Cured Hams(記録用:www.scp-wiki.net/cured-hams)
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その収容違反のサイレンはサイト-19の全域にわたってけたたましく鳴り響いており、また機動部隊はその建物の中を駆けずり回っていた。何かが上の階層で自由になっていた、だからオールドマンはペスト医師を自身のディナーに招待することに決めていた。彼はその良医に会うことにワクワクしていたので、大急ぎで何か相手に楽しんでもらうためのものを準備することにした。106は相手の好物が「塩漬けにしたもの」であることを知っていたので、早速ディナーのゲストのために豚肉を塩漬けにする作業に取り掛かることにした。しかしながら、慌てていたので、彼はゲストに適切な道順を教えることを忘れてしまっていた。

幸いにも、彼の収容室のドアをコンコンとノックする音が彼のゲストの到着を知らせてくれた。彼は自身の着ているベストを整えるとともに自身の最高の笑顔を作った。

「やあ、106、来たよ……道は教わらなかったがね」その医者の声にはかすかな苛立ちが含まれていた。彼は時間を浪費することを好まなかったのだ、特に周囲にいる全ての機動部隊員とは。そのローブで全身を覆った人物は16世紀のアブサン一瓶を取り出すと、それを自身のホストにプレゼントした。

「ああこれはSCP-049! ようこそ! ほっぺも落ちる夕食をご馳走するよ!」オールドマンは脇へ退いて彼を歓迎し、ボトルを受け取るとともに相手の背後のドアを閉めた。医者は106がこの時のためにしつらえたダイニングルームセットに近付いたのち席へと着き、その間に彼のホストは自身のポケットディメンションへと入った。

彼がこの時のために準備していた塩漬けハムcured hamが黒い粘液質の物質を分泌し始めており、気分の悪くなるような色、そのポケットディメンションのますます錆びつつある壁のものによく似た色へと変じてしまっていた。彼は息を呑んだ。「ああ、何てことだ! すね肉が錆びてしまった!」オールドマンは自身の置かれた状況を嘆いたが、振り返ると部屋の隅に一人の死んだDクラスの体があった。「いや待てよ……あの死体を使って手料理に見せかければ? オッホッホッホッホ……我ながら悪魔のような陰謀!」

老いぼれたヒューマノイドは身を乗り出し、両腕を伸ばしてその死体を手に取ろうとした、だがその行動はポケットディメンションに入ってきた049によって遮られた。

「あー──」医者は声を発し始めた。


♪ ♪ 106のおかしな言い訳に
良医はキレる寸前
オールドマンの嘘八百に
さあ サイト-19で大ゲンカが始まるぞ! ♪ ♪


ロ~~~レ~~~ンス!」医者が叫ぶ、明らかに目の前の状況に混乱しながら。

「SCP-049! いや私は、あー、ポケットディメンションを使った運動だよ!」彼は両手から地面に倒れ、満面の笑みを浮かべて素早く一連の腕立て伏せをやってみせる。「筋力トレーニング! 一緒にやるかい?」彼が誘う、自身の突然の身体活動に少々疲れているにもかかわらず依然として笑顔を貼り付けながら。

「ハムが錆びているようだが?」医者は彼らの食事となることを意図されたものを、完全に傷みきってしまっているように見えるそれを真直ぐに見つめる。

「あー、違うさ! それは錆じゃない、あー、スパイスさ! ハムを治してるからスパイスが出てるのさ! うーん……治しハムcured hams!」106は歯を見せてニッコリと笑いながら立ち上がり、それから自身の腹を撫でさすり、自身のますます不機嫌になりつつあるゲストを丸め込もうとした。その返答に満足したような素振りを見せると、049は身を翻してポケットディメンションから立ち去った。

「ふう……」医者が去るとともに、106は部屋の反対側に横たわっているそのDクラスを材料としたディナーの準備を再開した。


「どうぞ、生唾の湧くサンドイッチだ!」オールドマンが発表した、怪しげな肉を挟んだサンドイッチがうず高く積み上げられた一枚のプレートを注意深く手に持ってポケットディメンションから出てきながら。彼はそのプレートを自身のゲストの前のテーブルの上に置き、そして相手の向かいの席に腰を下ろした。

