アイテム番号: SCP-2486-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 全てのSCP-2486-JP実例はサイト-8149の低危険度物品収容ロッカーに収容されています。当該オブジェクト異常性の変化の有無の確認の為に1週間に1度、クリアランスレベル4/2486-JPを持つ職員1名の承認を得た実例を用いて、Dクラス職員を着用者とする実験が行われます。
現在機動部隊ね-15(“小物買い”)及びWebクローラー("切り抜き動画")がSCP-2486-JPの発見及び回収の任務に当たっています。新たなSCP-2486-JP実例、それに類似したオブジェクトの流通、着用者が確認された場合は、機動部隊ね-15による関係者全員へ適切な記憶処理が実行され、情報の隠匿が行われます。回収されたオブジェクトはその形状によらずSCP-2486-JPに指定されます。
またSCP-2486-JPの影響末期の着用者は終了され、関係者にはカバーストーリー“自殺”が適用されます。その後着用者の遺体を偽装して、遺族に返還されます。
説明: SCP-2486-JPは一般に伊達鼻メガネと呼称される物品です。構成する物質の全てが、同一の未知の高分子化合物であり一般的な破壊方法による破損に耐性を持っています。
SCP-2486-JPを着用している人物(以下、着用者)が存在しない場合、最も近くでSCP-2486-JPを肉眼で認識した人物は当該オブジェクトを着用したい欲求を強く覚えます。
SCP-2486-JPを着用した場合、着用者の精神は未知の存在の精神(以下、SCP-2486-JP-Aと記載)に接続され、対象との交信を行う事が可能になります。その際着用者はこの異常性を他者からの干渉が無い限り、認識する事が出来ません。
SCP-2486-JP-Aとの交信を行う際、着用者は周囲の光景にポップアップ(以下、SCP-2486-JP-Bと記載)を知覚する事があります。多くの着用者はSCP-2486-JP-Bを「ゲームの実績のホップアップ」に似た形の幻覚と認識し、着用者以外には認識されません。着用者が外部に対する感覚を一切有していない場合、周囲の光景を理解しておらず論述が不可能な場合であってもSCP-2486-JP-Bを知覚する事が可能です。
SCP-2486-JPの着用が連続して30分以上経過すると、着用者に対して直接的・間接的な接触をする人物(以下、接触者)が発生します。接触者には着用者の外見が一般的なものとして対応させる強制力の影響が見受けられます。この異常性は着用者が死亡するまで継続します。
SCP-2486-JPの着用が1時間以上継続すると、着用者の約92%が軽度のうつ病を発症します。
SCP-2486-JPを連続して2時間以上着用した人物は、当該オブジェクトの影響末期の着用者として扱われます。当該人物は現在の記憶処理・接種、メンタルケアによるSCP-2486-JP-Bの完全な除去が不可能な状態となり、統合失調症を患い自殺を試みます。しかし着用者のほとんどは自殺を遂行する間に松果体の異常発達による脳組織の圧迫、頭蓋骨の膨張と破裂によって死亡します。前者の異常性の進行過程は、後者の影響により現在まで完全には観測されていません。
映像記録、着用者や接触者へのインタビュー、影響末期の着用者の遺体から抽出したイメージを解析した結果から、影響末期の着用者はSCP-2486-JPを着用していない状態であっても精神がSCP-2486-JP-Aと接続している事が判明しています。この事からSCP-2486-JPは着用者の脳に作用し、SCP-2486-JP-Aとの交信を継続させる異常性を付加する目的で作成されたものと推察されています。
発見経緯: SCP-2486-JPは20██/██/██に財団のWebクローラーが発見した若草 ██氏による複数の動画配信サイトで行っていたゲームの同時配信中に、若草 ██氏がSCP-2486-JP-Aと交信する様子が異常な現象として認められ、財団の興味を引いた事をきっかけに発見されました。この一連の発見経緯は事案2486-JP-1に指定されています。
当時若草 ██氏の配信には累計███名の視聴者がおり、その全員を捕縛・尋問した後にクラスB記憶処理を施して解放しました。これ以上のメディアでのSCP-2486-JPの情報が拡散しなかった理由は不明です。
その後の調査で若草 ██氏がSCP-2486-JPを購入したとみられる雑貨店██████、██店に当該オブジェクトが複数個販売されていた事が判明しました。当該店舗は購入した記録の無い、SCP-2486-JPを含む物品を商品として取り扱っていましたが、店舗の関係者らはこの異常を一切認識していませんでした。
当該事案より関連する物品及び存在がSCP-2486-JPにナンバリングされるまでの詳細な経緯は、こちらを参照してください。実験記録2486-JP-1 - 日付20██/03/██
着用者: D-95564
実施方法: D-95564にSCP-2486-JPを着用させ、倉林博士を注視させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 ムカつくニヤニヤ顔
メモ: そういうのはよくないと思いますよ博士。 -田草川実験補佐
ごめんよD-95564。耐えられなかった。 -倉林博士
実験記録2486-JP-2 - 日付20██/03/██
着用者: D-95564
