SCP-1341-JP
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アイテム番号: SCP-1341-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1341-JPはサイト-81RAの標準人型収容室に収容し、一般的な人型アノマリー収容プロトコルを適用してください。SCP-1341-JPを用いた実験にはセキュリティクリアランス3以上の職員2名以上の許可が必要です。SCP-1341-JPには重度の鬱症状が見られるため、週に1度財団所属の精神科医による診察を行います。リクエストされた物品は自殺の要因となりうるものを除き、担当職員の許可を得た上で支給してください。

(追記) SCP-1341-JPに拘束具を装着することで、自傷・自殺行為を防止してください。

説明: SCP-1341-JPは収容時点で23歳の日本人女性で、本名は金森██です。調査の結果、下記の特異性以外には異常性は確認されていません。SCP-1341-JPは収容以前から軽度の鬱状態にありますが、異常性が確認されてからその症状に悪化が見られます。

SCP-1341-JPが他の人物により肉体的・精神的苦痛を受けた場合、それらに対する報復のため起こした行動は結果としてその人物に物理的もしくは精神的な利益をもたらします。この異常性の発現はSCP-1341-JPの無力化を行い、報復行動を事前に阻止することで防ぐことが可能です。SCP-1341-JPの異常性による影響は予測不可能かつ副次的に甚大な被害をもたらす可能性があるため、現在当オブジェクトを用いた実験は推奨されていません。

2020/09/07、██県中央警察にて8/30に発生した殺人事件に関する事情聴取が行われました。その中のSCP-1341-JPの主張が財団職員の目を引き、個別に行われたインタビュー及び実験から異常性が確認され収容に至りました。

インタビュー記録 - 2020/09/07

対象: SCP-1341-JP

インタビュアー: 白峰博士

付記: 白峰博士は警察官としてインタビューを行っています。


<記録開始>

白峰博士: それでは事情聴取を再開します。金森さんが遭遇した2つの殺人事件1について不可解な点があるとのことですが、もう一度お伺いしてもよろしいですか?

SCP-1341-JP: 不可解っていうか[言葉に詰まる]てか他の警察官にも言ったけど、あんたたち警察が無能なんじゃないですか!?3人も殺した人間を何で逃がして2るんですか、とっとと捕まえて死刑にしてくださいよ!

白峰博士: 落ち着いてください、順番に説明をお願いします。まずは5年前の事件についてお聞かせください。必ず逮捕しますので、どうかご協力お願いいたします。

SCP-1341-JP: ……あの時、お母さんとお父さんはリビングにいました。私はベランダで半分寝てた感じだったんですけど、ふっと目が覚めて何かおかしいと思ったんです。いつもはドア開けなくても二人の声が漏れて聞こえてくるのに、気が付いたら妙に静かになってたから。最初は買い物にでも行ったのかなって思ってたんですけど……窓からリビングを覗いたら、あの女がお母さんに包丁を振りかぶってました。お父さんはその近くに倒れて、血だまりが広がってました[4秒間の沈黙]あの光景は今でも覚えています。

白峰博士: その後通報を受けた警察が、呆然自失状態のあなたと失血により気絶した岸沢氏を発見しました。

SCP-1341-JP: 私がやりました。なるべく音を立てないように部屋に入って、たまたま近くにあった包丁で背後から。仇を討とうなんて大層なことは考えてなくて、無我夢中だったと思います。[沈黙]そこから先は覚えてません。気付いたらお葬式で、私は祖父に引き取られることになりました。祖父はすごく心配してて私からその事件のことを隠してたし、私も事件のことを思い出すのは嫌だったので調べたりしなかったから、ずっとあの女は死んだと思ってました。これで終わりです。

