クレジット
タイトル: SCP-2421-JP - 怪文書十緬想
著者:
zinbe_ei
作成年: 2023
上からSCP-2421-JP-A,SCP-2421-JP-B
アイテム番号:SCP-2421-JP
オブジェクトクラス:Safe
特別収容プロトコル:SCP-2421-JP-AおよびSCP-2421-JP-Bはそれぞれサイト-451の低危険物保管ロッカーで保管されます。当オブジェクトは1時間ごとに記述に変化がないか確認されます。万が一、当オブジェクトに対し記述の変化や出火等の異常が見られた場合には変化した内容を記録し職員によって適切な処置を行なって下さい。SCP-2421-JPを用いた試験を行う際にはクリアランスレベル3以上の実験責任者の許可を得てください。
記述されている内容に類似する異常性を持ったオブジェクトが発見された場合、当オブジェクトとの関連性を調査するとともに記述の変化に十分に注意して下さい。
説明: SCP-2421-JPは株式会社████から発売されているものと同一の外見を持つ二冊のクロッキーブックです。SCP-2421-JP-A、SCP-2421-JP-Bの二冊のうち片方の紙に筆跡、傷、汚れ、および破損に変化が生じた場合、一切の遅延がなくもう一方にも同様の形跡が現れます。筆跡の成分や筆圧、線の太さ、濃さ、破損や傷の程度は双方に差異はなく、どちらが先発した変化であるかを判断するのは非常に困難です。また、表紙のクラフトボール紙には上記の異常性は反映されておらず、配色、劣化度合い、手製の装飾などに一部差異があります。
SCP-2421-JPには、描画やメモとともに非現実、非科学的な内容が含まれるレポート調の文章群が記述されています。内容は9つの区分がされており、地形的、文化的な特徴から発見された██湖に隣接する██市、██市、███町が題材となっていることがわかりました。文章群に含まれる異常性の記述に関して、SCP-2421-JPの以前の所有者であった岩家 小五郎氏へのインタビューによる情報と対象となる地域で内容と類似するような異常性を持つ実体は報告されていないことから、文章群は岩家 小五郎氏の創作した架空の実体であると断定されています。また文章群がSCP報告書に類似していることについても指摘されています。
SCP-2421-JPの全100枚のページおよび、その記述内容は「SCP-2421-JP-1」~「SCP-2421-JP-100」と呼称する。
以下はSCP-2421-JP-AおよびSCP-2421-JP-Bに記述内容の概要をページごとに記録したものです。
番号 |
記述内容 |
SCP-2421-JP-1 ~ SCP-2421-JP-10 |
人物クロッキー |
SCP-2421-JP-11 |
「鏡の国」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-11 ~ SCP-2421-JP-12 |
メモと思われる関連性の薄い単語の集合 |
SCP-2421-JP-13 ~ SCP-2421-JP-14 |
「死神」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-15 ~ SCP-2421-JP-18 |
人物や風景、静物のスケッチ |
SCP-2421-JP-19 |
メモと思われる単語などの集合 |
SCP-2421-JP-20 |
「回想檸檬」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-21 |
風景のスケッチ |
SCP-2421-JP-22 |
メモと思われる単語などの集合 |
SCP-2421-JP-23 |
「虚数の原点」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-24 |
メモと思われる単語などの集合 |
SCP-2421-JP-25 |
「ストロボスコープ越しの」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-26 |