実施方法: SCP-2486-JPを着用した状態のD-95564に実験室内の椅子に座らせる。着用者には認識する対象について明確な指示は出していない。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除[編集済]回目の鼓動 / 実績を解除[編集済]回目の瞬き / 実績を解除[編集済]回目の焦り
メモ: 着用者は当該オブジェクトを外すまでSCP-2486-JP-Bが出現し続けた、と主張した。同時に複数の「ホップアップ」が視界いっぱいに映し出されて前が見えなくなる事もあるらしい。 -倉林博士
認識する事象の無い場合は、着用者が主観的に認識した自身の生理現象が「ホップアップ」の対象に選ばれる様です。 -田草川実験補佐
実験記録2486-JP-3 - 日付20██/03/██
着用者: D-95564
実施方法: SCP-2486-JPを着用した状態のD-95564に、Dクラス職員数名が収容房に移送される様子を観察させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 ドナドナ
メモ: この実験の対象は録画され、後日実験で使用された。
実験記録2486-JP-4 - 日付20██/03/██
着用者: D-95564
実施方法: D-95564にSCP-2486-JPを着用させ、上記の実験で録画した映像を視聴させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 見慣れた風景
メモ: 同じ内容でも表示される「ホップアップ」は違うらしい。 -倉林博士
実験記録2486-JP-5 - 日付20██/03/██
着用者: D-95564
実施方法: SCP-2486-JPを着用した状態のD-95564に、自身の鏡像を視認させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 実験とはいえ虚しいね / 実績を解除 不安の始まり
メモ: 2つ目の「ホップアップ」は実験終了直前に、私を見た時に出たと着用者は報告した…このオブジェクトは実験の事を認識してはいないか? …以降の実験では当該オブジェクトの異常性の精査の為、着用者はD-95564のみとする。 -倉林博士
実験記録2486-JP-6 - 日付20██/03/██
着用者: D-95564
実施方法: SCP-2486-JPを着用した状態のD-95564に、████博士を視認させる。両者に面識は無い。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 ████博士との出会い / 実績を解除 SCP-████-JP1とのなれそめ
メモ: このオブジェクトにオブジェクトクラスの再分類が必要かもしれない。 -倉林博士
実験記録2486-JP-7 - 日付20██/04/██
着用者: D-95564
実施方法: D-95564にSCP-2486-JPを着用させ、机上にあるリンゴ1つを視認させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 すっげえあほらしい実験
メモ: まあ対象の異常性は実に阿保らしいが。只、間違いなくオブジェクトは着用者の記憶を理解している。 -倉林博士
実験記録2486-JP-8 - 日付20██/04/██
着用者: D-95564
実施方法: SCP-2486-JPを着用した状態のD-95564に、机上にあるスターフルーツ1つを視認させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 すっげえあほらしい実験
メモ: 全く同じ文面の「ホップアップ」も出現する様です。 -田草川実験補佐
この対象の異常性も阿保だが。しかしイラストだけちゃんと星形だったのは興味深い。 -倉林博士
実験記録2486-JP-9 - 日付20██/04/██
着用者: D-95564
実施方法: SCP-2486-JPを着用した状態のD-95564に、床に直置きされている状態のパンの木の実1つを視認させる。
SCP-2486-JP-Bの内容: 実績を解除 諦め悪いよ倉林博士 でも何でそれを用意したの?
メモ: SCP-2486-JP-Aと交信をする。ちょっと言いたい事が増えた。 -倉林博士
対象: SCP-2486-JP-A(以下、対象)
インタビュアー: 倉林博士(以下、倉林)
付記: インタビュアーは精神影響等の異常性に耐性を有しています。また形態はインタビュアーのイメージを抽出したものから作成されています。
<記録開始, >
倉林: こんにちは。
対象: [10秒沈黙]
倉林: 聞こえているといいけれども。認識していますよね?
対象: びっくりした。ええとにほんぎょ。に、日本語っと。
倉林: 初めまして。私は倉林と言います。
対象: ああ。初めまして。私は、わた、私は日本語のカタカナで、グヴェヌスと言います。い、以後お見知りおきを。あの、怒っていますか?
倉林: いいえ。グヴェヌスさん。これからお話したい事があるのですが、お時間よろしいでしょうか?
対象: 大丈夫です。時間からは離れているので。
[対象に対する複数の質問と回答。詳細の閲覧にはクリアランスレベル4/XXXX-JPを提示してください]
倉林: 最後の質問です。何故貴方はこの様な接触が出来るのですか?
