アイテム番号: SCP-2729-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在、SCP-2729-JPの発生を抑止する方法としてプロトコル-クレイムが実行に移されています。財団は公安部特事課北海道地区担当部門と連携し、SCP-2729-JPの犠牲者が発見され次第、北海道内の行方不明者リストとの照合、UAP1の発見情報の収集と追跡、場合に応じて関係者へのインタビューと記憶処理を可能な限り迅速に実施します。回収された凍死体は、プロトコル-クレイムに基づく所定の手続きの後、発見地点に戻します。
木星第2衛星エウロパの監視は、SCP-2729-JP研究チームと財団宇宙異常部門との連携を通じて実施されます。当該衛星付近で観測されたSCP-2729-JP関連異常現象は全て記録されます。UAPの持つ反ミーム的性質から、非異常組織が同現象を発見する確率は低いと見られるものの、関連が疑われる天文学的発見や噂は財団ウェブクローラーにより常時収集され、必要に応じて関係者にはインタビューと記憶処理を実施します。
説明: SCP-2729-JPは、毎年12月~3月の間に北海道内で凍死した人物が北海道十勝平野の雪中で発見される現象、並びに関連した異常現象の総称です。凍死した人物の属性は家屋での孤独死者や家出人、遭難者など様々で、性別や年齢等に法則性は見られませんが、何れも非異常性の事由による凍死2が直接の死因であることが共通しています。
SCP-2729-JP現象にターゲティングされた凍死体は、不明な手段により、十勝平野内の人家から5km以上離れた位置へランダムに移動します。移動は瞬時に行われ、凍死体は目視確認が不可能な雪中深く3に埋められます。また、全ての凍死体の首には未知の金属を素材とする認識票に似たプレートが括り付けられています。全ての認識票には不規則な凹凸による文様が刻まれています(後述)。このプロセスが如何なる機序で行われているかは現在調査中です。
凍死体が未発見のまま雪解けの始まる3月下旬~4月初旬を迎えると、各凍死体は上空に出現したUAPにより未知の手段で中空に浮遊し、その後UAP内部に収納されます。このプロセスは通常深夜1時~4時の間に行われ、場所が多くの場合人家から視認不能な位置であること、掘り出した痕跡が消失していること、一夜にして行われる回収速度の素早さ、UAPの持つ反ミーム迷彩等の複合要因により、回収の約98%は一般市民に目撃されることなく終了します。
SCP-2729-JP凍死体を回収し終えたUAPは、木星第2衛星エウロパへと亜光速で移動、衛星重力圏内へと突入します。UAPがエウロパで何を行っているのかは現在調査中ですが、財団監視衛星による複数の証拠は、UAPが凍死体をエウロパ内部の氷結地殻に埋め込んでいることを示唆しています。エウロパ調査船の派遣は、UAPの目的や性質が全く不明であること、また調査に莫大な費用が必要と見込まれることから現在保留されています。
補遺1: 発見経緯2729-JP SCP-2729-JPは2009年、北海道内での冬期行方不明者数及び死者数が平年並みに推移しているにもかかわらず、その内凍死者数が激減4していることが公安部特事課により財団に要注意情報として提供されたことから判明しました。特事課及び財団監視衛星による冬期間を通じた調査の結果、SCP-2729-JP凍死体と思われる遺体数点とUAPの存在が明らかとなりました。異常現象の影響範囲が宇宙空間に及んでいることから、特事課は財団にSCP-2729-JP調査の主導権を移管し、財団は引き続き特事課と北海道警察の協力を得て収容の努力を続けています。
補遺2: 追加情報2729-JP-1 2016年2月、財団言語学部門の協力により、SCP-2729-JP調査チームは凍死体の認識票に刻まれた凹凸が未発見の言語であることを突き止めました。更なる研究の努力により、内容の概略が判明しました。以下はその日本語訳です。尚、解読不能であった部分は伏せ字にて表現しています。
補遺3: プロトコル-クレイム 認識票の解読を受け、財団はSCP-2729-JPへの抑制手段として「プロトコル-クレイム」を策定、2016年冬から実施しています。
SCP Foundation
Official Documentation
Protocol Claim
前書: SCP-2729-JP事象発生を抑止するため、回収した凍死体に細工を施し、UAPによる意図的な簒奪を狙う計画として「プロトコル-クレイム」が策定されました。
計画内容: 財団は北海道警察協力の下、発見可能な十勝平野内部のSCP-2729-JP凍死体を全て回収し、死体内部に電波発信用マイクロチップを埋め込みます。死体喪失後はDelta-DOR技術の応用により、死体の大凡の位置情報を常時天文的に観測します。全ての電波パターンには個体識別可能な差異が予め設定されています。
また、死体は以下をランダムに組み合わせた条件で欠損・破損・汚辱・強毒化され、従来の死体と区別されます。
- 死体の一部(手足、内蔵、眼球、生殖器等)を取り除き、欠損させる。
- 死体内部へ一般的生物にとって有毒な化学物質(カドミウム、ウラン等)を、外見上見えない部位へ注入する。
- 死体内部へ一般的摂食に適さない物質(金属、鉱物、プラスチック等)を、外見上見えない部位へ挿入する。
- 死体の一部もしくは全部を非異常性の手段で腐敗させる。
財団はロストした信号と該当死体の加工方法を記録し、次回のプロトコル実行時に反映させます。
補遺4: 追加情報2729-JP-2 プロトコル-クレイム実行後の2017年4月、回収した全凍死体の90%に当たる60体がエウロパへ到着した一週間後に不明な手段で地球上の元の位置に戻りました。特に腐敗加工を施した死体については100%が回収されており、次回以降は全ての死体を腐敗させる方向でプロトコルの改訂が行われる予定です。尚、返還された死体の発見者には通常の隠蔽措置が施されています。
また、プロトコル実行後、エウロパより不明な電波信号が太陽系外へ向けて発せられていることが確認されました。信号は認識票と同様の言語が用いられた音声通信と見られます。以下はその日本語訳です。
現在のホメロに対して多くの方が不安を抱くのは、当然のことだと思います。しかし一方で、過度の不安から生まれた誤った認識が原因となってさまざまな風評被害が生じ、まったく問題のない非常においしいホメロの収穫物を買い控えるようなことは、█████の極みとしか言いようがありません。
多くの方々の過度の不安を解消し、風評被害をなくすためにも、████やホマファナスについての正しい情報を多くの方々と共有することがこれからも引き続き重要であり、██████████も生産者としてその務めを果たして参りたく存じます。