SCP-2128-JP
評価: -22+x
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   通達・特別異動プロジェクト最終試験を行います。

貴方は先ほど受けていただいた、日本支部特別異動プロジェクトに関するすべての試験に合格したことをお知らせいたします。それに伴い、現在貴方は一週間後の1990/09/05付けで日本支部へ緊急異動を行う権利を所持しています。
 
また、日本支部への異動後の職場環境は現在より好待遇であることも、同時に保証いたします。

なお、特別異動プロジェクトの規則に従い、貴方は現在Aクラス記憶処理を施されている状態にあります。全ての業務を早急に中断し、日本支部理事会「獅子」の声明文を閲覧したのち、以下のファイルを全て確認してください。

                              
      
            
             
                 
        

            
         
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
  
  
  
  
  
  
  
  
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アイテム番号: SCP-XXX-JP
 
オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは日本支部理事会によって選出されたSCP-XXX-JP収容チームが全面的に管理し、それ以外の職員によるSCP-XXX-JPによる物理的接触は許可されません。しかしながら、現在日本支部において行われている、「日本支部緊急異動プロジェクト」の通過者であるのなら、SCP-XXX-JPの報告書へのアクセス権を獲得できます。

現在、後述するSCP-XXX-JP-A、Bは宮城県██市に存在するサイト-81██の重警備特別収容ロッカーに全て保管されています。このロッカーの警備は複数の警備カメラとSCP-XXX-JP収容チームによって管理されます。このロッカーが存在する室内に入れるのは日本支部理事会のメンバーとSCP-XXX-JP収容チームのみです。

SCP-XXX-JP-Cの周辺には監視カメラと監視ドローンをそれぞれ4機ずつ常駐させSCP-XXX-JP-Aと同様SCP-XXX-JP収容チームによって監視されます。また近隣住民にはカバーストーリー「ダム建設予定地」を流布し民間人をSCP-XXX-JP-Bの半径1km以内に侵入させないよう誘導してください

SCP-XXX-JP-Cに何らかの変化が見られた場合、いち早く機動部隊を派遣し鎮圧作業を行ってください。

万が一SCP-XXX-JP-Cへ民間人が接近した、あるいはそれに似た行動をとった場合、即座に監視カメラあるいはドローンに内蔵された鎮静剤を射出し対象の行動を抑制したのちに尋問を行ってください。

オブジェクトクラスの再分類に伴い、2SCP-XXX-JP-A、CをSCP-XXX-JP-Bの半径10km以内に持ち込む行為は正式に禁止されます。

説明: SCP-XXX-JPはSCP-XXX-JP-A、SCP-XXX-JP-B、SCP-XXX-JP-Cの総称です。

この3つのオブジェクトはそれぞれ異なった異常性を保有しており、199/02/17に財団はSCP-XXX-JP-A、Bの存在を認知し管理に至りました。しかし当時はSCP-XXX-JP-Bの未発見の影響もありSCP-XXX-JP-A、Bの十分な研究ができずアイテムはこれ以上の研究の余地がないオブジェクトとみなされ、瀬皮博士の指示で同年08/20にAnomalousアイテムとして分類されました。

以下はAnomalousアイテムとして収容されていたSCP-XXX-JP-A、Bの報告書です。

これ以降SCP-XXX-JP-A、BはAnomalousアイテムとして保管されてきました。しかし1964/06/02に発生したインシデントXXX-JPによってSCP-XXX-JP-Bの存在が明らかとなり、SCP-XXX-JP-A、Bとの関係性が確認されたためこれらのアイテムはSCP-XXX-JPとしてナンバリングされ、旧特別収容プロトコルに基づきSafeクラスオブジェクトとして管理されるようになりました。