「“推したい”」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-27 |
白紙 |
SCP-2421-JP-28 ~ SCP-2421-JP-32 |
メモと思われる単語などの集合 |
SCP-2421-JP-33 |
「月光筆」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-34 ~ SCP-2421-JP-36 |
メモと思われる単語などの集合 |
SCP-2421-JP-37 |
「現実感覚質」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-38 ~ SCP-2421-JP-45 |
メモと思われる単語などの集合 |
SCP-2421-JP-46 |
「湖底5mと22万海里」と題された異常性の記された文章群 |
SCP-2421-JP-47 ~ SCP-2421-JP-99 |
白紙 |
SCP-2421-JP-100 |
補遺3を参照 |
SCP-2421-JP-Aは2023/8/3、██県██市の██湖畔にあったものが落とし物として交番に届けられたのち、在駐していた警察官からの通報を受け回収に至りました。回収された時、SCP-2421-JP-Aの紙は99枚のみでした。SCP-2421-JP-Bは2023/8/22、SCP-2421-JP-Aの以前の所有者であった岩家 小五郎氏に対するインタビューによって存在が示唆され、2023/8/31、同氏の友人であり7年前に亡くなっていた██ ██氏の遺族の自宅から回収されました。詳しくは補遺3を閲覧して下さい。
補遺1: 2023/8/22、岩家 小五郎氏に対し、SCP-2421-JPの異常性について正確な把握するため事情聴取が行われました。以下はそのインタビュー記録です。
インタビュー記録XXXX-JP-1
対象:岩家 小五郎氏
インタビュアー:██研究員
<録音開始>
██研究員: それではインタビューを始めます。まず、あのクロッキーブックについて教えてください。
岩家 小五郎氏: あ、あれは僕が中学校の頃からアイデア帳として使っていたものです。ちょっと他人に見せるのは恥ずかしいんですけど…
██研究員: その中に書かれていたSFのような文章は何でしょう。
岩家 小五郎氏: あ、ええと、あれは、とある創作サイトに投稿しようとして書いていたものです。あったらいいなと思うものを文章にしました。結局、どれも直前で躊躇ってしまって投稿してないんですけどね。
██研究員: その作品らは実際には存在しないということですね?
岩家 小五郎氏: はい、あくまで願望です。
██研究員: わかりました。次にそのクロッキーブックの異常性について教えてください。
岩家 小五郎氏: あれは、あ、ええと。実はもう一つあって…
██研究員: もう一つ、ですか?
岩家 小五郎氏: はい、そのもう一つと連動して同じことが書かれるんです。それだけなんですけど…ええと、言ってなくてすみません。
██研究員: わかりました。そのもう一つのある場所を教えていただけますか?
[約10秒間の沈黙]
岩家 小五郎氏: 嫌です。
██研究員: それはなぜですか?
岩家 小五郎氏: 特に理由はないけど嫌です。
その後、インタビュアーに何を聞かれても岩家氏は沈黙する。
<記録終了>
その後岩家 小五郎氏は非協力的な態度を見せ続けるため、財団の監視下に置かれました。また、創作物がSCP報告書に類似していることについても質問への応答はありませんでした。
補遺2: 以下はオブジェクトに記述された内容のうち、異常性が記されている文章群とそれに関連する描画の抜粋です。
2016/8/4
日本
Tit:鏡の国
No.XXXX
OC:S
Pro:XXXXが供えられている神殿は立ち入り規制がされます。
Exp:XXXXは[塗り潰し]市の神社に供えられている直径約15cmの神鏡です。 対象はXXXXに物理的に映るとXXXX-Aに転移します。
