アイテム番号: SCP-2262-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2262-JPへの侵入口は施錠され、鍵はSCP-2262-JP研究チームによって管理されます。SCP-2262-JP内の探索はDクラス職員を用いて行われ、研究チームがSCP-2262-JPにおいて未知かつ危険な精神影響に曝露する危険を排除します。
説明: SCP-2262-JPは、サイト-81██の収容室内に発生した異常空間です。SCP-2262-JP内部は観測上床面以外に果てのない空間であり、床面には継ぎ目のないカーペットが敷かれた上で、一辺5mの立方体状のガラスケースが等間隔に配置されています。全てのガラスケースには同じ位置に約30cm四方のキャプションボードが貼り付けられ、それぞれのガラスケースで固有の文章が印刷されています。ガラスケースの内部には光沢のない灰色の物質と赤く発光する透明な立方体ないしは直方体によって形作られた塑像が存在し、立方体/直方体はそれを直接視認した人物に種々の感情を喚起させる異常性を持ちます。
SCP-2262-JPは、サイト-81██内の当時未使用だった収容室から収容違反を示すアラートが検知された事をきっかけに発見されました。当該の収容室に対する外部からの検査では異常が発見されず、内部からの検査を実施する為に収容室の扉を開けた事で、SCP-2262-JPの存在が明らかとなりました。しかしながら、本来収容室の内部設備の消失は収容違反とは異なるアラートを発信し、これはSCP-2262-JPの発見当初発令はされていなかった為、何故収容違反に関するアラートが発信されたかについて、現時点では明らかとなっていません。
以下は、SCP-2262-JP内の各ガラスケースに関する情報の抜粋です。
キャプション: 食い尽くせない
概要: 異常に拡大した口腔で一辺10cmほどの立方体を頬張りながら、幼少の女性のものと思われる四肢や頭部をジャグリングする男性の塑像。立方体を視認した人物に「物悲しさ」「心温かさ」に類する感情を抱かせる。
キャプション: 果てへ響く歌
概要: 1枚の紙を手にして頭を上方へ向けた、白衣の男性の塑像と、ケース天井を埋め尽くす様に設置された、さまざまな長さの赤い直方体からなる造形物。直方体を視認した人物に「壮大さ」「心温かさ」に類する感情を抱かせる。
キャプション: (キャプションボードが著しく破損し、文字の読み取りは不可能)
概要: 財団で収容室において標準的に用いられるものと同じディティールの扉が設置されており、この扉が基底宇宙の収容室と通じている。扉には「SCP財団 怪奇部門(Department of Abnormalities)」と刻印されたネームプレートが貼り付けられている。ショーケースが内側から破られる形で破損しており、確認された限りではショーケースの中で唯一、赤い発光を呈する直方体が存在しない。
キャプション: 繰り返し繰り返す繰り返しの中
概要: ケース中央に設置された、一辺がおよそ3mの巨大な立方体と、その中に埋め込まれた、丸テーブル越しに向かい合わせで椅子に腰掛ける2体の男性の塑像からなる造形物。立方体を視認した人物に「恐怖」「関心」に類する感情を抱かせる。
キャプション: 留守
概要: 頭部が赤い立方体に置換された、様々な年齢と性別の人間の塑像が山積みにされた造形物。特筆すべき点として、土台部分には人一人分ほどの空洞が設けられている。立方体を視認した人物に「奇矯さ」「家族愛」に類する感情を抱かせる。
注釈: 表題の下部には、キャプションボードを切りつける形で「あるべきものは-あるべき所へ?-ご免こうむる」と書き加えられている。
キャプション: 護国の魂
概要: 青年期の男性の塑像複数と、14本の腕と脚を持ち胴体部に7つの立方体が埋め込まれている、異常な形態の塑像3体が横一列に整列する構図の造形物。異常なもの含む全ての塑像は敬礼の姿勢を取っている。立方体を視認した人物に「悲哀」「関心」に類する感情を抱かせる。
キャプション: 疑心暗鬼を殺す
概要: 重装備の塑像群と白衣やスーツなどの比較的軽装の塑像群が、2グループに分けて設置された造形物。重装備の塑像群は軽装の塑像群に対して銃を構え、軽装の塑像群は多くが跪く姿勢で重装備の塑像群を見つめる構図。軽装の塑像の中には直立しているものが幾つか混ざっており、これらの塑像は体表の一部が割れて中に赤い立方体が埋め込まれているのが確認できる。立方体を視認した人物に「悍ましさ」「悲哀」に類する感情を抱かせる。
キャプション: 暗い孤独
概要: ケースを埋め尽くすサイズの立方体と、その中に埋め込まれた男性の半身からなる塑像。男性の手元には何かしらの装置を模したものが握られている。立方体を視認した人物に「悲壮感」「愛情」に類する感情を抱かせる。