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SCP-XXX-JP-A。

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SCP-XXX-JP-B。

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SCP-XXX-JP-C。

SCP-XXX-JP-Aは計117枚の葉です。これらの葉の外見は非異常性の銀杏の葉と非常に類似していますが、遺伝子構造を調査した結果、未知の植物の葉であると判明しました。いまだにこの植物の特定には成功していません。SCP-XXX-JP-Bの発見日である1964/07/09までSCP-XXX-JP-Aは27枚でしたが後述するSCP-XXX-JP-Bの内部に大量のSCP-XXX-JP-Aが確認、一部を回収した結果合計で117枚となりました。

SCP-XXX-JP-Bは計74匹の昆虫の死骸です。これらの昆虫の外見はスズムシの死骸と非常に類似していますが、遺伝子構造を調査した結果、未知の生物の死骸であると判明しました。いまだにこの生物の特定には成功していません。SCP-XXX-JP-Cの発見日である1964/07/09までSCP-XXX-JP-Bは18匹でしたが、後述するSCP-XXX-JP-Cの内部に大量のSCP-XXX-JP-Bが確認、一部を回収した結果合計で74匹となりました。

SCP-XXX-JP-Cは京都府██市に存在する蔵です。SCP-XXX-JP-Cの外見はほとんど非異常性の蔵と類似しています。

SCP-XXX-JP-Cの異常性は大きく分けて二つ存在しますが、どれも人間によるSCP-XXX-JP-Cへの侵入という形で確認できます。(以降侵入者をSCP-XXX-JP-1と表記)

一つ目の異常性はSCP-XXX-JP-Cの内部構造です。SCP-XXX-JP-Bの内部は外見をはるかに上回る広さとなっています。SCP-XXX-JP-Cの外見は10×13×19mですが内部は測定不可能な範囲の広さであることが確認できています。

二つ目の異常性はSCP-XXX-JP-1自身に発生しします。SCP-XXX-JP-Cに侵入したSCP-XXX-JP-1は著しい幻覚症状を発症します。幻覚の内容は多くの場合、広大な森林であり、主に秋季に多く確認できる植物、生物が確認できます。しかし、より詳細な観察を行うと、その多くの植物、生物は現在地球上では確認できない種類や状態であるものがほとんどです。

なお、これらの異常性はSCP-XXX-JP-Cに人間のみが侵入した際にのみ発現するものであり、無人探査機などを用いた単独探査の実施を試みた場合、すべての電子機器は不具合を発生させるため、探索は不可能です。

SCP-XXX-JP-Cへの第一次回収作戦の際、SCP-XXX-JP-C内部に大量のSCP-XXX-JP-A、Bらしきものが確認されました。これらは研究のため、一部回収されました。その後の検査によって、SCP-XXX-JP-C内に存在する生物の大部分をSCP-XXX-JP-A、Cが占めていることが判明しました。

発見経緯:SCP-XXX-JP-A、Cは瀬皮博士によって発見されました。しかし瀬皮博士は回収場所などの詳細な経緯の説明を拒み、現在までSCP-XXX-JP-A、Bの発見経緯は判明していません。インシデントXXX-JP以降まで詳細な発見経緯は判明しませんでした。詳細な発見経緯については補遺3を参照してください。

当時は瀬皮博士に発見経緯の説明が義務付けられましたが、瀬皮博士はこれを拒否しました。瀬皮博士は財団への忠誠度が高い職員であったため、当初はSCP-XXX-JP-A、Bの潜在的な異常性が疑われましたが、調査の結果それ以上の異常性は確認できませんでした。また瀬皮博士には計4回のメンタルヘルスケアが実施されました。

その後SCP-XXX-JP-A、BはAnomalousアイテムに分類され、瀬皮博士への発見経緯に関する責任は解除されました。

SCP-XXX-JP-CはインシデントXXX-JPによってその存在が明らかになりました。前述したようにSCP-XXX-JP-C内部から大量のSCP-XXX-JP-Aが確認されたためSCP-XXX-JP-A、B、Cは共通のオブジェクトへとナンバリングされ、現在も研究が進められています。