対象: ええと、今から少し前にセールスマン、が来たんです。「いい商品があります。よく売れているんですよ」って。確か「存在っていいな」という名前だったかな。後で聞いたら友達のヘダバシゥとかも買っていましたね。私はその時に今使っているのを、持っている知識の提供で定期購入の契約をしたんです。今も買っていますよ。お話機能は全然使っていませんが、色々実体がある世界だとかが見れて面白いんですよ。
倉林: 購入した際の領収書はお持ちでしょうか?
対象: リョウシュウショ? あ、領収書ですね。ええと、あれ、えっと。貰ったっけ。説明書ならあったんですけれど。あれ、これ今倉林さんが着けている「めがーねね」という物体のですね。今は私のとだけリンクしているらしいです。複数の存在とと同時交信可能! ほっぷあっぷは送信している情報の概略です、頭が悪いと死ぬ、とか日本語で書いてありますね。
倉林: …利用している商品の保証書はお持ちでしょうか、グヴェヌスさん?
対象: すみません、保証書って何ですか? よく分からないんですが。
倉林: …今日はお忙しい中質問に答えていただきありがとうございました。
対象: あ、はい。ありがとうございました。倉林さん。
<記録終了, >
終了報告書: SCP-2486-JPは娯楽商品としてSCP-2486-JP-A及び複数の存在に対して販売されていた様です。またSCP-2486-JP-Aは以前に行われた実験において日本語以外の英語、中国語等の言語によるコミュニケーションが可能であり、着用者を介した情報を知識として保有している事が判明していますが、法意識に著しい欠落が見られます。
後の調査で多数のSCP-2486-JPに類似したオブジェクトが市場に流通している事が確認されました。以下は事案2486-JP-4の際に当該オブジェクトが複数個梱包されていた段ボール箱から発見された文書です。
企画番号: 73-476-雨川-24㊙︎
企画の優先度: 最重要案件
販売時の商品名: 甲. 実体っていいな。体験アドオン(製品版) / 乙. これで人気者⁉ シリーズ第3弾華メガネ(メカの方もご利用いただけます!!!)
(それぞれ概念、現地語の解釈と翻訳なので変更の可能性もあり)
商品の説明: 共に[未知の言語]の娯楽商品。甲は「包括」して乙からの情報を「吸収」する情報生命体向け実感受信用機構・アドオン、乙は人間向け抽象化テレビジョン送信機器。乙は人間に装着させて、認識した情報を甲に送信する。その際人間の脳が発達していなかった場合は、その松果体を発達させて機能させる。甲と乙には、それらの主機能以外に相互アクセスを可能とする機能があるが、上り下りの情報の量と質が同等価値で無かった場合に乙側の使用者が重篤な精神状態となり自殺するケースが報告されている。これには乙の[未知の言語]から作られた生体パーツに人間が耐えられなかった可能性がある。また本来ならば海馬に作用する為の機構が、松果体に作用している機構にさらに(構造上不可抗力ではあるが)干渉して送信体が死亡するケースも報告されている。両者のケース全ては知能の低い人間にのみ発生している。
企画の概要: 自己満足会本部からの案件。[未知の言語]が事業の一部を仮委託した形。[未知の言語]の[未知の言語]次元の[未知の言語]社から商品は購入。販売体系基準世界-73における20██/██/██時点の米国ドルで転売価格を$██にすると、1つ$██相当の利益が出る。甲は既に[未知の言語]社グループの子会社からその在庫と販売権利を購入済み意識集合体[未知の言語]、複数の情報生命体に全て売却済み。利益は別紙を確認。乙は市場展開時に頒布に[未知の言語]テレビジョンとの、この企画での獲得した新規視聴者の初年度受信料の年額約10%が仲介料として自己満足会に支払われる契約がなされている。
乙の販売ターゲット層: 主に販売先世界73に準する人類種。知能は現地の指標のIQで110以上ある人間が好ましい。
留意する事: 乙の転売は現地の治安組織、特にGOCによって押収される可能性が高いのでいつもよりも早く売り抜ける事。アメリカ合衆国はマーケットとしては不適切な程訴訟が多いので無視する事。甲に関しては、解約を出来なさそうな幼体をターゲットとしたが、成長して契約解除を目的とした裁判を起されない様に振舞う事。クレームが来た場合は交信機器を着信拒否にするか破壊して逆探知が出来無い様にする事。
最後に、自己満足会のブランドを高め続ける事。
事案2486-JP-4において、回収されたオブジェクトいくつかはSCP-2486-JP-A以外の存在との交信可能な物品である事が判明しています。また“自己満足会”なる団体については引き続き調査中です。