【暫定報告書】恐竜・古生物型オブジェクトについて
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注意: 以下は恐竜下目(Dinosaurs)、あるいは中生代に起源を遡ると推測されたオブジェクトです。これらは「情報の乏しさ」もしくは「存在の不確かさ」から、個別の報告書の作成は見送られています。今後オブジェクトの研究に進展が見られた場合、改めて個別の報告書が割り当てられる方針です。
追記: SCP-2945-JPとの共同調査によりSCP-346、SCP-1265、███-JP-EX、████-JP-EX、████-JPなど数種に対し個別の報告書が作成されました。


暫定名称: 化蛇(かだ)

オブジェクトクラス: Keter

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『山海経』に示された化蛇

特別収容プロトコル: 本種の伝承が残る東アジア各地の大規模河川へ機動部隊-CC7.5("凧上げ少年")を駐在させ、出没時には対象の確保と目撃者の救護・インタビュー・記憶処理を行ってください。

説明: 化蛇は古代中国の妖怪とされ、その容姿は翼開長2~4mほどの「翼の生えた蛇」として描写されています。食性は不明なものの、いくつかの証言では現生のハゲワシ亜科(Aegypiinae)に近いことが示唆されました。化蛇の正体は、飛翔性爬虫類の翼竜類(Pterosauria)である可能性があるものの、既存の翼竜類とは異なる特徴が多数確認されているため、未だ判明していません。

化蛇にまつわる最古の記録は『山海経』1に確認できます。化蛇が出没した地域では大規模な水害が発生するとされています。前漢(紀元前206年~8年)の間では化蛇が少なくとも██回記録されており、多くの事例では出没後に洪水も記録されています。最近では1998年に河南省の中国丹霞2で3頭が発見されましたが、しかし現在まで生存個体の捕獲例はありません。なお同年の夏には長江にて大規模洪水が発生しました。こちらとの関連もまた現在調査中です。



暫定名称: ジャクルス(Jaculus)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本種の伝承が残る地中海沿岸および北アフリカのアトラス山脈へ機動部隊-CC19("バネ脚ジャック")を駐在させ、出没時には対象の確保と目撃者の救護・インタビュー・記憶処理を行ってください。

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中世の動物寓話に示されたジャクルス

説明: ジャクルスは樹上棲のヘビ、あるいは小型のドラゴンとして描写される幻獣です。前肢には鳥類のような羽毛からなる翼を、下半身には猛禽類のような把握能力のある後肢をもっています。こうした外見からジャクルスの正体は、白亜紀に繁栄した小型獣脚類のディノニコサウルス類(Deinonychosauria)とされ、とりわけ後肢の第2趾に鋭利な鉤爪をもつドロマエオサウルス科(Dromaeosauridae)である可能性が高いと考えられています。過去に採取された標本群に基づく遺伝解析も、ジャクルスと現生鳥類の間に明確な類縁関係があることを示しました。


ジャクルスの最も有名な記録は、『プリニウス博物誌』(Pliny the Elder. The Natural History)に掲載されています。記述によると、ジャクルスは獲物に対し頭上から奇襲を仕掛けるほか、普段は木陰に身を潜めているとされています。このような行動は、2015年の研究 Parsons, William L.; Parsons, Kristen M. (2015). から絶滅したドロマエオサウルス科にも推測されており、「ジャクルス=ドロマエオサウルス科説」の根拠の1つともなっています。

追記: 2022年にWWS欧州支部がマルタ島にてジャクルスと思しき生物を4頭捕獲しました。これらは近日中にサイト-██の進化生物学ラボへ輸送される予定です。



暫定名称: スキタリス(Scitalis)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本種の伝承が残る西ヨーロッパおよびマダガスカルを含むアフリカ東海岸の森林地帯へ機動部隊-CC11("カモ撃ち部隊")を駐在させ、出没時には対象の確保と目撃者の救護・インタビュー・記憶処理を行ってください。