インシデントXXX-JPが発生後、瀬皮博士を複数のエージェントによって監視する指令が出されましたが、同年08/28にこれを解除し、瀬皮博士はBクラス記憶処理剤を施した後、通常業務への復帰を命じられました。

補遺1: 以下は1964/12/02にSCP-XXX-JP-C内部探索の際に発見された文書の現代語訳3です。文字は扉に彫られたような形跡で書かれていました。

これを見るのはいったい誰なのだろうか。純粋に無知な人間か、仲間共犯者の一人か、それとも奴なのか。どちらにせよ私はこの文書が、いや、この建物ごとどこかへ消え去ってしまうことを願っている。

もし貴方が好奇心旺盛な性格であり、この出来事を深追いしようとするのなら今すぐやめろ。これ以上調べるな。これは我々のみが知るべき真実。誰も介入すべきではない歴史だ。代わりに我々の独り言を聞かせてやる。それで満足しろ。

その日、我々はある一つの策を講じた。それは我々だけでなくこの土地を、この国を、これからの未来をも変えてしまった。策が功を奏したとはいえ、今後のこの国の顛末を悟ってしまった我々の傷は成功の二文字ではとても癒えず、むしろ降りかかる塩のように我々を痛めつけた。唯一笑えることがあるとするなら、その事実を知るのに数十年を有したことだろうか。

もはや我々には何が正しかったのかわからない。ただ気づいたら同志がおり、彼らとともに奴を[解読不能]した。誰がこんなことを考えたのだ?誰がこんなことを実行したのか?誰が策の代償を悟ったのだ?それ以前に誰もこの結末を考えなかったのか?

これは我々の教訓でもなければ、貴方への非難でもない。ただの歴史。そう語ることが唯一この出来事から逃げることができる術だ。いつか我々は滅び、崩れ去るだろう。その時にそれを支える者が現れるのか、ただ皆が傍観し白けた目で見ているだけなのか、あるいは誰にも目を向けられず冬を迎える木々の葉のように落ちていくのか。どちらにせよ、我々はこれを過ちと微塵も思っていない。思えない。思いたくない。

我々は「師」の到来を願う気力を失ってしまった。仮に「師」が到来するとしてそれは何を意味する?我々の行いに白黒つけるため?もしそうなったとして後には何が残る?全てわからない。ただ今はやりようのない達成感と罪悪感に支配されないよう自我を保つのが精一杯だ。

どうか君がこの落ちこぼれの戯言に、例え偽りでも構わない、同情の意を抱いてくれることを信じる。

我々を許してくれ

 
インシデントXXX-JP: 1964/07/09、当時サイト-81██のAnomalous用収容ロッカーに保管されていたSCP-XXX-JP-Aの内18枚が何者かに持ち去られる事件が発生しました。当時警備を行っていた警備員曰く「特に不審な人物は入らなかった。普段室内に入る人しか見ていない。」と述べています。さらに室内の窓やダクトにも侵入の形跡は発見されなかったため、インシデント当日に室内に入室した人物らへの調査が実施されました。

調査の結果事件発生から約4時間後に、事件の犯人がSCP-XXX-JP-A、Bの発見者である瀬皮博士であることが判明しました。瀬皮博士は事件発生の2ヶ月前からSCP-XXX-JP-A、Bのオブジェクトクラスの再分類を申請していましたが、明確な根拠が同時に提出されなかったため、提案は全て却下されていました。今回のような犯行はそれに基づいた行動だと本人は述べています。

事件発生後、瀬皮博士には1ヶ月の懲戒処分が下されました。また瀬皮博士のような比較的財団忠誠度が高い職員がこのような行動を起こす例はまれであり、処分の終了後、瀬皮博士にはインタビューが実施されました。以下は瀬皮博士に対するインタビューの一部抜粋です。
 