XXXX-Aは異常空間です。XXXX-Aは現実世界に似た空間が広がっていますが、XXXXの位置から離れれば離れるほど現実世界との差異が大きくなっていきます。XXXXからの距離が1km以内はおおよそ現実世界に則しています。1kmを越えると同じ人物が2人いる、死亡しているはずの人物が生きているなど差異が生じます。40kmを越えると電子機器や精密機器が使用できなくなります。200kmを越えると重力が弱まり、建造物や自然環境の形が目に見えて歪になります。約1500km地点には目視では確認できない透明な壁が存在しておりその先には進めなくなっています。
対象はXXXX-A空間上のXXXXの裏に転移します。XXXX-A空間上でXXXXに映ると現実世界に戻れます。
2017/8/31
死
Tit:死神
No.XXXX
OC:S
Pro:XXXX-Aの周辺は倒木の可能性があるというカバーストーリーの元、一般人の立ち入りを規制してください。
常にDクラス職員を対象にし、対象を保護した状態でXXXX-Dを低危険物収容ロッカーに収容してください。
Exp: XXXXは、一連の現象です。XXXXは対象がXXXX-Aを用いて首吊りによる自殺を試みた場合に発生します。
XXXX-Aは、██県██市██湖の沿岸にある全長4m程の柳の木です。いかなる場合にも生物的な成長や枯れることはなく、落葉などの代謝もありません。対象が上記の行動を試みた場合、XXXX-Aは対象の死角になっている幹からXXXX-Bを生成します。
XXXX-Bは、正体不明のヒト型実体です。体長は170cmほどで外見は男性的な特徴を持っています。常に黒色の着物と頭巾を着用しており、顔は影が落ちて確認できません。会話はできるものの、食事や睡眠などの人間の本能的行動は一切要しません。XXXX-Bは発生後、対象に声をかけたのち、XXXX-Cを手渡し消滅します。
XXXX-Cは対象が所持している場合にのみ異常性を発揮する、琥珀と思われる素材でできた数珠です。XXXX-Cを所持している対象は致死性の病気に罹っている人物の周辺にXXXX-Bを視認します。また、XXXX-Bが人物の足元にいる場合にはXXXX-Cを合掌した手に掛け、「[塗り潰し]」という言葉を発音することでXXXX-Bは消滅し、人物の病気は完治します。XXXX-Aが頭部付近に位置する場合に上記の行動を行うと、対象はXXXX-BとともにXXXX-Dに転移します。
XXXX-Dは、GPSではXXXX-Aの元を指し示す異常空間です。床と天井は木製で、壁は砂壁になっており横幅5m高さ4mほどの廊下のような空間が存在します。空間の終了地点は観測できません。対象は火がついた数cmの蝋燭を持った状態で転移し、XXXX-Bから新品の蝋燭を渡され、火を移し替えるように指示されます。火を移し替えることに成功した場合、XXXX-B、XXXX-Dは消滅し対象は転移前にいた位置に戻ります。火を移し替える前にその火が消えた場合対象は死亡し、XXXX-B、XXXX-C、XXXX-Dは消滅、一連の現象は終了します。現象が継続している間、新たに現象が発生することはなく、現象は対象が死亡するまで継続します。
2018/8/30
悪
Tit:回想檸檬
No.XXXX
OC:S
Pro:XXXXはサイト507にある低危険物収容ロッカーに保管されます。実験を行う際にはクリアランスレベル3以上の職員に許可を得てください。
Exp:XXXXは異常性を持つレモン(学名:Citrus limon)です。外見に特筆すべき特徴はありません。XXXXはどんな状況下にも腐敗はしません。対象がXXXXに外傷を与えようとすると、XXXXは対象が罪悪感を抱いている過去の出来事を半径5m以内で視覚的に再現します。対象は現象に意識が向かいXXXXに外傷を与えることを忘れます。現象は数秒から5分程度続きます。また現象は再現されるのは視覚情報のみであり実体は持ちません。
以下はDクラス職員を用いた実験の結果です。
対象:D-53301
実験内容:D-53301にXXXXを包丁で切断させる
留意:D-53301は宗教を理由に子供[塗り潰し]人を含む[塗り潰し]人が死亡した爆破テロを起こした死刑囚です