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中世の動物寓話に示されたスキタリス

説明: スキタリスは恒温性の地上性ヘビとして描写される幻獣です。体表を覆う鱗が熱を貯めているとされ、これにより1年を通じて活発に活動できるとされています。活動時は細長い一対の後肢を用いて地上性鳥類のように歩き回り、敵に対しては一度怯ませたのち鋭い歯で攻撃するともされています。

スキタリスもジャクルス同様、『プリニウス博物誌』など何点かの文献に記述があります。しかし各記述には細かな差異があり、これは"スキタリス"が単独の種ではなく、いくつかの種の総称であることを示唆しています。財団は前述の特徴を統合した結論として、スキタリスが何かしらの肉食性の小型獣脚類であるとされました。さらにはSCP-2945-JPの家畜が野生化したものだとも推測されています。

追記: 2008年に英国のショッピングモールに突如スキタリスと思しき生物が3頭出現しました。生物は警備員2名を捕食後、駆け付けた即応機動部隊CC-3α("ゲオルギウス")と交戦、やがて確保されました。これらはサイト-██の進化生物学ラボでの研究が進められています。



暫定名称: コカトリス(Cockatrice) あるいはバジリスク(Basilisk)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本種の伝承が残る中東・東欧・地中海沿岸へ機動部隊-W2("白イタチ")を駐在させ、出没時には対象の確保と目撃者の救護・インタビュー・記憶処理を行ってください。

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農場に出没したコカトリス

説明: コカトリスは尻尾が生えた鶏として描写される幻獣です。頭部には雄鶏のものに似た鶏冠や嘴があり、その身には非常に強力な毒を備えているとされています。また一部では視認した相手を石化させるともされています。

コカトリスもジャクルス・スキタリス同様、『プリニウス博物誌』など何点かの文献に記述があります。しかし各記述には細かな差異があり、これはコカトリスとバジリスクの2種の違い、あるいは性的二型による可能性があります。財団はいくらかの解剖学的データを統合して、コカトリスが白亜紀に繁栄した雑食性獣脚類のオヴィラプトロサウルス類(Oviraptorosauria)の末裔であると推測しました。さらにスキタリス同様、SCP-2945-JPの家畜が野生化したものだとも推測されています。

追記: 1991年にリトアニアのヴィリニュス市にコカトリスと思しき生物が2頭出現しました。生物は血の日曜日事件の混乱のさなか、数名のソ連兵を襲撃後、駆け付けた即応機動部隊CR-1("コモンルー")と交戦、やがて確保されました。捕獲された生物の遺伝解析は、本種とSCP-2945-JPの間に明確な類縁関係を示しています。なお生物の羽毛には、現生のズグロモリモズ(Pitohui dichrous)と同様の毒(バトラコトキシン)が含まれていました。




暫定名称: ブルンジョア(Burrunjor)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本種の伝承が残るオセアニア地域へ機動部隊-CC15("巨大警察")を駐在させ、出没時には対象の確保あるいは終了と、目撃者の救護・インタビュー・記憶処理を行ってください。

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捕食中のアウストラロヴェナトル(Australovenator)の復元画
本種はブルンジョアの正体候補と考えられている

説明: ブルンジョアは肉食性の中~大型獣脚類と推測される全長約6~7.5m の未確認生物です。外見はティラノサウルスやアロサウルスといった大型の肉食恐竜と酷似しており、また目撃情報によれば、少なくとも体表の一部を原羽毛(Proto feather)が覆っている可能性があります。頭部と胸郭がやや細身であること、目撃情報が豪州に限定されることなどからブルンジョアの正体は、前肢の鋭利な鉤爪が特徴的なメガラプトル類(Megaraptora)だと考えられています。