インタビュー記録XXX-JP-α - 1964/06/18

対象: 瀬皮博士

インタビュアー: 本条治博士

付記: 瀬皮博士はインタビュー実施時に多少の錯乱状態であったため精神安定剤を事前に投与しています。

<録音開始>

本条治博士: 気分のほうは問題ありませんか。瀬皮博士。

瀬皮博士: はい、一応は。あの。すみませんでした。本当に反省しています。

本条治博士: ふむ。貴方が本当に反省しているのかについては分かりかねますが、少なくともあなたは1ヶ月の懲戒処分を終えました。謝る必要はありません。今あなたがすべきなのは、こちらの質問に答えていただくことです。

瀬皮博士: それはもちろんわかっております。ですが、なぜわざわざ懲戒処分明け最初の仕事がインタビューなのですか。もっと他にやるべきことがあるのではと思うのですが。

本条治博士: インシデントを起こす前、貴方は財団に対し非常に高い忠誠を誓っていました。そんなあなたが財団の理念に反するような事件を起こすということは、何か重大な出来事があるのではと考えました。だからこうしてインタビューの機会を真っ先に設けたのです。ご理解いただけましたか。

瀬皮博士: はい。わかりました。[14秒間沈黙]正直、私はこの事について話したくはありません。私の知っている事実は長い間私の身内のみで語り継がれてきました。私もこの事実を誰にも言わないまま財団での人生を終えると思っていました。ですが、この施設に来てから、異常から人々を守りそして、何事もない平和な明日を陰で築く職務をこなしてから、私の中で疑問が生まれました。

本条治博士: 疑問ですか。財団の理念に問題でも感じたのですか。

瀬皮博士: いえ、逆です。財団のやり方を尊重するうえで本当に私のやっていることは正しいのかと感じました。財団にいる以上、いくら家族に最も重要かつ秘匿すべきな事側だといわれても、そんなことをしていては財団職員として失格なのではないかと、財団に尽くす以上、知っている事は全て明かすべきだと、たとえそれが、家族を裏切ることとなってもと、そう思いました。

本条治博士: なるほど、確かに貴方はAnomalousアイテムの提出書に書くべき内容を空白にした。発見場所の詳細な明記です。これこそ、今日貴方が話すものなのでしょうか。

瀬皮博士: 私はあの事件を起こすまで、ずっと迷ってきました。いざ覚悟を決め財団にアノマリーの発見書を提出してもなお、動揺してしまいました。そして、私の職権を利用して発見場所の明記を怠りました。ようやく覚悟を決めたのは、今年の4月の頃です。

本条治博士: 4月2日、貴方が最初に例のアイテムのオブジェクトクラス再分類に関する要請を出した日ですね。

瀬皮博士: 私は、まだすべてを語れていない。秘密を破ったのなら、最後までやり遂げなければならない。私の知っているすべてを語らなければらないと思いました。しかしそれは私の今の地位を揺らげる結果になるかもしれない。だからまずはオブジェクトクラスの再分類を申請して、できる限り丸く収めようとしました。まあ、無駄でしたけど。[瀬皮博士は微笑する]

本条治博士: そんな中途半端な申請はまず通りません。オブジェクトクラスは、財団がオブジェクトの中で最も重要視する特別収容プロトコルの核です。いくらあなたのような職員といえど、申請書には適切な分を書かなければまず受理されません。

瀬皮博士: はい。だからこそ今回のような行動を起こしました。こうすれば、私の地位は崩れようとも、オブジェクトの真相を語れる。財団として、最後になるかもしれないけど、使命を果たせる。ある意味死を覚悟した行動でした。

本条治博士: なるほど。では語ってくれるのですね。あなたの知っていることを。

瀬皮博士: はい。あのオブジェクトはまだ完全に管理されていません。そして、それだけではありません。我々財団はまだ知るべき事実があります。私にはそれを話す義務があり、それを話す覚悟があります。

本条治博士: それは、いったい何なのですか。

瀬皮博士: はい。我々はあるものを殺してしまいました。

本条治博士: あるもの?