白峰博士: なるほど。続いて、先月の事件についてお願いします。

SCP-1341-JP: はい。……現場は、彼氏のアパートでした。部屋で遊んでるとチャイムが鳴って、彼は宅配便だと思って玄関にいきました。ちょっとしてから彼の声が聞こえた気がして、こっそり見に行ったら彼が倒れてて、あいつが馬乗りになって彼をめった刺しにしてました。後ろ姿だけでもすぐに分かりましたよ、付き合いは長いので。とっくに死刑にでもなったと思ってた、私の両親を殺したあの女でした。幻覚でも見ているのかと思ったけど我に返ったら、私があの時茜を殺しておけば彼は殺されずに済んだのにって後悔と怒りが湧いてきて。今度こそ、と思って壁に立てかけてあった木刀を手に取ろうとしたら、その瞬間あいつもこっちを向いて、目が合いました。

白峰博士: 金森さん、顔色が悪いようですが……。

SCP-1341-JP: [白峰博士の発言を無視]茜は笑って、嬉しそうに話しかけてきました。あいつも私のことを覚えていたんです。5年前のあの日に私が負わせた怪我が過剰防衛と認められて、刑期がすごく短くなったらしいです。2人も殺したのに。[白峰博士を睨む]それで、今更殺した人数が1人増えたところで変わらないだとか、本当は会う気なかったとか、出所してからも心配で見守ってたとか……色々言われた気がするけどあまり覚えてないです。[沈黙]それで、あの女をぶん殴りました。何回も何回も何回も何回も殺すつもりで!今度こそ![頭を掻き毟る]今度こそ殺すつもりだったのに!殺し切れなかったせいであいつはまた自由の身!これで満足ですか!?

白峰博士: いえ、最後にもう一つ。調査の結果、あなたが両親から虐待されていたという事実が確認されました。また恋人の██氏から暴力を受けていたとお聞きしたのですが、これらが一連の事件と関連していると思いますか?

SCP-1341-JP: [沈黙]

白峰博士: あなたは両親と恋人を恨んでいたのではないのですか?もしそうであれば、なぜ岸沢氏の殺害を試みたのですか?彼らの死はあなたにとって喜ばしいことでは?

SCP-1341-JP: ……あいつらが死んだらそれでオッケーじゃないんですよ。分かります?私は自分の手であいつらのこと殺したかったんですけど、茜が殺しちゃったじゃないですか。それじゃダメなんです。[4秒間の沈黙]母親にモラハラ受けて、父親に気持ち悪いことされて、あのクソ野郎に殴られて。死んだ人間のことなんて忘れようとどんなに思っても、普通に生きてるだけで毎日毎日フラッシュバックするんですよ。茜に先を越されたせいで、死ぬまでこの悪夢と付き合っていかなきゃいけないんです。代わりに茜を殺してやれば少しは気が晴れると思ったのに死なないし、警察は無能だし。

白峰博士: 大変申し訳ありません。事情聴取を終了します、ご協力ありがとうございました。

SCP-1341-JP: [12秒間の沈黙]嘘です、分かってます。私のせいですね。私が復讐なんてしたからですよね。……私が死ねば良かったのに。

<記録終了>

インシデント - 2020/10/11: 食事を提供するため収容室を訪れた担当職員によりSCP-1341-JPが壁に頭を強く打ち付けているところを発見され、拘束後鎮静剤の投与が行われました。SCP-1341-JPには頭部の皮下血腫以外に外傷は無く、後遺症は残らないと診断されています。当インシデント以降SCP-1341-JPは担当職員を極端に敵視し食事の拒否などを行ったため、収容担当者の変更が行われ当該職員は他のオブジェクト担当に異動されました。以降の自傷行為を防止するため、特別収容プロトコルの改訂が行われました。

インシデント - 2020/10/13: サイト-81RAにて収容違反が発生し、10/21に該当のオブジェクトの再収容が為されました。その後サイト周辺にもたらされた被害の確認が行われたところ、付近の███工場跡地にて岸沢茜氏の死体が発見されました。天井崩落により足を負傷した結果移動が不可能となり、脱水症を起こして死亡に至ったとみられています。当インシデントがSCP-1341-JPの異常性により引き起こされたものである可能性が指摘されています。

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