ブルンジョアは夜行性の捕食動物とされ、カンガルー・ラクダ・肉牛を襲撃した事例が2000年までに██件報告されました。1978年には観光客のブライアン・クリークがブルンジョアの咆哮と足音と思しき重低音を聞き、ややあって地元の警察官に保護される事案がありました。ブライアン氏へのインタビュー結果を鑑み、後日WWS豪州支部と財団が共同で一帯の山狩りを行いました。ところが初日だけで2名が行方不明となったため、これは途中で打ち切られています。この際ブルンジョアのものと思しき原羽毛と単離歯が採取されたため、サイト███-Aのラボへ送られました。これらに基づく遺伝解析は、ブルンジョアとSCP-2945-JPの間に明確な類縁関係を示しています。



暫定名称: ティラノサウルス(Tyrannosaurus)

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 本種は目撃情報が少なく効果的な収容は困難なため、専門の機動部隊はあてがわれていません。代わりにSCP-1265の収容を担当している財団フロント企業セーフ・アンド・クリーン・プラネット・イニシアチブ が本種の調査を担当しています。

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ティラノサウルスの頭骨
(標本番号FMNH PR 2081)

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ティラノサウルスの復元画

説明: ティラノサウルスは、マーストリヒチアン末期(6800~6600万年前)に生息した肉食性の大型獣脚類です。推測された最大全長は約12~13m、体重は約6~7t に達しました。頭部は他の獣脚類と比較しても際立って巨大で、長く筋肉質な後肢と矮小な2本指の前肢と併せて特有の体型をしています。

本種は極めて稀な存在であり、過去100年を通じて█回しか目撃されていません。その数少ない事例が1932年のケープタウンのもので、これはスウェーデンのハンター、ジョン・ジョンソンが目撃したものです。証言によると現れたティラノサウルス(通称"Kasai Rex")はアフリカゾウ(Loxodonta africana)の群れを追い払い、次いで雄のシロサイ(Ceratotherium simum)を殺害のち捕食しています。 また20██年にタンザニアのセレンゲティ国立公園で実施された"BIG 5"3の個体数を調べた研究では、ライオン、ゾウ、サイの個体数が断続的かつ急激に増減していることが示されました。隣接するコンゴ盆地にはSCP-1265が存在しており、1932年に出没した個体との関連が疑われています。なお本来ティラノサウルスは北米西部を生息地としていたため、なぜアフリカに出没したのかは不明です。



暫定名称: エメラ-ントゥカ(Emela-ntouka) もしくはンゴブ(Ngoubou) あるいはチペクウェ(Chipekwe)

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本種が主に目撃されるアフリカ中部の淡水域へ機動部隊-CC31("異国のカウボーイ")を駐在させ、出没時には対象の確保、目撃者の救護・インタビュー・記憶処理を行ってください。

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証言に基づくエメラ-ントゥカの再現画

説明: エメラ-ントゥカはアフリカ中部のコンゴ河流域からリクアラ湿地に生息するとされる全長約6~8m の未確認生物です。外見は灰色がかった無毛の外皮、ゾウに似た頑丈な四脚、ワニのような肉厚の尾部、そして吻部から伸びた1~2本の角といった特徴が報告されており、これらからエメラ-ントゥカの正体は植物食性の大型ケラトプス類、もしくは古第三紀の絶滅した大型有蹄哺乳類4だと推測されています。

2006年に財団の調査隊-NM03("時渡りレスキュー")がコンゴ河流域の熱帯雨林(隔離地域-██-A)で複数体のエメラ-ントゥカと思しき生物を目撃し、同個体群の捕獲作戦を実行しました。ところが間もなく、調査隊の後方約170m に正体不明の大型生物が現れ、そのままエメラ-ントゥカを襲撃しました。一連の混乱により作戦は中止されましたが、後日調査隊へのインタビューから襲撃した生物が大型獣脚類(おそらく前述のティラノサウルス)であることが示されています。なお今回の事案を鑑み、隔離地域-██-AはクラスⅣ-監視区域に指定されました。

追記: SCP-1265の報告書にエメラ-ントゥカの可能性がある実体(「SCP-1265-Aに関する資料集-9」)が報告されていたため、近日SCP-1265への再調査が行われる予定です。


当ファイルは必要に応じ、随時加筆・修正される予定です。



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