瀬皮博士: はい。かつてこの世に存在した五つの季節のうちの一つです。ある一つの季節を、我々は、殺してしまったのです。生きる喜びと休息を分け与えてくれた季節である、「師」を。

<記録終了>

終了報告書: インタビュー後、瀬皮博士の傍にエージェントを配備する指令が下されましたが、その後の瀬皮博士は特に目立った問題行動を起こさず、同年8/15に行われた財団日本支部忠誠度テストによって好成績を残したためこれらの指令が解除されました。

補遺2: その後詳細な調査によってSCP-XXX-JP-A、Bは瀬皮博士の生前より彼の実家に存在し、両親や本人もその異常性を認知していたことが判明しました。

また瀬皮博士の両親はSCP-XXX-JP-A、Bの存在を外部に漏らしてはいけないと瀬皮博士に教育しており、SCP-XXX-JP-A、Bの存在をを瀬皮博士が財団に知らせた後、実家には非異常性の銀杏の葉とスズムシの死骸を保管していることも判明しました。

これを受け瀬皮博士の両親にはCクラス記憶処理を施しました。
 
補遺3:インタビュー記録XXX-JPより得られた情報をもとに同年07/01より京都府██市内の捜索が開始されました。結果、捜索開始から8日後の07/09に異常性を保有した蔵が発見、現在のSCP-XXX-JP-A、Cとの関係性が見られました。これにより、当時AnomalousアイテムだったSCP-XXX-JP-A、Cの研究需要が発生、アイテムをAnomalousアイテムリストから削除し、SCP-XXX-JPとして現在のSCP-XXX-JP-A、B、Cがナンバリングされました。

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██公民館より発見された本。

補遺4: SCP-XXX-JP-Bのナンバリングが完了したため、財団は07/18から「師」に関する情報の捜索が開始され、調査は約10か月後の05/17まで行われました。その結果、05/05に福岡県██市内に存在する██公民館から、大正時代の日本の一年の季節を綴った本(以降SCP-XXX-JP-Dと表記)が発見され、その中に「師」と書かれた項目が確認されました。当時この本の所有権を持っていた人物曰く「当時の人たちの迷信か何か」と話しており、「師」に関する情報の漏洩の危険性は少ないとみられたため、所有者に対するAクラス記憶処理と、カバーストーリー「紛失」の流布のみを行いました。以下はSCP-XXX-JP-Dに記述されていた「師」に関する文章の一部抜粋です。

・太陽暦が日本において採用された時期に1年の区切りをつけることが決定し、計5つの区切りが誕生した。人々はこれを「季節」や「五季」と呼んだ。

・「師」とはこの季節のうちの一つであり、時期は9月から10月までの2か月に該当する。

・「師」以外の季節には「春」「夏」「秋」「冬」が存在し、1月から3月を「冬」4月から6月を「春」7月から8月を「夏」9月から10月を「師」11月から12月を「秋」とした。

・「春」は五季の中でも特に温暖な気候であるため、多くの人々はこの時期に周囲の人々との関係を深める。代表例として祭りなどで祝い事などをし周りの士気を挙げたり、結婚式や葬式といった大きな式を執り行うことで、より多くの人との交流を持つ。

・「夏」は植物がよく育つ時期であり、この頃になると、多くの人々は今まで以上に自分の仕事に力を入れる。また、気温の高い中働くので互いに支援をしあう光景がよくみられる。一般的に「春」に様々な人に贈り物を送り、夏にそのお礼として手を貸してもらうという流れが多い。

・「師」はこれから訪れる過酷な環境に耐え凌ぐための長期的な休暇として扱われる。この時期になると人々は仕事を早く切り上げ、家族との交流を深めたり、旧友と再会したりする。また様々な娯楽と触れ合う機会も増えるため、娯楽業がよく回る季節でもある。人々は来たる季節に備え、最後の準備をこの「師」で行う。