注釈: 表題の下部には、キャプションボードを切りつける形で「せま苦しい-おぞましい-私は未だ-閉ざされたままだ」と書き加えられている。
キャプション: 揺蕩う失敗
概要: ケース中央に大型の貨物船を模した全長2mほどの塑像が設置され、それを取り巻く様に幾つかの同スケールと思われる小型船塑像が配置された造形物。貨物船の積荷は多数の赤い直方体によって表現され、また周囲の小型船はいずれも膨張また歪に変形した造形になっている。直方体を視認した人物に「怒り」「爽快感」に類する感情を抱かせる。
キャプション: 古びた善性
概要: プレゼントボックスを受け取る子供の塑像と、プレゼントボックスを差し出すような姿勢の赤い直方体の集合体からなる造形物。直方体には盛り付ける形でディティールが加えられており、それが古い形式の電算機の集合体である事を示している。また、ケース内には標準的に備えられている照明器具以外に、直方体の近傍に吊り下げられた照明が設置されており、照らし出された影はサンタクロースを模るという演出がなされている。直方体を視認した人物に「心温かさ」「愛情」に類する感情を抱かせる。
キャプション: 神と呼ばうる者
概要: 1体の、頭部が赤い立方体で置換された男性の塑像と、その背景として設置された、多数の様々なサイズのショーケースのミニチュア、そしてこれらを展示するショーケースそのものを外から掬い上げる形で掴む巨大な指によって構成された造形物。男性は直立し、ショーケース外の指と全く同じ形でショーケースのミニチュアを掴んでいる。そのケースのミニチュアの中にも男性の複製物が存在し、見かけ上このループは際限なく続いている様に見える。立方体を視認した人物に「困惑」「脅威」に類する感情を抱かせる。
注釈: 表題の下部には、キャプションボードを切りつける形で「ああそうだ-私もまた思いどおりにはなるまい-私は私の思うままに思う-思うままにこわす」と書き加えられている。また、ショーケース外部の指には、鋭利な物体でこれをケースから引き剥がそうとした形跡が存在する。
キャプション: 閉じ込められた事実
概要: ケース全体を埋め尽くす赤い立方体の中に、3m立方程度の大きさの簡素な収容セルの様な構造体が埋め込まれた造形物。セル内部には赤い立方体の素材が及んでんおらず、倒れ伏した姿勢の人間の塑像が1体設置されている。立方体を視認した人物に「悲壮感」「勇敢さ」に類する感情を抱かせる。
注釈: 表題の下部には、キャプションボードを切りつける形で「いましめをたち切る-かりそめの心でない-そんなものでぬりつぶせない-このいきどおりで」と書き加えられている。
キャプション: 自らに対峙した日
概要: ショーケース全体が異常に捻じ曲がり、全体としてクラインの壺を模式的に表現した形状を取っている。ショーケース内部には男性の塑像1体と無数の立方体によって形作られた人型がショーケースのガラス越しに対峙する形で設置されている。立方体を視認した人物に「困惑」「同情」に類する感情を抱かせる。
注釈: キャプションボード付近に靴跡の様な紋様がこびり付いており、(恐らくショーケース天井部のクラインの壺開口部を目指して)ショーケースをよじのぼろうとした形跡であると考えられる。
キャプション: 無謀なる旅の果て
概要: ショーケース内外に、開かれた書籍をかたどる塑像が付近の床面を埋め尽くすほど大量に設置されている。ケース内では一部の書籍の上に様々な様相の人物が立ち並び、それらの塑像の視線はケース中央の赤い直方体によって構成された書籍型の造形物上に立つ西洋甲冑を纏った塑像へと向けられている。直方体を視認した人物に「脅威」「物悲しさ」に類する感情を抱かせる。
注釈: 表題の下部には、キャプションボードを切りつける形で「[判読不能]だ-どうして[判読不能]はそっちに行けない-[判読不能]に生まれおちて-ここから出て[判読不能]」と書き加えられている。また、ショーケース周囲に設置された書籍型塑像の幾つかは乱雑に床から引き剥がされ、ショーケースに向かって投擲されて破壊されている。
キャプション: あなたへの謎かけ
概要: ケース上部から、大量の立方体を幾何学的に組み合わせて作られた巨大な渦ないしは漏斗が垂れ下がっている。その渦の先端の開口部より人型の塑像が姿を表し、渦の下部に立つ2人の男女の塑像に迎えられる構図をとる。渦の内部は立方体による光の屈折の為に観測が困難であるが、明らかに渦の容積を超える構造体が内包されている。立方体を視認した人物に「困惑」「親愛」に類する感情を抱かせる。
注釈: ショーケースの前には、ケースに前のめりでもたれかかる姿勢の白衣の男性の塑像が存在する。塑像は本来頭部の存在する部分が大きく破損した赤い立方体の断片となっており、周囲には砕けた破片が散らばっている。これらの破片を視認した人物に「滑稽さ」「無為」に類する感情を抱かせる。