SCP-2695-JP
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アイテム番号: SCP-2695-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-2695-JPへの入口を封鎖し、カバーストーリー「落石頻出」を適用してください。SCP-2695-JPの拡大及びSCP-XXX-JP-Aとの関係悪化を防ぐため、SCP-2695-JPへ侵入する場合、SCP-2695-JP-Aを踏まないように注意してください。

説明: SCP-2695-JPは██県██市██山に存在する墓碑周辺、SCP-2695-JP-Aの密生区域です。墓碑は野石で作られており、故人 高澤 唯香氏1への弔文が書かれています。また、SCP-2695-JPの土壌からはカルシウム過剰による強アルカリ性が確認されています。

SCP-2695-JP-Aは根を脚部とした移動及び発声が可能な未開花状態である雄株のシロツメクサ(Trifolium repens)です。SCP-2695-JP-Aは一般的なシロツメクサと同一の構成をしており、筋肉や喉などにあたる部分が存在しないにも関わらず、上記の行いが可能である原理は不明です。
過半数のSCP-2695-JP-Aは植え込まれた状態であり、少数のSCP-2695-JP-Aのみが移動や発声を行います。発言内容からSCP-2695-JP-Aを指導する役割を担っているものと考えられます。SCP-2695-JP-A指導者数は一定に保たれ、減少した場合も埋め込まれたSCP-2695-JP-Aが引き継ぎます。

SCP-2695-JP-Aは踏まれるなど強い刺激を受けた際、周囲に植え込まれた状態のSCP-2695-JP-Aを出現させ、SCP-2695-JP区域を拡大します。既に周辺がSCP-2695-JPの場合、この現象は発生しません。また、この時刺激を受けたSCP-2695-JP-Aは全ての異常性を喪失します。SCP-2695-JP-AをSCP-2695-JPから隔離した場合も同様に異常性を喪失し、異常性が元に戻ることはありません。

補遺-1: インタビューログ

対象: 高澤 洋子氏2

インタビュアー: 田口博士

<録音開始>

田口博士: インタビューに応じてくださり、ありがとうございます。早速ですが、██山の墓石についてお聞かせ願いますか。

高澤氏 はい。あれは忌明けからすぐのことでした。私、未だに信じられなくて…。それで、娘が亡くなった場所へ行ったんです。そうしたら…娘が大切に持っていたぬいぐるみがあったんです。何処に行っても大事に抱いていて…その日まですっかり忘れていました。

田口博士: そのぬいぐるみをどうしましたか?

高澤氏: 悩みましたけど、娘が…好きだったあの場所に埋めることにしました。あの子はクローバーが好きで、四葉のクローバーを見つけてはよく見せてくれたんです。あの子の魂があそこに来た時、ぬいぐるみがあればまた遊べるでしょう?夫も同意して、お墓を作ってくれたんです。さすがに岩で作るのはどうかと思ったんですけど、この岩がやったわけじゃないだろとか言い張って…

田口博士: それでは、あの場所にはぬいぐるみしか埋まっていないのですね?

高澤氏: はい。

田口博士: 成る程…その時点でなにか異常は見られませんでしたか?

高澤氏: …いえ、特には。

[両者5秒間沈黙]

田口博士: 話の腰を折ってすみません、続けてください。

高澤氏: それから毎日弔いに行っていたんです。たしか…一週間くらい経った時でした。あのクローバーが動いていたんです。少しだけびっくりしましたけど、不思議と怖がる必要はないって。それでお墓の元へ行きました。

田口博士: 怖がる必要は無い、何故そう感じたのですか?

高澤氏: 多分、クローバーにとても慣れ親しんでいたからだと思います。…それで、お墓の元に着いたらクローバーが話しかけてきたんです。「お前は誰だ?」とか「何をしに来た?」って。

田口博士: 質問をしてきたわけですね。それに貴方はなんと答えましたか?

高澤氏: 「私は唯香の母親で、娘を弔いに来た」って。クローバーは少し考えてる様子でしたが、急に私に「でていけ」って怒鳴ったんです。それで…私は走って帰りました。

田口博士: 急に怒鳴ったのですか?それは不思議ですね…。その理由に心当たりはありますか?

高澤氏: いえ、全く…。

田口博士: そうですか…。最後の質問です、そのクローバーが動き出したことに何か心当たりはありませんか?

高澤氏: …多分、あのクローバー達は娘のお墓参りをしてくれているのだと思うんです。娘は毎日クローバー達の元へ行っていて、あのクローバー達からしてみてもきっと…娘は大切な存在なはずなんです。

田口博士: 成る程、娘のお墓参りをしていると…今回はインタビューに応じてくださりありがとうございました。

<録音終了>

対象: SCP-2695-JP-A-14

インタビュアー: 田口博士

<録音開始>

田口博士: もしもし、そこのクローバーさん?