・「秋」は主に作物の収穫を行う。「夏」に植えた植物を収穫し、できる限り長持ちするように加工などを施す。十分な収穫ができても、この先寒さや運動不足で命の危険にさらされることもあるため、衣類を製作したり、体を鍛えたりする。それ以外にもお互いに知恵を絞り、できる限り生命力を上げる行動をする。

・「冬」は五季の中で最も過酷な環境となる。作物はまず育たないため、「秋」の時点で収穫した食料でやり過ごすほかない。また気温も著しく低下するため、少しずつ薪を消費しながら最低限の暖を取りつつ、「春」の到来を待つこととなる。過酷な環境を耐えきったからこそ人々「春」の到来を全力で歓喜することとなる。

日本中ほぼ共通の認識で「五季」の日々を人々は送っていたが、ある一つの組織がこの「五季」というシステムに神格的な存在の干渉を危惧し、秘密裏に政府に対し「五季」の危険性を提示した。当時の政府らはこれを否定したが組織は納得をせず、「五季」の存在を異常としたうえで人々から「五季」の存在を隔離しようとした。彼らの試みは一部成功し、犠牲となった「五季」の一つである「師」は封印され、かつてあった美しい情景は完全に消滅し、ある一つの組織を除いた人々は次第に「師」の記憶を失っていった。

・結果として「師」の封印から約1年後の大正12年に日本は大規模災害に遭い、その後も様々な問題を抱えることとなった。一方的に人々から娯楽の季節である「師」を奪い、その後の対応をおろそかにしたある組織のした行動は決して許されざる行為だ。

補遺5: 1965/07/01、当時非異常性物品収容ロッカー内に収容されていたSCP-XXX-JP-Dが当時財団フィールドエージェントであった瀬下氏によって持ち去られようとする事案が発生しました。瀬下氏は普段からこの収容室内に頻繁に入るため、警備員の注意が行き届かなかったことが原因とされています。瀬下氏SCP-XXX-JP-Dを持ち去ろうとした当時、偶然付近を巡回していた██研究員が不審な行動をしている人物がいると上層部に通達したため、今回の事案は未然に防がれました。その後瀬下氏にはインタビューが行われました。以下はインタビューの一部抜粋です。

インタビュー記録XXX-JP-β - 日付1965/07/01

対象: 瀬下 直志氏

インタビュアー: 和佳博士

<録音開始>

和佳博士: それではインタビューを開始いたしますが、瀬下さん。単刀直入に申し上げます。今回のような行動に及んだ動機をお聞かせください。

瀬下氏: [沈黙]

和佳博士: これがもし通常のインタビューであれば我々も強引な聴衆は行わなかったでしょう。ですがこれは例外的な出来事です。貴方の対応次第では、さらなる処分を加える可能性は十分にあります。貴方の心境がどうであれ、財団職員として貴方には自身のしたことを話す義務が生じています。

瀬下氏: [沈黙]

和佳博士: 瀬下さん。貴方は今、話す話さないかを選べる立場ではないということを理解してください。もし貴方が口を開かないのなら、我々としてもさらなる手段を講じる必要があります。

瀬下氏: [17秒間沈黙] 博士は財団職員、特に我々日本支部の者らが最も尊敬しなければならないものは何だと思いますか。

和佳博士: それが今回の件と関係するのでしょうか。

瀬下氏: まあ、興味本位といえばそれまでですが。話す前に必要な情報でもあります。

和佳博士: それについてはお答えできません。単純に貴方のような問題行動を起こしたばかりの職員に話すべきことではありませんし、それを話すことによって両者の思想のすれ違いが発生し、結果として業務成績が悪化する危険性があります。尊敬するものは自分の中にとどめておいてこそだと考えています。

瀬下氏: そうですか。では博士。財団職員として、貴方は我々財団とオブジェクトのどちらを重んじるべきだと思いますか。

和佳博士: それは、それこそどちらともです。財団とオブジェクト。どちらかが欠ければどちらかの存在意義は失われます。我々がいなくなれば我々が望むオブジェクトのプロトコルは失われますし、それによって気づけるはずだった危険性も存在します。我々は、常に共存しているのです。これで満足ですか。今さら新人研修マニュアルを音読したくはないのですが。