結果:約5秒間、XXXXを中心に大きな爆発が起こったような火花と炎、煙が見える。
D-53301は座り込んで泣く。
──────────
対象:D-88040
実験内容:D-88040にXXXXを包丁で切断させる
留意:D-88040は妹を目の前で強姦、殺害をした犯人とその親族5人を殺害した死刑囚です
結果:約3分40秒間、D-88040の目の前に妹の遺体が見える。D-88040は謝罪の言葉を連呼する。
──────────
対象:[塗り潰し]研究員
実験内容:[塗り潰し]研究員にXXXXを包丁で切断させる
留意:[塗り潰し]は回収の際[塗り潰し]研究員が携わった異常性を持つ少女の人型実体です
結果:約1分20秒間、[塗り潰し]の収容される場面が見える。[塗り潰し]研究員は声をあげて泣く。
──────────
XXXXは[塗り潰し]県[塗り潰し]市のスーパーで販売されていた[塗り潰し]から輸入したものでした。XXXXの異常性は外敵から身を守るため備わった遺伝的異常性とされ、同じ異常性を持つものが他にも存在すると考えられるため捜索がされています。
2019/9/5
無
Tit:虚数の原点
No.XXXX
OC:S
Pro:XXXXの存在する空間はサイト-782が建設されています。
Exp:XXXXは[塗り潰し]県[塗り潰し]市に存在する座標の一点です。対象がXXXXに接触すると身につけているものを残して消滅します。
XXXXは元々[塗り潰し]公園の崖の下に存在しており、そこで飛び降り自殺を試みた人物が衣服等は見つかるが身体が見つからないという事案が多発し、発見されました。
XXXXの正体について現在はまだわかっていることが少なくどの説も推測の域を越えません。
最も有力な説は、虚数の概念が実世界に具現化した時にできた座標の原点であるという説です。その場合消滅した対象は実世界とは別の世界に転移しているとされます。転移する先も実世界に似たパラレルワールド、実世界とは物理法則等全てが違う異世界、時間や生死などの概念のない無の空間など研究者によって意見が分かれます。しかし、多くの研究者によって実世界においても空間の大半は人間が生存できる環境ではないことから、転移先で対象が生存している可能性は極めて低いと考えられています。
現在XXXXの転移先を確認する方法を開発するため、研究が進められています。
2020/1/31
変遷
Tit:ストロボスコープ越しの
No.XXXX
OC:E
Pro:XXXXはサイト-XXX-3に収容されます。XXXXの投射部分の前方には高さ3m横幅8m奥行3m以上の遮蔽物のないスペースを確保して下さい。XXXXおよびXXXX-Aの動向は常に監視、記録されます。
当オブジェクトを保護するための対策案を即急に見つけるため、研究を進めて下さい。
Exp:XXXXは[塗り潰し]社が製造しているものと類似した外見を持つストロボスコープです。電源を必要とせず、不明なエネルギー源から破壊以外のいかなる手段を用いても一定の周期で発光する動作を停止することはないとされています。発光周期は200回/秒で固定されており、本来の発光周期を変更する手順を行っても機能しません。
XXXX-Aは、XXXXが照射した瞬間にのみ視認できる半透明の人型実体です。容姿や声質、行動パターンなどは発見の3日前に死亡した[塗り潰し]氏に酷似しています。食事や睡眠、排泄などの代謝は必要としません。物理的に接触することはできず、現在では発声による応答もできません。
XXXXは20[塗り潰し]年6月[塗り潰し]日、[塗り潰し]県[塗り潰し]市内の中学校からの通報を受け回収されました。回収された教室では当時生徒39人と教員1人が授業を行なっており、XXXXを目撃し混乱状態にありました。また、授業をしていた学級は生前[塗り潰し]氏が在籍していました。
補遺 XXXX-1
[塗り潰し]/7/[塗り潰し]、[塗り潰し]氏の友人であった羽場 丈二氏がクラスA記憶処理を受けたにもかかわらずXXXXの記憶を有していることを学校に潜入調査中の職員が発見し、[塗り潰し]氏に関連する記憶全般を消去するクラスC記憶処理を施したところXXXX-Bの発声が困難になり、透過率が上がったことが確認されました。