SCP-2695-JP-A-14: …俺のことか?そこの旦那?

田口博士: ええ、そうです。私、田口と申します。貴方にいくつか質問をしたいのですが、よろしいでしょうか?

SCP-2695-JP-A-14: [思案する様子]…まぁ、構わないよ。ただ、出来るだけ早くしてくれよ?こっちにも仕事があるんだ。

田口博士: ありがとうございます。まず、貴方のお名前を伺っても?

SCP-2695-JP-A-14: 名前…いや、俺にはないな。名前なんか必要なかったから。

田口博士: そうでしたか。それでは先程仰られていたお仕事とはなんでしょうか?

SCP-2695-JP-A-14: あぁ、仕事な。俺はこの埋まってるこいつらに指示しなきゃならんのだ。

田口博士: こいつら…というと彼らも貴方のように動いたり、話したりすることが出来るということですか?

SCP-2695-JP-A-14: おう。みんなできるさ。ただ、アイツを取り除くには誰かが根を使わんといかん。そうなると、無駄なことをするわけにはいかんのだ。ここだけの話だが、あんな汚れ仕事が担当じゃなくて良かったよ。

田口博士: そうだったのですね。ところで、アイツとは誰のことでしょうか?貴方がその仕事を嫌う要因なのですか?

SCP-2695-JP-A-14: あぁ、アイツ…アイツってのは…あの娘を踏んづけて殺しやがった…あの憎いデカブツの事だ。俺たちはあの娘がこれ以上苦しまないよう…アイツは死んでもあの娘の上にいるんだ…。信じられるか?どうして2回もあの娘を苦しめられるんだ?あの…あの!クソ野郎めが![その後も罵声を発し続ける]

田口博士: 大丈夫ですか?少し、落ち着いてください。質問を変えましょうか?

[3分間罵声を発し続ける]

SCP-2695-JP-A-14: ……すまなかったな…。この話はやめにしよう。

田口博士: はい、分かりました。そうですね…少し前、貴方達の元へ来た女性のついて、ご存知ですか?彼女は貴方達に怒鳴られたと証言しているのですが。

SCP-2695-JP-A-14: …知ってるよ。アイツも酷いやつだ。弔うべき故人の上に、死ぬ理由になったアイツをどうして置いて行けるんだ?全く理解出来ない。そんな奴はこの土を踏む権利もないだろう。

田口博士: 成る程、怒鳴った理由も”アイツ”が関係していると…。ところで、その故人というのは高澤 唯香氏のことでしょうか?

SCP-2695-JP-A-14: お前の言うその…高澤?とは呼んではいないが、お前らの言葉ではそう呼ぶんだろう。…あの娘は俺たちの太陽みたいな存在だった。あの娘は俺たちに優しくしてくれたんだ。俺たちはあの娘と話すのが楽しかった。好きだったんだ、あの娘のことが。ここにいる全員がそうだった。あの日だって…変わらずそうだったんだ。でもな、アイツが全部踏み潰したんだ。あのクソ野郎が全部壊したんだ…。俺たちはあの娘を弔った。彼女はここで眠り続けるはずだった。それなのに…それなのに…もう1度だなんて…クソ…。

<録音終了>

終了報告書: SCP-2695-JP-A群は今回のインタビュー後、SCP-2695-JP-A指導者個体が著しく減少し、一切の対話を拒否するようになりました。現在、SCP-2695-JP-Aの状態を回復する方法が講じられます。

補遺-2: 20██/██/██、地震による土砂崩れが発生し、SCP-2695-JPの1部が崩落しました。崩落した土砂を調査したところ、異常なまでに劣化した高澤 唯香氏の遺骨が発見されました。また、埋められているはずのぬいぐるみは発見出来ず、最終的に唯香氏の骨壷内で発見されました。遺骨及びぬいぐるみがどのように転移したかは不明です。

追記: 崩落箇所断面に、遺骨より下方にあったと思われる、一切の劣化が見られない雌株のシロツメクサが見つかりました。SCP-2695-JPとの関連性は不明です。

補遺-3: 土砂崩れ以後、SCP-2695-JP-A全個体の異常性の喪失が確認され、墓碑に起源不明の文章及び傷が出現しました。 傷は弔文に重なる様に出現し、元の文章の書見を困難にしています。
以下は弔文も含めた、墓碑に記された全文章です。

地震、こんな奇跡があるなんて。こんな簡単に救えてしまうとは、全くもって不甲斐ない。見せる顔がないよ。ただ、俺たちは、いや、あの娘はツイている。そうだ、あの娘はいつだって1番幸運だったんだ。

あの娘に、永遠の幸運あれ。



2020年5月14日 高澤 唯香、ここに眠る 地獄で苦しめクソ野郎


私の娘に、幸運あれ お前には、復讐を


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