瀬下氏: そうですか。ありがとうございます。確かに我々は共存の道を選び、その道をたどっています。しかし、重要なものを置いてきてしまっている。それは我々にとっては足手まといだったかもしれないが、オブジェクトにとってはあるべきものであり、それを置いたままにするというのはある種の過ちともいえます。厄介者から教訓を学ぼうともせず、一方的に捨てるという行為はあまり良いとは言えません。

和佳博士: どういった意味合いでしょうか。私は貴方の言っていることが理解できません。

瀬下氏: 結局の所、今回の件に関して私が語ることはありません。無駄な被害を生みたくはないのです。そこで博士。最後のお願いです。あなた方は重要なことを十分に調べていない。あの蔵の中に何があるのかを分かりきっていない。簡単な話です。SCP-XXX-JP-Cへの長期的な探査を実施してください。私の憶測が正しければ、間違いなくあなた方が突き止めていないものが見つけられると保証します。

和佳博士: どこにそんな確証があるのですか。

瀬下氏: まあ、今ここで具体的な内容は言えません。しかし、私がSCP-XXX-JP-冬の関係者であるとあなた方に自白し、そして最終的にそれが本当であるとあなた方は断定した。この情報がある時点でかなり信用性はあると思いますよ。どちらにせよ、あなた方はあの蔵の中をもっと調べなければなりません。これはアドバイスなんかではなく、忠告です。これ以上僕はしゃべることは何もありません。ですが、貴方たちによって口を裂かれるのも嫌なことなのでね。

[瀬下氏は机の角に頭部を殴打し、その場に気絶する。]

和佳博士: なっ、いったい何を、[ため息] 一旦インタビューを終了します。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、瀬下氏は財団内の医療施設へ搬送されましたが、間もなく死亡が確認されました。司法解剖の結果、瀬下氏はインタビュー前より身体に重篤な怪我を負っていたことが判明しました。これが故意的な行動なのかは判明していません。

補遺6: インタビュー記録XXX-JP-βにより、SCP-XXX-JP-C内部への探索計画が立案され、同年/04/04に再度SCP-XXX-JP-B内部への探索が実施されました。なお、今回の探索は外部4のへの情報漏洩の危険性があるため、メンバーは最低限とし、調査にもエージェントが起用されました。

探査記録XXX-JP-β - 日付1965/09/12

対象: SCP-XXX-JP-C

探査者: エージェント・███

指令者: 菊地博士

目的: SCP-XXX-JP-Bのさらなる奥部への進行、及び調査。

<記録開始>

エージェント・███: こちら███。SCP-XXX-JP-Bへの侵入に成功しました。指示を待ちます。

菊地博士: 了解。わかっていると思うが、今回の探索において最重要となるのはSCP-XXX-JP-B奥部への進行だ。身の安全を確保しつつ、前進してくれ。

エージェント・███: 了解。では前進を開始します。

[以降、1時間47分エージェント・███はSCP-XXX-JP-B内部を進行する。この際エージェント・███に取り付けられたGPSは機能しているものの動く動作は見せていない。]

エージェント・███: ん、不審物を発見いたしました。

[エージェント・███は生物の肉片をカメラに移す。完全に腐敗しているようであり、どの種のものであるか等の判別は不可能。]

菊地博士: カメラはそのままにしてください。記録します。[31秒間沈黙] 記録が完了しました。念のため、所持品バッグに入れておいてください。その後進行を再開してください。

エージェント・███: 了解しました。

[エージェント・███が肉片をバッグにいれ、再度進行を54分に渡って開始する。]