研究の結果、XXXX-Bは生前の[塗り潰し]氏に対するあらゆる人物の記憶に由来することが判明しました。
以下は、時間経過に伴うXXXX-Bの性質の変化を記録したものです。
発見当時 透過率は5%程度、発声は照射されている間のみ可能
[塗り潰し]年7月[塗り潰し]日 透過率15%程度、発声が困難になっていく
[塗り潰し]年12月 透過率35%程度、発声が完全にできなくなる、口や目、耳が変形し始める
[塗り潰し]年10月 透過率50%程度、口、鼻、耳の存在が完全に確認できなくなる、動作が鈍くなり始める
[塗り潰し]年1月 透過率65%程度、両膝を抱えて顔を伏せたまま床に座り込みそのまま動かなくなる
発見から4年が経過した現在、XXXX-Bの透過率は75%まで上昇しています。また、生前のXXXX-Bを知る人物が全員死亡するとXXXX-Bの実体は完全に消失すると考えられており、推定では2120年に消失するとされています。
XXXX-Bの保護に対する有効な対策案はまだ発見されていません。
2020/9/6
嘘
Tit:"推 したい"
No.XXXX
OC:E
Pro:XXXXの生息する地帯周辺の湖岸にはサイト-589が建設され、常に一般人の立ち入りが規制されます。XXXXが繁殖期の際はDクラス職員を与えてください。
Exp:XXXXは容姿を変化させることのできる生物実体であり、今まで個体は4体まで確認されています。XXXXは[塗り潰し]湖の湖岸から5mほど離れた湖底に生息しており、水中では主に上半身はカワウソ(学名:Lutrinae)に似た外見に下半身が魚類に近いえらと尾ビレをもつ体形で生活しています。
XXXXは主に魚を食しますが、繁殖期の雌は哺乳類、主に人間の血液を摂取します。XXXXの生息域に近づいた対象に対し、XXXXは対象の知る人物の体形に変化し、接触します。XXXXが変化する人物は様々ですが大抵は対象と関わりの深くまた既に死亡している人間に変化します。対象はXXXXに対して一様に極端に好意的に感じ、XXXXからの指示には大方従うようになります。
対象に接触したXXXXは会話を交わしたのち共に湖に入る提案をします。対象が提案を承諾するとXXXXが対象の背中を押して湖に入っていき、対象の下半身まで水に浸かった頃にXXXXが下半身のみ魚類の体形に変化して対象を湖底に引きずり込みます。対象を溺死させた後XXXXは上半身がカワウソの体形に変化し、発達させた犬歯で頸動脈に穴を開け吸血します。
対象の水死体は血液の代わりに湖の水とXXXXの特殊な赤褐色の体液を注入されます。その体液の影響により対象の水死体は腐敗や他生物の損傷がほとんどない状態で水面に浮上します。
2021/8/15
夜
Tit:月光筆
No.XXXX
OC:S
Exp:XXXXは白い万年筆です。内部のインクは減ることがなく、また本来万年筆にあるインクを交換する機構は存在しません。インクは通常時は無色透明で、書いたものを識別するのは非常に困難です。XXXXはオブジェクトを用いて書いた文字を満月の月光に曝したときにその異常性を発揮します。
紙面等に筆記した文字を満月の月光に曝したときインクの色が藍色に近い色に変化しXXXXを用いて明らかな意識をもって筆記した者(以下、対象者)の意図にできる限り沿った形の現象が発生します。
以下は実験の記録です。
実験記録XXXX-01
詳細:非異常性のノートに下記の内容を筆記したのち、満月の月光に曝す。
「リンゴ」と書く|ノートの上にリンゴ(学名:Malus domestica)が出現する
「りんご」「林檎」「Apple」と書く|上の結果に同じ
リンゴの絵を書く|上の結果に同じ
「月に吠える」と書く|萩原朔太郎『月に吠える』の序文がノート上にXXXXのインクと同色の文字で発生する
五線譜とピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2 『幻想曲風ソナタ』の楽譜を書き写す|ノートから楽譜に沿ったピアノの音色が発生する
「[塗り潰し]」と書く|異常性を発揮した状態の[塗り潰し]が発生する
