重啓研究。 —太尉禄存

東より西洋人が到来したことで、情勢は大きく変化している。夷人は我が民を制するために、中原の異学を奪い取らんとするだろう。そのため、各部会に命じて異物を可能な限り封存し、併せて異学一号を[蔽]に移した。大局が平定されるのを待ってから、研究を再開することにする。 —太尉禄存


民国██年秋、志: 異学一号は長きに渡り、如何なる文字も新たに生じさせなかった。これを最後の報告とする。多くの学者は竹簡が既に「完成」したものと認識している。私は竹簡中に記載されている資料を開放することを提案する。これには研究速度を増加させ、中華異常事物学会の歴史と宗旨に対し、職員の理解をより深める効果が期待できるだろう。 —周██博士

可決。 —監督者廉貞


会員諸君へ:

私は多くの者から同じような意見を聞いている。彼らが言うには、我々が加わったのは財団という世界的組織であることから、本部の安全標準指針に倣うべきだとしている。例えば、SCP-CN-001の頁には足を広げたタコの写真でも貼っておけ……等といったことだ。

私はそのような意見を持つ同志各位に対し、手を胸に押し当て、自問して欲しいと考えている。我々は学者なのか、はたまた忍者なのかと。……その通り、SCPとは「確保、収容、保護」という意味である。だが、SCP-CN-001が意味するのは「中国の科学精神」だ。教科書に我々の名前が残されなかったがために、ジョセフ・ニーダム5は中華と西洋の科学のズレについて、ついぞその真相を知ることはなかったのだ。本部のO5は八方手を尽くして001を隠匿しているが、これは世にその秘密が漏れた日には、財団が崩壊してしまうからである。それは始皇帝が帝国の転覆を恐れ、焚書坑儒を実行し、死した後にSCP-CN-001を握らせて埋葬するようにと命じたのと同然だ。我々が持っている本当のそれは、過去の歴史を満載しただけの竹簡であり、財団に脅威をもたらすような記述は何処にも書かれていない。竹簡は中国にあるSCPオブジェクトについて、忠実に記録してあるだけだ。……今、竹簡は役目を果たし、新世代の研究者へと引き継いでもらうために、その身を退こうとしている。我々の持つSCP-CN-001は危険なものではないどころか、誇るべきものである。我々が手にしているのは、何物にも取って変えられはしない、1冊の異学一号、ただそれだけなのだ。

格異、治学、融会。互いに励み合いながら、進んでいこうではないか。

監督者顓頊
19██年秋

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