「夕食は治しハムじゃなかったのかね?」

「いやいや、治し人間cured manと言ったんだ! 治し人間、つまりサンドイッチ!」オールドマンは誤魔化した。

「サンドイッチを治し人間と言うのか?」049が返す、疑わしげな目で。

「ああそうだ、私の地域の方言では」

「はあ~あ。どの地域?」

「あー、サイト-19の方言だ」

「本当か? 私も同じサイト-19のEuclid棟に長年住んでいるが、『治し人間』なんて言い方は聞いた事がないな」

「あー、Euclid棟じゃない、そう、Keter棟でのみ言うんだ」

「ああそう」

彼は回答に満足し、二人の男は食事を始めた。オールドマンはアブサンを自分でグラスに注いで一口飲み、その間にペスト医師はサンドイッチ一個を引っ掴んでから自身の嘴のマスクを使って一口かじった。彼は固まり、それからそのサンドイッチを開いてその中身をじっくりと観察した。

「このサンドイッチ、SCP-082の収容室で出されるサンドイッチの味そっくりだ」医者は自身の友人に視線を向け、そしてその相手は飲酒を中断して首を振った。

「オッホッホ……まさか、私の手料理だよ。我が家の伝統の味!」106がクスクスと笑い、あたかも自分の命が危険に晒されているかのようにお茶を濁す。

「治し人間の伝統か?」049が返す、自身のマスク越しに横目で睨みながら。

「ああ」

「悪疫は明らかにまだ中に宿っているにもかかわらず『治し人間』と呼ぶのかね?」

106は一瞬言葉に詰まった、自身の嘘に捕らえられて。彼はそれまでその良医と交流する時、悪疫を考慮に入れることすらしてこなかった。彼は一体何を考えていたのだろうか?

「いやあ──ま──それはその──不思議だな──ちょっと失礼するよ」彼は立ち上がり、大急ぎで自身のポケットディメンションへ向かった。

「ああどうぞ」医者は返事し、自身の手にあるサンドイッチを食べることを再開した。

オールドマンはポケットディメンションに入り、パニックになりながら周囲を見回した。彼はどこで間違ってしまったのか? 彼はその小さな次元の壁たち、あまりにも大きなダメージを受けてバラバラに壊れかけている壁たちを見渡した。彼らはさらに速いスピードで崩れ落ちることを始め、ミスター・おさかなの収容室を明らかにした。その頭が魚である男は恐怖に目を見張ると、持っていた新聞を手から落としながら反対側の隅へ後退りをした。オールドマンは踵を返し、彼自身のチャンバーに入った。彼はチャンバーの全体が崩壊してしまう前に一刻も早く医者を出て行かせなければならなかった。

彼は欠伸をし、背伸びをしながら戻ってきた。「ああ~あーいやー美味しかった。料理したせいで疲れたな」彼は自身のゲストに可能な限り丁重に退去を促した。

医者が立ち上がり、自身の手首に取り付けた懐中時計を見やる。「それではそろそろ──」彼は言葉を止め、ポケットディメンションの向こうの建造物が倒壊して財団を根底から揺るがしているrocking the foundation of the Foundationのを発見した。「何て事だ、そっちで何が起きてるんだ!?」彼が叫んだ。

「処置110-モントークだよ」オールドマンは誤魔化した、分別のある人物なら誰も決して目撃したがらないような最も醜悪でおぞましいものを考え出そうとして。

「あー──処置110-モントークだと!? この季節、この時間、サイト-19のこ~んな場所で、それも君のポケットディメンションで、処置110-モント~~~クだと!?」

「そうだ」

「見ていいか?」049は期待の中で両手を組み合わせた。

「ダメ」

二人は収容室の出口へ向かい、そしてそのドアが049を去らせるために開いた。彼が外に出たちょうどその時、パニックを起こした一声が轟いた。「警備員、助けて! SCP-106が収容を破ってる!」

オールドマンは体の向きを変えなかったが、肩越しに後ろを振り返り手を振ってその声の主を軽くいなした。「いや、ミスター・おさかなくん、処置110-モントークだよ」説得を済ませるとともに、彼は049に向き直り、そして二人は握手を交わした。

「まあ、ローレンス、君は変わった男だが、君の行う治療は……この上なく効果的だよ……」彼の顔は彼のマスクに隠されてはいたが、106にはどういうわけか自身の友が微笑んでいることがわかった。医者はくるりと背を向けて去りかけた、だがその歩みはミスター・おさかなのもう一度上げたパニックを起こした絶叫によって突然止められた。

「助けて! 助けて!

049は再び振り向いたが、106からのサムズアップによって何も問題がないということを納得させられた。再び、彼は背中を向け、浮かれ気分で道を歩き続けた、遠くで鳴り響いているサイト-19の収容違反の警報を聞きながら。

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