上記の文字列に横線を入れる|上で発生した[塗り潰し]が消失する
D -17396の本名を書く|実験室に隣接する部屋にいたD-17396が実験室に転移する
故 [塗り潰し]研究員の本名を書く|故[塗り潰し]研究員の腐食のない死体が発生する
故[塗り潰し]研究員の本名に「生きた」という文言を加えて書く|上の結果に同じ
XXXXは[塗り潰し]年6月[塗り潰し]日、[塗り潰し]県[塗り潰し]市に存在する100年以上前に[塗り潰し]財閥によって建てられた行楽施設の一室で発見されました。発見された部屋には鍵が掛かっており、資料から部屋は昭和初期から閉まった状態だったと考えられます。
2022/9/1
Qualia
Tit:現実感覚質
No.XXXX
OC:E
Pro:XXXXはサイト-412の人型実体収容室に収容されます。XXXXには一日三食の食事や適度な娯楽を与え、できる限り感情の起伏の少ない生活をさせてください。もし異常現象が起きた場合はその時に応じて適切な処置をしてください。
XXXXは定期的にカウンセリングを受けさせてください。
Exp:XXXXはおおよそ通常の人間と同じ生態を持った人型実体です。XXXXは大きな感情の起伏を持った時任意のタイミングに、その対象がXXXXの想像した同じような感覚をもつ体験に置換されます。その時に持った感情は言葉で簡潔に形容するのは難しく複雑な場合が多いです。
XXXXは[塗り潰し]県[塗り潰し]市に在住していた[塗り潰し]氏です。異常性はいつ発現したのかは不明ですが、同氏の日記より同氏が14才の頃から本人は自覚していることがわかります。
以下は、[塗り潰し]氏の日記から分かった異常性の記録です。
初めてジェットコースターに乗り、急降下する|XXXXの消化器官にあった内容物が消失する
XXXXの親族が老衰により死亡する|XXXXの胸部中央に抉られたような傷ができる
初めて観覧車に乗る|最上部に達する目前XXXXが吐き気を訴え、吐瀉物の中から多数の生きた状態のアゲハチョウ(学名:Papilionidae)が発見される
友人から待ち合わせの約束を無断で破られる|頭部の血圧が極端に上昇する
料理中に包丁を落とす|XXXXが腹痛を訴え倒れる 病院で肝機能の低下と診断され治療によって一命を取り留める
学校の修学旅行の前日に準備をする|XXXXに対し約30分の間、重力が作用しなくなる
XXXXは[塗り潰し]県[塗り潰し]市で行われていた花火大会で起こった事案が要因で発見されました。
事案-XXXX-01 報告書
[塗り潰し]年8月[塗り潰し]日午後8時半頃「突然人が弾け飛んだ」という通報を受け、[塗り潰し]警察署に潜入調査中の職員が現地に赴きました。死亡したのはXXXXと二人で花火大会に来ていた[塗り潰し]氏であり、当時友人関係にあったもののXXXXは[塗り潰し]氏に対して一方的に好意を抱いていました。遺体は身体の内側から破裂したような状態で、半径11m以内に約[塗り潰し]個の部分に分かれて散乱していました。
当時XXXXは恐慌状態にあり、またXXXXに触れたもの例外なく死亡する異常性を発揮していました。この異常性により一般人[塗り潰し]人、職員2人が死亡しました。XXXXは有毒性のガスによって気絶させられたのち回収、収容されました。
一連の騒動を目撃した人物にはクラスA記憶処理が施されました。また、一般にはカバーストーリー「祭り屋台のガス爆発事故」が流布されました。
2022/1/26
幻想
Tit:湖底5mと22万海里
No.XXXX
OC:S
Pro:XXXXの発生地点は普段は問題なく営業することが可能です。近地点満月の日は日没から日の出まで職員を派遣し一般人の立ち入りを規制してください。また、警備の際にはいかなる職員もXXXXの入り口から4m以内に近づかないようにしてください。一般にはカバーストーリー「水質検査」を流布してください。
実験を行う際にはDクラス職員を用い、クリアランスレベル3以上の職員の許可を得てから実行してください。