エージェント・███: 先ほどの状況と比べて、明らかに玩具を中心とした散乱物の増加が見られます。より詳細な記録を求めます。

合沢研究員: わかった。では軽くカメラに抑え、できる限り安全なルートでの進行を再開せよ。

[以降エージェント・███は散乱物をよけながら進行するが、徐々に散乱物が増加し、最終的に周囲をかき分けながら34分に渡って進行する。]

エージェント・███: [声を少し荒げながら] 発見、発見しました。人為的に作られたとみられる構造物を発見しました。

菊地博士: 建造物だと。具体的な形状を伝えてください。5

エージェント・███: お、檻です。監獄のようなものが見られます。見たところ中は無人のようです。親友しますか。

菊地博士: わかった。安全を第一に考えたうえで侵入してくれ。

エージェント・███: 了解。

[以降、エージェント・███は監獄内を探査するが、特に重要なものは発見されなかった。]

菊地博士: そうか。本当に何もないのか。妙だな。とりあえず、今回の探査はここまでにしておこう。エージェント・███。帰還してくれ。

エージェント███: 了解。

[エージェント・███は帰還を開始する。帰還開始から1時間17分が経過する。]

エージェント・███: 少しばかり体調の悪化を感じます。休息の許可を。

菊地博士: ああ、わかった。念のため具体的な症状を教えてくれ。

合沢研究員: えっと、明確な悪寒と倦怠感を感じます。移動の気力が損なわれています。

[エージェント・███は応急処置を行うが、症状の回復は見られない。]

エージェント・███: 変です。体調は万全であったのに。

D-6552: 落ち着け、エージェント・███。とりあえず君が帰還したときに早急な手当てができるよう医療班に伝えておく。体調を下手に悪化させないようにしながら、できる限り早く帰還してくれ。

エージェント・███: 分かりました。

[エージェント・███は移動を再開するが、時間経過とともに症状は悪化する。

エージェント・███: 体調の悪化を感じます。それに、[咳き込み]別のものを感じます。

菊地博士: 別のもの。とはなんだ。

合沢研究員: なにか、自分を引き留めている物を感じます。異様な圧を掛けられているみたいで。

菊地博士: かまわない。足を進めてくれ。

[帰還開始から2時間14分後、エージェント・███が進行を停止する。]

菊地博士: どうした。エージェント███。

[突如エージェント・███が自身の装備品を外し始める。]

菊地博士: [声を荒げ] 何をやっているエージェント・███。まだ任務は終わっていないぞ。応答しろ。

エージェント・███: 博士、これ以上は無理です。万が一帰還できたとしても、今自分の後ろにはとてつもない異常性を持った存在が自分のことを追ってきている可能性があります。今自分は帰るべきではありません。引き返します。

菊地博士: まて、███。あとの処置は我々が行う。まだ君は任務を終えていない。あとは帰るだけだ。頼む。早急に帰ってきてくれ。

合沢研究員: 自分はできる限り蔵の奥へ行きます。少しでも外に被害が出る可能性を減らします。

菊地博士: まて、█

[ここでエージェント・███との通信が完全に断たれる。おそらくはエージェント・███によって通信装置の電源が切られたためであると考えられる。]

<記録終了>

終了報告書: 探査終了から7日後、エージェント・███の回収作戦が提案されましたが、日本支部理事会によりこの案は否決されました。

補遺8: 探査記録XXX-JP-βを通して、SCP-XXX-JP-B内部に未知の異常性の存在が浮き彫りとなり、オブジェクトの収容は不完全であるとされ、SCP-XXX-JPのオブジェクトクラスはSafeからEuclidへと格上げされました。

補遺9: 探査記録XXX-JP-βから約2か月後の09/18にSCP-XXX-JP-Bの入り口にエージェント・███のものとみられる遺体が発見されました。遺体は完全に干からびており、ほとんどの臓器が抜き取られた状態でした。なお、遺体の頭蓋骨内には、模様が印字された一枚の紙が入っていました。後の解析の結果、印字は蒐集院のシンボルを模したものであると判明しました。
 
また、この紙の裏側には以下のような文章が書かれていました。


 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   
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