SCP-1356-JP
評価: -16+x
blank.png

アイテム番号: SCP-1356-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-1356-JPはサイト-8115にある大型生物収容エリアに収容して下さい。SCP-1356-JPの収容室にはSCP-1356-JP-1が希望する物品の支給はサイト管理官の許可を得て行ってください。SCP-1356-JPは既に無力化された為、プロトコルは破棄されました。

説明: SCP-1356-JPは発見された2022/9/17時点で47歳の男性(本名、████)、及び男性を取り囲んでいる多数1の人型実体の総称です。以下前者をSCP-1356-JP-1、後者をSCP-1356-JP-2と呼称します。SCP-1356-JPの異常性はSCP-1356-JP-2がSCP-1356-JP-1に好意を伝え、交際を申し込む(以下告白と呼称)ことで発現します。SCP-1356-JP-1が告白を拒否した場合、断られたSCP-1356-JP-2は悲しむ素振りを見せながら消失し、別のSCP-1356-JP-2が告白します。SCP-1356-JP-1が告白を承認した場合、受け入れられたSCP-1356-JP-2は他のSCP-1356-JP-2により殴殺されます。2その後、死体は消失し、別のSCP-1356-JP-2が告白します。なお、SCP-1356-JP-2が消失した際は、同人数のSCP-1356-JP-2が再出現します。

発見経緯: SCP-1356-JPは道路を封鎖していた所を目撃した近隣住民により通報されたことで財団の目にとまり、異常性が判明したことで収容されました。近隣住民には記憶処理を施しました。

補遺1: 以下はSCP-1356-JP-1へのインタビュー記録です。

インタビュアー: 津和博士

対象: SCP-1356-JP-1

補足: インタビューはドローンに設置した音声通信機で行いました。

<ログ開始>

津和博士: それではあなたがいつ、どうしてそのような異常性を持つに至ったかを教えて下さい。

SCP-1356-JP-1: 異常とはつまりこの取り巻きのことですか?

津和博士: そうです。

SCP-1356-JP-1: 心当たりはありますが、説明の為にも少々過去の話をしても構いませんか?

津和博士: どうぞ。自分のペースで話していただいて結構ですから。

SCP-1356-JP-1: 私って学校に通ってた時も会社でも、その、人見知りっていうんですかね?必要な時以外まともに他人と会話することが出来ない人間だったんですよ。

津和博士: 続けて下さい。

SCP-1356-JP-1: そのせいもあってか彼女なんて一人もいなくて、まあ別にいなくてもいいと思っていましたから特に作ろうなんて思ってもいなかったんです。

(SCP-1356-JP-1が水を飲む)

SCP-1356-JP-1: で、ある時誕生日で78になった母に何かしてほしいことはあるかと聞いたら「一度でいいからあなたのお嫁さんが見てみたいねぇ」って頼まれたんです。既に体は衰えててもう長くはないでしょうし、私のことを愛してくれていましたから、頑張ることにしたんです。自分から話しかけるなんてことは出来なかったので、今まで以上に人に好かれるよう努力をして、そんなことを5、6年ぐらいやってましたかね。

津和博士: なるほど。

SCP-1356-JP-1: 母が末期癌に侵されていたのが分かって、医者に聴いたら「もってあと3年」って言われてしまって、このままでは母の願いを叶えてあげられないって焦ったんです。

SCP-1356-JP-1: 苦しい時の神頼みって言うじゃないですか。焦った私は一番近くの祠で祈ったんです。「こんな私でも好きになってくれる妻が欲しい。そしてそれを一番大切な母に見てほしい」って。

津和博士: それがあなたの言う心当たりですか?。

SCP-1356-JP-1: はい。次の日、起きたら例の取り巻き達がいました。一人目が私と気が合いそうだったので何が起きたのかよくわからないけど有り難く受け入れたんです。そしたらその子は殴り殺されました。嫉妬に狂った表情をしていました。私は恐ろしくなって、助けを求めて外へ出ました。あとは皆さんの知っている通りです。

(10秒程沈黙)

SCP-1356-JP-1: 思えば勇気を出して自分からアプローチをかけるなりすれば良かったんです。私は母の為にその程度のことも出来ず神様に頼ったから罰を与えられたのでしょう。母には申し訳無いことをしました。

SCP-1356-JP-1: 身勝手で申し訳ないのですが、なんとか私を正常な人間に戻す事は出来ませんか?この状態では入院中の母に会うことすら出来ません。どうか…(啜り泣く)

津和博士: 分かりました。打診してみます。

SCP-1356-JP-1: 分かりました。ごめんよ母さん…

<ログ終了>

補遺2: 上記インタビューの1時間後、SCP-1356-JP-1の母親の死亡が確認されました。看護師により、突如出現した10人ほどの女性がSCP-1356-JP-1の母親を執拗に殴打し消失したとの証言が得られました。当該看護師は記憶処理を施し、解放しました。SCP-1356-JP-1の精神状態への影響を考慮し、本件をSCP-1356-JP-1に伝えることは禁止されています。

補遺3: SCP-1356-JP-1の母親が殺害された5時間後、異常性の消失が確認されました。これはSCP-1356-JP-1の「伴侶を母親に見せる」という目的が遂行不可能になったことが原因と推測されています。1時間後にSCP-1356-JP-1は記憶処理を施して解放され、オブジェクトクラスはNeutralizedに変更されました。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。