Exp:XXXXは全長25m、直径最長7m程の紡錘型の潜水艇です。XXXXは近地点満月の日の日没から日の出までのうち、最も地球と月の距離が近い2~3時間の間[塗り潰し]湖に発生します。発生地点は[塗り潰し]県[塗り潰し]町のヨットハーバーです。
XXXXは湖底の地中から発生し、5分ほどかけてヨットハーバーにある桟橋の先に浮上します。
浮上している間は0.5mほど水面から出ている状態で留まります。XXXXの上部に設置されている円形状入り口から4m以内に近づいた対象はXXXXの内部に入れば月に到着し、月では対象が過去に親しく、既に死亡している人物が待っているという妄想に固執し、XXXXに入ろうとします。水面から出ている部分には手すりと入り口が存在しており、そこからXXXX内部に侵入することができます。対象が一人侵入した時点で入り口は完全に封鎖し、他の対象に対する異常性も解消されます。XXXX内部には操縦室、、、そしてXXXX-Aが存在します。
XXXX-Aは月で待っていると対象が主張する人物が死亡した当時の姿に類似した外見を持つ人型実体です。XXXX-Aは人物が死亡するまでの記憶とXXXXの内部構造を理解しています。対象がXXXX内部に入った際XXXX-Aは大抵「久しぶり」というような再会を喜ぶ反応を見せ、対象とXXXX内部の案内や談笑などをします。
2~3時間後XXXXは30分ほどかけて沈下したのち湖底を掘るように潜ります。いかなる通信機器、記録機器もXXXXの全体が湖底に隠れた時点で通信が途絶え、また実体も消失します。次にXXXXが発生した際には対象、対象がXXXX内に持ち込んだもの、対象に対応したXXXX-Aは消失しており、また対象の作った内部の変化や破損も元に戻っています。
XXXX-Aは対象の過去に親しかった人物という対象の解釈に基づいており、また対象の記憶とは一致するものの事実とは異なる身体的特徴を持っていることがあることから、XXXX-Aは対象の知っている人物本人ではなく、対象の記憶と願望によって作り出された別の人物であるとされています。
補遺3: 2023/8/31、SCP-2421-JP-Bが回収されるとともに、翌日0:54~1:23にかけてSCP-2421-JP-Bの収容違反および、SCP-2421-JPの保護違反の事案が発生しました。
以下はそのタイムラインの記録です。
**発生: **2023/8/31
23:48 SCP-2421-B、回収
23:56 SCP-2421-Bの内部を確認しようと隊員が開いた際に切り離された白紙のSCP-2421-B-100が地面に落ちる。
23:57 隊員がSCP-2421-B-100を確認していると「見たものは気絶」「岩家小五郎」の文字が浮かび、現場にいた隊員2名が気絶する。
また同時刻、監視されていた岩家 小五郎氏が突然消滅する。
24:27 現場に他の隊員が到着するも、現場にはSCP-2421-JP-A-100、SCP-2421-JP-A-100のみが置いてあり、SCP-2421-Bは持ち去られている。
24:42 SCP-2421-JP-46の文章が青色のペンでなぞられ始める。
24:49 文章をなぞり終え、新しい文章が加えられる。
24:54 同ページに「451℉」と記入され、SCP-2421-JPが焦げ始める。
25:18 ███町のヨットハーバーの桟橋で炎上したSCP-2421-JP-Bが発見される。
25:23 SCP-2421-JP-Bの火が消し止められる
その後、SCP-2421-JP-99に新たな記述が出現しました。
Tit:怪文書
Exp:記述が連動した二冊のクロッキーブック
この事案でSCP-2421-JP-1~99の約40%が消失しました。SCP-2421-JPに記述された異常性を持つ物体は存在する可能性があるとみて、調査が進められています。行方不明となった岩家 小五郎氏は現在もなお捜索中です。また、本オブジェクトの本質はSCP-2421-JP-A,SCP-2421-JP-Bではないのではないかという指摘もされています。
以下は2023/9/1 0:53時点でのSCP-2421-JP-A-46の画像です。
SCP-2421-JP-A-46 (2023/9/1 0:53時点)